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2016年4月に電力の小売自由化がスタートして1年半。解説記事「なぜ関西電力は電気料金を値下げできたのか?」でもご紹介したように、電力小売自由化で電力市場には競争が起こっており、消費者にうれしいさまざまなプランが登場しています。今回は、電力小売自由化スタート以降、どんなプランやサービスが生まれているのかご紹介します。
まず、電力小売自由化を簡単におさらいしましょう。電力が皆さんの自宅に届けられるまでには、発電・送配電・小売の3段階があります。すでに自由化されていた発電の部分に続き、2016年4月からは家庭向けなどの小売の部分も自由化され、たくさんの新電力会社が立ち上がりました(産業向けの小売は2000年に自由化済み)。また、電気料金には、国が認めた「規制料金」と、電力各社が自由に定めることのできる「自由料金」がありますが、電力小売自由化によって、すべての消費者が自由料金のプランを利用できるようになりました。電力・ガス取引監視等委員会によると、電力小売自由化から1年たった2017年5月時点、一般家庭向けの電力部門で料金プランを乗り換えた(スイッチング)件数は約634万件、スイッチング率は10%を超えました。内訳は、これまでの電力会社から新電力会社へのスイッチングが約5.6%(約353万件)、これまでの電力会社の料金プラン(規制料金)から新しい料金プラン(自由料金)にスイッチした件数が約4.5%(約281万件)となっています。
新電力会社のうち販売電力量が多いのは、ガス会社や通信会社が立ち上げた会社で、電力以外のエネルギーや通信サービスなどと電力をセットにした割引プランを提供しています。また、再生可能エネルギー(再エネ)の利用率を高めるというような電気の中身にこだわったプラン、ふるさと支援のような副次的サービスにこだわったプランなど、ユニークなプランがたくさん生まれています。
新電力会社には、地域密着型の電力会社として、その土地で電気をつくり、消費するという地産地消にこだわる会社が多数あります。たとえば、鳥取県米子市のローカルエナジー株式会社は、米子市内にあるごみ焼却施設のバイオマス発電や、太陽光発電など、地元で生まれた電気を米子市及びその近隣の需要家に販売しています。
「生産者の顔が見える野菜」のような、「生産者の顔が見える電気」もあります。みんな電力株式会社では、同社に電力を供給する自治体や市民団体運営の再生可能エネルギー発電所の中から消費者が気に入った発電所を選んで、料金の一部を寄付できるプランを実施しています。
電気の使用データを活用したサービスにも、ユニークなものが登場しています。九電みらいエナジー株式会社は、通信機能がついた「スマートメーター」という新しい電力メーターを使って、1人暮らしの高齢者などの電気の使用状況をモニター。変化があれば家族に知らせる「みまもりサポート」を実施しています。ほか、地元のスポーツチームが勝利するとポイントがもらえるプラン、料金の一部を森林保全に寄付できるプランなどもあります。たくさんあってどれを選べばいいのかわからないという人のために、「エネチェンジ」などの比較サイトも登場しています。皆さんも、自分のライフスタイルにぴったりのプランがないか、調べてみてはいかがでしょうか。
電力・ガス事業部 電力産業・市場室
長官官房 総務課 調査広報室
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