増加が見込まれるデータセンターの電力需要をどうする?さらなる省エネを進める新たな制度に注目!
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私たちの日常生活や経済活動では、SNSや動画閲覧、金融取引などを通じて日々大量のデータがやり取りされています。その処理を担うのがデータセンター(データ処理・通信のための装置が設置・運用されている建物)で、デジタル社会にとって不可欠なインフラです。 また、人手不足に直面する日本では、AIの活用が、社会課題解決やイノベーション創出のきっかけにもなります。例えば、運輸業のように人手不足が見込まれる産業では、ドローン配送や、AIの予測機能による荷待ちの削減や自動運転などのイノベーションが不可欠です。このように、今後、国民生活の水準や産業競争力を維持・向上させるためには、あらゆる分野で AIなどのデジタル技術の活用を進めていくことが求められています。 今後、DX(デジタルトランスフォーメーション:企業がデータやデジタル技術を活用し、新たな価値を創出すること)や GX(グリーントランスフォーメーション:化石エネルギー中心の産業社会構造をクリーンエネルギー中心の構造に転換していくこと)の進展に伴い、将来の電力需要が増加する可能性が高いと考えられています。こうした電力需要増に対応するためには、データセンターのエネルギー効率の改善を進めていくことが重要です。 そこで、「省エネ・非化石転換法」に基づき、従来の規制に加えた新たな措置を2026年4月から施行しました。その背景や内容を詳しく見ていきましょう。
この20年ほどの日本の電力需要は、省エネ対策や人口減少傾向などが要因で減少していましたが、データセンターや半導体工場の新増設などのDXの進展や、電動車や産業の電化(エネルギー源を電気にすること)などのGXに伴って、電力需要の増加が見込まれています。
電力需要量(全国合計)の想定
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(出典)電力広域的運営推進機関「全国及び供給区域ごとの想定」より資源エネルギー庁作成
DXやGXを推進しながら、2050年のカーボンニュートラルを実現するには、さまざまな分野でさらなる省エネを推進する必要があります。中でも、今後電力需要の増加が見込まれているデータセンターのエネルギー効率改善は大きな課題です。 データセンターはサプライチェーン、流通、金融、決済、物流などにおけるDX化を支える重要な社会インフラです。そのため、国内で最大限の立地を促すことが重要ですが、増加する電力需要への対策として、電源の確保と同時に、更なる省エネが必要になります。
省エネ・非化石転換法は工場や事業場、輸送事業者、荷主、機械器具などの製造・輸入事業者、エネルギー小売事業者などを対象に、省エネ・非化石転換などに係る目標や目安を示し、事業者による取り組みを求めています。既に行われている規制を踏まえた上で、新たな措置のポイントを3つご紹介します。
省エネ・非化石転換法ではこれまでも定期報告書と中長期計画書の提出を特定事業者(エネルギー使用量などが一定規模以上の事業者)に求めてきましたが、今回の追加措置のひとつとして、2026年度提出分よりデータセンターに関する項目を追加しました。具体的には、電気使用量やPUE(※データセンター施設全体の消費エネルギーをIT機器の消費エネルギーで割った値。低いほどエネルギー効率が高い)、エネルギー消費原単位などの実績値や、今後の目標などが加わります。 さらに、事業者に対し、提出対象となったデータセンターに関する情報を、提出年度の年度末(3/31)までに、自らのホームページなどで公表することを求めます。目標や実績などの可視化によって、先進的な取り組みがデータセンター業界内や社会で評価されるきっかけをつくることが狙いです。また、データセンターの周辺地域に向けた情報発信にもなります。多くの電力を使用するデータセンターの立地を安定的に進めるには、地域社会との共生が不可欠です。そのためにも、目標や実績などを事業者が自ら公表することは意義があります。
定期報告書の追加項目(赤字は公表項目。2025年度以降に新設したデータセンターのみが対象)
ベンチマーク制度の一環で、データセンター業の特定事業者に対しては「2030年度までにPUEを1.4以下にすること」という目標を設定し、PUEの算出報告を求めています。さらに今回、2029年度以降に新設するデータセンターについては、満たすべきエネルギー効率基準(PUE)を1.3以下にすることを求めます(稼働開始から2年が経過した時点の翌年度以降)。この基準を満たせなかった事業者には、省エネ・非化石転換法に基づく合理化計画の作成・提出が求められ、これに従わない場合は、更なる行政措置が取られる可能性もあります。 PUE1.3以下は現在のベンチマーク目標より高い目標となりますが、将来のデータセンターが満たすべきエネルギー効率基準を現時点で明確に設定することで、それを踏まえた計画的な建設や省エネ技術の開発を促進することが目的です。
3つ目の措置は、前述の「2030年度までにPUE1.4以下」及び新たな措置➀②における対象事業者の拡大です。データセンター業とひとことで言っても、さまざまな事業区分があり、省エネ・非化石転換法では措置対象の「データセンター」を、大きく3つに分類しています。 サーバーなどのIT機器は保有せず、IT機器を置くための場所と、空調や照明などの付帯設備を他事業者に貸す「ハウジング型」、すべて自社で保有する「ホスティング・クラウド(オーナー)型」、そして他事業者(ハウジング型)から借りた場所に自社保有のIT機器を持ち込む「ホスティング・クラウド(テナント)型」です。
新たな措置の対象になるデータセンターを3つに分類した表
(出典)省エネ小委 工場等判断基準ワーキンググループ 中間取りまとめ(令和4年3月)より抜粋(一部改訂)
これまでPUE1.4以下を目指す取り組みの対象は、IT機器を置くための場所や付帯設備のエネルギー管理権限を持つハウジング型とホスティング・クラウド(オーナー)型だけでした。しかし、ホスティング・クラウド(テナント)型について、保有するIT機器の稼動率などがPUEに影響を与えることや、空調の温度設定など付帯設備の運用権限を有する場合があることなどから、PUEの効率化に係る責務を有するとして、2026年度の提出より、PUEの算定報告と、今回施行した新たな措置➀②の対象に加えました。 こうした措置は、DXやGXをさらに促進すると同時に、エネルギー危機に強い国の基盤作りにも繋がります。日本は省エネ先進国として、時代に即した新たな取り組みをこれからも推進していきます。
省エネルギー・新エネルギー部 省エネルギー課
長官官房 総務課 調査広報室
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