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SAFの導入拡大をめざして、官民で取り組む開発と制度づくり
なぜ、日本は石炭火力発電の活用をつづけているのか?~2030年度のエネルギーミックスとCO2削減を達成するための取り組み
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今やあちこちで見かけるようになった、ソーラーパネルがずらりと並ぶ風景。ここ数年で急速に広がった太陽光発電ですが、中には専門的な知識が不足したまま発電事業を手がけている事業者も見受けられます。そのため、安全性の確保や事業の継続性、また地域との関係などに課題があるという声もあがっています(「2040年、太陽光パネルのゴミが大量に出てくる?再エネの廃棄物問題」「再エネの長期安定電源化に欠かせないのは『地域との共生』」参照)。太陽光発電事業の評価ガイド策定委員会(事務局:一般社団法人 太陽光発電協会(JPEA))が2018年6月に策定した「太陽光発電事業の評価ガイド」は、そうした懸念を払しょくし、太陽光発電を長期にわたって安定的な電源としていくための評価指針です。今回は、その策定の背景や、具体的内容についてご紹介します。
再生可能エネルギー(再エネ)で発電した電気を固定の金額で電力会社が買い取る「固定価格買取制度(FIT)」が創設されて以降、たくさんの再エネ事業者が新規に発電事業を始めました。その中心となっているのは太陽光で、発電時にCO2を排出しないという特性で環境への負荷を減らしつつ、長期にわたり安定的な発電を続けていくことが期待されています。しかし、急速な導入拡大によって、不適切な設計・施工も発生しています。とりわけ、10kW~50kWの小規模な太陽光発電設備は個人が所有しているケースも多く、発電事業についての知識や技術をじゅうぶんに持っていないとの指摘もあります。また、FITの買取対象となる20年間の適切な運用・保守はもちろん、買取終了後にも長期安定的に事業を継続していくためには再投資が必要となります。そのような再投資がはたして適切におこなわれるかという点についても、懸念が持たれています。それらの課題を解決するために策定されたのが「太陽光発電事業の評価ガイド」です。発電事業の評価結果にもとづく適切な運用はもちろん、これから拡大が予想されている、太陽光発電所そのものの売買(「セカンダリー取引」と呼ばれます)についても、客観的な評価による取引の活性化に役立つと考えられています。
太陽光発電に関する従来のマニュアルは、発電設備の技術的な指針を中心としていました。これに対して今回の評価ガイドでは、土地・権原、土木・構造関係も含めた事業全体を対象として、太陽光発電事業を継続していくためのリスクを評価するものとなっています。太陽光発電事業では、企画立案、設計・施工、運用管理、撤去処分にいたるまで、さまざまなリスクが存在します。また、土地の権利、発電設備の安全性、発電事業の収益性、地域との共生などリスクの種類も多様です。そのため評価ガイドはかなり幅広い分野にわたり、発電設備はもちろん、土木や構造、事業用地の法令手続きなどについても評価しています。また設置後の保守点検作業や、トラブルが起こったときの評価なども盛り込まれています。ガイドの策定委員会には、太陽光発電関連の専門家のほかに、法律、金融、保険など各分野の専門家が参加して、「太陽光発電」「土地」「土木・構造」の3つのワーキンググループに分かれて詳細が検討されました。
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評価方法は、1次評価と2次評価の2段階形式となっています。1次評価は形式確認、目視確認など比較的簡単に実施できる評価で、2次評価は実態確認、検査確認などさらに詳しく調査する評価となっています。評価の目的などに応じて、両方あるいはどちらか一方を選択することになります。
評価ガイドはさまざまな場面で利用されることを想定しています。以下は、利用場面のイメージです。
このように、評価ガイドをうまく活用することによって、太陽光発電の長期的で安定した稼動に役立つ適正なメンテナンスや再投資の促進、中古市場の活性化など、実現されることが期待されます。評価ガイドを活用していくためには、発電事業者だけでなく、関連する多くの業種・関係者への周知をはかることが大切です。事務局のJPEAを中心に、今後セミナーや研修などの開催を通じて、評価ガイドの普及をめざしていきます。
省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー課
長官官房 総務課 調査広報室
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