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2019年9月25日~26日の2日間にわたり、日本でエネルギー関連の国際会議が集中的におこなわれました。2019年で8回目となる「LNG産消会議2019」(「これまでの50年とこれからの50年を考える、『LNG産消会議2019』」参照)、2018年から開催されている「水素閣僚会議」の第2回、そして2019年に初めて開催された「第1回カーボンリサイクル産学官国際会議」、の3つです。今回は「第1回カーボンリサイクル産学官国際会議」について、その内容をお伝えします。
「カーボンリサイクル」とは何でしょうか。地球温暖化の原因といわれるCO2の排出量削減がグローバルな課題になっている今、CO2排出量の少ないエネルギー資源への転換や、省エネルギーの努力はもちろん、CO2の削減をさらに進めるための革新的な取り組みが求められています。そこで、CO2を使う「CCUS」(「知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~CO2を集めて埋めて役立てる『CCUS』」参照)の方法のひとつとして、CO2を“資源”としてとらえ、これを分離・回収し、燃料や原料として再利用することで大気中へのCO2排出を抑制する「カーボンリサイクル」が有望な手法として注目されています。たとえば、CO2を使って、ウレタンやポリカーボネートといった化学品を製造する、光合成をおこなう小さな生き物「微細藻類」を使ったバイオ燃料に利用する、などの用途が考えられています。
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ただ、排出源からCO2だけを分離・回収する過程では、大きなエネルギーを必要とするうえに、多大なコストもかかります。また、CO2は化学的に見ると非常に安定した(結びつきの強い)物質なので、素材や燃料に再利用するため「C」と「O」に分離したり他の原子と結合させたりするなどの加工にも大きなエネルギーやコストがかかり、新たな技術の開発も必要となります。今後はこうした取り組みを国として推進することが必須であることから、経済産業省では、省内に「カーボンリサイクル室」を設置。実用化を目指すための「カーボンリサイクルの技術ロードマップ」を作成しました。この技術ロードマップは、2019年6月におこなわれたG20エネルギー・環境大臣会合で、国際社会に向けて発表しています。
「カーボンリサイクル」は、いわば日本発のコンセプトです。これを先進国やアジア・アフリカの途上国などとも共有し、普及・促進をはかることを狙いとして、経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「第1回カーボンリサイクル産学官国際会議」が、2019年9月25日に開催されました。カーボンリサイクルに特化した世界初のこの国際会議には、米国、オーストラリア、オランダ、カナダなどの先進国をはじめ、アラブ首長国連邦、パキスタン、フィリピン、ベトナム、ブルネイなど、日本もふくめ20の国・機関が参加。各国・機関や大学、民間企業がそれぞれの取り組みをプレゼンテーションし、世界の最新の知見を共有、国際連携の可能性を確認しました。また、日本のカーボンリサイクルへの今後の取り組みについて、以下の3つのアクションを推進する「カーボンリサイクル3Cイニシアティブ」が発表されました。1. “C”aravan(相互交流の促進)国際エネルギー機関(IEA)の開催する「CCUSに関する会合」など関係する国際会議に積極的に参加することなどを通じて、「カーボンリサイクル」の意義や重要性を国内外に普及、理解促進をはかる。また、実際の研究開発に携わる欧米やアジア各国の研究者などとネットワークを構築し、海外の研究者などが来日する機会に日本国内の研究拠点を訪問してもらうなどして、情報交換を促進する。2. “C”enter of Research (実証研究拠点の整備)これまで個々におこなわれていた研究開発を1カ所で集中してできるよう、実証研究の拠点を整備する。拠点は、高効率化された石炭火力発電により、CO2の分離・回収の実証事業がおこなわれている広島県大崎上島に置く。3. “C”ollaboration(国際共同研究の推進)国際共同研究を推進し、パートナーとなりうる国との協力を強化する。
今回、日本は「3C」の「“C”ollaboration」推進の第1号として、オーストラリアと「カーボンリサイクルに関する協力覚書」を締結しました。オーストラリアは石炭資源が豊富であり、CO2の回収・貯留技術の開発に積極的に取り組んでいることから、今後、共同研究の実施に向けた検討を進めようというものです。その協力分野とは次の4つです。
CO2の再利用に関する二国間での共同開発プロジェクトは、これまでに例がないものであり、連携によって研究開発が加速することが期待されます。次回は、「第2回水素閣僚会議」についてご紹介します。
長官官房 カーボンリサイクル室
長官官房 総務課 調査広報室
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