「エネルギー白書2019」で、災害や地球温暖化に向けた日本のエネルギー政策がわかる!

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資源エネルギー庁では、エネルギーの需給に関しておこなった施策について、国会に年次報告を提出しています。これに基づいて、毎年発行されているのが「エネルギー白書」。エネルギーに関する政策や取り組み、今後の方向性などがまとめられています。今回は、2019年6月7日に公開された「エネルギー白書2019」から、読みどころをピックアップしてお伝えしましょう。

2019年、日本のエネルギー政策は?

エネルギー白書では、その年のエネルギーをめぐる状況と、主な対策が取り上げられています。2018年のエネルギー白書では、国のエネルギー需給に関する施策についての中長期的な基本方針を示した「エネルギー基本計画」の見直しに向けて、エネルギーをめぐる国内外の情勢の変化や、今後の課題などを中心に取り上げました(「2018年の「エネルギー白書」からエネルギーの『今』を読み解く」参照)。

日本を取り巻くエネルギー情勢は、ここ数年で大きく変化しています。地球温暖化対策に関する国際的な枠組み「パリ協定」が2016年に発効。気候変動という大きな問題に対して、世界全体で平均気温の上昇を抑え、温室効果ガス(GHG)の排出を抑制するという目的が掲げられました。この目的を達成するため、各国は今、さまざまな施策を進めています。

「エネルギー白書2019」では、このパリ協定をふまえ、GHG削減目標に向けて日本が取り組んでいるエネルギー政策や、現在の進捗状況について取り上げています。また、主要先進国の施策や進捗状況も確認し、各国のエネルギー事情をデータで詳しく紹介しています。

このほか、日本のエネルギー政策全体の転換点となった2011年の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故から8年が経過し、廃炉・汚染水対策はどのように進捗しているのか、また福島の復興の状況についても見ていきます。さらに、2018年に頻発した地震や豪雨など自然災害における、エネルギー安定供給の取り組みを振り返り、今後の対策についても取り上げています。

「エネルギー白書2019」の読みどころ

では、「エネルギー白書2019」の主なトピックスについて、詳しく見ていきましょう。

① 福島の復興・再生に向けた最近の取り組み

福島では、2017年春までに、大熊町・双葉町以外のすべての居住制限区域、避難指示解除準備区域の避難指示が解除されるなど、復興・再生の取り組みが一歩一歩進んでいます。

東京電力福島第一原子力発電所では、さまざまな汚染水対策がとられてきましたが、「凍土壁」と呼ばれる壁を築いて地下水を遮断するという方法の効果が明確に認められ、汚染水の発生量が減少するなどの進展が見られました。また、3号機では2019年4月から燃料の取り出しが始まっています。さらに、2号機の内部調査では、とけて周辺の構造物とともに固まった燃料(燃料デブリ)と考えられる物体に調査装置を接触させ、小石状の物体をつかんで動かせることが確認できました。「エネルギー白書2019」では、こうした廃炉に向けた作業の進展を詳しく記載しています。

加えて、避難指示解除の状況をはじめ、除染の実施状況、避難指示が解除された地域での生活環境の整備など、原子力被災者への支援や、環境汚染への対処についてもまとめています。福島の浜通り地域の産業を回復するため、新たな産業基盤の構築を目指す「福島イノベーション・コースト構想」に関する施策や、福島を新しいエネルギー社会のモデル創出拠点とする「福島新エネ社会構想」などの取り組み(「次世代の『新エネルギー社会』は福島から始まる」参照)についても、進捗を紹介しています。

② パリ協定をふまえた地球温暖化対策・エネルギー政策

パリ協定の目的を達成するため、各国はGHG削減に関する目標を定め、施策を進めています。日本は、「2030年度のGHGの排出を、2013年度の水準から26%削減する」という中期目標を掲げています。

GHGを削減するためには、「エネルギー供給の低炭素化」と「省エネルギー」が必要です。日本は、省エネルギーはほかの主要国と比べて進んでいるものの、電源(電気をつくる方法)の「非化石化」(発電のもととなるエネルギー源を、石油などの化石燃料以外の燃料を使って発電すること)や、「低炭素化」(化石燃料を使う場合においても、従来の石炭・石油から、ガスのような低炭素な燃料へと転換していくこと)は低い状況となっており、これを強化することが課題です。

「エネルギー白書2019」では、こうした日本の取り組みについて紹介するほか、米国や英国、フランスなど、主要先進国の目標や進捗状況についてもデータやグラフなどを交えながら比較・分析をおこなっています。

③ 電力・ガス・燃料供給のレジリエンス対策の重要性

2018年は、2月の福井の豪雪、7月の西日本豪雨、9月の台風第21号・24号、同じく9月の北海道胆振東部地震など、あいついで自然災害が起こった年でした。これらの自然災害によって、エネルギーについても、大規模停電が起きたり(「日本初の“ブラックアウト”、その時一体何が起きたのか」参照)、ガスや燃料の供給がストップする被害がもたらされました。

こうした経験を踏まえ、災害が発生した時のエネルギーの安定供給の重要性が再認識され、「レジリエンス」強化に向けた取り組みが進められています。レジリエンスとは「強じん性」、あるいは「回復力」や「弾力性」を示す言葉で、具体的には、災害に強いインフラの整備、早期復旧のための事業者との連携の強化、情報発信の強化などの取り組みが、電力・ガス・燃料供給のそれぞれの分野で進められています。

「エネルギー白書2019」では、こうした災害がもたらすエネルギー供給への影響や、復旧対応、さらに今後の対策について、掘り下げて解説しています。

国内外の諸問題に向けたエネルギー政策の重要性

日本は今、頻発する自然災害への対応と対策、また福島の復興という国内での取り組みを進めながら、地球温暖化という世界規模の問題に取り組むべく、GHG削減に向けてさまざまな施策を立て、着実に実行しています。「エネルギー白書2019」では、こうした日本のエネルギー政策の現状と目標、さらにはエネルギーをめぐる世界の動きを知ることができます。

私たちの生活に直接かかわるエネルギーの問題を、「エネルギー白書2019」を読んで改めて考えてみませんか?

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