ALPS処理水の海洋放出から1年。安全性の確認とモニタリングの状況は?
SAF製造に向けて国内外の企業がいよいよ本格始動
飛行機もクリーンな乗り物に!持続可能なジェット燃料「SAF」とは?
目前に迫る水素社会の実現に向けて~「水素社会推進法」が成立 (後編)クリーンな水素の利活用へ
COP27の様子 "UNFCCC_COP27_6Nov22_SimonStiel_KiaraWorth-2" by UN Climate Change is licensed underCC BY 2.0
ニュースでよく聞く「COP(コップ)」。世界各国が集まる会議だとは知っているけど、具体的に何を話していてどんなことが決められているのか、詳細は知らないという方もいるのではないでしょうか。知っているようで知らない「COP」、中でも「気候変動に関するCOP」について、基本的な知識から知っていると自慢できるウンチクまでご紹介します。
COPとは「Conference of the Parties」の略。「the Parties」は「当事者」という意味で、契約書では「契約を交わした当事者」という使われ方をします。すなわち、直訳すれば「契約を交わした当事者たちの会議」。正式には当事者が国・地域になりますので「締約国会議」と訳されます。もっともよく耳にする「COP」は、「気候変動に関する国際条約」のCOPでしょう。それ以外にも、「生物多様性に関する国際条約」のCOP、「干ばつによる砂漠化を防ぐための国際条約」のCOPなどがあります。
COPのテーマである「気候変動に関する国際条約」とは、1992年に採択された「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」です。2023年11月現在で198か国・地域が締結しています。「国連気候変動枠組条約」の究極の目的は、大気中のCO2などの「温室効果ガス(GHG)」の濃度を安定させること、そして地球温暖化がもたらすさまざまな悪影響を防止することです。そのため、すべての締約国に対し、「GHG排出量と吸収量を目録にまとめる」「具体的対策をふくむ計画を作成、実施する」ことなどを義務づけています。さらに先進国に対しては、温暖化防止政策を実施すること、途上国に対して対策のための資金や技術を提供することなどがさだめられています。一方で条約の中では、GHGをいつまでにどのくらい削減するといった、具体的な義務はさだめられていません。そこで毎年開催されるCOPで、義務となる削減量、目標年度、方法などが議論されているのです。ニュースでよく取り上げられる「パリ協定」とは、この、具体的な目標などを記した枠組みにあたります。
COP27の様子 "UNFCCC_COP27_19Nov22_ClosingPlenary_KiaraWorth-38" by UN Climate Change is licensed underCC BY 2.0
「パリ協定」は2015年のCOP21で採択されたもので、史上初めて、途上国をふくむすべての参加国にGHG排出削減の努力を求めています。前身である「京都議定書」は先進国のみに削減義務を課していましたが、「京都議定書」が採択された1997年にくらべ途上国は経済的な発展をとげ排出量も増しているため、すべての国を対象とすることになったのです。ただ、198の国・地域という多様な国々が参加している協定だからこそ、具体的なルールや対策決めには困難をきわめます。エネルギーや経済の状況などの事情は、国によって大きく異なるためです。たとえば、先進国と途上国に同じ削減ルールをあてはめることが可能かという論点があります。2018年に開催されたCOP24ではこの点が激しく議論され、最終的には、途上国に配慮しつつも、すべての国を対象とした統一ルールが採択されました。「パリ協定」に関する一連のルールブックは、このようなさまざまな議論を経て、2021年に開催されたCOP26で完成しました。現在は、パリ協定が掲げる目標に向けて、各国が対策を促進し、その結果を評価する段階へと移っています。2023年のCOP28では、「グローバル・ストックテイク」と呼ばれる、各国の削減目標の進捗に関する評価が実施される予定です。今度のCOPでどんな議論がおこなわれるのか、ぜひチェックしてみてください。
経済産業省 産業技術環境局 地球環境対策室
長官官房 総務課 調査広報室
※掲載内容は公開日時点のものであり、時間経過などにともなって状況が異なっている場合もございます。あらかじめご了承ください。
従来の太陽電池のデメリットを解決する新たな技術として、「ペロブスカイト太陽電池」が注目されています。これまでの太陽電池との違いやメリットについて、分かりやすくご紹介します。