検索ワードで見る、みんなのエネルギー関心度―「エネルギー白書2022」から①

イメージ画像

省エネルギーなど新しい制度の施行、燃料や電力の価格、あるいはCOP(気候変動枠組条約締約国会議)などの気候変動に関する国際会議…。みなさんは、どのようなエネルギー問題に関心をもっていますか。みなさんが関心をもっていたポイントを整理することは、今後のエネルギー政策を検討する際にもとても重要です。そこで、より幅広い人々の意見を把握するため、エネルギーに関連する関心度の推移を表すデータのひとつとして、インターネットの検索ワードの推移を分析してみました。日本では、いったいどんなエネルギー関連ワードが検索されているのでしょう?その結果を、「エネルギー白書2022」から抜粋してお伝えします。

15分野の検索ワードを分析

検索ワードの分析には、「Yahoo!検索」の2014年以降の統計データを使用しました(検索データ出典:ヤフー・データソリューション)。分析にあたっては、さまざまな検索ワードを大きく以下の15分野に分類しました。

エネルギー政策/エネルギーの安全性/エネルギー安全保障/エネルギーレジリエンス/気候変動対応/省エネルギー関連/エネルギーイノベーション/エネルギー価格/電力・ガスの制度・市場/エネルギーシステム/クリーンエネルギー自動車/発電方法(再エネ・新燃料)/発電方法(再エネ・新燃料以外)/エネルギー源(再エネ・新燃料)/エネルギー源(再エネ・新燃料以外)

各分野の検索人数が増えるのはどんなとき?

まずは全体的に、検索の動向を見てみましょう。分析結果を時系列で見ると、政策変更や災害などがあったタイミングで、関連分野のワードを検索した人数(※)が増えていることがわかります。

※検索人数とは:Yahoo! JAPANで検索したユーザーを標本に日本のインターネット利用者の推定検索人数を算出しています。各ワードは、同じものを意味する軽微な違いを一つにまとめるグループ化を行っており、この記事および白書に掲載のグラフは、内包される各ワードの完全一致検索人数を足し上げたり、複数分類の人数を足した延べ人数から集計し、グラフ化しています。

エネルギー政策に関するワードを検索した人数の推移
エネルギーの安全性、エネルギー安全保障など、エネルギー政策に関するワードを検索した人数の2014年から2021年までの推移をグラフで表しています。

大きい画像で見る

●2016年4月:電力小売全面自由化
「電力・ガスの制度・市場」分野のワード〈電力自由化〉の検索人数が同年1月より大きく増加
●2018年9月:北海道胆振東部地震による北海道全域の停電/2019年9月:台風15号による千葉での大規模停電
「エネルギーレジリエンス」分野のワード〈停電〉の検索人数が増加
●2020年4月:新型コロナウイルス感染症の影響で原油価格が大幅下落、米国のWTI原油先物(原油価格の主要指標のひとつ)が史上初のマイナス
「エネルギー価格」分野のワード〈原油価格〉や〈ガソリン価格〉の検索人数が増加
●2020年10月:菅内閣総理大臣(当時)が2050年カーボンニュートラルを宣言
「気候変動対応」分野のワード〈カーボンニュートラル〉の検索人数が継続的に増加。とくに、2021年10月~11月のCOP26開催の影響で、2021年11月に<COP>の検索人数が増加

最近、検索人数が多い分野は?

では、15分野のうち、検索人数やその増減が大きかった分野の中から、以下の4項目について詳しくご紹介します。

①「気候変動対応」分野の検索ワード

2020年まではCOPやパリ協定、ESG関連のワードが検索され、ゆるやかな増加傾向にありましたが、2020年10月以降、〈カーボンニュートラル〉の検索人数が急増しました。また、COP26が開催された2021年11月には〈COP〉の検索人数も大きく伸びており、2020年末以降、気候変動に関する国民の関心が高まっていることがわかります。

気候変動関連に関する検索人数の推移
カーボンニュートラル、脱炭素など、気候変動関連に関するワードを検索した人数の2014年から2021年までの推移をグラフで表しています。

大きい画像で見る

②「エネルギーイノベーション」分野の検索ワード

2017年まではCO2回収・貯留(CCS)や核融合に関連するワードの検索が大多数でした。しかし、2017年以降は〈全固体電池〉(電極の間を満たす電解質に、液体ではなく個体を使う電池)の検索人数が、またグリーン成長戦略の発表された2020年12月以降はエネルギーイノベーションの分野全体の検索人数が伸びました。

エネルギーイノベーションに関する検索人数の推移
ペロブスカイト、浮体式洋上風力など、エネルギーイノベーションに関するワードを検索した人数の2014年から2021年までの推移をグラフで表しています。

大きい画像で見る

③「エネルギー価格」分野の検索ワード

この分野では、その時々の原油・天然ガス・ガソリン価格に連動して、検索人数も上下する傾向にあります。直近では資源高の影響で、ガソリン価格に関連するワードの検索人数が特に増加しています。

エネルギー価格に関する検索人数の推移
原油、WTI、電気など、エネルギー価格に関するワードを検索した人数の2014年から2021年までの推移をグラフで表しています。

大きい画像で見る

④「発電方法」分野の検索ワード

太陽光発電に関する検索人数が一貫して一番多く、次いで、原子力発電が多くなっています。また、近年では風力発電関連や、アンモニア発電についての検索人数が増加しており、再生可能エネルギーや新燃料による発電方法への関心が高まっていることがわかります。

発電方法に関する検索人数の推移
太陽光発電、風力発電、アンモニア発電など、発電方法に関するワードを検索した人数の2014年から2021年までの推移をグラフで表しています。

大きい画像で見る

世代別に見た検索傾向は?

