崎刈羽原子力発電所6号機が再稼働―運転再開への道のり(前編)
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(出典)東京電力HP
2026年4月16日、新潟県にある東京電力・柏崎刈羽原子力発電所6号機が営業運転を開始しました。東京電力の原子力発電所(原発)が再稼働するのは、福島第一原子力発電所の事故後、これが初めてとなります。東京電力は、稼働停止していた約14年の間、安全対策工事、原子力災害対策の充実・強化、情報発信などを進めてきました。再稼働に至るまでのプロセスや安全対策などの取り組み、再稼働の意義などについて、2回に分けてご紹介します。
東京電力・柏崎刈羽原子力発電所は、7基の原子炉を有する日本最大の原子力発電所です。再稼働した柏崎刈羽原子力発電所の6号機は、福島第一原子力発電所の事故後、原子力に関する新しい規制基準(「原発の安全を高めるための取組 ~新規制基準のポイント」参照)に適合するための対応などにより、約14年間停止していました。 近年厳しさを増すエネルギー状況の中で、電力の安定供給と脱炭素をともに実現するために、「安全性の確保を大前提に原子力を活用する」という国の方針のもと、再稼働に向けた取り組みが進められてきました。 2024年3月には、国が、新潟県知事と柏崎市長および刈羽村長に対し、柏崎刈羽原子力発電所の再稼動へ向けた方針を示し、理解を求めました。また、県民の理解が進むよう、原子力発電の必要性や安全性について、新潟県内の全30市町村で、資源エネルギー庁主催の説明会を開催しました。説明会のほかにも紙面広告や交通広告など多様なメディアによる情報発信を実施してきました。
理解促進のための広報の取り組み
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広告を見たことでの再稼動への態度変容
国として責任あるエネルギー政策を進めるため、政府は、関係行政機関の緊密な連携の下、原子力政策に関する重要事項を総合的に検討する「原子力関係閣僚会議」を開催しています。2024年9月の第12回会議においては、総理大臣出席のもと、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働について、地域からのご要望を踏まえた政府の対応方針が議論されました。続く2025年8月の第13回会議では、再び総理大臣出席のもと、次の3つの対応方針が確認されました。
この3つの方針について、内容を詳しく説明します。
原子力災害時の住民避難をスムーズにするためには、避難路や屋内退避施設の整備などが重要です。2024年11月に、柏崎刈羽原子力発電所に関する「避難路の整備促進に向けた協議の枠組み」が立ち上げられ、避難路の整備促進に向けて、関係省庁や新潟県が一体となって協議を進めています。 2025年におこなわれた第3回会合では、新潟県による調査状況を確認し、早期に実施可能な事業として、38カ所の工事への着手と、52カ所の調査推進に向けて、必要となる約24億円の事業について対応を進めていくこととしました。また、原子力発電所を中心に6方向へ放射状に避難する経路の確保や、除排雪体制の強化などについても整備を進めていきます。事業実施に当たり、政府は、新潟県の実負担額相当分など必要な予算を継続して確保し(経産省予算)、国費相当分については、「地域産業構造転換インフラ整備推進交付金」などを活用することとしています(内閣府予算)。
6方向へ放射状に避難する経路
東京電力が原子力を運転することに対する不安の声があることをふまえて、内閣官房副長官のもと関係省庁の緊密な連携を確保し、東京電力の発電所運営を監視する「柏崎刈羽原子力発電所の運営に関する監視強化チーム」の開催を決定しました。2026年1月に第1回を開催し、チーム長である内閣官房副長官から東京電力に対し、引き続き健全性の確認をひとつひとつ丁寧におこない、安全最優先での対応を求めるとともに、関係府省庁に対しても、緊密な連携のもと県民の安心につながる取り組みを継続していくよう求めました。さらに、東京電力がガバナンス強化のために新たに設置した「柏崎刈羽原子力発電所運営会議」には経済産業省の幹部が参画しており、今後とも同発電所の運営を監視していきます。
