自動車分野のGXへ、さまざまな支援策~購入補助から次世代燃料開発支援まで
世界で見直しがはじまった自動車産業政策〜日本の「マルチパスウェイ戦略」にも注目が
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「世界で見直しがはじまった自動車産業政策~日本の『マルチパスウェイ戦略』にも注目が」 でもご紹介した通り、日本は、自動車分野のGX(グリーントランスフォーメーション、石炭や石油など化石エネルギー中心の産業構造・社会構造から、CO2を排出しないクリーンエネルギー中心へと転換すること)を目指すにあたって、多様な選択肢を追求する戦略をとっています。ただ、EVがGXに欠かせない選択肢であることに変わりはありません。今回は、国内のEV市場を創出するため展開されている支援策や(クリーンエネルギー自動車購入を検討中の人にはおトクな情報も!)、燃料の脱炭素化のための開発支援策など、自動車分野のGX支援策をご紹介しましょう。
電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)といった「クリーンエネルギー自動車」の普及を拡大するため、購入サポートを目的とした政策が実施されています。それが、「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」です。 このCEV補助金、2024年度(令和6年度)に一度リニューアルしましたが(「クリーンエネルギー自動車の購入補助金がリニューアル、自動車分野のGXをめざせ」参照)、2026年(令和8年)から、さらに補助上限額の見直しがおこなわれることとなりました。 下の表は、これまでと2026年の見直しの違いを示したものです。EVは補助上限額が90万円から130万円へ、PHEVは補助金上限額が60万円から85万円へとUPしています。なお、「加算額」は、環境負荷の低減やGX推進に向けた鋼材の導入など自動車メーカーの取り組みに応じて決定されることとなっています。
補助上限額の見直しで上限額がUP
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見直し後の補助上限額をふまえた補助額は、2026年(令和8年)1月1日以降に新車として新規登録を受ける車両に対して適用されます。この補助金のため、2025年度に補正予算1100億円が計上されています。 こうした消費者向けのサポートと並行して、事業者へのサポートもおこなわれています。たとえば、EVの促進には車両の普及だけでなく、充電インフラの整備を両輪で進めていくことが必要です。そこで、2023年に「充電インフラ整備促進に向けた指針」が策定され、「2030年に30万口の充電器整備」を目標とした取り組みが進められています。 2025年3月時点で整備されているのは、約6.8万口です。また、このうち1.2万口が急速充電器となっています。2023年度末から2024年度末の間に、約2.8万口の増加が見られました。
インフラ整備の状況
「普通充電器(基礎)」は集合住宅(賃貸)を中心に整備が進展しており、今後は集合住宅(分譲)の整備をうながしていくことも必要です。一方、自動車を使って移動した先に設置されている「普通充電器(目的地)」については、商業施設・宿泊施設などで整備が進んでいます。このような設置拡大をさらに後押ししていくため、2025年度補正予算として510億円が計上されています。
多様な選択肢を追求しながら脱炭素をめざすとなると、内燃機関自動車(エンジン車)やHEV、PHEVで使用する燃料そのものの脱炭素化にも挑戦する必要があります。そのために期待されているのが、これまでも「エネこれ」でご紹介してきた「合成燃料」や「バイオ燃料」といった、カーボンニュートラルな次世代燃料です。 「合成燃料」はCO2と水素を合成して製造される燃料で、ガソリンと成分が近く、そのまま置きかえることができ、内燃機関自動車からのCO2を削減する方法として役立つと考えられています。2030年代前半までに商用化することが目標となっており、高効率で大規模な生産を可能とする技術の開発や次世代型のe-fuel製造技術の開発、海外プロジェクトに参画する民間企業への出資支援など、製造技術の開発や早期のノウハウ獲得を目指しています。
現在、課題となっているのは製造コストです。合成燃料の製造コストは、原料となる水素の価格に大きく影響を受けており、現状では1リッター当たり約300~700円との試算があり、高額になるとされています。そこで、価格低減のための取り組みが続けられています。 一方、「バイオ燃料」は、トウモロコシやサトウキビなどを由来とする「バイオエタノール」のような、植物などを原料とする燃料のことです。2025年に「ガソリンへのバイオエタノール導入拡大に向けたアクションプラン」を策定し、このプランにもとづき、2028年度をめどに沖縄で「E10(バイオ燃料を10%混合したガソリン)」の先行導入がおこなわれる予定です。 ここで本格導入に向けた課題の洗い出しをおこなって、早期に「E10」相当の供給規模を拡大していくことが想定されています。将来的には「E20」相当(バイオ燃料を20%混合したガソリン)の利用も視野に入れ、新車販売において「E20対応車」100%を目指すほか、2040年には「E20」相当の供給開始を目指します。
ガソリンへのバイオエタノール導入拡大に向けたアクションプラン
ほかに、FCVに必要な水素分野での取り組みなどもおこなわれています。このように、さまざまな政策を通じて、自動車分野のGXを後押ししていきます。
自動車分野のGXに向けた政府の取り組み
製造産業局 自動車課
長官官房 総務課 調査広報室
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