これからの需給バランスのカギは、電気を使う私たち~「ディマンド・リスポンス」とは?

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いま、日本の電力ネットワークは新しいカタチへと変化しています。電力小売全面自由化により消費者ひとりひとりが契約先やサービスを選べるようになったり、再生可能エネルギー(再エネ)が増えて電気のグリーン化が進んだり…。そうした変化の中で重要性が高まっているのが、私たち「消費者(需要家)」の存在です。今回は、新しい電力ネットワークの中で生まれている私たちの新しい“役割”について、中でも最近話題の「ディマンド・リスポンス(DR)」についてご紹介しましょう。

新しい電力ネットワークのカタチと課題

電気は、つくる量と消費する量が、いつも同じ量でなくてはなりません。その量が常に一致していないと、バランスが崩れ、大規模な停電につながる恐れがあります。

そのため、電力会社はあらかじめ「発電計画」を作って、これをベースに電力需要の変動に合わせて発電する量を変えています。つまり、たくさん電気が使われると予想される時には多くの量を発電し、電気があまり使われないと予想される時には発電量を抑えるよう、コントロールしているのです。

この時、電気は大量に貯めることができないためその日その時間に使われる電気は、そのつど発電して供給されています。そのため、どこかの発電所が急なトラブルで電気をつくれなくなると、発電量が不足し、需給バランスがくずれる恐れがあります。

そんな中、このところ話題の「カーボンニュートラル」(「『カーボンニュートラル』って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?」参照)に向けた動きにともない、再エネの導入が加速するなど、電力ネットワークのカタチには大きな変化が生まれてきています。

これまでの電力ネットワークは、経済性にすぐれた大規模な電源(電気をつくる方法)を、各エリアの大手電力会社が一括で運営し、送電するカタチでした。また、主な電源は、日々の計画や実際の需要にあわせて発電量を調整しやすい原子力発電や、液化天然ガス(LNG)や石油・石炭といった化石燃料を使う火力発電などでした。

これまでの電力ネットワーク
これまでの電力ネットワークは、大手の電力会社が集中的に発電し需要家に供給するものだったことを示した概念図です。

集中型・一方向の供給

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一方、新しい電力ネットワークは、電力小売全面自由化によりさまざまな企業が加わり、「発電」や「小売」のプレーヤーが多様化しています。電源にも、再エネや、小規模な電源、あるいは需要家の自家発電設備やコージェネレーションシステム(例:ガスを使って熱と電気をつくる「エネファーム」)などが加わりました。つまり、「分散型」電源が、大規模な電源と共存するカタチがつくられようとしています。

これからの新しい電力ネットワーク
これからの電力ネットワークは、さまざまな電力会社がそれぞれの電源で分散的に発電し需要家に供給、需要家も自身が持つ電源で送電等を行う双方向型であることを示した概念図です。

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この新しい電力ネットワークのカタチは、再エネや分散型電源を有効に活用できるメリットはあるものの、変化にともなって、これまではなかった課題がうまれています。そのひとつが、再エネの「変動性」です。

再エネは天候などによって、発電量が大きく変わります。そのため、刻々と変わる天候と発電量にあわせた、細やかな需給コントロールが必要になっているのです。再エネは年を追うごとに導入量が拡大しているため、変動量も増大しています。

私たちにもできる需給バランスの取り組み、「ディマンド・リスポンス(DR)」

電力会社は、万が一にそなえ、発電するチカラに余裕をもたせたり、発電用ダムの水をくみ上げて余った電気を使ったりする取り組みをおこなっています。しかし、再エネが増えていることで発電量の変動も大きくなっている中、電力会社のこれまで通りの取り組みだけで需給バランスをとっていくのは難しくなる場合もあるかもしれません。

そこで期待されているのが、新しい電力ネットワークの一員である電力の消費者(需要家)が、需給バランスをたもつ取り組みに関わる方法です。そのひとつが「ディマンド・リスポンス(DR)」です。

DRとは、電気を使う私たち需要家が、使う量や時間をコントロールすることで、電力需要のパターンを変化させることです。

電力は、冷房や暖房、照明などの利用が多くなる日中に需要が高まるのが一般的です。一般的な電力需要パターンのグラフでも、日中にカーブが高くなっています。私たちひとりひとりが電気の使用量や使用時間を変えることで、この需要のパターンを変えることができます。

日本の冬の一般的な電力需要パターン
一般的な冬の電力需要パターンを、北海道、沖縄、それ以外に分けて示した図です。

(出典)「冬季の省エネ・節電にご協力ください」掲載「冬季の省エネ・節電メニュー(ご家庭の皆様)」

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たとえば、電力がたくさん使われる時間帯や、太陽光発電の発電量が少なくなり、需給が逼迫しやすい時間帯(夕方15時~18時頃)に、私たちが電気を使う量を減らせば、ピークの山の高さを低くする、つまり需要量を抑えることができます。

こうした需要量を減らす取り組みは、「下げDR」と呼ばれます。2022年の夏は、みなさんも節電の呼びかけに応じ、冷房温度を高めにするなどの取り組みをおこなったのではないでしょうか。これも「下げDR」です。また、 自宅の蓄電池にためていた電気や、コージェネレーションシステムなどの自家発電設備を使うことで、電気が足りない時間に電力会社からの電力供給を抑制することも、「下げDR」の一種です。

一方、「上げDR」は、春・秋の昼間のように、再エネ(太陽光)がたくさん発電する一方で電力需要は比較的小さい場合など、発電量が需要量を上回ってしまう時に必要となります。余りそうな電気を有効活用するために、たとえば、夕方から夜の時間ではなく、昼の時間に電動車のバッテリーや蓄電池の充電をするなど、電気の需要を時間をずらして生み出すことで、需給バランス確保に役立てる方法があります。

下げDRと上げDRを示した概念図です。

「上げDR」が機能すれば、時に需要以上に発電してしまう再エネの電気を、余すところなく活用できます。このように、DRは限りあるエネルギー資源がなくなってしまうことを防ぐため、エネルギーを効率よく使うこと(省エネルギー)に貢献するものでもあることから、「カーボンニュートラル」達成にも役立つでしょう。

分散化やIoTで、私たちもDRへの参加が可能に

これまでも、DRは、工場の稼働時間のシフト(下げDR)、止めていたラインの稼働(上げDR)など、企業でおこなわれていました。「インセンティブ型」と言われる、ピーク時などに節電することをあらかじめ電力会社と約束しておくDRは、家庭=小口需要家への適用がむずかしいとも言われてきました。

しかし、電力ネットワークが「分散型」になり、IoTを活用した「双方向性」が生まれつつある今、電力会社も家庭を対象としたDRメニューやキャンペーンを始めています。以下のサイトに、DRメニューがあったりキャンペーンをおこなったりしている電力会社が掲載されています。

みなさんも上記サイトをチェックして、DRに取り組んでみてはいかがでしょうか?

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