第2節 一次エネルギーの動向

1.化石エネルギーの動向

(1) 石油

①資源の分布

世界の石油確認埋蔵量は、2017年末時点で1兆6,966億バレルであり、これを2017年の石油生産量で除した可採年数は50.2年となりました。1970年代のオイルショック時には石油資源の枯渇が懸念されましたが、回収率の向上や新たな石油資源の発見・確認により、1980年代以降は、40年程度の可採年数を維持し続けてきました。近年では、米国のシェールオイル、ベネズエラやカナダにおける超重質油の埋蔵量が確認され、可採年数は増加傾向となっています。

2017年末時点では、世界最大の確認埋蔵量を有するのはベネズエラであり、長期間1位であったサウジアラビアは2010年以降2位となっています。ベネズエラの確認埋蔵量は3,032億バレルで世界全体の17.9%のシェアを占めています。サウジアラビアの確認埋蔵量は2,662億バレルで世界シェア15.7%、以下、カナダ(1,689億バレル、シェア10.0%)、イラン(1,572億バレル、シェア9.3%)、イラク(1,488億バレル、シェア8.8%)、ロシア(1,062億バレル、シェア6.3 %)、クウェート(1,015億バレル、シェア6.0%)、アラブ首長国連邦(978億バレル、シェア5.8%)と主に中東産油国が続きます。中東諸国だけで、世界全体の原油確認埋蔵量の約半分を占めています(第222-1-1)。

【第222-1-1】世界の原油確認埋蔵量(2017年末)

【第222-1-1】世界の原油確認埋蔵量(2017年末)(xls/xlsx形式:24KB)

出典:
BP「Statistical Review of World Energy 2018」を基に作成

近年では、在来型石油とは異なった生産手法を用いて生産されるシェールオイル(タイトオイル)が注目されています。2015年9月の米国エネルギー情報局(EIA)による発表では、世界のシェールオイル可採資源量は4,189億バレルと推定されており、主なシェールオイル資源保有国は、米国、ロシア、中国、アルゼンチン、リビア等となっています(第222-1-2)。

【第222-1-2】EIAによるシェールオイル・シェールガス資源量評価マップ(2013年)

(注)
「可採資源量」とは、技術的に生産することができる石油資源量を表したもので、経済性やその存在の確からしさなどを厳密に考慮していないという点で、「確認埋蔵量」よりは広い範囲の資源量を表す。

【第222-1-2】EIAによるシェールオイル・シェールガス資源量評価マップ(2013年)(xls/xlsx形式:752KB)

出典:
EIA「Technically Recoverable Shale Oil and Shale Gas Resources」(2013年6月)およびEIA「World Shale Resource Assessments」(2015年9月)を基に作成

②原油生産の動向

世界の原油生産量は、石油消費の増加とともに拡大し、1973年の5,853万バレル/日から2017年には9,265万バレル/日と、この40年余りで約1.6倍に拡大しました。地域別に見ると、2000年以降、欧州で減産が進む一方、アジア大洋州とアフリカ、中南米の生産量はほぼ横ばい、ロシア、中東、北米の生産量は堅調に増加しています(第222-1-3)。

OPEC産油国の生産量は1970年代までの大幅増産後、高油価を背景とする非OPEC産油国の増産や、世界の石油消費の低迷を受け、1980年代前半に減少しましたが、1980年代後半から回復しました。この結果、世界の原油生産量に占めるOPECのシェアは、1970年代前半の5割前後から低下して1980年代半ばには3割を割り込んだものの、再び上昇し、1993年以降は4割以上で推移しています。

非OPEC産油国(旧ソビエト連邦諸国(CIS)、米国、メキシコ、カナダ、英国、ノルウェー、中国、マレーシア等)の生産量は1965年以降、概ね堅調に増加しており、1965年の1,785万バレル/日から、2017年には5,321万バレル/日に達しています。増加の内訳は、年代によって異なり、1970年代から1980年代にかけては、北米とCISやアジア大洋州、欧州がけん引し、1990年代は欧州と中南米、また2000年代に入ってからはCISがけん引しています。特に近年では、シェールオイル生産の技術革新(シェール革命)により急速に生産量を増加させている米国の動向が注目されています(第222-1-4)。

【第222-1-3】世界の原油生産動向(地域別)

(注)
1984年までのロシアには、その他旧ソ連邦諸国を含む。

【第222-1-3】世界の原油生産動向(地域別)(xls/xlsx形式:35KB)

出典:
BP「Statistical Review of World Energy 2018」を基に作成

【第222-1-4】世界の原油生産動向(OPEC、非OPEC別)

(注)
上図の非OPECにはロシア等の旧ソ連邦諸国を含む。

【第222-1-4】世界の原油生産動向(OPEC、非OPEC別)(xls/xlsx形式:28KB)

出典:
BP「Statistical Review of World Energy 2018」を基に作成

米国の生産量は、シェールオイル増産により、近年急速に増加しました。特に原油価格が高止まりを続けた2012年から2015年にかけては、毎年100万バレル/日前後の生産量の増加が見られました(第222-1-5)。

シェールオイル生産量の増加に対して、OPEC産油国は市場シェア確保を重視して増産で対抗し、世界では供給過剰の状態が続きましたが、2016年11月から12月にかけてOPEC産油国、及び非OPEC産油国が協調減産に合意し、価格重視の戦略に転換しました。

【第222-1-5】米国のシェールオイルの生産量

【第222-1-5】米国のシェールオイルの生産量(xls/xlsx形式:18KB)

出典:
EIA「Annual Energy Outlook」2018年版を基に作成
OPEC/非OPECによる協調減産

OPEC注1とロシア等の非OPEC産油国は長引く油価低迷を打開するため、2016年11月から12月の第171回OPEC総会及び第1回OPEC ・非OPEC閣僚会議で、15年ぶりの協調減産(180万バレル/日規模)に合意しました。これを契機に協調減産に参加したOPEC・非OPEC産油国(当初、計25ヵ国注2)はOPECプラスと呼ばれるようになりました。

その後もOPECプラスは市場環境(原油の需給動向、在庫状況等)に合わせ、参加国間で原油生産量の調整(増減)を続けています。直近では、世界の景気減速懸念や米国等産油国の記録的水準での生産等による供給過剰感を受けて、2018年12月(第175回OPEC総会及び第5回OPECプラス会議)に協調減産を見直しました。(2019年1〜6月に約120万バレル/日の減産)(第221-1-6)。

【第222-1-6】 2019年1-6月のOPEC/非OPECの国別減産目標値

【第222-1-6】 2019年1-6月のOPEC/非OPECの国別減産目標値(xls/xlsx形式:27KB)

出典:
OPECプレスリリース

③石油消費の動向

世界の石油消費量は、経済成長とともに増加傾向をたどってきました。1973年に5,563万バレル/日であった世界の石油消費量は2017年には9,819万バレル/日まで増加しました(平均年率1.3%増加)。

OECD諸国の石油消費量は、1973年の4,130万バレル/日から、二度の石油ショックに起因する世界経済低迷に加え、原子力、天然ガス等の代替エネルギーへの転換を受け、1980年代前半まで減少しました。1980年代後半以降は、経済成長とともに緩やかに増加しましたが、自動車の燃費改善や石油価格高騰を背景に、2005年以降は減少傾向にあります。但し、2016年と2017年は、低油価の影響もあり前年比で1%以上増加し、2017年には4,703万バレル/日となりました。

一方、著しい消費増加を示しているのが非OECD諸国です。同諸国の石油消費量は、堅調な経済成長に伴い、1973年の1,433万バレル/日から、2017年には5,115万バレル/日に増加しました(年率平均2.9%)。その結果、世界の石油消費量に占める非OECD諸国のシェアは1973年の26%から2017年には52%となり、逆に同期間内のOECD諸国のシェアは74%から48%まで低下しました(第222-1-7)。

2017年の石油消費は、アジアを中心に堅調に増加しました。中国の消費拡大ペースは一頃より低下したものの、引き続き、アジアを中心とする非OECD諸国が消費拡大をけん引しました。

石油は様々な用途で消費されますが、輸送用としての消費が大きな割合を占めており、2016年における世界の石油消費量の内、65%が輸送用となっています。輸送用の消費量は自動車保有台数の増加に伴い、1971年の7,189百万石油換算バレルから2016年には20,215百万石油換算バレルに拡大しており、世界の石油消費量増加の主要因となっています。また、石油化学原料用としての消費も堅調に増加しています(第222-1-8)。

【第222-1-7】世界の石油消費の推移(地域別)

【第222-1-7】世界の石油消費の推移(地域別)(xls/xlsx形式:33KB)

出典:
BP「Statistical Review of World Energy 2018」を基に作成

【第222-1-8】世界の石油消費の推移(部門別)

【第222-1-8】世界の石油消費の推移(部門別)(xls/xlsx形式:28KB)

出典:
IEA「World Energy Balances 2018 Edition」を基に作成

④石油貿易の動向

世界の石油貿易は、石油消費の増加とともに着実に拡大してきました。2017年の世界全体の石油貿易量は6,759万バレル/日であり、そのうち日米欧による輸入量が合計で2,828万バレル/日と全体の42%を占めました。一方の輸出は、中東からの輸出量が2,392万バレル/日と最大で、全体の35%を占めました。以下、北米(1,102万バレル/日)、CIS諸国(1,059万バレル/日) 、西アフリカ(447万バレル/日)、中南米(399万バレル/日)等が主要な石油輸出地域となっています。

仕向地別では中東地域からの石油輸出量のうち、14%(339万バレル/日)が欧州向け、7%(176万バレル/日)が米国向け、72%(1,724万バレル/日)がアジア大洋州地域向けであり、中東地域にとって、アジア大洋州地域が最大の市場となっています(第222-1-9)。

なお、アジア地域の中東依存度は域内需要の増加に伴い、1990年代以降は常に欧米より高い水準で推移しています。

また、石油が輸送される際の安全確保は、エネルギー安全保障の上でも非常に重要です。世界的に海上輸送ルートとして広く使われる狭い海峡をチョークポイントと呼びます。本項では、石油の輸送が非常に多い海峡やタンカーの通過に支障をきたした実績のあるホルムズ海峡、マラッカ海峡、バブ・エル・マンデブ海峡、スエズ運河の4つの海峡をチョークポイントとし、各国の輸入する原油がこれらのチョークポイントを通過することをリスクととらえ、チョークポイント比率を算出しました。

フランスやドイツ、英国などの欧米諸国の場合、チョークポイントを通過するのは中東から輸入する原油にほぼ限られるため、比較的チョークポイント比率が低く、チョークポイントを通過せずに輸入できる原油が多いことを示しています。他方、日本を始め、中国、韓国などの東アジア諸国の場合、輸入原油の大半はマラッカ海峡を通過しますが、中東から輸入する原油の大半は、それに加えホルムズ海峡を通過することになるため、複数のチョークポイントを通過することでリスクが増加し、数値も上昇する傾向にあります(第222-1-10)。

【第222-1-9】世界の石油の主な石油貿易(2017年)

(注)
上図の数値は原油および石油製品の貿易量を表す。

【第222-1-9】世界の石油の主な石油貿易(2017年)(ppt/pptx形式:188KB)

出典:
BP「Statistical Review of World Energy 2018」を基に作成

【第222-1-10】チョークポイントリスクの推移(推計)

(注1)
「2000年代」及び「2013年」の数値はエネルギー白書2015より引用。なお、2000年代は2000~2008年の平均値
(注2)
2015年の数値は、 IEA「oil information 2016」のデータを基に、「平成21年度エネルギー環境総合戦略調査等(各国のエネルギー安全保障政策と実態の調査分析)」における算出方法に当てはめ算出。チョークポイントを通過する各国の輸入原油総量が総輸入量に占める割合をチョークポイント比率として算出。チョークポイントを複数回通過する場合は、100%を越えることがある。

【第222-1-10】チョークポイントリスクの推移(推計)(xls/xlsx形式:41KB)

出典:
「平成21年度エネルギー環境総合戦略調査等(各国のエネルギー安全保障政策と実態の調査分析)」、IEA「oil information 2016」、中国輸入統計を基に作成

⑤原油価格の動向

原油価格は、これまでも大きな変動を繰り返してきました。2000年代半ば以降、中国を始めとする非OECD諸国において石油需要が急増したことを受けて上昇し続けた原油価格は、2008年の米国大手証券会社の経営破綻に端を発する経済危機(リーマンショック)に伴って急落しました。その後は、非OECD諸国がけん引する形で世界経済が回復したことや、OPEC産油国が減産したことなどから上昇に転じました。さらに「アラブの春」の影響などにより、2011年から2014年までの年間平均価格は、ブレント原油で1バレル99ドルから112ドル、WTI原油で93ドルから98ドルの範囲で推移しました(第222-1-11)。

