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エネルギー政策でもっとも大事な点は、「安全性(Safety)」を前提とした上で、「エネルギーの安定供給(Energy Security)」を第一に考え、「経済効率性(Economic Efficiency)」の向上、つまり低コストでのエネルギー供給を実現し、同時に「環境への適合(Environment)」を図ることにあります。この「3E+S」の追求は、各国のエネルギー政策に共通しています。さまざまなグラフを通して、世界各国の「3E」の状況を見てみましょう。3回目は、ひとつめの「E」である「エネルギーの安定供給(Energy Security)」に関わる、各国の「停電時間」をくらべてみましょう。
「グラフで見る世界のエネルギーと『3E+S』安定供給① ~各国の自給率のいま」でご紹介したように、エネルギーを安定的に供給するためには、「エネルギー源となる燃料などを安定的に調達する」ことと、「継続的にエネルギー供給を確保する」ことが必要となります。このような「エネルギーの安定供給」において、世界各国がどのような状況にあるか、比較する場合に役立つのが、①エネルギー自給率、②エネルギー輸入先の多様化、③停電時間、という3つの指標です。これまで、「自給率」「エネルギー輸入先の多様化」について見てきましたが、この2つは「調達」という側面に注目した指標でした。一方で「停電時間」は、「継続的にエネルギー供給を確保する」という、調達したエネルギーを「供給」する側面に注目し、その安定性を評価する指標となります。いくらエネルギーを安定的に調達できても、エネルギーを実際に利用者へ届け使用してもらう段階で問題が起こってしまえば意味がありません。そのような各国のエネルギー供給状況を、「1年間」で「需要家(利用者)1軒あたり」平均して「どのくらいの時間停電しているか」という、平均停電時間(以下「年間停電時間」)の数字を手がかりに掴もうというものです。
年間停電時間という指標で、国際比較をしたグラフがこちらです。大規模な自然災害などによる一時的な数値の上昇を除くと、日本とドイツがもっとも短く、10~20分程度となっています。
主要国の年間停電時間の推移
(出典)海外電気事業統計2017、海外電力調査会、電気事業のデータベースより資源エネルギー庁作成
2010年度に東日本大震災が起こり、その余震による停電(計画停電を含む)が発生したため、年間停電時間は長くなりました。しかし、それ以外の年間停電時間の平均は約20分と、ほとんど停電が起きていません。このことから、エネルギーの利用者から見た安定供給の質は、世界的に見ても高いことがわかります。
停電時間は年ごとにバラツキが大きいものの、いずれも100分超となっています。2011年には、送電網で発生したトラブルによる停電が、カリフォルニア州南部とアリゾナ、メキシコにまたがる広範囲で起こりました。その影響は140万世帯にもおよびました。また、翌2012年には、ハリケーン・サンディによる地下変電施設の浸水・送電線の倒壊による大きな停電がありました。
2009年に暴風雨に見舞われ、南部で100万世帯以上が停電しました。2009年以外の年間停電時間の平均は67分であり、日本の約3倍となっています。
大きな停電は近年起きていませんが、年間停電時間の平均は73分となっており、フランスと同程度となっています。
日本と同様、年間停電時間が平均で約20分と、安定的に供給されています。
*****このように比較してみると、供給に関する安定性は、同じ先進国でも国によって大きく異なっていることがわかります。次回は、2つ目の「E」である「経済効率性(Economic Efficiency)」についてご紹介します。
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