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「電力需給がひっ迫しているため、無理のない範囲で節電に協力してほしい」。そんなニュースを見た時、みなさんはどんな節電対策をおこなっていますか?「協力したいので、何をしたらいいのかもっと詳しく伝えて」「日ごろから節電はしているけど、これ以上どうすればいいの?」と感じている方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、節電・省エネルギー(省エネ)に役立つ暮らしのヒント、Tipsをご紹介します。ひっ迫している時でなくても、このTipsを活かして電気をかしこく使えば、電気代を節約できるかも?
まずは、電気がたくさん使われる時間帯がいつごろかを見てみましょう。下の図は、夏における、日本の電力需要の傾向を示したグラフです。「家庭用」は一般家庭を、「大口」「小口」はどちらも企業など事業者を示しています(契約電力が500kW以上かどうかで分かれる)。これらを足した「総需要」の線を見ると、北海道、沖縄、それ以外のエリアで需要カーブのかたちは少しずつちがうものの、13:00-17:00ごろの日中に電力需要が高まることがわかります。
夏の電力需要
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一方で、「家庭用」と、「大口」「小口」の事業者では、カーブのカタチが異なることに注目です。「家庭用」では、どのエリアでも、18時ごろの夕方から夜にかけてピークがおとずれています。夕方から夜は、暗くなったので電気をつける、帰宅してエアコンを動かす、夜ご飯を用意する…など、家庭での電気の使用が増える時間帯であるためです。夏の19時ごろにおける、一般的な各家庭での電気の使用割合は、次のグラフのようになっています。
夏の点灯帯(19時ごろ)の電気の使用割合の例
ここでひとつ問題があります。現在、日本の「一次エネルギー供給」の12%(2019年度)を占めている再生可能エネルギー(再エネ)のうち、太陽光発電は、日が沈む夕方~夜にかけて発電量が大きく下がるのです。
太陽光発電カーブ
そのため、夕方から夜(17:00-20:00ごろ)にかけては、特に電力需給がきびしくなる傾向にあります。ニュースなどで、夕方から夜が“節電が必要な時間帯”と言われることが多いのは、このためです。
ここからは、具体的な節電・省エネのTipsをご紹介しましょう。ひとつひとつは小さなことに感じられるかもしれませんが、こつこつと積み重ねることで節電・省エネ効果を生み出すことができます。なお、「節電効果(消費電力の削減率)」は、19時ごろの家庭の電力使用量に対する節電効果の概算値です。地域・時間帯によって節電効果は変動します。
まずは、節電しよう!と思った時にすぐ実行できる対策をご紹介しましょう。
よく知られているように、室内の冷やしすぎ(温めすぎ)に注意し、無理のない範囲で室内温度を上げる(下げる)方法が有効です。たとえば夏、エアコンの室内温度を26℃から2℃上げると、1.6%~5.4%の節電効果があります(熱中症に注意し、無理のない範囲で温度調整をおこなってください)。また、エアコンの目詰まりしたフィルターを清掃すると、エアコンの効率があがり、0.6%~1.9%の節電につながります。
このほか、夏はすだれやよしず、カーテンなどを使って窓からの直射日光を防ぐことも、室内の温度を低く抑えることに役立ちます。
人がいない部屋などの不要な照明を消しましょう。1.5%~2.3%の節電効果が得られます。また、リビングなど部屋の照明の明るさを下げることも効果的です。これにより2.5%~3.9%の節電効果が得られます。
冷蔵庫も、さまざまな工夫で節電することができます。冷蔵庫内にある温度設定をするためのつまみやボタンを「強」から「中」にしたり、扉を開ける時間を減らしたり、食品を詰め込みすぎないようにすることなどです。これにより1.2%~1.8%の節電効果が得られます。さらに、冷蔵庫と壁との間に適切な間隔を空けておくことも省エネにつながります。冷蔵庫は、庫内を冷やすために使った熱を背面や側面などから排出していますが、この放熱をスムーズにおこなうことが、ムダな電気の消費を防ぐことにつながります。
