日本主導でスタートした、“世界エネルギー・環境イノベーションフォーラム”「ICEF」

第5回ICEF(アイセフ)集合写真

世界的に進む気候変動問題の解決に向けて、エネルギー・環境分野のイノベーションを促進するために発足したICEF(アイセフ/Innovation for Cool Earth Forum)。日本主導でスタートしたこの会議について、その意義と活動内容についてご紹介します。

イノベーションを加速し気候変動に立ち向かう

ICEFは、世界の産学官のリーダーが一堂に会して、技術イノベーションによる気候変動対策を話し合うことを目的に、2014年に発足しました。もともとは、2013年1月の第3回「日本経済再生本部」において、安倍総理が「技術で世界に貢献していく、攻めの地球温暖化外交戦略を組み立てること」を提唱したことがきっかけです。

安倍総理の発言を受けて、同年11月、内閣に設置された「地球温暖化対策推進本部」において、「美しい星への行動」を意味する、攻めの地球温暖化外交戦略「ACE(エース/Action for Cool Earth)」を公表。この中で、イノベーションの加速によって地球温暖化問題を解決するため、世界の産学官トップが一堂に会して議論する「世界エネルギー・環境イノベーションフォーラム」を、日本が主催して毎年開催することが発表されました。これが現在のICEFです。

2014年度からは経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主催、外務省と環境省が共催となって、ICEFの年次総会がおこなわれています。メイン会場でおこなわれる「本会議」では、イノベーションの促進に向けた課題や将来戦略を、各国の政府・国際機関、学術界や産業界のリーダーが集まって議論します。また、「分科会」では、特定の技術分野などについて、世界の第一人者が意見を交わします。世界の多様な意見を反映するため、12ヶ国の有識者17名からなる運営委員会が設置されており、本会議や分科会の議論テーマを決めています。

第5回となる2018年の総会は、2018年10月10日~11日に東京で開催され、約70の国・地域からエネルギー・環境分野にかかわる有識者1,000人以上が参加しました。

2018年総会の写真

次回は、2019年10月9日~10日に東京で開催される予定です。

詳しく知りたい
「ICEF」ウェブサイト

2018年に提言されたステートメント

2018年の第5回年次総会「ICEF2018」は、「Driving Green Innovation(グリーン・イノベーションを引き起こす推進力)」をメインテーマに開催されました。

本会議では、金融部門と製造部門の連携、輸送手段の転換、CO2のネット・ゼロ・エミッションに向けた取り組みについて話し合われました。また分科会では、SDGs(持続可能な開発目標)や再エネマイクログリッドなどの社会イノベーション関連の話題や、IoTやCCUSなどの技術イノベーション関連の話題といった幅広いテーマについて議論されました。

こうしたセッションで議論を深めたのち、ICEF運営委員会が世界に向けて発信した提言が「ICEF2018 運営委員会ステートメント」です。依然として増え続ける世界のCO2排出量に対して、今後どのようなアクションが求められているのかをまとめています。

ステートメントには、経済成長と気候変動対策の好循環が求められていること、企業や投資家主導のイノベーションによる対策の活発化、公的機関および産業セクターの今後必要とされる役割が述べられています。公的機関および産業セクターが今後とるべき具体的な対策として挙げられているのは、以下の3つのキーアクションです。

リストアイコン アクション1. グリーン成長に貢献する技術・製品・サービスへの投資を促進する
リストアイコン アクション2. 脱炭素化技術のイノベーションを加速するために、企業と消費者を巻き込む
リストアイコン アクション3. イノベーション成果の普及に向けた協力的取組を国際化する

これからの技術革新に貢献するために

さらに、毎年のフォーラムでは、エネルギー・環境分野の優れたイノベーションを選出するイベント「トップ10イノベーション」もおこなわれています。2018年は、「先端シーズ研究」と「ビジネスモデルの転換」という2つのカテゴリーから、運営委員を含むワーキンググループが28件の候補を選定。その後、ICEF2018参加者の投票によって、大阪大学の「水素を高効率で生成する新たな光触媒の開発」など、注目度の高い10件がトップ10イノベーションとして選ばれました。

日本を含む世界の幅広い分野から選ばれたトップ10は、これからの社会変革への貢献が期待できる最新の技術開発やビジネスモデルばかりです。

また、鍵となる革新的技術を活用して、クリーンエネルギーに移行するためのロードマップも作成しています。このロードマップは、産学官の視点に立って現実的な道筋を見つけ出し、すべてのステークホルダーの活動に役立つことを目的につくられています。年次総会で素案が提示されたあと、総会での議論や有識者のレビューコメントを反映して作成されます。2018年のロードマップは「CO2直接空気回収」について作成され、2018年末に開かれたCOP24(気候変動枠組条約第24回締約国会議)の公式サイドイベントや、ジャパンパビリオンでのサイドイベント(「2050年にめざすべきは、エネルギー産業とモビリティ産業の融合」―竹内純子 氏(後編)参照)でも報告されました。

ほかにも、ICEFの成果は、上海やロサンゼルスでおこなわれたエネルギー関連イベントや、東京で開催された「エコプロ展」などで報告されています。

2015年のCOP21で合意された「パリ協定」にもイノベーションの重要性が明記されるなど、近年、エネルギー・環境分野のイノベーションがますます期待されています。

ICEFのミッションは、毎年のフォーラムにおいて参加者間の議論と協力を促進し、参加者にとどまらず、より広範囲の人々に向けてエネルギー・環境技術におけるイノベーションを発信することです。今後も国際的なプラットフォームとして、さらなるイノベーションの加速に貢献していくことを目指しています。

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