2014年7月以降は、米国シェールオイルや市場シェアの確保を重視するOPECの増産、非OECD諸国の経済成長の減速に伴う石油需要の伸びの鈍化等を受け、原油価格は急速に下落しました。2017年7月からは、堅調な需要増やOPECプラスの協調減産等による石油在庫の減少、中東地域の緊張の高まり等から価格は上昇しました。しかし、2018年10月以降は供給過剰感から価格が急落しています。

【第222-1-11】国際原油価格の推移

(注)
図中価格の数字はWTIの数字

【第222-1-11】国際原油価格の推移(xls/xlsx形式:25KB)

出典:
BP「Statistical Review of World Energy 2018」を基に作成

(2)ガス体エネルギー

①天然ガス

(ア)資源の分布

世界の天然ガスの確認埋蔵量は、2017年末で約193.5兆m3でした。中東のシェアが約40.9%と高く、欧州・ロシア及びその他旧ソ連邦諸国が約32.1%で続きます(第222-1-12)。石油埋蔵量の分布に比べて、天然ガス埋蔵量の地域的な偏りは比較的小さいと言えます。また、天然ガスの可採年数は2017年末時点で52.6年でした。

近年は、シェールガスや炭層メタンガス(CBM)といった非在来型天然ガスの開発が進展しており、特にシェールガスは大きな資源量が見込まれています。2015年9月に更新された米国エネルギー情報局(EIA)の評価調査によると、シェールガスの技術的回収可能資源量は、評価対象国合計で214.4兆m3とされており、在来型天然ガスの確認埋蔵量よりも多いと推計されています。また、地域的な賦存では、北米以外にも、中国、アルゼンチン、アルジェリア等に多くのシェールガス資源が存在すると報告されています(第222-1-13)。

【第222-1-12】地域別天然ガス埋蔵量(2017年末)

(注)
端数処理の関係で合計が100%にならない場合がある。

【第222-1-12】地域別天然ガス埋蔵量(2017年末)(xls/xlsx形式:18KB)

出典:
BP 「Statistical Review of World Energy 2018」を基に作成

【第222-1-13】EIAによるシェールオイル・シェールガス資源量評価マップ(2013年)【再掲】

【第222-1-13】EIAによるシェールオイル・シェールガス資源量評価マップ(2013年)【再掲】(xls/xlsx形式:750KB)

出典:
EIA「Technically Recoverable Shale Oil and Shale Gas Resources」(2013年6月)を基に作成
(イ)天然ガス生産の動向

2017年の天然ガス生産量は約3.7兆m3でした。2007年から2017年までの間で、天然ガスの生産量の年平均伸び率は2.3%の伸びを記録しました。

地域別には、2017年時点では欧州・ロシア及び旧ソ連邦諸国が世界の生産量の約29%、北米が約26%を占めました(第222-1-14)。

世界的な天然ガス消費の伸びに対応するため、大規模な天然ガス資源開発が進められています。豪州や米国での相次ぐ新規LNGプロジェクト稼働開始により、LNGの供給が増加しています(第222-1-15)。油価低下のため新規LNGプロジェクトの最終投資決定が低迷していましたが、油価回復や堅調なLNG需要見通しによって新規プロジェクト投資も回復基調にあります。

また、GTL(Gas to Liquids)1やDME(Di-Methyl Ether)2等、天然ガスの新たな利用可能性を広げる技術について研究開発が進展しており、一部では既に商業生産が行われています。

【第222-1-14】地域別天然ガス生産量の推移

(注)
端数処理の関係で合計が100%にならない場合がある。

【第222-1-14】地域別天然ガス生産量の推移(xls/xlsx形式:79KB)

出典:
BP「Statistical Review of World Energy 2018」を基に作成

【第222-1-15】日本企業が参画する世界の主要なLNGプロジェクト

【第222-1-15】日本企業が参画する世界の主要なLNGプロジェクト(xls/xlsx形式:226KB)

出典:
各種資料を基に作成

世界各国でシェールガスやCBM等の非在来型天然ガスの開発計画が立てられており、特に米国におけるシェールガス増産が顕著です。EIAによると、米国のCBM生産量は2003年の53億m3から2008年には572億m3へと10倍以上に増加しましたが、それ以降減産し、2017年は281億m3となっています。それに対して、シェールガスの生産量は2007年から右肩上がりに急増し、2017年には5,382億m3に達しています(第222-1-16)。

【第222-1-16】米国の在来型ガス、シェールガス及びCBM生産量

【第222-1-16】米国の在来型ガス、シェールガス及びCBM生産量(xls/xlsx形式:26KB)

出典:
EIA「Natural Gas Data」を基に作成
(ウ)天然ガス消費の動向

天然ガス消費は北米、欧州・ロシア及びその他旧ソ連邦諸国で世界の約56%を占めました(第222-1-17)。

【第222-1-17】天然ガスの消費量の推移(地域別)

(注)
端数処理の関係で合計が100%にならない場合がある。

【第222-1-17】天然ガスの消費量の推移(地域別)(xls/xlsx形式:29KB)

出典:
BP「Statistical Review of World Energy 2018」を基に作成

この理由としては、これらの地域内で豊富に天然ガスが生産されており、天然ガスの利用が進んでいること、既にパイプライン・インフラが整備されており、天然ガスを気体のまま大量に輸送して利用することが可能であることが挙げられます。アジアでも天然ガスの消費が急激に増加しています。

2007年から2017年の間、世界の天然ガス消費は年率2.1%で増加してきました。天然ガスはほかの化石燃料に比べて環境負荷が低いこと、コンバインドサイクル発電3等の技術進歩、競合燃料に対する価格競争力の向上によって近年までは利用が拡大してきました。

2016年の一次エネルギー総供給量に占める天然ガスの割合は、米国の30%、OECD欧州の24%に対して、日本もOECD欧州と同等の24%となっています。以前は、日本の一次エネルギー供給に占める天然ガスの比率は米国や欧州と比較して低いものでした。これは、欧米では自国若しくは周辺国で天然ガスが豊富に生産されるため天然ガスの利用が進んできた一方、我が国は、天然ガスのほかのエネルギーに対する競争力が十分でないためでした。しかし、東日本大震災後に停止した原子力発電の多くを天然ガス火力発電で代替したことが影響し、2010年の17%から7ポイント上昇しました(第222-1-18)。

天然ガスの用途を見ても我が国と欧米とでは大きな差異があります。我が国では発電用としての利用の割合が全体の73%を占めており、産業用は11%、民生・その他用は16%に過ぎません。これに対して、米国、OECD欧州では発電用としての利用の割合がそれぞれ38%、28%と日本よりも低く、その分、民生・その他用や産業用としての利用の割合が高くなっています。

このように利用形態が異なっている主な理由としては、割高であった我が国の天然ガス輸入価格に加え、①LNG輸入という形態でしか天然ガスが導入できなかったこと、②このため、需要が集積しやすい発電用や一定規模以上の大手都市ガス会社による利用を中心に導入されたという経緯があります。この結果、天然ガスの需要がある地域にLNG基地が順次立地し、LNG基地から、需要に応じてパイプラインが徐々に延伸するという我が国特有のインフラ発展形態となりました。発電用と比べて需要が地理的に分散している民生用や産業用では、天然ガス利用は相対的に遅れています。

一方、欧米では、民生用、産業用への天然ガス利用が先に進みました。米国では、2016年の発電利用が38%となっており、2010年から5ポイント上昇し、近年発電利用も増加しています。(第222-1-19)。

【第222-1-18】日本・米国・OECD欧州の一次エネルギー構成(2016年)

(注)
端数処理の関係で合計が100%にならない場合がある。

【第222-1-18】日本・米国・OECD欧州の一次エネルギー構成(2016年)(xls/xlsx形式:18KB)

出典:
IEA「World Energy Balances 2018 Edition」を基に作成

【第222-1-19】日本・米国・OECD欧州における用途別天然ガス利用状況(2016年)

(注)
端数処理の関係で合計が100%にならない場合がある。

【第222-1-19】日本・米国・OECD欧州における用途別天然ガス利用状況(2016年)(xls/xlsx形式:22KB)

出典:
IEA「World Energy Balances 2018 Edition」を基に作成
(エ)天然ガス貿易の動向

2017年の1年間で取引された天然ガスの貿易量1兆1,341億m3のうち、パイプラインにより取引された量は7,407億m3(貿易量全体の65%)、LNGによる取引は3,934億m3(同35%)でした(第222-1-20)。

2017年の世界全体の天然ガス生産量の30.8%が生産国では消費されずに、他国へ輸出されました(第222-1-21)。天然ガスの貿易量は増加しているものの、その割合は、生産量の73.0%が輸出される石油ほどではありません。

主な輸入国は米国、欧州、北東アジアの3地域でした。輸送手段別には、パイプラインによる主な輸出国はロシア、ノルウェー等であり、同じくパイプラインによる主な輸入国は米国、ドイツ等でした。LNG貿易はアジア向け輸出を中心として拡大し、2017年のLNG貿易量の29%は日本向け(アジア全体で72%)でした。LNGの輸出国はアジア大洋州地域、中東が中心です(第222-1-22、第222-1-23)。

また、シェールガス等、非在来型天然ガスの生産が急激に拡大した結果、米国国内では多くのLNG輸出プロジェクトが計画されており、2016年2月には同国から初めてのLNGカーゴが出荷されました。

【第222-1-20】世界の輸送方式別天然ガス貿易量の推移

(注)
2008年以前の数値には旧ソ連域内における貿易量を含んでいない。

【第222-1-20】世界の輸送方式別天然ガス貿易量の推移(xls/xlsx形式:28KB)

出典:
BP「Statistical Review of World Energy」(各年版)を基に作成

【第222-1-21】石油、天然ガスの貿易比率(2017年)

【第222-1-21】石油、天然ガスの貿易比率(2017年)(xls/xlsx形式:21KB)

出典:
BP「Statistical Review of World Energy 2018」を基に作成

【第222-1-22】世界の主な天然ガス貿易(2017年)

【第222-1-22】世界の主な天然ガス貿易(2017年)(ppt/pptx形式:186KB)

出典:
BP「Statistical Review of World Energy 2018」を基に作成成

【第222-1-23】世界のLNG輸入(2017年)

【第222-1-23】世界のLNG輸入(2017年)(xls/xlsx形式:19KB)

出典:
BP「Statistical Review of World Energy 2018」を基に作成
(オ)価格の動向

日本向けの天然ガス(LNG)価格(CIF)4は、1990年代に、3〜4ドル/MMBTU(百万BTU)で推移していました。2000〜2005年は4〜6ドル/MMBTUで推移しましたが、その後は原油価格に連動して上昇し、2014年の半ばまで高値が続きました。2014年時点では、日本向けのLNG平均価格(CIF)は16.33ドル/MMBTUとなっており、米国国内の天然ガス価格4.35ドル/MMBTU(Henry Hub5スポット価格)や英国内の天然ガス価格8.25ドル/MMBTUと比べて割高でした(第222-1-24)。これは、アジア市場の需給がひっ迫していたこと、流動性が低かったこと、日本向けのLNG価格が原油価格の水準を参照して決められるものが多く、原油価格の影響を大きく受けたためです。しかし、原油価格低下及びLNG需給緩和によって、2015年に入ってからは日本と欧米の価格差は縮小し続けています

なお、2017年のLNGのスポット及び短期取引の世界のLNG取引全体に占める割合は27%との報告があります(第222-1-25)。

【第222-1-24】主要価格指標の推移(1991年~2017年)

【第222-1-24】主要価格指標の推移(1991年~2017年)(xls/xlsx形式:29KB)

出典:
BP「Statistical Review of World Energy 2018」を基に作成

【第222-1-25】世界のLNG取引全体に占めるスポット及び短期取引の割合(2017年)

(注)
スポット取引は1年未満の取引、短期取引は契約期間が4年未満の取引を指す。

【第222-1-25】世界のLNG取引全体に占めるスポット及び短期取引の割合(2017年)(xls/xlsx形式:18KB)

出典:
GIIGNL「The LNG Industry GIIGNL Annual Report 2018」を基に作成

②LPガス

(ア)生産の動向

2017年の世界のLPガス生産量は約3.09億トンで、2006年以降、年率2.9%のペースで増加しました。このうち、ガス田及び油田の随伴ガスから約61%、製油所から約39%が生産されました。

地域別に見ると、2017年は引き続き北米が26%と最大のシェアを占めており、シェールオイル・シェールガス由来のLPガス生産量が増えています(第222-1-26)。

【第222-1-26】世界のLPガス地域別生産量

(注)
端数処理の関係で合計が100%にならない場合がある。

【第222-1-26】世界のLPガス地域別生産量(xls/xlsx形式:25KB)

