1983年、ポール・ジョスコウ&リチャード・シュマレンシーが執筆した『Market for Power』がマサチューセッツ工科大学から発行されました。彼らはその著作の中で、インフラを支えるネットワークの部分は規制が必要かもしれないが、市場に参加する企業すべてがネットワークを公平に利用できるようにすれば、インフラ事業を市場に任せても適正な競争が成り立つ可能性があると主張したのです。実際に、米国では、北東部地域で卸電力市場を形成していた「PJM」という機関のように、大規模な電力市場が早くから存在し、さまざまな事業者がそこで電力取引をおこなってきました(PJMは、現在は卸電力市場運営に加えて送電線運用もおこなうPJM-ISOとなっている)。