見ている時でも、「省エネモード」に設定して輝度(画面の明るさ)を下げれば節電になります。もちろん、見ていない時は電源をオフにしましょう。これで1.8%~3.0%の節電となります。
洗濯する時は容量の8割以上を目安にしてまとめ洗いをおこない、使う回数を減らしましょう。0.4%~1.1%の節電効果が得られます。また、衣類乾燥機・浴室乾燥機は、部屋干しも取り入れて使用時間を短くすることにより、0.4%~0.7%の節電となります。
よく知られるようになった「待機電力」の対策も効果的です。テレビやパソコン、プリンターなどは、本体の主電源を切ったり、長時間使わない時はコンセントからプラグを抜いて待機電力をゼロにしましょう。0.5%~0.8%の節電効果がもたらされます。
また、温水洗浄便座がある場合は、温水のオフ機能やタイマー節約機能などをかしこく使う、機能がない場合は使用しない時にコンセントからプラグを抜くことで、0.2~0.6%の節電効果が得られます。
ここからは、少し時間はかかるものの、節電・省エネに確実に役立つTipsをご紹介します。
LED電球は、蛍光灯や白熱電球よりも消費電力をおさえることができます。家の電球を見直して、変えられるところはLEDに変えていくと節電・省エネに効果的です。また、電気機器は年々省エネ力がアップしているものが開発されています。家にあるのが古いエアコンなら、新しい省エネエアコンに買い替えるのも節電・省エネに役立つ対策のひとつです。
家の断熱性を高めることも、節電・省エネに効果をもたらします。たとえば、窓ガラスを複層ガラスにすることで断熱性を高めれば、冷房や暖房の効きがよくなり、外の暑さや寒さが中に伝わりづらくなります。
この機会に、ライフスタイルを見直してみるのもいいかもしれません。たとえば、家族そろってリビングで過ごすことで、人のいない部屋の照明・エアコンを消すなどすれば、節電・省エネにつながります。仮に350Wでエアコンを2台運転している場合、1台に絞れば約30%の節電効果となります。
また、掃除機の紙パックがいっぱいになったらすぐ交換するクセをつける、パソコンは省電力設定で使うといった、日常のちょっとした対策も、積み重ねれば節電・省エネにつながります。
さらに、ガスの省エネも意識したいところです。お湯の出しすぎに注意する、お風呂は追い焚きが必要ないよう間隔を空けずに入る…といった給湯・お風呂での工夫や、鍋を火にかける時にはふたをするなど調理での工夫が役立ちます。最後に、消費電力が大きい家電製品をご紹介しておきましょう。電力需給がひっ迫した時には、無理のない範囲でこれらの家電の使用をひかえると節電に役立ちます。
職場などでも、できる対策があります。オフィスやスーパー、飲食店、学校、医療機関、工場…と職場によって電力消費カーブや電力消費の内訳は異なるため、対策もさまざまですが、共通する節電・省エネ対策としては以下のものがあげられます。●可能なかぎり照明を間引きする●室内の冷やしすぎ(温めすぎ)に注意し、無理のない範囲で室内温度を上げる(下げる)●使用していない部屋の照明や空調は停止するほかにも
などの対策が節電・省エネに効果的です。そのほかの対策については、下記のサイトのパンフレットで詳しく紹介されています。
暑さや寒さは命にもかかわる場合があるため、過度な節電・省エネにより体調をくずさないよう十分に気を付けながら、ちょっとした対策を積み重ねることで節電・省エネをおこないましょう。
省エネルギー・新エネルギー部 省エネルギー課
長官官房 総務課 調査広報室
※掲載内容は公開日時点のものであり、時間経過などにともなって状況が異なっている場合もございます。あらかじめご了承ください。
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