脱炭素化社会に向けて世界が集結!東京ビヨンド・ゼロ・ウイーク開催(後編)

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温室効果ガスの排出実質ゼロ(カーボンニュートラル)、さらには過去に大気中に排出されたCO2の削減(ビヨンド・ゼロ)を実現するためには、さまざまなイノベーションが必要です。そこで経済産業省では、これらについて議論・提示する国際会議「東京ビヨンド・ゼロ・ウイーク」を開催し、全部で6つの会議を実施しました。前編でご説明した環境関連の3つの会議に引き続き、後編ではエネルギー関連の3つの会議についてご紹介します。

エネルギー分野の3つの会議の注目ポイントは?

「東京ビヨンド・ゼロ・ウイーク」では、10月7日から14日までの1週間で、以下の6つの会議を開催しました。

リストアイコン ICEF2020(10月7-8日)
リストアイコン RD20(10月9日)
リストアイコン TCFDサミット2020(10月9日)
リストアイコン 第9回LNG産消会議2020(10月12日)
リストアイコン 第2回カーボンリサイクル産学官国際会議2020(10月13日)
リストアイコン 水素閣僚会議2020(10月14日)

このうち、環境まわりの「ICEF2020」「RD20」「TCFDサミット2020」の3つの会議については前編でご紹介しました(「脱炭素化社会に向けて世界が集結!東京ビヨンド・ゼロ・ウイーク開催(前編)」参照)。今回は、エネルギー面で個別に挑戦すべき課題を話し合う場として設けられた「第9回LNG産消会議2020」「第2回カーボンリサイクル産学官国際会議2020」「水素閣僚会議2020」での内容と成果をご紹介しましょう。

第9回LNG産消会議2020

今回で9回目の開催となった「LNG産消会議」は、2012年から始まりました。きっかけは、2011年に東日本大震災が起こり、その後全国の原子力発電所が新しい規制基準を満たすまで停止となったことによって、液化天然ガス(LNG)の需要が急速に拡大したことです。また、日本のみならずアジアなどの新興国を中心に需要が高まっていることもあり、LNG需給バランスを保ち、安定供給を図ることが重要となってきていました。そこで、世界最大の輸入国である日本が主導して、LNGの産出国と消費国、およびLNG業界のリーディングカンパニーが一堂に集い、あるべきLNG市場について議論する場を設けようと会議が開かれたのです。以後、毎年定期的に議論を重ねてきました。

今回はコロナ禍の影響でオンライン開催となりましたが、27カ国の閣僚級を含む政府関係者、60を超える業界のリーディングカンパニーからビデオメッセージが届き、当日の参加登録者は世界52カ国・地域から約1900人にのぼりました。

第9回LNG産消会議2020の写真

第9回LNG産消会議2020の写真

2020年のLNG市場は、新型コロナウイルスの影響による需要の落ち込みや、スポット価格(期間契約ではなく、LNG船1隻単位の契約にもとづく取引の価格)の記録的な低水準など、不透明感が増しています(※その後、2021年1月現在ではスポット価格は高騰)。また、世界的には脱炭素化、エネルギー転換の大きなうねりが欧州を中心に起こっています。こうした中で、今後アジアのLNG市場が、世界の気候変動問題に対応しながら、経済回復と成長を支える存在となるためにはどうしたらよいのかが今回の会議の焦点となりました。

会議上で、日本は以下の3つのメッセージを出しました。

①「LNG市場戦略2016」を大幅に見直す
2016年、日本はLNGの需要の安定化、価格の抑制、価格の安定化・透明化を目指して、「LNG市場戦略」を打ち出しました。しかし、近年の市場環境の変化を踏まえ、今後1年かけて大幅に見直すことを発表しました。

②開発・輸送・消費といったLNGのバリューチェーン全体で温室効果ガス抑制に取り組む
LNGは化石燃料の中では温室効果ガスの排出が最も少ないエネルギー源です。しかし、世界的な脱炭素化への流れや、環境に対する意識が高まっていることも踏まえ、LNGのバリューチェーン全体において、温室効果ガスの排出を抑制する取り組みを実施することを発表しました。

③水素やアンモニアの生成に取り組む
化石燃料の中では比較的温室効果ガスの排出が少ないLNG・天然ガスを改質し、排出されるCO2を回収することで、クリーンな水素やアンモニアの生成が可能です。日本としてこうした取り組みにも力を入れていくことを発表しました。

このほか、例年も議論していることとして、より柔軟で厚みのある国際LNG市場を構築していくために、第三者へのLNGの転売を制限する条件(仕向地条項)に代表されるような売買契約についてもより柔軟に対応し、価格指標についてもより適時適切に、事業者が市場に合った条件を選択できるようにしていくことが必要という認識が共有されました。

第2回カーボンリサイクル産学官国際会議2020

カーボンリサイクルをイメージしたイラスト

カーボンリサイクル(イメージ図)

カーボンリサイクルとは、CO2を“資源”としてとらえ、これを回収し、燃料や製品の原料として再利用(リサイクル)する技術です(「未来ではCO2が役に立つ?!『カーボンリサイクル』でCO2を資源に」参照)。気候変動問題の解決へ貢献し、新たな資源を安定的に確保するという、2つの課題解決を両立させるイノベーションとして期待されています。

そこで2019年、カーボンリサイクルの実現に向けて世界各国の産・学・官の第一人者を招き、各国の革新的な取り組みや最新の知見、国際連携の可能性を確認し、各国間の産学官のネットワーク強化をうながす目的で、初のカーボンリサイクル産学官国際会議が開催されました(「日本発の革新的なCO2削減対策を世界へ~『カーボンリサイクル産学官国際会議』」参照)。