地域の要望もふまえて、原子力発電所の立地地域の生活環境や産業基盤の整備を進めるための法律「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」の対象地域を、2025年12月に概ね10キロメートル圏内から概ね30キロメートル圏内に拡大しました。これによって、国の負担割合をかさ上げし、実質的な地方負担を事業費全体の13.5%に低減するなどのインフラ整備支援を拡充します。
加えて、現在、政府の「GX(グリーントランスフォーメーション)」推進の方針のもと、地域に偏在する脱炭素電源(CO2を出さない発電)などを核にして、GX型の産業を集積させる取り組みが進められています。原子力発電所などの脱炭素電源がある地域でのGX関連投資の増加や、そうした地域へのメリット還元などに取り組んでいきます。
すでに、新潟県内では、企業のGX関連の取り組みが始まっています。株式会社INPEXは、柏崎市で、県内の天然ガスや枯渇ガス田を利用し、水素・アンモニアを製造・利用する一貫実証に取り組んでいます。国内初のブルー水素(「次世代エネルギー『水素』、そもそもどうやってつくる?」参照)・アンモニア製造実証事業として、経済産業省は約144億円を支援しています。
柏崎水素パークの実証場所と実証プラントの状況
国だけでなく、東京電力に対しても、地域振興や防災対策など電力事業者としての責務を果たすよう指導・監督していきます。東京電力では、これまでも産官学連携による防災・減災分野の研究開発や、災害時の避難支援、地域共生活動に取り組んできましたが、今後はさらに「地域経済の活性化」や「安全・安心な暮らしのための基盤整備」のために、新潟県に1,000億円規模の資金を拠出することにしています。そして、引き続き地域に根差した事業者として、地域との共生に取り組んでいきます。
出典(空調設備イメージ):文部科学省ホームページ([公立学校施設の空調(冷房)設備の今後について][参考資料:屋内運動場空調設備設置に係る断熱化事例集])
関東・首都圏の経済団体である関東商工会議所連合会は、関東や首都圏の電力供給を支える柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に賛同の意を示し、電力の産地・消費地がともに発展することを目指す「電力消費地共同アピール」を採択しました。このアピールでは、関東商工会議所連合会と新潟県内の商工会議所が手を組み、「電力の産地・消費地連携事業」をおこなうことも掲げられています。具体的には、電力産地・消費地の意見交換によるニーズの把握、新潟県の物産品の販路開拓支援や企業のビジネスマッチング支援などに取り組む予定です。このアピールに基づき、東京商工会議所では、新潟県産品の物産展と柏崎刈羽原子力発電所の重要性や安全性について、VRやパネル展示で周知する「にいがた魅力発信フェア」を都内で開催しました。関東商工会議所連合会では、今後も、新潟県へのGX・DX関連投資の促進や、経済界における連携などを通じて、新潟県の発展に向けて取り組みを進めていく予定です。
東京商工会議所が「にいがた魅力発信フェア」を開催
安全対策についても、2011年の福島第一原子力発電所の事故を教訓とし、注力しています。厳しい自然災害への対応として、地震の想定(5号機~7号機側)については、450ガルから1209ガル(ガル:地震の揺れの加速度を示す単位)へ引き上げ、津波の想定についても3.3メートルから6.8メートルへと引き上げ、設備対策や防潮堤の設置などをしています。すでに、6号機および7号機については、こうした対策が基準に適合していると原子力規制委員会によって認められています。また、福島第一原子力発電所で起こった「電源の喪失」や「水素爆発」など、過酷な事態が起こることも想定し、浸水対策や、非常用電源の強化、原子炉の冷却機能の多様化、放射性物質の拡散緩和といった、多重の備えをおこなっています。今後も引き続き、安全対策の強化につとめていきます。
柏崎刈羽原子力発電所の再稼働は、東日本、さらには日本のエネルギーの安定供給の確保、脱炭素の実現にとって非常に重要です。後編ではその重要性や、再稼働の意義などについて解説します。
電力・ガス事業部 原子力政策課電力・ガス事業部 原子力立地政策室・原子力広報室
長官官房 総務課 調査広報室
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