出典:
Argus Media Group「 Statistical Review of Global LPG 2018」を基に作成
(イ)消費の動向

2017年の世界のLPガス消費は約3.03億トンで、2006年以降の平均年率3.2%のペースで増加してきました。

地域別に見ると、最大消費地域であるアジア大洋州地域が2006年の35.4%から、2017年には42.7%とシェアが上昇しました(第222-1-27)。

2017年の消費を用途別に見ると、家庭・業務用が43.5%、化学原料用が28.3%、工業用が10.6%、輸送用が8.8%となりました。さらに、これを地域別に見ると、中東地域と北米地域は化学原料用のシェアが一番高く(それぞれ75.6%と41.3%)、アジア大洋州地域では家庭・業務用のシェア(55.6%)が最も高くなりました(第222-1-28)。

【第222-1-27】世界のLPガス地域別消費量

【第222-1-27】世界のLPガス地域別消費量(xls/xlsx形式:24KB)

出典:
Argus Media Group「Statistical Review of Global LPG 2018」を基に作成

【第222-1-28】世界のLPガス用途別消費量(2017年)

(注)
端数処理の関係で合計が100%にならない場合がある。

【第222-1-28】世界のLPガス用途別消費量(2017年)(xls/xlsx形式:21KB)

出典:
Argus Media Group「Statistical Review of Global LPG 2018」を基に作成
(ウ)価格の動向

世界のLPガスの価格は、原油価格の動向に大きく影響を受けて形成されています。主要な価格を形成する市場地域としては、①米州(米国テキサス州のモント・ベルビュー市場を中核にした地域)、②欧州(北海のBP公定価格、及びアルジェリア・ソナトラック公定価格をベースにした北西欧・地中海等を中核にした地域)、③スエズ以東(サウジアラビア・アラムコの公定契約価格(CP)をベースにした中東・アジア大洋州地域を中核にした地域)の3つのゾーンに大別されています。それぞれの価格形成市場地域の価格差を埋めるように裁定取引が発生することにより、需給調整がなされています。

我が国のLPガス輸入指標となるサウジアラビアの公定契約価格は、ある程度スポット市場の値動きが反映されていますが、基本的にはサウジ側から一方的に通告される価格であり、我が国を含む消費国においては、価格決定プロセスの不透明性が指摘されてきました。ただし、近年では米国からのLPガス輸出が増加しており、サウジアラビア等、既存のLPガス輸出国との競争も激しくなっています。

原油価格の高騰とともに、3つのゾーンとも2000年から2008年7月までLPガス価格は上昇基調を続けてきました。その後、2009年1月には、プロパン価格(FOB6価格)が、サウジアラビア産(サウジアラムコCP)で380ドル/トンまで低下しました。原油価格が回復するにつれてLPガス価格も上昇し、2012年3月には1,230ドル/トンまで上昇しましたが、2014年以降再び価格低下に転じ、2018年12月にはサウジアラムコCPは、575ドル/トンとなっています(第222-1-29)。

【第222-1-29】サウジアラビア産(サウジアラムコCP)プロパン価格推移

【第222-1-29】サウジアラビア産(サウジアラムコCP)プロパン価格推移(xls/xlsx形式:27KB)

出典:
石油情報センター「LPG価格の動向」を基に作成
(エ)貿易の動向

北米地域は、2017年に3,926万トンの輸出実績があり、中東地域を上回る最大のLPガス輸出地域となりました。うち米国の輸出量は3,432万トンであり、世界最大の輸出国です。北米地域に続き、中東地域の輸出量は3,706万トンでした。中東地域で最大規模の輸出国はUAEとカタールで、それぞれの輸出量は908万トン、904万トンです。北米、中東に続く輸出地域は、欧州・ロシアおよびその他旧ソ連邦諸国(2,313万トン)となっています。

一方、輸入面ではアジア地域が最大の輸入地域で、同年の輸入量は6,003万トンでした。アジア地域に続く輸入地域は、欧州・ロシア及びその他旧ソ連邦諸国で2,687万トンとなりました。最大の輸入国は中国で輸入量は1,845万トン、続いてインド(1,167万トン)、我が国(1,066万トン)、韓国(608万トン)、インドネシア(533万トン)、米国(523万トン)となりました。(第222-1-30)。

世界のLPガス貿易市場は、(ウ)価格の動向において既述のとおり、大きく3地域(米州地域、欧州地域、アジア地域)に分割されており、従来は、基本的にこの各域内で貿易取引が行われていました。しかし、1999年を境にそれまで供給余剰であったアジア市場が一転して不足状態となり、スエズ以西からLPガスが流入するようになりました。

【第222-1-30】世界のLPガス地域別輸入量(2017年)

【第222-1-30】世界のLPガス地域別輸入量(2017年)(xls/xlsx形式:21KB)

出典:
Argus Media Group「Statistical Review of Global LPG 2018」を基に作成

(3)石炭

①資源の分布

石炭の可採埋蔵量は10,350億トンで、国別には、米国(24.2%)、ロシア(15.5%)、豪州(14.0%)、中国(13.4%)、インド(9.4%)等で多く埋蔵されています(第222-1-31)。石炭の炭種別には、瀝青炭と無煙炭が7,183億トン、亜瀝青炭と褐炭で3,167億トンです。

石炭の持つメリットとしては、石油、天然ガスに比べ地域的な偏りが少なく、世界に広く賦存していることが挙げられます。また、可採年数(可採埋蔵量/年産量)が134年(BP統計2018年版)と石油等のエネルギーよりも長いのも特徴です7

【第222-1-31】世界の石炭可採埋蔵量(2017年末時点)

【第222-1-31】世界の石炭可採埋蔵量(2017年末時点)(xls/xlsx形式:22KB)

出典:
BP「Statistical Review of World Energy 2018」を基に作成

②石炭生産の動向

世界の石炭生産は2000年代に入り、急速な拡大を遂げました。2000年時点の生産量は46億3,841万トンでしたが、2013年には79億7,462万トンに達しました。その後、中国、欧州、北米等での石炭需要の減少に伴い、石炭生産は減少し、2016年には73億2,419万トンに落ち込みました。2017年は中国の需要が増加に転じたこと等から石炭生産は増加し、75億4,881万トン(見込み値、以下同じ)となりました。

2017年の石炭生産量を国別シェアで見ると、中国(44.7%)とインド(9.7%)の2か国で世界の生産量の半数以上となる54.4%を占めました。さらに、米国、豪州、インドネシアまでの上位5か国の生産量を合計するとそのシェアは76.8%でした。また、2017年における石炭生産量の上位10か国(上述の5か国のほか、ロシア、南アフリカ、ドイツ、ポーランド、カザフスタンを加える)の生産シェアは90.7%となっています。うち、2000年時点と2017年を比較して石炭生産量が減少しているのは米国、ドイツ、ポーランドの3か国で、ほかの7か国では増加しました(第222-1-32)。米国の生産量の減少はシェールガスの生産増加により天然ガス価格が低下し、その結果、電力分野での石炭消費が減少したことが一番の要因と考えられ、ドイツ、ポーランドの減少は国内消費が減少傾向にあるのに加え、国内炭より価格の安い輸入炭が増加傾向にあるためです。

石炭生産量が世界第1位の中国は2000年代以降、電力分野を中心に急拡大する国内消費に応えるため、生産量を大幅に伸ばしてきました。2013年から2016年までは経済の減速と産業構造の調整などにより減少となりましたが、2017年には対前年比3.3%増となりました。第2位のインドでは、国内需要の拡大に伴い生産量は年々増加しています。第3位の米国は、これまで、石炭を石油に次ぐ重要なエネルギーと位置付け、2000年代前半までは石炭火力発電が発電電力量の50%以上を担ってきました。しかし、環境対策や、天然ガス火力発電所の増加等により発電電力量に占める石炭火力発電の比率は次第に下がり、さらには上述のとおり競合する天然ガス価格の下落によって、現在は、発電分野での石炭消費量が減少、その結果、石炭生産量も減少しています。石炭輸出国である豪州では、アジアを中心とした輸出の拡大に伴い生産量は増加していましたが、2015年以降は需要の停滞等から横ばいで推移しています。インドネシアでは、1980年代初めに政府の外資導入政策により炭鉱開発に外国資本が参入し、1990年代以降アジア向けを中心とした輸出と国内需要の拡大により生産量は増加してきました。しかし、国内需要は増加しているものの、中国、インド向けの輸出量が大きく減少したため、生産量は2013年をピークに数年間は減少が続きましたが、2017年には再び増加しています。

2017年の世界の石炭生産量75億4,881万トンのうち75.2%に相当する56億7,786万トンは発電用燃料や一般産業で利用される一般炭でした。一般炭の生産量は2000年代に入り急速に増加しました。コークス製造に用いられる原料炭も2000年代に入り生産量が倍増していますが、2017年における原料炭の生産量は総生産量の約13.8%に相当する10億3,989万トンでした。熱量が低く、生産地での発電燃料など用途の限られる褐炭は2000年以降生産量は8億トン台で推移しています(第222-1-33)。

【第222-1-32】世界の石炭生産量の推移(国別)

(注)
2017年データは見込み値。

【第222-1-32】世界の石炭生産量の推移(国別)(xls/xlsx形式:80KB)

出典:
IEA「Coal Information 2018」を基に作成

【第222-1-33】世界の石炭生産量の推移(炭種別)

(注)
2017年データは見込み値。

【第222-1-33】世界の石炭生産量の推移(炭種別)(xls/xlsx形式:21KB)

出典:
IEA「Coal Information 2018」を基に作成

③石炭消費の動向

2017年の世界の石炭消費量は75億8,517万トンと推計されており、対前年比1.1%増となりました。2017年の石炭消費の国別シェアを見ると、中国の消費量は総消費量の48.2%に相当する36億5,370万トンでした。つまり中国だけで世界のほぼ半分を消費していることになります。中国は2000年代に入り石炭消費量を急激に増加させ、2013年の消費量は40億トン台まで増加しましたが、その後2016年まで減少し、2017年は前年比0.3%増とほぼ横ばいとなりました。また、中国、インド(12.4%)の2か国で世界の石炭消費量の60.6%を占め、これらに米国、ロシア、ドイツを加えた上位5か国で世界の75.0%を消費しています。我が国の2017年の石炭消費量は1億8,883万トンで、世界第6位ですが、全体に占める割合は2.5%となっています(第222-1-34)。

【第222-1-34】世界の石炭消費量の推移(国別)

(注1)
2017年データは見込み値。
(注2)
端数処理の関係で集計値と積上値に差異がある。

【第222-1-34】世界の石炭消費量の推移(国別)(xls/xlsx形式:92KB)

出典:
IEA「Coal Information 2018」を基に作成

【第222-1-35】世界の石炭消費量の推移(用途別)

(注1)
その他にはIEAの統計誤差を含む。
(注2)
用途別の内訳は2016年が最新の値。

【第222-1-35】世界の石炭消費量の推移(用途別)(xls/xlsx形式:60KB)

出典:
IEA「World Energy Statistics 2018」を基に作成

2016年の世界の石炭消費量を用途別に見ると、発電用に65.2%、鉄鋼生産に用いるコークス製造用に12.4%、製紙・パルプや窯業を始めとする産業用に15.2%が消費されました(第222-1-35)。

石炭を利用する場合においては、地球温暖化対策の観点から、高効率化やCCUS/カーボンリサイクル等脱炭素化のための技術開発を進めていくことが求められています。

④石炭貿易の動向

2017年の世界の石炭輸出量は13億7,027万トンと推計されています。インドネシア(3億9,058万トン)が世界最大の輸出量となっており全体の28.5%を占めました。インドネシアは2011年に豪州を抜き世界最大の輸出国になりましたが、その後、豪州とインドネシアの石炭輸出量は同程度の水準で推移しています。第2位の豪州は世界の輸出量の27.7%を占め、次いでロシアが13.8%と続き、以下、米国、コロンビア、南アフリカの順となりました。これら上位6か国で世界の石炭輸出量の87.9%を占めました(第222-1-36)。中国は2001年に世界第2位の輸出国になりましたが、国内消費の急拡大により需給がひっ迫したことから2004年以降は輸出量が急減し、2017年の輸出量は805万トン(世界第12位)となっています。

【第222-1-36】世界の石炭輸出量(2017年見込み)

(注)
各国・地域の輸出量を積み上げたもので、第222-1-37の輸入量合計と一致しない。

【第222-1-36】世界の石炭輸出量(2017年見込み)(xls/xlsx形式:24KB)

出典:
IEA「Coal Information 2018」を基に作成

一般炭と原料炭の別に見ると、2017年の一般炭輸出量は10億2,988万トン、原料炭輸出量は3億2,725万トンと推計されています。輸出国別では、一般炭の最大の輸出国はインドネシアで、世界の一般炭輸出量の37.7%を占め、次いで豪州が19.6%、ロシアが15.4%、コロンビアが8.1%、南アフリカが6.8%と続きました。一方、原料炭の最大の輸出国は豪州で、世界の原料炭輸出量の54.1%を占め、次いで米国15.3%、カナダ8.8%、モンゴル7.9%、ロシア7.0%と続き、これら5か国で全体の93.1%を占めました。