第2回目となる今回の会議はオンラインでおこなわれ、参加登録者は22カ国・地域・機関から約1700人にのぼりました。プログラムは2部構成で、第1部では梶山経済産業大臣をはじめ、国際エネルギー機関(IEA)事務局長など海外の閣僚級の要人からの講演を実施。第2部では、「カーボンリサイクルによるゼロエミッション化の追求」「現実解としてのカーボンリサイクルの可能性」をテーマに、専門家によるパネルディスカッションを実施しました。

第2回カーボンリサイクル産学官国際会議2020の写真

第2回カーボンリサイクル産学官国際会議2020の写真

2019年の第1回会議の際に、日本は「カーボンリサイクル3Cイニシアチブ」を発表しました。これは、①相互交流の推進(Caravan)、②実証研究拠点の整備(Center of Research)、③国際共同研究の推進(Collaboration)という3つのアクションによって、技術ロードマップに基づきイノベーションを加速する取り組みです。今回の会議では、このイニシアチブに基づいたカーボンリサイクルの進捗状況が「カーボンリサイクル3Cイニシアチブ プログレスレポート」として発表され、3つの「C」の進捗状況については、以下のような報告がされました。

①相互交流の推進(Caravan)
2019年12月に、IEA閣僚理事会の開催に合わせ、CCUSサイドイベントを開催したり、2020年1月に、UAEで開催された「ワールド・フューチャー・エナジー・サミット」で、日本のカーボンリサイクル技術を集めて国際展示を実施するなど、積極的な交流をおこないました。

②実証研究拠点の整備(Center of Research)
広島県・大崎上島でカーボンリサイクルの拠点を整備しており、今後のカーボンリサイクルのショーケースとなることを目指しています。

広島県・大崎上島のカーボンリサイクル実証研究拠点イメージ図

カーボンリサイクル実証研究拠点(イメージ図)

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③国際共同研究の推進(Collaboration)
2019年のオーストラリアとの協力覚書の締結に続き、2020年はアメリカとの間で覚書を締結しました。こうした事例を積み重ねながら、国際共同研究の連携を拡大・深化しつつあります。

今後も国際連携を強化しつつ、社会実装に向けた技術開発と実用化に取り組むことを確認しました。

水素閣僚会議2020

さまざまな資源からつくることができ、使用してもCO2を排出しない水素は、エネルギー転換・脱炭素化を実現するキーテクノロジーとして、世界的に注目を集めています(「『水素エネルギー』は何がどのようにすごいのか?」参照)。そこで、水素の利活用をグローバルな規模で推進し、関係各国が歩調を合わせ一層の連携を図ろうと、2018年に初めての「水素閣僚会議」が日本で開催されました(「世界初!水素社会の実現に向けて閣僚レベルで議論する『水素閣僚会議』」参照)。3回目となる2020年の会議はオンライン形式での開催となったため、特別イベントとして実施されました。

水素閣僚会議2020の写真

現在、世界ではコロナ禍により経済活動の停滞が続いています。しかし、水素に関する政策の勢いは拡大しています。今回の会議では、こうした気運をさらに盛り上げ、脱炭素化に向けた水素の役割やグローバルな取り組みを世界各国の閣僚間で確認し、さらなる取り組みの強化を図るという狙いがありました。会議は閣僚セッションと、企業による民間セッションの2部制でおこなわれ、13人の閣僚を含む23の国・地域・国際機関の代表者や各企業の代表者がメッセージを発信し、当日の参加登録者は2800人を数えました。

2019年の会議では、水素社会実現に向けた具体的な行動指針として「グローバル・アクション・アジェンダ」を策定しました(「水素社会の実現に向けて、世界で目標を共有した『第2回水素閣僚会議』」参照)。日本をはじめオーストラリア、ドイツ、フランス、EU、ポルトガルなど10を超える国・地域が水素に関する国家戦略を策定したほか、モビリティ分野での燃料電池の利用が拡大し、国際サプライチェーンが構築されるなど、水素に関する取り組みは飛躍的に進んでいます。そこで今回は、ここ1年間のこうした具体的な取り組みや進捗状況をまとめた「グローバル・アクション・アジェンダプログレスレポート」を発出しました。

日本からは梶山経済産業大臣のメッセージとして、同日、立ち上げの発表があった水素バリューチェーン推進協議会への期待と、官民連携して日本の水素社会への実現の取り組みを進めていくこと、そして、2030年水素サプライチェーンの商用化を目指して取り組みを強化するという強い決意が発信されました。

さらに、2021年に開催予定の次回会議に向けては、国際エネルギー機関(IEA)と緊密な協力を取ること、また水素社会に向けた取り組みの進捗をIEAがレビューし、「グローバル・ハイドロジェン・レビュー」として報告することを発表しました。

今回の一連の国際会議では、日本のリーダーシップのもとで、各国政府の閣僚級や、国際エネルギー機関(IEA)などの国際機関、各国研究機関、イノベーションリーダー、産業界が参画し、幅広い議論をおこなうことができました。「東京ビヨンド・ゼロ・ウイーク」は来年度も開催予定です。温室効果ガスの排出実質ゼロ(カーボンニュートラル)に加え、過去に大気中に排出されたCO2の削減(ビヨンド・ゼロ)をも実現するために必要なさまざまな革新的技術及び道筋・手法について引き続き議論し、示していきます。今後も世界と協力して、地球温暖化対策に貢献していきます。

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