エネルギーと環境を考える、G20初の合同会合~日本主導で合意した“協働”の中身とは?

エネルギーと環境を考える、G20初の合同会合~日本主導で合意した“協働”の中身とは?

2019年6月28日~29日、37の国や国際機関が参加し、日本が議長国となって開催された国際会議「G20 大阪サミット」。関連してエネルギー分野でも、「G20 持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」がおこなわれました。G20でエネルギー分野の閣僚と環境分野の閣僚が一堂に会する会議が開かれたのは、初めてのことです。どんなことが議論されたのか見てみましょう。

エネルギー分野と環境分野が初の合同会合で、気候変動の問題を議論

「G20 持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」は、G20開催に先駆けた6月15日~16日、長野県軽井沢町で開催され、25ヶ国・地域と16の国際機関が参加しました。会合は経済産業省と環境省の共催によるもので、日本の経済産業大臣と環境大臣が共同議長をつとめました。

なぜ、エネルギー分野の閣僚と環境分野の閣僚が集まったのでしょう?それには、エネルギーや環境をめぐる世界情勢の大きな変化が関係しています。地球温暖化問題は早急に対応すべき世界的な問題となっており、その解決のためには、CO2排出量が多いエネルギー部門で、排出量を減らす取り組みが必要です(エネルギーを起源とするCO2については、「『パリ協定』のもとで進む、世界の温室効果ガス削減の取り組み②~日本の目標と進捗は?」などを参照)。

一方で、エネルギーは経済成長に欠かせないものです。世界の経済成長を支えるためには、安価で安定的なエネルギーを確保していく取り組みが必要となります。

こうしたことから、G20でも、エネルギー分野と環境分野が連携して課題を議論し、国際的に協働することとなりました。合同会合では、協働に向け、どのようなことが合意されたのでしょうか?

米国を含む多様な国々が、ひとつの声明で合意

皆さんは、こうした国際会議において、文書や声明が採択されたというニュースを聞いたことがあるでしょう。この文書や声明、簡単に聞こえますが、立場のちがう参加者が妥結できるポイントを探るという作業はとても大変なことです。

エネルギー分野でも、新興国と先進国、エネルギー産出国とエネルギー消費国など、各国で状況は大きく異なり、エネルギー政策も大きく異なります。たとえば、下の表は、CO2を排出しない電源(電気をつくる方法)「ゼロエミッション電源」が電源全体で占める比率と、一次エネルギーの需要増というCO2排出量に関わる2つの指標に基づいて、G20各国をマッピングしたものですが、それぞれ大きく異なる状況にあることがわかります。

中国・インド・トルコといった新興国は、経済成長にともなって一次エネルギー需要を増やしていますが、ゼロエミッション電源比率は高くありません。これは、増え続けるエネルギー需要に対応するためには、安価な石炭を含む化石燃料による火力発電に頼らざるをえないためです。一方、G7各国は一次エネルギー需要を抑制していますが、ゼロエミッション電源比率では、日本や米国は比較的低い数値に、原子力発電の利用率が高いフランスや水力発電の利用率が高いカナダはゼロエミッション電源比率も高い数値になります。

このように多様な国々の間で合意をとるには、表現ひとつひとつに対して細かな合意を積み重ね、文書をまとめることが求められます。

今回の合同会合では、時には大臣自ら交渉をおこなうなど各国間との調整に努めた結果、議論の内容をまとめた「コミュニケ」および「G20 軽井沢イノベーションアクションプラン」など3つの付属文書が採択されました。

コミュニケでは、気候変動をはじめとする環境問題について地球規模で取り組むことの緊急性、「エネルギー」と「気候変動」の緊密性、長期戦略を取ることの重要性が言及されました。これは、G20全体として初めてのことです。また、解決のための具体的なアクションに取り組むことが言及されたのも画期的なことで、気候変動に関してよりいっそう踏み込んだメッセージを発することができました。

特に、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組み「パリ協定」(「今さら聞けない『パリ協定』~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~」参照)については、2017年に米国が脱退を表明し、気候変動問題への取り組みに関する差異が生じていました。しかし、今回のコミュニケでは、米国も一体となったメッセージを発信することができたのです。

日本が掲げたコンセプト「環境と成長の好循環」に各国が合意

エネルギーと環境の合同分野での議論では、「環境と成長の好循環」というコンセプトと、それを支える3本柱である「①イノベーション」「②民間資金の誘導」「③ビジネス環境整備」の重要性について、G20全体で合意され、コミュニケに盛り込まれました。このコンセプトは、日本が、CO2排出量削減のための戦略として2019年6月11日に閣議決定した「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」でも盛り込まれていたものです。

さらに、具体的なアクションとして、「G20 軽井沢イノベーションアクションプラン」が合意されました。また、上記の3本柱に関しては、各国が自発的に政策を登録することについても合意がなされました。

「G20 軽井沢イノベーションアクションプラン」で合意された3本柱の具体的なアクション
①イノベーション
エネルギーと環境に関するG20各国の主要な研究開発機関にいっそうの国際連携を促すための国際会議「RD20(Research and Development 20 for clean energy technologies)」の設立

②民間資金の誘導
資金循環を図るため、産業界と金融界のグローバルな対話を促進

③ビジネス環境整備
革新的な技術の普及などを図るためにビジネス環境を改善

エネルギー転換と安全保障、イノベーション推進でも合意

エネルギー分野では、3E+S(エネルギー安全保障、経済効率性、環境、安全)を実現する、各国の事情に応じたエネルギー転換を推進していくことで合意しました。また、エネルギー安全保障については、2019年6月に起きたホルムズ海峡でのタンカー攻撃事件など最近の動向を踏まえ、その重要性があらためて確認されました。

エネルギー転換の推進力となるさまざまなエネルギー分野でのイノベーション推進については、水素(「カーボンフリーな水素社会の構築を目指す『水素基本戦略』」参照)や「CCUS」(「知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~CO2を集めて埋めて役立てる『CCUS』」参照)、「カーボンリサイクル」など、日本が注力する分野でのイノベーション推進の重要性を、各国と共有することができました。

また、以下の重要性についても意識を共有しました。

リストアイコン グローバルな省エネルギーの推進のため、日本が「自動車新時代戦略会議」でも示した(「『xEV(電動車)』の世界展開を核とした2050年の長期ゴール~『自動車新時代戦略会議』中間整理発表」参照)、「Well to Wheel(井戸から車輪まで)」の観点から自動車のCO2排出量分析を進める
リストアイコン 再生可能エネルギーの普及拡大と電力系統を安定化させる技術の推進
リストアイコン 原子力イノベーションや、原子力発電に燃料として使用した核廃棄物の最終処分分野に関する「国際ラウンドテーブル」(会議)の立ち上げ
リストアイコン 「低炭素電源」(電気をつくる方法のうち、CO2排出量の少ないもの)への投資促進
リストアイコン 火力発電の高効率化
リストアイコン 天然ガス市場の発展

なお、水素については、2019年6月14日、経済産業省は国際エネルギー機関(IEA)、水素協議会と連携し、「G20 IEA 水素レポートローンチイベント」を開催。日本から要請を受けてIEAが作成していた、IEA初の水素エネルギーに関する包括的レポートが発表されました。

エネルギー分野と環境分野が抱える問題は、各国が国の境を越えて協働しながら取り組むべき問題です。今回の合意を活かし、多様な国々のバランスを取りながら、連携を推進していきます。

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