インドネシアからの輸出が急拡大した理由としては、石炭需要が拡大しているインドや東南アジア諸国、また中国や韓国など東アジアに地理的に近いこと、発熱量は低いものの安価な石炭を多く生産していること等が挙げられます。一方、豪州が多くの石炭を輸出している理由としては、高品質の石炭が豊富に賦存すること、石炭の生産地が積出港の近くにあること、鉄道や石炭ターミナルのインフラがほかの輸出国と比較して整備されていることが挙げられます。

一方、2017年の世界の石炭輸入量は13億8,686万トンと推計されています。中国の輸入量が2億7,110万トンと世界最大(シェアは19.5%)、次いでインドが2億827万トン(同15.0%)と推計されています。我が国の輸入量は1億8,751万トン(同13.5%)で、世界第3位の輸入国となっています。以下、韓国1億4,824万トン(10.7%)、台湾6,759万トン(4.9%)と続き、これら5か国・地域で全体の63.6%を占めました(第222-1-37)。

【第222-1-37】世界の石炭輸入量(2017年見込み)

(注)
各国・地域の輸入量を積み上げたもので、第222-1-36の輸出量合計と一致しない。

【第222-1-37】世界の石炭輸入量(2017年見込み)(xls/xlsx形式:23KB)

出典:
IEA「Coal Information 2018」を基に作成

長年に亘り世界第1位の石炭輸入国は日本でしたが、中国、インド等アジア諸国では電力需要の増加に伴い石炭火力発電所での石炭消費が増加し、石炭輸入量が増加しています。中国の石炭輸入量は、2009年に1億トンの大台を超え、2011年には輸入量が輸出量を上回る純輸入国に転じました。同2011年には中国が日本を抜いて最大の輸入国になりました。

一般炭と原料炭の別に2017年の輸入国を見ると、一般炭は中国が最大の輸入国で、以下、インド、日本、韓国、台湾と続きました。原料炭も、中国が最大の輸入国で、以下、日本、インド、韓国、ドイツの順となりました。

2017年の世界の主な石炭貿易フロー(褐炭を除く)を見ると、石炭貿易の流れは、中国、インド及び日本を中心とするアジア地域と欧州地域の二つに大きく分かれていますが、近年はアジア市場の規模が大きくなっています(第222-1-38)。

【第222-1-38】世界の主な石炭貿易(2017年見込み)

(注)
褐炭を除く。400万トン未満のフローは記載しておらず、青字は対前年比増、赤字は対前年比減、黒字は増減なしを示している。輸入側の「北米」には、メキシコを含む。統計誤差により輸出先別輸出量と輸出国の輸出総量が一致しないケースがある。

【第222-1-38】世界の主な石炭貿易(2017年見込み)(ppt/pptx形式:388KB)

出典:
IEA「Coal Information 2018」を基に作成

⑤石炭価格の推移

石炭価格は長期に亘り安定的に推移していましたが、2000年代半ば頃から変動が目立つようになりました。日本の電力向け豪州産一般炭(長期契約ベース)FOB価格(年度初め改定価格)は、世界の石炭需給を反映した市場価格(スポット価格)の動向を勘案し決定されますが、近年はアジアを中心とする新興国の電力需要の伸びや、生産国における気象の影響等による供給障害等の需給バランスを背景に上昇し、2011年度には130ドル(以下、米ドル/トンをドルと表示する)に迫る高値を記録しました。しかし、輸出国で供給力の拡大が進んできた一方、需要が鈍化し、2016年の始め頃までは価格の低下が続きました。その後中国の一般炭輸入が増加に転じスポット価格が上昇、これに伴い我が国の一般炭FOB価格も2017年度には85ドルまで上昇し、さらに2018年度は110ドルと史上3番目に高い価格となりました(第222-1-39)。

【第222-1-39】我が国の輸入炭FOB価格の推移

(注)
豪州産日本向け長期契約ベースの石炭価格(年度始めにおける改定価格)。
原料炭(強粘結炭):グニエラ炭・ピークダウン炭などのトップクラスの強粘結炭の契約価格。
一般炭:1997年度までがベンチマーク価格、1998~2002年度が参考価格、2003年度が東北電力(株)の長契更新価格、2004年度以降は電力各社の契約更新価格。

【第222-1-39】我が国の輸入炭FOB価格の推移(xls/xlsx形式:40KB)

出典:
2005年度まではBarlow Jonker(現IHS)「Coal 2005」、2006年度以降は各種情報を基に作成

従来、日本の電力向け一般炭は長期契約ベースとなっており、FOB価格の改定は、日本の会計年度に合わせて4月を契約開始日として1年間の固定価格契約(複数年契約では2年目以降4月に価格の改定を実施)とされていました。しかし、2000年頃からサプライヤー、ユーザー双方にスポット価格との乖離を軽減するために、契約開始日を4月初め以外に、7月、10月、1月といったようにずらす契約(期ずれ契約)を行うようになりました。さらに近年では、1年間の固定価格のみならず市場連動価格を盛り込むようになってきました。また取引ごとに価格を決めるスポット契約の数量も増えてきています。一方、豪州産原料炭(長期契約ベース)FOB価格も世界的な石炭需給のひっ迫や、豪州での豪雨の影響等を受け、2000年代後半以降は急激な変動を見せています。2009年度に世界同時不況の影響を受けて大幅に下落した後、2011年度には、需要の増大と、供給側では、豪州(クイーンズランド州)を記録的な集中豪雨が襲い生産や出荷が滞ったこと等を背景に330ドルと最高値となりました。その後は、欧州の経済不安、さらに中国、インドでの経済成長の減速等を背景に2012年度以降は価格の下落が続きました。しかし、一般炭と同じく、2016年に入り中国の原料炭輸入が増加に転じたこと等からスポット価格が上昇し、日本向けFOB価格も2017年に194ドルに高騰しました。2018年度においても、堅調な需要と、供給サイドのトラブル等(炭鉱事故や輸送制約等)を背景に197ドルとさらに上昇しました。

従来、日本の需要家向け原料炭は、長期契約ベースの年度固定価格でしたが、2010年度からは豪州の生産者の要望から、四半期固定価格に見直されました。さらに、2017年4月から一部の原料炭が市場連動価格となりました。例えば4-6月の原料炭価格は、3-5月のスポット価格の平均値とする価格決定方式がとられています。

電力用以外の一般炭の取引では、年度契約あるいは取引ごとに価格を取り決めるスポット契約が一般的です。近年、石炭スポット価格は大きく変動しています。一般炭スポット価格(豪州のニューキャッスル港出し一般炭価格)は2016年初めに50ドルを割り込みましたが、その後上昇し、同年末頃には一時的に110ドルまで高騰しました。この高騰の主な要因は中国の需要が増加に転じると同時に、中国の国内生産については政策的に抑制した(炭鉱の操業日数を減じた)こと等により国内需給がタイトになり、輸入量が増加したためです。一方供給側では、長引いた価格低迷による不採算炭鉱の閉山や休山が進み供給力の調整が進んでいたことがあります。その後は中国の生産調整が緩和されたこと等から80ドル前後に低下しましたが、2017年下半期に入り、中国やASEANの輸入が堅調な中、インドの輸入量も対前年比で増加し、再び上昇に転じ、2018年7月には120ドルまで高騰し、その後100ドルを超える高い水準で推移しています(第222-1-40)。

原料炭(豪州出し高品位強粘結炭)スポット価格は、一般炭と同様の要因により、2016年の終わり頃には310ドルまで急騰しました。2017年に入り一時期は130ドル台まで下落しましたが、中国及びインドの輸入増や供給が滞ったこと等から上昇に転じ、2018年後半には220ドル台で推移しています。

石炭(一般炭)の価格とほかの化石エネルギーの価格を同一の発熱量(1,000kcal)当たりのCIF価格で比較すると、石炭の価格が原油やLNGの価格よりも低廉かつ安定的に推移していることが分かります(第222-1-41)。1980年代前半では石炭の価格優位性は非常に高いものでしたが、1986年度以降はその価格差が縮小しました。しかし、1999年度以降再び価格差は増大し、石炭の優位性が増してきました。2004年度以降、原油価格の上昇に合わせてほかの化石エネルギーの価格も上昇していますが、発熱量当たりのCIF価格で比較すると、石炭の上昇幅はほかの化石エネルギーよりも小さいものでした。2012年度以降は上述したように石炭価格が下落していることから発熱量当たりのCIF価格は下落傾向にあります。2015年度以降、原油及びLNG価格が大きく下がり、2017年はいずれの化石エネルギー価格も上昇しましたが、石炭価格は原油及びLNG価格と比較し、優位性を維持しています。

【第222-1-40】スポット価格と長期契約価格の関係

(注)
長期契約改定価格:年度ごとに更新される豪州産日本向け一般炭の長期契約をベースとしたFOB価格(4月改定価格)。豪州産一般炭スポット価格:IHSが集計・発表する豪州・ニューカッスル港出し一般炭スポットFOB価格(NEX Spot Index)の月平均。

【第222-1-40】スポット価格と長期契約価格の関係(xls/xlsx形式:95KB)

出典:
Barlow Jonker(現IHS)「Coal 2005」、「Australian Coal Report」等を基に作成

【第222-1-41】化石エネルギーの単位熱量当たりCIF価格

【第222-1-41】化石エネルギーの単位熱量当たりCIF価格(xls/xlsx形式:46KB)

出典:
日本エネルギー経済研究所「エネルギー・経済統計要覧」を基に作成

2.非化石エネルギーの動向

(1)原子力

①世界の原子力発電の推移

1951年、世界初の原子力発電が米国で開始されて以来、二度の石油ショックを契機として世界各国で原子力発電の開発が積極的に進められてきましたが、1980年代後半からは世界的に原子力発電設備容量の伸びが低くなりました(第222-2-1)。

しかし、化石燃料資源の獲得を巡る国際競争の緩和や地球温暖化対策のため、特にアジア地域では、原子力発電設備容量が着実に増加してきました。2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて日本の原子力発電電力量が減ったため、アジア地域の原子力発電電力量は減少しましたが、2014年に再び増加に転じました。(第222-2-2)。

一方、欧米地域においては、原子力発電所の新規建設が少ないものの、出力増強や設備利用率の向上によって、発電電力量は増加傾向となってきました。設備利用率で見ると、例えば、米国ではスリーマイル島事故後の自主的な安全性向上の取組によって官民による設備利用率向上を進めた結果、近年では設備利用率9割前後で推移しています。一方、日本では東日本大震災後、原子力発電所は長期稼働停止しており、2015年8月に新規制基準施行後初めて再稼働した九州電力川内原子力発電所1号機を始め、2019年1月までに9基が再稼働したものの、設備利用率は低迷したままです(第222-2-3)。また、エネルギー需要が急増する新興国を中心に、原子力発電所の新規導入若しくは増設の検討が進められています。

【第222-2-1】原子力発電設備容量(運転中)の推移

【第222-2-1】原子力発電設備容量(運転中)の推移(xls/xlsx形式:66KB)

出典:
日本原子力産業協会「世界の原子力発電開発の動向2018年版」を基に作成

【第222-2-2】世界の原子力発電電力量の推移(地域別)

【第222-2-2】世界の原子力発電電力量の推移(地域別)(xls/xlsx形式:65KB)

出典:
IEA「World Energy Balances 2018 Edition」を基に作成

【第222-2-3】世界主要原子力発電国における設備利用率の推移

【第222-2-3】世界主要原子力発電国における設備利用率の推移(xls/xlsx形式:78KB)

出典:
IAEA「Power Reactor Information System(PRIS)」を基に作成

②各国の原子力発電の現状

ここでは、各国・地域の現状について説明します(第222-2-4)。

【第222-2-4】各国・地域の現状一覧

(注)
基数・発電能力は2018年1月1日時点。発電量・設備利用率は2017年時点(年ベース)。
(注)
発電電力量構成比率は2017年時点(中国、ロシア、ウクライナ、インド、台湾は2016年時点)

【第222-2-4】各国・地域の現状一覧(xls/xlsx形式:29KB)

出典:
基数・発電能力は日本原子力産業協会「世界の原子力発電開発の動向2018年版」を基に作成、発電量・設備利用率はIAEA「Power Reactor Information System(PRIS)」を基に作成、発電電力量構成比率はIEA「World Energy Balance2018年版」を基に作成
(ア)米国

米国では運転中の原子力発電所の基数が98基(合計出力9,935万kW)あり、その規模は世界一で、原子力発電により発電電力量の約20%を賄っています(2019年)。また、平均設備利用率は82%(2018年)と順調な運転を続けてきました。2018年12月時点で88基の原子力発電所について、運転期間(認可)を60年とする延長が認められています。残りは5基が延長認可審査中(うち4基は閉鎖時期表明)、4基が延長申請予定時期を表明しています。未申請の2基は1996年以降に運転を開始した発電所です。また2017年7月、原子力規制委員会(NRC)は80年運転に向けたガイダンスを確定し、認可を受ければ80年運転が可能となりました。フロリダ・パワー&ライト社のターキーポイント3、4号機、エクセロン社のピーチボトム2、3号機、ドミニオン社のサリー1、2号機が80年運転に向けた2回目の運転期間延長申請をしています。

