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「ガソリンに代わる新燃料の原料は、なんとCO2 !?」でご紹介したように、CO2からつくる「合成燃料」を使えば、エンジン車であってもCO2排出を差し引きゼロにすることができます。開発が進む合成燃料ですが、ほかの脱炭素燃料とくらべてどのようなメリットがあるのでしょう?
合成燃料のメリットは何といっても、ガソリンと成分が近く、そのまま置きかえられること。2030年代半ばには、販売される新車がすべて電動車(電気自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車)になるとはいえ、それまでに販売済みの自動車すべてが電動車に置きかわるまでには時間がかかります。そうした移行期間にも、エンジンで動く車からCO2を削減する方法として合成燃料が役立つと考えられているのです。合成燃料は、現行モデルのエンジン車、ガソリンスタンドや運搬用タンクローリー、製油所などがそのまま活用できます。新しいインフラ整備が不要なため、導入コストが抑えられ、普及がスムーズに進むと考えられています。2つ目のメリットは、液体燃料であるため長期備蓄がかんたんで、大規模停電などの緊急時に、必要な量を必要な場所へ運べるという点です。原油がこれまで災害時に担ってきた“エネルギーのレジリエンス(強靭性)”の役割を、合成燃料はそのまま引き継ぐことができます。
さらに、合成燃料は、軽油や灯油、ジェット燃料、重油などをつくることも可能です。これによって、電動化がむずかしい大きな乗り物でも、合成燃料が役立つと考えられています。たとえば、大きく重量のある機体・車両で長距離運行するジェット機やトラックは、移動に大きなエネルギーを必要とします。これらを電動化しようとすると、非常に大きな電池が必要となります。しかし、そんな大きな電池を機体や車体に搭載するのは現実的ではありません。そこで、脱炭素技術が発展した将来においても、合成燃料の活用が続くと想定されています。航空機では微細藻類や木材チップなどを原料とする「バイオジェット燃料」が使われはじめていますが、合成燃料なら原料が安定的に調達でき、大量生産できるという利点もあります。
合成燃料は、今後集中的な技術開発・実証をおこなって、高効率かつ大規模な製造技術を確立することが目指されています。2025年には製造を開始、同時にコストを低くしていき、2030年代前半までには商用化を目指す計画です。エンジン車からのCO2排出ゼロを実現する切り札として、もうまもなく市場にお目見えすることになる合成燃料。ぜひ注目してください。
資源・燃料部 燃料供給基盤整備課
長官官房 総務課 調査広報室
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