2025年、「放射性廃棄物」の処分プロセスはどうなっている?(後編)
未来のエネルギー技術が集結!大阪・関西万博の見どころをチェック ~太陽光・水素編
2025年、「放射性廃棄物」の処分プロセスはどうなっている?(前編)
スマホを動かす電気ってどこからきているんだろう?
2025年4月13日から10月13日の会期で、いよいよ大阪・関西万博が開幕します。万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」。現在、研究開発が進むさまざまな領域の最先端技術によって、どのように課題解決がなされ、どのような未来社会がもたらされるのか。その姿が提示されます。もちろんエネルギー分野の未来像も、大きな見どころのひとつ。『エネこれ』でこれまで紹介してきた数々の技術やソリューションを、実際に見て触れて感じることができる場になっています。未来社会のエネルギーを体験しに、大阪・関西万博へ出かけませんか?今回は、「太陽光エネルギー」と「水素エネルギー」を中心に、万博の見どころを紹介しましょう。
まず太陽光エネルギーで注目したいのは、「ペロブスカイト太陽電池」。この太陽電池はこれまでのシリコン系と比べ、薄型・軽量で曲面にも搭載しやすい柔軟性がある次世代の太陽電池として期待されています。さらに、主な原材料であるヨウ素は日本で生産が可能(世界シェアの約3割)。こうしたことから、“再エネ拡大の切り札”とも呼ばれています。この特長を端的に見せてくれるのが、一部のパビリオンでスタッフが着用する「スマートウェア」(豊田合成株式会社・株式会社エネコートテクノロジーズ・セーレン株式会社の協業製品)。フィルム型のペロブスカイト太陽電池がウエアの背中に貼り付けられ、太陽光で発電した電力で作業着に備え付けられたファンを回したり、スマホを充電したりすることができます。発電できる電力量はどれくらいかというと、市販の空調べストが1回の充電で4時間程度ファンを駆動できるのに対し、ペロブスカイト太陽電池搭載のスマートウェアは2倍の約8時間。スマートウェアを着てさえいれば、いつでもどこでも冷暖の空調を身にまとって快適にすごせ、スマホやパソコンの電池切れも心配ない、そんな未来の光景が想像できますね。
(出典)豊田合成株式会社
ほかにも、太陽光エネルギー関連では、次のような展示が予定されています。
西ゲートのバスターミナルには、積水化学工業株式会社による世界最大級のペロブスカイト太陽電池もお目見え。曲面のバス停の屋根の上に、約250メートルにわたってペロブスカイト太陽電池が設置され、蓄電した電力を夜間のLED照明に利用する大規模実証がおこなわれます。
(出典)積水化学工業株式会社
水素エネルギーを体感できる目玉は、万博会場「夢洲(ゆめしま)」、ユニバーサルシティポート、大阪市街地の中之島を結んで遊覧航行する、水素燃料電池船の「まほろば」。岩谷産業株式会社が開発した、「燃料電池」と「蓄電池」のハイブリットで航行する日本初の客船です。水素と空気中の酸素のみを使用することから、航行する時にCO2や環境に負荷をあたえる物質を排出しないのが大きな特長です。これまでの機関船とは違い、エンジンの大きな振動・音がしたり、燃料のにおいがしたりすることもありません。その快適な乗り心地から、クリーンエネルギー水素のもつ価値を実感できるはずです。水素エネルギーは、カーボンニュートラル実現に向けて欠かすことのできないエネルギー。大きな動力を必要とする船舶分野でも、水素が脱炭素化のカギを握ります。1日5往復、定員150人を予定する「まほろば」の海上クルーズは、船舶分野の脱炭素化の将来像を体感できる絶好の機会。万博会場へのアクセスとして、ぜひ利用してみてはいかがでしょう。
(出典)岩谷産業株式会社
ほかにも、水素エネルギー関連では、次のような展示が予定されています。
水素エネルギーを社会実装するためには、水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」というサプライチェーンの構築が必要です。このサプライチェーンモデルを見せるのが、NTTパビリオンとパナソニックパビリオン。NTTパビリオンで、太陽光発電などからクリーンな水素を「つくり」、その一部を水素パイプライン経由でパナソニックパビリオンまで「はこび」、2つのパビリオンにおいて発電し、電気を「つかう」までを実証します。
(出典)NTTグループ
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電力の一部に“未来型の電力”が使用される今回の万博会場。関西電力株式会社から、原子力発電由来のクリーンな電力をもとに、カナデビア株式会社(旧日立造船株式会社)製の「水電解装置」でクリーンな水素をつくり、「水素混焼発電」(火力発電の燃料に水素を混ぜること)により発電した電力が供給されます。また、株式会社IHIは、燃焼する際にCO2を出さない「アンモニア専焼発電」(火力発電の燃料にアンモニアを使うこと)の実証をおこない、そこで得られたCO2削減効果を活用することで万博会場の脱炭素化に貢献することを目指しています。
さらに、2025年9月22日〜9月25日のテーマウィークには、水素を活用した月面探査車や、水素エンジンモーターサイクルなどの「水素モビリティ」、さらには「運搬船」や「発電」など、水素技術に触れられる展示・体験の場が設けられます。20社以上が出展を予定し、最先端の水素技術を紹介する予定です。なお、水素を活用した月面探査車など、なかにはテーマウィークだけでなく通年の展示の中で見られるものもあります。
水素を活用した月面探査車
水素エンジンモーターサイクル
月面用水電解装置
次の記事でも、未来社会のエネルギーを体験できる、大阪・関西万博の展示についてご紹介します。
長官官房 総務課 調査広報室商務・サービスG 博覧会推進室
長官官房 総務課 調査広報室
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2024年2月発行の「日本のエネルギー」パンフレットに基づき、2023年日本が抱えているエネルギー問題について3回にわたりご紹介します。