2005年8月に成立した、原子力発電所の新規建設を支援するプログラムを含む「2005年エネルギー政策法」に基づいて、建設遅延に対する政府保険、発電量に応じた一定の税額控除、政府による債務保証制度が整備されました。そのようなインセンティブ措置の導入を受け、原子力発電所の新規建設に向けて、2007年から2018年現在に至るまで18件の建設・運転一体認可(COL)申請がNRCに提出されました(認可8件、審査一時停止2件、申請取下げ8件)。

東京電力福島第一原子力発電所事故直後の2011年3月14日、エネルギー省は、前月に発表した2012年会計年度のエネルギー省予算のうち、原子力発電所新設支援のための融資保証枠360億ドルは変更しない、と発表し、原子力政策の維持を表明しました。さらに同年3月30日にオバマ大統領はエネルギー政策に関する演説を行い、そこで原子力の重要性に言及しました。

原子力発電を重視する姿勢は2017年1月20日のトランプ大統領就任後も変更はなく、トランプ大統領が議会に提出した2018年会計年度、2019年会計年度各々の予算教書において、オバマ前政権が打ち切ったユッカマウンテンにおける使用済燃料の深地層処分場建設計画の許認可審査活動の再開及び中間貯蔵プログラムの開始について新たに予算措置を提案したほか、2017年9月29日にはエネルギー省が建設費用の増加が見込まれるボーグル発電所3号機、4号機に対し、建設継続のために37億ドルの追加融資保障の適用を提案しました。

他方で、米国内でシェールガス開発が進み天然ガス価格が下落している等の要因を含む経済性の観点から、原子力発電所の閉鎖も発表されています。2012年から2018年までの7年間に、デュークエナジー社のクリスタルリバー3号機、ドミニオン社のキウォーニー原子力発電所、サザンカリフォルニアエジソン社のサンオノフレ2号機、3号機、エンタジー社のバーモントヤンキー原子力発電所、オマハ電力公社のフォートカルフォーン1号機、エクセロン社のオイスタークリーク原子力発電所が閉鎖されたほか、エンタジー社のピルグリム1号機、パリセード原子力発電所、インディアンポイント2号機、3号機、パシフィックガスアンドエレクトリック社のディアブロキャニオン1号機、2号機、エクセロン社のスリーマイルアイランド1号機、ファーストエナジー社のデービスベッセ1号機、ペリー1号機、ビーバーバレイ1号機、2号機についても、経済性の観点から閉鎖が決定されています。また、新設についても、建設費用の大幅な増加に伴い、2017年3月29日の、ボーグル発電所3号機、4号機及びV.C.サマー発電所2号機、3号機の建設工事を請け負うウエスチングハウス社による米国連邦倒産法第11章に基づく再生手続の申立てを受け、同年7月V.C.サマー発電所の建設中止が決定されました。

原子力発電所の閉鎖が相次いで公表される状況を鑑み、温室効果ガス削減や雇用など地元経済への影響の観点から、複数の州で原子力発電所の運転継続を支援する制度が導入されています。2016年8月、ニューヨーク州で原子力発電所に対する補助金プログラムを盛り込んだ包括的な温暖化防止策「クリーン・エネルギー基準(CES)」が承認されたほか、同年12月にイリノイ州で州内の原子力発電所に対する財政支援措置を盛り込んだ包括的エネルギー法案、2017年10月にコネチカット州内で稼働するミルストン原子力発電所2、3号機への支援措置を可能にする「ゼロ炭素電力の調達に関する法案」が成立、2018年5月にはニュージャージー州で州内の原子力発電所に対する財政支援プログラムである「ゼロ排出クレジット(ZEC)」を盛り込んだ法案が成立しました。

(イ)欧州
(i)英国
英国では、15基の原子力発電所が運転中で、発電電力量の約21%を賄っています(2017年)。2007年7月、英国政府は、新しいエネルギー白書「EnergyWhite Paper: meeting the energy challenge」を発表し、この中で、原子力発電所の新規建設に向けた政策面での支援方針を表明しました。さらに2008年1月には、原子力発電所新規建設に向けた体制整備やスケジュール等を盛り込んだ原子力白書を発表しました。2011年7月には、英国下院において8か所の原子炉新設候補サイトが示された原子力に関する国家政策声明書が承認されました。2013年12月に成立したエネルギー法では、原子力発電への適用を含んだ差額決済方式を用いた低炭素発電電力の固定価格買取制度(FIT-CfD:Feed-in Tariff with Contracts for Difference)を実施することが規定されています。このFIT-CfDについては、EDFエナジー社のヒンクリー・ポイントCにおける原子力発電所新設案件への適用について、欧州委員会よりEUの国家補助(State Aid)規則に違反する可能性につき調査が行われましたが、2014年10月に同規則に違反しないとの判断が下されました。ヒンクリー・ポイントC発電所計画では、2013年10月に英国政府と事業者の間で、具体的な固定買取価格(ストライク・プライス)が発表されており、2015年10月には、フランス電力(EDF)と中国広核集団有限公司(CGN)の間で、同計画に対してEDFが66.5%、CGNが33.5%を出資することで合意に至ったと発表されました。2016年7月にはEDFの取締役会が最終投資決定を行い、同年9月には英国政府、EDF及びCGNが、同計画を実行するための最終的な契約・合意文書に調印、2017年3月、原子炉建屋外施設へのコンクリート打設が開始されました。また、EDFは2018年11月、サイズウェルC発電所の2021年末の建設開始を目指すと発表しました。ムーアサイド発電所での新規建設事業を進めていた東芝は、2018年11月、英国での原子力発電所新規建設事業からの撤退と、100%出資していたニュージェネレーション社の解散を決定しました。次いで、日立製作所が100%出資するホライズン・ニュークリア・パワー社は、ウィルファ・ニューウィッド発電所及びオールドベリーB発電所の新設計画を進めていましたが、2019年1月、日立製作所がホライズンプロジェクトの凍結を発表しました。2019年1月現在、英国内ではEDFエナジー社のヒンクリー・ポイントC発電所、サイズウェルC発電所、中国広核集団有限公司(CGN)のブラッドウェルB発電所の新設計画が進められています。
2017年11月に発表された「Industrial Stragety」を受け、2018年6月、英国政府は「Nuclear Sector Deal」を公表しました。先進的モジュール炉の研究開発、新設、廃炉コストの削減、将来の原子力輸出等への政府の支援策を示し、英国内民生用原子力産業に対し、総額2億ポンドを投じるとしています。
(ii)フランス
フランスは、原子力発電所の基数が58基と米国に次ぐ世界第2位の原子力発電規模を有しており、発電電力量の約73%を賄っています(2017年)。発電設備が国内需要を上回っているという状況から、新規原子力発電所の建設は行われてきませんでした。しかし、2005年7月に制定された「エネルギー政策指針法」において、2015年頃までに既存原子力発電所の代替となる新規原子力発電所を利用可能とするため、原子力発電オプションの維持が明記されたこともあり、EDFは2006年5月、新規原子力発電所としてフラマンビル3号機(欧州加圧水型原子炉:EPR)を建設することを決定し、2007年12月に着工しました。東京電力福島第一原子力発電所事故後の2011年3月以降、原子力政策堅持の姿勢を崩しませんでした。2014年6月、オランド大統領率いる社会党政権が、原子力発電の発電量について、2025年までに50%まで割合を引き下げ、現行の発電容量(63.2GW)を上限とする内容の「エネルギー転換法案」を発表しました。本法案は、2014年10月に下院で可決されましたが、上院において大幅な修正が加えられました。その後、本法案は上下両院での協議を経て、さらに修正が加えられましたが、最終的に2015年7月、原子力比率50%、原子力発電容量63.2GWという目標が復活する形で、正式に法律として成立しました。2025年までに原子力比率を50%まで引き下げるという目標については、送電系統運用者のRTE社により、計画通り実施した場合、2020年以降の電力供給の不足やCO2の削減目標の未達が生じるとの懸念が示されたほか、2017年5月に就任したマクロン大統領政権下の閣僚からは非現実的であるとの見解が示され、2017年11月に原子力比率引き下げの目標年次の延期が決定され、2018年11月に目標時期を2035年に延期する方針を表明しました。2015年7月、EDFは、経営難に陥っていた同国の原子力複合企業アレバ社の再建策として、同社の原子力サービス部門であるアレバNP社の株式の少なくとも51%を取得することでアレバ社と合意したと発表しました。2016年11月、アレバ社は、アレバNP社の原子力サービス部門から、建設が遅延しているオルキルオト3号機関連を除く事業を継承する新会社New NP社の株式の少なくとも51%をEDFが取得することで、正式にEDFと合意しました。最終的な出資比率は EDFが75.5%、三菱重工が19.5%、フランスのエンジニアリング会社のアシステムが5%となり、2018年1月、フラマトムに名称変更しています。同月、燃料サイクル部門のニューアレバも、オラノに名称変更しました。最終的なオラノへの出資比率 は、政府45.2%、仏原子力庁(CEA)4.8%、アレバSA(政府100%出資のアレバ本体)40%、日本原燃5%、三菱重工5%となっています。2018年2月の日本企業による増資完了をもって一連の業界再編は完了しました。
(iii)ドイツ
ドイツでは、2002年2月に成立した改正原子力法に基づき、当時運転中であった国内19基の原子炉を、2020年頃までに全廃する予定としていましたが、2009年9月の連邦議会総選挙において、「脱原子力政策」が見直され、2010年9月、原子力発電所の運転延長を認める法案が閣議決定され、電力会社は経営判断に基づき既設炉の運転延長を判断することができるようになりました。しかし、東京電力福島第一原子力発電所事故直後の2011年3月27日に行われた州議会選挙で、脱原子力発電を公約とした緑の党が躍進したことや、大都市で原子力発電所の運転停止を求めるデモが相次いだこと等により、連立政権も同年4月には脱原子力を推進する立場へと転換しました。その後、国内17基の原子炉を段階的に廃止し、再生可能エネルギーとエネルギー効率改善により代替していくための法案が、同年6月30日に下院で、7月8日に上院で可決し、7月31日の大統領署名を経て、8月1日から施行となりました。この政策変更により、8基の原子炉が即時閉鎖となりました(2011年においては、原子力発電所の基数が9基で発電電力量の約18%を賄っていました)。また、残り9基の原子炉については、2022年までに順次閉鎖されることになり、それに基づき2015年6月にグラーフェンラインフェルト発電所が、2017年12月にグンドレミンゲンB発電所が永久停止し、ドイツの運転中原子力発電所は7基となりました。原子力発電による、発電電力量構成比率は約12%です(2017年)。
(iv)その他の欧州
スウェーデン9基(発電電力量の約39%)、スペイン7基(同21%)、ベルギー7基(同50%)、チェコ6基(同33%)、スイス5基(同34%)、フィンランド4基(同33%)、オランダ1基(同3%)の原子力発電所が運転中です(基数:2018年1月時点。発電電力量シェア:2017年時点)。
このうちスウェーデンでは、1980年の国民投票の結果を踏まえて、原子力発電所を段階的に廃止することとされ、1997年には新設禁止を定めた原子力法が制定されました。それに基づき1999年12月にバーセベック1号機を、2005年5月に同2号機を閉鎖しました。しかしその後、原子力発電所廃止見直しの機運が高まり、2010年6月、新設禁止を定めた原子力法を改正し、国内10基の既設原子炉のリプレースを可能とする法案が議会で可決されました。これにより新規建設は法律上可能となりました。これまでは、電気事業者は既設発電所の出力向上に優先的に注力しており、正式な建設計画は提出されていませんでしたが、2012年7月、電気事業者よりリプレースのための調査を行うとの発表があり、規制当局に対してリプレース計画が申請されました。2014年10月に発足したロヴェーン新首相率いる新政権は、2040年までに電力の全てを再生可能エネルギーで賄うことを目標としていましたが、2016年6月の社会民主党を始めとする5党の枠組合意では、原子力発電所の熱出力に課されている税が2017年から2年間で段階的に廃止されることとなりました。2040年は原子力発電所の全廃の期限ではないことが確認され、低炭素化における原子力発電の重要性を認める形となりました。
ベルギーでは、2003年1月、脱原子力発電法が成立し、これに基づき、国内7基の原子炉は、建設から40年を経たものから順次閉鎖する予定となりました。一方2008年3月に発足した前・連立政権時には、専門家による検討を踏まえ、2009年10月に原子炉3基の運転期間を10年延長することを決定する等の動きも見られましたが、2011年10月末、新政権設立を目指す政党間で、2003年の脱原子力発電法の基本方針を踏襲すること、運転期間の10年延長は撤回されることで合意されました。2012年7月4日、ベルギー政府は建設から40年を経たものから順次閉鎖との基本方針を踏襲し、ドール1号機、2号機を2015年に廃炉にすることを決定する一方で、国内最古の原子力発電所の一つであるチアンジュ1号機については10年延長(2025年まで運転)することを決定しました。2014年10月に発足した新政権は、ドール1号機、2号機についても運転延長を認める方針を表明しました。2015年12月、ベルギー政府とエンジー社は、ドール1号機、2号機の運転期間の10年延長と、運転に伴う新たな課税システムに関する協定に調印したと発表しました。方針が二転三転していますが、2018年3月にベルギー政府から発表されたエネルギー戦略では2025年までに全ての原子力発電所を停止することとなっています。
チェコでは、2011年10月、CEZ社がテメリン原子力発電所の増設のための入札を開始し、東芝・ウエスチングハウス、ロスアトム、アレバの3社から入札を受けました。2014年4月、CEZ社は現状の制度の下では投資回収が見込めないことを理由に入札を中断しました。2015年5月、チェコ政府は、2040年時点における原子力比率を約49%にまで高めることを含む新たなエネルギー政策を承認しました。政府は原子力発電所の増設のための投資・事業モデルに関する調査を行い、第1フェーズとして2018年に体制の方針を決定し、第2フェーズとして最適な投資モデルをしている建設許可発行(2025年頃)前に決定する予定です。
フィンランドでは、2003年12月、TVO社が同国5基目の原子炉としてアレバ社のEPR(160万kW級PWR)を選定し、オルキルオト3号機として2005年12月に着工しました(計画遅延により2019年以降運転開始の見込み)。2010年7月には、議会がTVO社とフェンノボイマ社の新規建設(各1基)を承認しました。それを受け、TVO社は、2012年3月にオルキルオト4号機建設の入札手続が開始され、2013年1月末にTVO社は5社(アレバ、GE日立、韓国水力原子力、三菱重工、東芝)から入札を受けました。また、フェンノボイマ社は2012年1月にピュハヨキ(ハンヒキビ)1号機建設の入札を行い、2013年12月、ロスアトム社が選ばれました。AES-2006(120万kW級VVWR)の建設が、2019年に開始される予定です。運転中原子力発電所としては、2017年1月TVO社がオルキルオト1、2号機の2038年末までの運転延長申請をし、2018年9月に承認されました。
リトアニアでは、2011年7月、ビサギナス原子力発電所の建設のために、日立が戦略的投資家(発電所建設の出資者)として優先交渉企業に選定されました。2012年10月には、国政選挙と併せて実施された国民投票で6割強が原子力発電建設に反対し、政権も交代したためプロジェクトは停滞しましたが、2014年3月にはウクライナ情勢を受けてエネルギー安全保障への関心が高まり与野党間で再度プロジェクト推進の合意がなされました。2014年7月には、リトアニア・エネルギー省と日立の間で、事業会社の設立に向けたMOUが署名されました。しかし、2016年11月、政府は費用対効果が高くなるか、エネルギー安全保障上必要となるまで計画を凍結すると発表しました。
(ウ)アジア地域
(i)中国
中国では、37基の原子力発電所が運転中であり、発電電力量の約3%を原子力発電で賄っています(基数:2018年1月時点。発電電力量シェア:2016年時点)。2007年の原子力発電中長期発展規則では、2020年までに40GWまで拡大する計画とされています。また、2011年3月に安全確保を前提条件としてより効率的な原子力開発を行う方針を示した「国民経済と社会発展第12次5か年計画」を採択しました。この全体計画に基づき、2013年1月には「エネルギー発展第12次5か年計画」が公表され、2020年の原子力発電所設備容量を58GW(2013年時点では15GW)とするとの目標が示されました。この目標は、2014年11月に公表された「エネルギー発展戦略行動計画2014-2020」及び2016年11月に公表された「電力発展第13次5か年計画」にも引き継がれています。2018年に陽江5号、海陽1号、三門1、2号、田湾3、4号、台山1号が、営業運転を開始したことにより、日本を抜いて世界第3位の原子力発電大国となりました。2019年1月にも海陽2号が営業運転を開始しています。2018年8月に「原子力発電の標準化強化事業に関する指導意見」を公表し、10年後に世界の原子力標準化で中国が主導的な役割を果たすとの目標を示しました。
(ii)台湾
台湾では、6基の原子力発電所が運転中であり、発電電力量の約12%を原子力発電で賄っています(基数:2018年1月時点。発電電力量シェア:2016年時点)。2005年の「全国エネルギー会議」では、既存の3か所のサイトでの原子力発電の運転と現在の建設プロジェクトの継続が確認されましたが、それ以降は原子力発電所の新規建設は行わず、既存炉が40年間運転した後、2018〜2024年に廃炉するとの方針が示されました。東京電力福島第一原子力発電所事故後の2011年11月に明らかにされた原子力政策の方向性でも、その方針に変更はありません。2014年4月、野党や住民による原子力発電反対の声が高まったことを受け、台湾当局は、建設中のプロジェクトを凍結し、当該原子力発電所の稼働の可否については、必ず公民投票を通じて決定しなければならないとの与党国民党(当時)立法委員総会の決議を受け入れることを表明しました。2017年1月、立法院(議会)は、2025年までに原子力発電所を全ての運転を停止することを含んだ電気事業法の改正案を可決しました。しかし、同年8月、台湾各地で大規模な停電が発生し、産業界が安定的な電力供給を求めてエネルギー政策の見直しを当局に要請していました。2018年11月、公民投票の結果を受け、この条文が削除されました。
(iii)韓国
韓国では、24基の原子力発電所が運転中であり、発電電力量の約26%を原子力発電で賄っています(基数:2018年1月時点。発電電力量シェア:2017年時点)。2014年1月、韓国政府は官民を交えた議論を経て、第2次国家エネルギー基本計画を閣議決定し、2035年の原子力発電比率を29%とすることを決定しました。しかし、2017年5月の大統領選挙により誕生した文政権は、同6月に脱原子力政策への転換を宣言し、同年10月には、原子力発電所の段階的削減と再生可能エネルギーの拡大を中心とするエネルギー転換政策のロードマップを閣議決定しました。同ロードマップでは、建設許可が既に下りていた新古里5、6号機については、建設の是非に関し国民の意見集約を実施するために設置した公論化委員会の勧告に基づき建設準備作業を再開するとした一方、これら2基以降の新設原子力発電所建設計画を全面白紙化することに加え、原子力発電所の運転期間延長を認めないこととしています。同ロードマップに沿って策定された第8次電力供給基本計画は、2017年12月に閣議決定されました。段階的に原子力を縮小し、2030年の発電電力量に対する原子力の割合を23.9%まで削減するとしています。この方針に基づき、2018年6月、月城1号機の早期閉鎖と新ハンウル3、4号機と天地1、2号機の建設計画の中止が決定されました。
(iv)インド
インドでは、22基の原子力発電所が運転中であり、発電電力量の約3%を原子力発電で賄っています(基数:2018年1月時点。発電電力量シェア:2016年時点)。電力需要が増大する中、原子力に対する期待が高まっています。2005年7月、米印両国政府は民生用原子力協力に関する合意に至り、2007年7月には両国間の民生用原子力協力に関する二国間協定交渉が実質合意に至りました。同協定は、原子力供給国グループ(Nuclear Suppliers Group: NSG)におけるインドへの原子力協力の例外化(インドによる核実験モラトリアム等の「約束と行動」を前提に、核兵器不拡散条約非締約国のインドと例外的に原子力協力を行うこと)の決定や国際原子力機関(IAEA)による保障措置協定の承認、米印両国議会による承認等を経て、2008年10月に発効しました。この原子力供給国グループによる例外化の決定以来、インドは、米国のほか、ロシア、フランス、カザフスタン、ナミビア、アルゼンチン、カナダ、英国、韓国といった国々と民生分野で原子力協力協定を締結しています。2017年7月には、日印原子力協定が発効しました。また、東京電力福島第一原子力発電所事故以降も、電力需給のひっ迫が続くインドでは、原子力発電の利用を拡大するとの方針に変化は見られません。第12次のエネルギー政策では2032年に原子力の設備容量6,300万kWを目標としていましたが、政府は2018年3月、2031年までに2,248万kWとする見通しを示しています。
(エ)ロシア

