ガソリンに代わる新燃料の原料は、なんとCO2!?

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日本では、2030年代半ばには、販売される新車がすべて電動車(電気自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車)になります。これは、2050年までの「カーボンニュートラル」実現に向け、CO2排出量を削減するための政策のひとつです。とはいえ、日本国内の車がすべて電動車に置きかわるのはまだまだ先の話。当面、エンジンで動く車が街中を走る状況は続きます。そんなエンジン車から排出されるCO2を削減する方法はないのでしょうか?実は、それを可能にする新たな燃料の研究開発が現在、急ピッチで進んでいます。

脱炭素をめざし、合成燃料が開発中

開発が進められているのは、「合成燃料」という、ガソリンに代わる燃料です。その原料は、なんとCO2。「e-fuel」とも呼ばれ、すでに排出されたCO2を回収して有効活用しようという「カーボンリサイクル」(「未来ではCO2が役に立つ?!『カーボンリサイクル』でCO2を資源に」参照)の試みのひとつです。

実際のところ、合成燃料もガソリンと同じく、燃焼時にはCO2を排出します。しかし、合成燃料はCO2を回収してつくったものであるため、排出量が回収量と相殺されることで、「差し引きゼロ」とカウントされます。だから、エンジン車であっても合成燃料を使用すれば、CO2排出がゼロになるというわけです。

別の言い方をするなら、合成燃料は製造から使用までトータルでみたときに“大気中のCO2を増やすことがない”燃料。つまり「カーボンニュートラル」な燃料ということになるのです。

合成燃料は、CO2と水素からつくられる

合成燃料は、CO2にH2(水素)を合成して製造されます。

原料となるCO2は、発電所や工場などから排出されたものが使われています。将来的には、研究中の「DAC(Direct Air Capture)」と呼ばれる技術を使って、大気中にあるCO2を直接(Direct)回収して利用することも想定されています。

一方、もうひとつの原料の水素については、再生可能エネルギーを使いCO2排出なしでつくられた「グリーン水素」(「次世代エネルギー『水素』、そもそもどうやってつくる?」参照)を使うことが想定されています。

これら原料の水素とCO2は尽きる心配がない資源であるため、サステナブルに製造ができるのが、合成燃料の大きな特徴です。また、原油とくらべて含まれる有害物質の量が少ないことから、燃焼時にもよりクリーンな燃料だといえるのです。

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