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皆さんは、最近TVや新聞で「FIT法改正」の話題を目にしたことがあるのではないでしょうか。FITとは「固定価格買取制度」のことで、太陽光発電のような再生可能エネルギー(再エネ)で発電した電気を、国が決めた価格で買い取るよう、電力会社に義務づけた制度です。この法律改正が自分にどんな影響をもたらすのか、ピンと来ないかもしれません。でも、実は買取にかかった費用の一部は国民の電気料金に上乗せされていると聞けば、法律改正でそのしくみがどのように変わるのか、がぜん気になってくるのではないでしょうか?
FITが創設されたのは、2012年7月のこと。再エネ発電は火力などほかの発電にくらべて発電コストが高く、なかなか導入が進まない原因になっていました。そこで、再エネ発電の電力を、ほかの電力よりも高値で買い取ることで、再エネ発電をおこなう事業者を増やし、再エネの導入を広めることを狙ったのです。買取費用は、電力会社が買い取った再エネの量に応じて、電気料金を通じて国民が広く負担することとなっています(再エネ賦課金)。再エネの導入を進めると同時に、技術開発を進めるなどしてその発電コストを安くしていくことが重要です。制度開始で、たくさんの事業者が再エネ発電に乗り出し、ソーラーパネルがずらりと並ぶ風景を目にすることも増えました。再エネの導入はどんどん進み、2016年には、2012年と比較して約2.5倍という導入量に達しています。
しかし、さまざまな課題も起こっていました。たとえば、太陽光発電に導入がかたよっていることや、FITの認定を受けたのに発電を始めないケースが30万件以上もあるなどの課題です。発電を始めない事業者が増えると何が問題になるのでしょう?FITによる買取価格は、認定時の太陽光パネルの価格などをもとに設定されています。もし、認定を受けて買取価格を確定させたまま発電を始めない事業者がいると、たとえそのあいだに太陽光パネルの価格が安くなっても、高い買取価格が維持されてしまい、結果的に、国民の負担を減らす機会をうばうことになりかねません。事業者が安定的で効率的な発電事業をおこなうことは、再エネ導入拡大のためにはもちろん、国民の負担を抑えるためにも求められることなのです。
そこで、2017年4月から施行された「再生可能エネルギー特別措置法の一部を改正する法律(改正FIT法)」では、さまざまな対策が打ち出されました。たとえば、新しい認定制度をつくり、設備を確認する方法から、事業計画を確認する方法に変えることで、きちんとしたメンテナンスなどを事業者に求め、安定的な運転がおこなわれるようなしくみが設けられました。また、FIT認定を受けて一定期間が過ぎても発電を始めない事業者は買取期間が短縮されるなど、事業者に責任をもって発電をおこなうよう促すルールが設けられました買取価格についても、発電にかかる費用だけでなく、将来的に目指すべき電力価格を「買取価格目標」として考えあわせた上で決められることとなりました。たとえば、住宅用の太陽光発電の買取価格では、2019年には家庭用電気料金並みの低価格に抑えていくことを目指しています。さらに、大規模な太陽光発電については入札制度を導入して、事業者に競争を促し、国民の負担を抑えることを狙っています。再エネの導入を増やすことは、温室効果ガスの排出を減らし、資源が少ない日本でエネルギー自給率を向上させることにもつながります。今回のFIT法改正は、未来のエネルギー利用の理想像を見すえて、国民の負担を抑制しつつ、再生可能エネルギーの導入をさらに拡大していくための対策なのです。
省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー課
長官官房 総務課 調査広報室
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