ロシアでは1986年のチェルノブイリ原子力発電所(現在のウクライナに所在)事故以降、新規建設が途絶えていましたが、その後積極的に推進するようになり、2001年に新たな原子力発電所が運転を開始し、2018年1月時点で31基を運転中であるとともに、8基を建設中、16基が計画中です。

2011年3月、ロスアトム社キリエンコ総裁及びシュマトコエネルギー大臣は、東京電力福島第一原子力発電所事故のいかんにかかわらず、原子力発電開発をスローダウンする意向はないと表明しています。

ロシア政府は、2007年に連邦原子力庁「ロスアトム」を国営公社ロスアトム社へ再編し、同社がロシアの原子力の平和利用と軍事利用及び安全保障を一体的に運営することになりました。この結果、ウラン探鉱・採掘、燃料加工、発電、国内外での原子炉建設等民生原子力利用に関して国が経営権を完全に握っていたアトムエネルゴプロムも、ロスアトム社の傘下に入ることとなりました。2009年11月に政府により承認された「2030年までを対象期間とする長期エネルギー戦略(2030年戦略)」では、原子力の総発電量に占めるシェアが2008年の16%弱から2030年には20%近くまで引き上げられ、発電量は2.2〜2.7倍に増大することを想定しています。2016年時点では、原子力発電によって発電電力量の約18%を賄っています。2014年1月、エネルギー省は「2035年までを対象期間とする長期エネルギー戦略(2035年戦略)」の草案を発表し、2018年12月現在も検討が続けられています。ロシアでは、原子力の輸出も進めており、2018年10月現在、12カ国で25基を建設中です。

③核燃料サイクルの現状

(ア)ウラン資源

ウラン資源は世界に広く分布しており、カナダ、オーストラリア、カザフスタン等が生産量、資源量ともに上位を占めています(生産量:2017年時点、資源量:2015年1月1日時点。第222-2-5、第222-2-6)。

ウラン価格(スポット価格)は、1970年代、特に第一次石油ショック後の原子力発電計画の拡大を受けて上昇しましたが、スリーマイル島事故、チェルノブイリ事故を受けて新規原子力発電建設が低迷したことから下落し、低価格で推移してきました。その後、2003年頃から価格が上がり、一時2007年には136ドル/lbU3O8まで上昇し、2011年3月時点でも60ドル/lbU3O8を超える高値となりました。これは解体核高濃縮ウランや民間在庫取崩し等の二次供給の減少や、中国等によるウラン精鉱の大量購入等から需給ひっ迫が懸念され、世界的なウラン獲得競争が激化したことと、投機的資金の一部がウランスポット取引市場に流入したことに起因したと考えられています。東京電力福島第一原子力発電所事故後は下落傾向が見られます(第222-2-7)。

【第222-2-5】世界のウラン生産量(2017年)

【第222-2-5】世界のウラン生産量(2017年)(xls/xlsx形式:49KB)

出典:
世界原子力協会(WNA)ホームページを基に作成

【第222-2-6】世界のウラン既知資源量(2017年)

(注1)
ウラン既知資源量とは260米ドル/kgU以下のコストで回収可能な埋蔵量(2017年1月1日時点)。
(注2)
世界のウラン需要量は約6.28万トンU(2016年)。
(注3)
端数処理の関係で合計が100%にならない場合がある。

【第222-2-6】世界のウラン既知資源量(2017年)(xls/xlsx形式:74KB)

出典:
OECD/NEA-IAEA「Uranium 2018: Resources, Production and Demand」を基に作成

【第222-2-7】ウラン価格(U3O8)8の推移

【第222-2-7】ウラン価格(U3O8)8の推移(xls/xlsx形式:101KB)

出典:
International Monetary Fund「IMF Primary Commodity Prices」を基に作成
(イ)ウラン濃縮

世界のウラン濃縮事業は、2015年時点で、ロシアのTENEX、フランスのアレバ、米国・英国・オランダ・ドイツの共同事業体URENCOの3社で約90%のシェアを占めています。

我が国のウラン濃縮事業は遠心分離法を採用しており、その許可上の施設規模は、2017年に事業変更許可を受け、年間450トンSWUでした。

(ウ)再処理

フランス及び英国では、自国内で発生する使用済燃料の再処理を実施するとともに、海外からの委託再処理も実施してきました。フランスのアレバ社再編により誕生した新会社ORANO社は、海外からの委託再処理を行うためのUP3(処理能力:1,000トン・ウラン/年、操業開始:1990年)及びフランス国内の使用済燃料の再処理を受け持つUP2-800(処理能力:1,000トン・ウラン/年、操業開始:1994年)の再処理工場をラ・アーグに有しています(ただし、UP3及びUP2-800における処理能力の合計は、1,700トンHM/年に制限されています)。