では、世代別に見ると、どんな検索傾向があるのでしょうか。以下のグラフは、全世代平均を100とした場合に、各世代でどの分野の検索数が多いのかを示したものです。

世代別のエネルギーに関するワードの検索傾向(2021年)
エネルギー政策、気候変動対応、エネルギーイノベーションなど、エネルギーに関するワードの2021年の検索傾向について、10代から70代まで世代別に見た検索数をグラフで表しています。

大きい画像で見る

これによると、10代と20代では、多くの分野で100を下回り、エネルギーに関する関心が相対的に低いことが示されています。とくに、「エネルギー価格」分野と太陽光発電や風力発電を含む「発電方法(再エネ・新燃料)」分野では、10代と20代の検索数が、30代以上と比べ大きく下回っています。大まかな傾向としては、30代、40代、50代の検索数がほかの世代に比べて多く、とくに、仕事(エネルギーイノベーション、電力・ガスの制度・市場など)や生活(省エネルギー関連、エネルギー価格など)に関連する分野で特徴的に多い傾向が見受けられました。

気候変動対応については、すべての世代で検索人数が増加

次に、日本のエネルギー政策の根幹である「3E(Energy security、Economic efficiency、Environment)」の視点から、世代別の検索動向の推移を詳しく見ていきましょう。検索人数を世代別に分けると、それぞれの世代で人数が異なるため、調査では、インターネット人口1万人あたりを基準として動向を示しています。

① Energy security(「エネルギー安全保障」「エネルギーレジリエンス」の2分野の検索人数を合算)

60代以上の検索人数が少ないのに対し、20代以下と30代〜50代では多くなっており、相対的な関心が高いと考えられます。また災害があったタイミングなどには検索人数が大きく伸びていますが、過去8年で検索人数が伸びていく傾向は見られず、一過性の関心にとどまっています。

世代別検索人数の推移(エネルギー安全保障+エネルギーレジリエンス)(1万人あたり)
エネルギー安全保障、エネルギーレジリエンスの2分野について、世代別に見た検索人数の2014年から2021年までの推移をグラフで表しています。

大きい画像で見る

② Economic efficiency(「エネルギー価格」「電力・ガスの制度・市場」の2分野の検索人数を合算)

電力小売全面自由化があった2016年4月には、30代以上の検索人数が大きく伸びましたが、20代以下では伸びていません。これは、家族と同居し、自らの収入から電力料金を支払っていない層が一定程度あることから、相対的な関心が低いためだと考えられます。また、新型コロナウイルス感染症の影響で、「WTI原油先物価格」と呼ばれる原油価格が史上初めてマイナスを記録した2020年4月には、働いている人が多い30代〜50代で特に検索人数が伸びました。こうした制度変更や国際的な事象があったタイミングでは検索人数が大きく伸びる一方で、過去8年で検索人数が伸びていく傾向は見られず、一過性の関心にとどまっています。

世代別検索人数の推移(エネルギー価格+電力・ガスの制度・市場)(1万人あたり)
エネルギー価格、電力・ガスの制度・市場の2分野について、世代別に見た検索人数の2014年から2021年までの推移をグラフで表しています。

大きい画像で見る

③ Environment(「気候変動対応」分野の検索人数)

2020年秋以降、右肩上がりで検索人数が伸びる傾向にあります。特に60代以上は、第6次「エネルギー基本計画」におけるパブリックコメントが募集されていた2021年9月の検索人数が多い一方で、30〜50代、20代以下と年代が若くなるにつれて検索人数が減少する傾向にあります。また、COP26が開催された2021年11月には、各年代でまんべんなく多くの検索がおこなわれています。

世代別検索人数の推移(気候変動対応)(1万人あたり)
気候変動対応の分野について、世代別に見た検索人数の2014年から2021年までの推移をグラフで表しています。

大きい画像で見る

*****

今回の分析は、世の中のエネルギー政策やエネルギー情勢への関心度合いとその動向について、一面ではありますが定量的な把握をためしてみたものです。調査の分析方法や詳しい内容については「エネルギー白書2022」第1部第2章第2節をご参照ください。

詳しく知りたい
エネルギー白書2022

資源エネルギー庁では、こうしたデータも参考に、日本のエネルギー事情の全体像についてみなさんがさらに理解を深めていけるよう、この「スペシャルコンテンツ」やパンフレットなどをはじめ、科学的知見やデータに基づくさまざまな情報提供を続けていきます。

お問合せ先

長官官房 総務課 調査広報室