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未来のエネルギー技術が集結!大阪・関西万博の見どころをチェック ~カーボンリサイクル編
2025年4月13日から10月13日の会期で開催される、大阪・関西万博。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、さまざまな領域の最先端技術によりもたらされる未来社会の姿が提示されます。大きな見どころのひとつ、エネルギー分野について、『エネこれ』では3回にわたって紹介します。前回(「未来のエネルギー技術が集結!大阪・関西万博の見どころをチェック~太陽光・水素編」)は、「太陽光エネルギー」と「水素エネルギー」に関する展示を中心に紹介しました。今回は、CO2を再利用する「カーボンリサイクル」に関して、注目ポイントをお伝えします。
「カーボンリサイクル」とは、温暖化の原因となるCO2を、“資源”として活用することで減らしていこうという新しい考え方。その具体的な活用法としてご覧いただけるのが、鹿島建設株式会社が環境に配慮して建設したコンクリートドームです。通常使われるコンクリートは、セメントと水が反応し固まりますが、このドームで主に使用されたのは、CO2を吸収することで固まる特殊なコンクリート。製造時に発生するCO2が、通常のコンクリートと比べて70%も削減可能になりました。今回の展示は、そんなコンクリートを世界で初めてドーム建設に活用した事例です。
このドーム以外にも、株式会社安藤・間が製造したCO2を吸収するコンクリートを活用したベンチが設置されるなど、会場内の様々な場面でCO2吸収コンクリートの技術に触れることが可能です。これらの技術は、CO2を吸収することで、排出ゼロどころかマイナスにすることができる「ネガティブエミッション技術」として注目されています。こうした技術が広がると、特にCO2の排出量が多いといわれる建設業でも脱炭素化が可能になります。私たちの身近な建築が、カーボンニュートラルな建物になる日も近いかもしれません。
ほかにも、カーボンリサイクル関連では、次のような展示が予定されています。
一般社団法人日本ガス協会のパビリオンでは、XR空間でガスのカーボンニュートラルに向けた未来社会を体感することができます。XRゴーグルを身に着け、願いが何でも叶う「おばけの世界」に入り、おばけの仲間たちと、ガスの脱炭素化技術として注目される「メタネーション」(合成)技術など、ガス業界の未来に向けた取り組みを楽しく学ぶことができます。
(出典)一般社団法人日本ガス協会
CO2と水素を反応させ、天然ガスの主な成分であるメタンを合成する「メタネーション」技術については、大阪ガス株式会社も、会場内で実証実験をおこなう予定です。会場内で発生する生ごみを発酵させてバイオガスをつくり、そこに含まれているCO2と水素から実際にメタンを合成する様子などが見られます。
空気中のCO2を直接回収する「DAC(Direct Air Capture)技術」についても、革新的な実証実験がおこなわれます。公益財団法人地球環境産業技術研究機構と三菱重工業株式会社による、大気中の0.04%ほどのCO2を効率的に回収する実験を見ることができます。
(出典)公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)
ほかにも、会場内のCO2を回収するだけでなく、回収したCO2の一部を実際にドライアイスの製造に活用、万博内で冷却用ドライアイスとして有効活用する、エア・ウォーター株式会社による実証実験もおこなわれます。CO2排出を抑制するだけでなく、すでに排出されたCO2を回収・再利用する次世代の技術をぜひ見て楽しんではいかがでしょうか。次の記事では、資源の「循環」やモビリティに関する展示などについてご紹介します。
長官官房 総務課 調査広報室商務・サービスG 博覧会推進室
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