英国原子力廃止措置機関(NDA)はセラフィールド施設及び海外からの委託再処理を行うためTHORP(処理能力:900トン・ウラン/年、操業開始:1994年)再処理工場をセラフィールドに有していましたが、2018年11月に操業を終了しました。

(エ)プルサーマル

MOX燃料の使用は、海外では既に相当数の実績があります。1970年代から2017年末までにフランス、ドイツ、米国、スイスなどの9か国で、53基の発電プラントにおいて、MOX燃料96,390体が使用されました。例えばフランスでは、3,500体、ドイツでは2,474体のMOX燃料が軽水炉で利用されました(2017年末現在)。また、軽水炉用のMOX燃料加工施設は、フランスで稼働しています。

(オ)高レベル放射性廃棄物の処分

海外の高レベル放射性廃棄物の処分については、各国の政策により、使用済燃料を直接処分する国と、使用済燃料の再処理を実施し、ガラス固化体として処分する国があります。高レベル放射性廃棄物は処分方法を決定している国としては、全ての国で深地層に処分する方針が採られており、処分の実施主体の設立、処分のための資金確保等の法制度が整備されるとともに、処分地の選定、必要な研究開発が積極的に進められてきました(第222-2-8)。

【第222-2-8】高レベル放射性廃棄物処分に関する状況

(注1)
2002年7月にユッカマウンテンを処分地として決定したが、オバマ政権が計画を凍結。これに対し、トランプ政権は、ユッカマウンテン計画の再開に係る予算を要求。
(注2)
2001年5月に処分地として決定。
(注3)
SKB社が2011年3月に提出した使用済燃料処分場の立地・建設許可申請書に記載した建設予定地。今後の許可発給によって正式決定となる。
(注4)
ビュール地下研究所近傍より選定される予定。
(注5)
処分場のサイト選定は、原子力令に従って策定された特別計画「地層処分場」に基づいて3段階で進められている(期間は2008年から2027年頃までを予定)。その第1段階として、2011年11月末に高レベル放射性廃棄物の処分場の「地質学的候補エリア」3か所が正式に選定された(低中レベル放射性廃棄物を合わせると計6か所)。現在、第2段階として「地質学的候補エリア」の検討が行われており、「ジュラ東部」、「チューリッヒ北東部」、「北部レゲレン」についてサイト選定を終了、サイト選定の第3段階に進む3つの地質学的な候補エリアとして決定した。NAGRA(放射性廃棄物管理共同組合)は各候補エリアにおいてボーリング調査を実施する予定。
(注6)
カンブリア州と同州内の2市がサイト選定プロセスへの関心表明を行っていたが、2013年1月にカンブリア州議会がサイト選定プロセスからの撤退を議決。2市の議会はプロセスへの継続参加に賛成していたが、州と市の両方のレベルでの合意を必要としていたため、1州2市はプロセスから撤退することとなった。2014年7月に、英国政府は地層処分施設の新たなサイト選定プロセス等を示した白書を公表。
(注7)
施設の操業計画によっては再処理しない使用済燃料が残る可能性があり、それらを地層処分する可能性も考慮している。

【第222-2-8】高レベル放射性廃棄物処分に関する状況(xls/xlsx形式:32KB)

出典:
資源エネルギー庁「諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について(2018年版)」(2018年2月)を基に作成
(i)米国
1987年の放射性廃棄物政策修正法により、ネバダ州ユッカマウンテンが唯一の処分候補地として選定されました。米国エネルギー省(DOE)によって、処分場に適しているかどうかを判断するための調査が1988年から実施され、2001年に報告書がまとめられました。2002年には、エネルギー長官が大統領にユッカマウンテンを処分サイトとして推薦。大統領はこれを承認し、連邦議会に推薦しました。ネバダ州知事が連邦議会に不承認通知を提出しましたが、ユッカマウンテンを処分場に指定する立地承認決議案が連邦議会上院・下院で可決され、大統領がこれに署名して法律として成立することにより、ユッカマウンテンが処分地として選定されました。2008年6月にDOEは、2020年の処分場操業開始を目途とし、処分場の建設認可のための許認可申請書を原子力規制委員会(NRC)へ提出しました。
その後、2009年2月にオバマ政権が示した予算方針において、ユッカマウンテン関連予算は許認可手続のみに必要な程度に削減し、高レベル放射性廃棄物処分の新たな戦略を検討する方針が示されました。2010年3月、DOEは許認可申請の取下げ申請書をNRCに提出しましたが、NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)は取下げを認めない決定を行いました。その後、NRCはASLBの決定が有効であるとした上で、2011年9月に、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査手続について、一時停止することを指示しました。しかし、2013年8月、連邦控訴裁判所がNRCに対して許認可申請書の審査を再開するよう命じました。この連邦控訴裁判所の判決を受け、2013年11月にNRCは、安全性評価報告(SER)の完成等を優先して行うことを決定し、2015年1月までにSERの全5分冊を公表しています。高レベル放射性廃棄物処分を巡っては、2013年11月に連邦控訴裁判所からDOEに対して、放射性廃棄物基金への拠出金を実質的に徴収しないように命じる判決を下しており、エネルギー長官はこの判決を受けて、2014年1月に、放射性廃棄物基金への拠出金額をゼロに変更する提案を連邦議会に提出し、2014年5月に本提案が有効となりました。
また、DOEは、代替方策を検討するため、ブルーリボン委員会(米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会)を設置(2010年1月)して検討を行いました。本委員会においては、2012年1月に最終報告書が公表され、8つの勧告が示されました。2013年1月には、DOEが「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」を公表しており、ブルーリボン委員会の最終報告書で示された基本的な考え方に沿った実施可能な枠組みが示されています。具体的には、2021年までにパイロット規模の使用済燃料の中間貯蔵施設の操業を開始し、2025年までにより大規模な中間貯蔵施設を建設、2048年までに処分場を操業開始できるように処分場のサイト選定とサイト特性調査を進めるというものです。
トランプ政権は、2018年会計年度、2019年会計年度ともに、ユッカマウンテンの許認可手続の再開に必要となる予算を含めた2018年会計年度の予算教書を連邦議会に提出しましたが、計画再開のための予算は認められませんでした。また、2017年4月には、連邦議会下院でユッカマウンテン処分場計画の維持を目的とする放射性廃棄物政策修正法案に関する議論が開始され2018年5月に可決されるなど、放射性廃棄物管理政策に関連する取組が活発化しています。
(ii)フィンランド
フィンランドでは、1983年よりサイト選定が開始され、1999年に処分実施主体であるポシヴァ社がオルキルオトを処分予定地として選定し、法律に基づく「原則決定」の申請書を政府に提出しました。2000年に地元が最終処分地の受け入れを承認し、その結果を受け、政府がオルキルオトを処分地とする原則決定を行い、翌2001年に国会が承認しました。2012年12月、ポシヴァ社は政府へ最終処分場の建設許可申請書を提出しました。放射線・原子力安全センター(STUK)は、建設許可申請書に係る安全審査を完了し、2015年2月に、キャニスタ封入施設及び地層処分を安全に建設することができるとする審査意見書を雇用経済省に提出しました。2015年11月、雇用経済省はポシヴァ社に建設許可を発給しました。2016年12月、ポシヴァ社は処分場の建設を開始しました。2020年代に処分開始予定としており、実際にポシヴァ社が使用済燃料の処分を開始するには、別途、政府から処分場の操業許可の発給を受けることが必要となります。
(iii)スウェーデン
スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が、1993年から公募及び申し入れにより8自治体を対象にフィージビリティ調査を行い、2000年11月にサイト調査の対象として3自治体(エストハンマル、オスカーシャム、ティーエルプ)を選定しました。このうち、サイト調査の実施について、自治体議会の承認が得られたエストハンマル自治体とオスカーシャム自治体でボーリング調査を含むサイト調査が行われました。その結果から、SKB社は、2009年6月に地質条件を主たる理由(①処分場深度の岩盤が乾燥しており亀裂がほとんどないこと、②処分場に必要となる地下空間が小さいことなど)としてエストハンマル自治体のフォルスマルクを最終処分場予定地として選定し、2011年3月に使用済燃料処分場の立地・建設の許可申請を行いました。この許可申請の際に提出された安全評価書「SR-Site」について、スウェーデン政府の要請に基づいて経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)が行った国際ピアレビューの報告書が2012年6月に公表されており、SKB社による処分場閉鎖後の安全評価は十分かつ信頼ができるとの見解が示されました。処分場の立地・建設の許可申請については、安全規制当局である放射線安全機関(SSM)が安全審査を行っています。また、環境法典に基づく使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請に関する審理が土地・環境裁判所で実施されています。
使用済燃料の集中貯蔵施設「CLAB」がオスカーシャム自治体にあり、SKB社が1985年から操業しています。SKB社は、使用済燃料の処分に向けて新たに建設するキャニスタ封入施設をCLABに併設してCLINKと呼ぶ一体の施設にする計画であり、CLINKと使用済燃料処分場の申請書の安全審査が並行して進められています。SKB社は2015年3月に、CLABにおける使用済燃料の貯蔵容量を、現行の8,000トンから11,000トンへ引き上げる追加の許可申請を行っています。
(iv)フランス
フランスでは、1991年に「放射性廃棄物管理研究法」が制定され、地層処分、核種分離・変換、長期地上貯蔵の3つの高レベル放射性廃棄物に関する管理方法の研究が15年間を期限として実施されました。地層処分については、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が、カロボ・オックスフォーディアン粘土層のあるビュールにおいて、2000年8月から立坑の掘削を開始して地下研究所を建設し、研究を行いました。法律に基づいて設置された国家評価委員会(CNE)は、2006年に3つの管理方法に関する研究成果を総合的に評価しました。これらを基に2006年6月には可逆性のある地層処分の実施に向けて「放射性廃棄物等管理計画法」が制定され、2015年に処分場の設置許可申請、2025年に処分場の操業を開始すること、設置許可申請は地下研究所による研究対象となった地層に限定することが定められました。2016年7月に、「高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の可逆性のある地層処分場の設置について規定する法律」が成立しました。本法律の制定に伴って、処分場の設置許可申請時期が2015年から2018年に改定されました。また、2006年「放射性廃棄物等管理計画法」での多くの規定が取り込まれている「環境法典」が改正され、ANDRAによる地層処分場の操業は、可逆性と安全性の立証を目的とする「パイロット操業フェーズ」から始まることとなりました。
ANDRAは、ビュール地下研究所周辺の250km2の区域から30km2の候補サイト区域を政府に提案し、2010年3月の政府の了承を経て、同区域の詳細調査を実施しました。2013年7月から翌年1月にかけて地層処分の設置に関する公開討論会及び市民会議が実施され、これらの総括報告書及び市民会議の見解書が、2014年2月に公開されました。この報告書等を受けて、ANDRAは地層処分場プロジェクトの継続に関する方針を決定し、2014年5月に今後のプロジェクト継続計画を公表しました。ANDRAはこの計画に基づき2017年までに処分場の設置許可申請を提出し、当初の目標である2025年の操業開始を維持することとしています。しかし、2017年7月、設置許可申請が2019年半ばとなることを発表しました。

(2)再生可能エネルギー

再生可能エネルギーの利用拡大には、近年多くの国・地域が取り組んでいます。再生可能エネルギーの導入促進策としては、研究開発・実証、設備導入補助のほか、日本でも実施されている固定価格買取制度(FIT:Feed-in Tariff)や、再生可能エネルギー導入量割当制度(RPS:Renewables Portfolio Standards)が導入されています。一般的に、FITは優遇的な買取価格を設定する施策であり、RPSは政府が義務的な導入量を事業者に割り当てる施策です。2017年時点で、FITは113か国・地域(第222-2-9)、RPSは33か国・地域で導入されています10。また、近年では多くの国々が競争入札によって買取価格等を決定する仕組みを取り入れています。

こうした施策によって、再生可能エネルギーへの投資は2000年代半ば以降飛躍的に増大し、2010年以降は、毎年2,000億米ドルを超える投資が行われています(大型水力発電を除く)。2017年には、設備のコストダウンが進んでいるにも関わらず、約2,798億米ドルへと2016年から約2%増加しました。再生可能エネルギーへの投資は、化石エネルギー及び原子力を合わせた投資よりも2倍以上とされています。特に途上国での投資が活発になっており、全体の63%を占めると報告されています11。エネルギー源別に見ると、ほぼ一貫して太陽エネルギー及び風力に投資が集中しています(第222-2-10)。

【第222-2-9】主要国・地域の固定価格買取制度の導入状況

(注1)
日本においてFITと呼ばれる制度が導入されたのは2012年であるが、本表では太陽光発電の余剰電力買取制度が導入された2009年を日本のFIT導入年としている。

【第222-2-9】主要国・地域の固定価格買取制度の導入状況(xls/xlsx形式:14KB)

出典:
REN21「Renewables 2018 Global Status Report」を基に作成

【第222-2-10】再生可能エネルギーへの投資動向

【第222-2-10】再生可能エネルギーへの投資動向(xls/xlsx形式:18KB)

出典:
REN21「Renewables 2018 Global Status Report」を基に作成

①太陽光発電

世界における太陽光発電の導入は2000年代後半から加速し、2017年の累積導入量は約4.0億kWに達しました。導入の拡大には、2000年前後に欧州諸国で導入されたFITによる効果が大きく、太陽光発電の買取価格が高額に設定されたこと等によりドイツ、イタリア、スペイン等で顕著な伸びを示しました。日本でもFITが2012年7月に導入されたことにより、導入が大幅に拡大しました。2017年の累積導入量で見ると、日本(4,950万kW)は米国(5,164万kW)に次いで世界第3位となっています。また、太陽光発電市場が大きく拡大したことで、発電設備の導入コストは低下し、近年では新興諸国にも導入が広がっています。特に、中国は2015年にドイツを抜き、導入設備容量が世界第1位となりました(第222-2-11)。

こうした太陽光発電の導入拡大の経済的な波及効果として雇用創出等が期待されますが、他方でFITによる買取費用は最終的に賦課金として消費者に転嫁される仕組みとなっていることから、費用負担の増大も懸念されています。例えば、ドイツでは電気料金に加算されるFITの賦課金は、2019年にはkWh当たり6.405ユーロセント12となることが発表されており、1ヶ月の電力使用量が260kWhの需要家モデルの負担額における月額負担は約16.4ユーロ13(約2,000円)になると推計されます。一方、日本では2019年度のFITによる賦課金は2.95円/kWhとなっており、1ヶ月の電力使用量が260kWhの需要家モデルの負担額が負担する月額は767円14と推計されています。

【第222-2-11】世界の太陽光発電の導入状況(累積導入量の推移)

【第222-2-11】世界の太陽光発電の導入状況(累積導入量の推移)(xls/xlsx形式:22KB)

出典:
IEA「PVPS TRENDS 2018」を基に作成

②風力発電

世界の風力発電設備容量は近年急速に増加し、2018年には約5.9億kWに達しました。導入量が最も多いのは世界のおよそ3分の1を占める中国(21,139万kW)で、これに米国(9,667万kW)、ドイツ(5,956万kW)が続きます。したがって、これら3か国で世界の風力発電設備容量の約6割を占めていることになります(第222-2-12)。

また、近年では洋上風力発電の市場も急速に拡大しており、2018年末の時点で、世界で合計2,314万kWが導入されています。ただし、現時点では世界の洋上風力発電の79%(1,828万kW)が欧州諸国の沖合に集中しています。とりわけ洋上風力に注力しているのは英国で、世界の累積導入量の34%(796万kW)を占めています。2018年を通じて新たに追加した設備容量が最も多かったのは英国で、168万kWの設備が追加されたことで、累計導入量は684万kWとなりました。ヨーロッパ以外の国では中国が導入に積極的で、2018年を通じて新たに追加した設備容量において、中国は英国を抜いて初めて第1位となりました。180万kWの設備が追加されたことで、世界第3位の累積導入量(459万kW)となっています15

【第222-2-12】世界の風力発電の導入状況

(注)
2004年以前の国別データなし。

【第222-2-12】世界の風力発電の導入状況(xls/xlsx形式:357KB)

出典:
Global Wind Energy Council (GWEC)「Global Wind Report(各年)」を基に作成

③バイオマス

バイオマスは発電用燃料としての利用のほか、輸送用燃料としても用いられています。また、開発途上国を中心に、薪や炭といった形でのバイオマス利用も行われています。これらの国では、経済の成長に伴って灯油、電気、都市ガスといった商業的に供給されるエネルギーの利用が増え、バイオマスの比率は低下することが考えられます。その一方で、米国や欧州等の先進国では、気候変動問題への対応といった観点からバイオマス導入を政策的に推進する国が多くなってきました。世界全体では、2016年時点で一次エネルギー総供給の9.5%と比較的大きな割合を占め、先進国(OECD諸国)平均では5.4%、開発途上国(非OECD諸国)平均では12.7%となっています(第222-2-13)。

【第222-2-13】世界各地域のバイオマス利用状況(2016年)

(注)
中国の値は香港を含む。

【第222-2-13】世界各地域のバイオマス利用状況(2016年)(xls/xlsx形式:13KB)

出典:
IEA「World Energy Balances 2018 Edition」を基に作成

バイオマス利用に関しては、特に運輸部門における石油依存の軽減や、温室効果ガス排出の抑制を目指した政策が打ち出されています。例えばEUでは、2020年までに輸送用燃料のうち少なくとも10%をバイオ燃料(及び再生可能エネルギー利用電気等)とする目標が掲げられました。しかしながら、バイオ燃料の主たる原料は、サトウキビやトウモロコシといった食料であるため、バイオ燃料の利用の急激な増大は、食料価格の高騰など、深刻な影響を与える可能性があると指摘されています。さらに、バイオ燃料生産のために森林を伐採し、耕地とする動きが拡大しかねないとの見方もあります。このため、バイオ燃料の生産・消費による自然環境や食料市場への影響を抑えるための持続可能性基準について、国際会議での検討が進められてきました。また、食料以外の原料(稲わらや木材等のセルロース系原料、藻類や廃棄物等)を用いた次世代型バイオ燃料開発の取組が進められています。

④水力

大規模なものまで含めると、世界の水力発電設備は2017年の時点で約12.7億kWであり、最も導入が進んでいる再生可能エネルギー発電であると言えます。水力による発電設備が最も多い国は中国で、世界の設備容量の約27%を占めています(第222-2-14)。国内の総発電量に対する割合は、中国は約19%、日本は約8%、米国は約6%等となっていますが、ノルウェーのように、約96%(いずれも2016年)と極めて高いシェアを持つ国もあります16

先進国においては、大規模ダム開発は頭打ちとなっている一方、中国では水力発電の設備容量は過去10年間で約2.3倍に増大しました。中国の揚子江中流(湖北省)に建設された三峡ダム発電所は2012年に全32基のうち最後の発電ユニットを完成させ、世界最大規模の水力発電所(2,250万kW)となっています。

⑤地熱

地熱発電はこれまでに世界で1,430万kWが導入されてきました(2017年)。設備容量が最も大きいのは米国で、合計約372万kWが導入されました。次いで高い設備容量を有するのがフィリピンで、その設備容量は約193万kWになります。インドネシア、ニュージーランド、アイスランド、トルコ、ケニアといった国々では2000年代以降、設備容量が大幅に増大しました(第222-2-15)。特にケニアでは、国内の総発電量に占める地熱発電の割合が約43%となりました(2016年)17。日本では約55万kWが導入されましたが、過去10年間以上にわたって設備容量はほとんど変化していません。欧州大陸では地熱発電を利用できる地域が少なく、イタリアやポルトガルの一部等に限られています。

【第222-2-14】世界の水力発電の導入状況

【第222-2-14】世界の水力発電の導入状況(xls/xlsx形式:71KB)

出典:
IRENA「Renewable Energy Statistics 2018」を基に作成

【第222-2-15】世界の地熱発電設備

【第222-2-15】世界の地熱発電設備(xls/xlsx形式:53KB)

出典:
BP「Statistical Review of World Energy 2018」を基に作成

⑥再生可能エネルギーのコスト動向

世界的に再生可能エネルギーの発電コストが低下する傾向がみられます18。中には補助金なしでも石炭やガス火力発電と競合できるほどのコスト競争力を持つ再生可能エネルギー発電もみられるようになりました。アジアでは、太陽光や風力に適した風土や安価な労働力を持つ中国やインドがけん引して、全般的に、再生可能エネルギーの平均発電コストは、他の地域よりも低くなっています。ただし、日本では、火力発電や原子力と比較すると、再生可能エネルギーの発電コストは高く、再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、課題の一つとなっています。

このようなコスト低減は、主に再生可能エネルギーを推進する政策、及び、技術革新によって支えられてきました。日々進歩する技術によって製造コストの削減や保守管理の効率化が図られ、規模の経済が働いたことも要因として考えられます19。さらに、多くの国で導入されている入札制度で買取価格が決められることも、競争を促し、発電コストを抑制する方向へと導きました。

なかでも太陽光および陸上風力の発電コストは著しく低下しています(第222-2-16)。2017年に運転開始した太陽光の平均発電コストは0.10ドル/kWhと、2010年の0.36ドル/kWhから約72%低下しました。2009年頃から低下している太陽電池モジュール価格が発電コストを引き下げたと考えられます。陸上風力も同様に、タービン価格の低下に伴い平均発電コストも低下し、2010年0.09ドル/kWh から2017年0.07ドル/kWhへと下がりました。一方、太陽熱は、まだ技術的に確立されたとは言えず、設備容量も限られているため、発電コストは太陽光や風力よりも高く止まっています。太陽熱の発電コストは低下傾向にあり、2017年の平均発電コストは、2010年と比べると、33%低下しました。

太陽光や風力の発電コストは今後も低下すると推察されます。このことは、2020年に向けて稼動開始を予定する事業の入札結果からも窺えます。太陽光の入札では、中東(サウジアラビア、アラブ首長国連邦)や中南米(チリ、メキシコ)において約0.03ドル/kWhで落札されました。太陽熱や洋上風力についても、2020年以降、発電コストの競争力は高まるとみられています。

この他の主要な再生可能エネルギーである水力、バイオマス、地熱は、技術的にも成熟しており、資源が豊富な所では太陽光や風力よりも安価な電源ですが、平均発電コストは2010年からあまり変化せずに推移しています。水力発電は、遠隔地での開発のように高度な技術が求められる事業が増えており、コストを押し上げる要因となっています。また、ベースロード電源ともなる地熱発電は、高い初期投資コストや開発リスクが投資の障壁となっています。

【第222-2-16】世界の再生可能エネルギー発電コストの推移

(注)
地熱の2011年のデータなし。

【第222-2-16】世界の再生可能エネルギー発電コストの推移(xls/xlsx形式:23KB)

出典:
IRENA「Renewable Power Gneration Costs in 2017」を基に作成
1
GTL(Gas to Liquid)とは、天然ガスを化学反応によって常温で液体の炭化水素製品に転換したものを指します。主に輸送用の燃料として用いられます。
2
DME(Di-Methyl Ether)とは、GTL同様、天然ガスを原料として生産される炭化水素製品ですが、常温では気体です。ただし、比較的低い圧力で液化するので液化石油ガス(LPガス)などと同様に扱われます。現在はスプレー用のガスとして用いられることが多いですが、今後輸送用の燃料としても用いられることが期待されています。
3
コンバインドサイクル発電とは、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた発電方式です。
4
CIF価格:CIFは、Cost, Insurance and Freightの略。積出地での価格に、運賃や船荷保険料を加えた価格。
5
米国国内のガス取引価格の指標となっている、ルイジアナ州にある天然ガスのパイプラインの接続地点(ハブ)の呼び名。ヘンリーハブ価格を元に日本のLNG輸入価格との比較を行う場合には、天然ガスの液化・再ガス化コストやLNG船舶輸送コスト等を考慮する必要がある。
6
Free On Board価格の略称で積地引渡し価格を指します。
7
石炭の根源植物が石炭に変質する過程を石炭化作用と呼び、この進行度合いを石炭化度と言います。石炭は、石炭化度により無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭、亜炭、泥炭に分類されますが、日本では無煙炭から褐炭までを石炭と呼んでいます。
8
U3O8(八酸化三ウラン):ウラン鉱石を精錬したもので、ウラン精鉱。イエローケーキとも呼ばれる。
9
MOX燃料:使用済燃料から再処理によって分離されたプルトニウムをウランと混ぜた混合酸化物燃料。
10
21世紀のための再生可能エネルギー政策ネットワーク(REN21)「Renewables 2018 Global Status Report」より。
11
21世紀のための再生可能エネルギー政策ネットワーク(REN21)「Renewables 2018 Global Status Report」より。
12
ドイツ連邦ネットワーク庁の発表より。
13
世界エネルギー会議(WEC)が公表した2014年の統計値を用い、一世帯の年間消費電力量を3,079kWhとして推計。
14
資源エネルギー庁の発表より。
15
世界風力会議(GWEC)「Global Wind Report 2018」より。
16
IEA「World Energy Balances 2018 Edition」より推計。
17
IEA「World Energy Balances 2018 Edition」より推計。
18
ここでの発電コストは均等化発電単価(LCOE) を指す。
19
IRENA「Renewable Power Gneration Costs in 2017」より。
注1
OPEC加盟国の内、内戦等の特殊事情により減産状態にあるベネズエラ、リビア、イランは減産の対象外とされた。
注2
カタールが2019年1月にOPECを脱退したことにより、2019年1月時点では計24ヵ国。