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(出典)メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム
エネルギーの今について考える時、知っておくとエネルギーに関する政策や世界の動きがより深く理解できる言葉があります。今回はそうした言葉のひとつ、「メタンハイドレート」についておさらいしてみましょう。
メタンハイドレートとはその名の通り、天然ガスの主成分でエネルギー資源である「メタンガス」が水分子と結びつくことでできた、氷状の物質です。火を近づけると燃えるため、「燃える氷」とも呼ばれます。メタンハイドレート1立方メートルから取り出すことのできるメタンガスは、なんと約160立方メートル。小さな体積からたくさんのエネルギーを生み出すことが可能です。その一方で、メタンハイドレートを燃やした場合に排出されるCO2は、石炭や石油を燃やすよりも約30%ほど少ないことも特徴のひとつです。こうした特徴から、石炭や石油に代わる次世代エネルギー資源として期待されています。
このメタンハイドレート、実は日本の周辺海域に大量に存在しています。その場所は、水深500メートルよりも深い海の底やその下の地層の中。メタンハイドレートは、温度が低く圧力が高い環境であることが存在の条件となっているため、こうした深海や、シベリアの永久凍土の中などから発見されているのです。資源エネルギー庁がおこなった調査では、日本海側には海底の表面や真下に「表層型」と呼ばれる塊状態のメタンハイドレートが、太平洋側には海底下の地層の中に砂と混じりあった「砂層型(すなそうがた)」と呼ばれるメタンハイドレートが存在していることが分かっています。エネルギー自給率が7%(2015年度の推計値)ととても低く、エネルギー資源のほとんどを輸入に頼っている日本にとって、自国の領海内にある資源は貴重な存在です。
そこで、海底からメタンハイドレートを取り出し、エネルギー資源として利用するための技術の研究が進められています。
メタンハイドレートは固体で、石油のように井戸を掘れば噴き出すわけではないため、取り出すにはこれまでにない新しい技術を必要とします。また存在する場所が深い海の底などであるために、その場所を探すためにも高度な技術が必要となります。こうしたメタンハイドレートの研究については、日本が世界の先端を走っています。経済産業省は、2001年から「メタンハイドレート開発計画」を開始。2013年3月には、この計画実施のために組織された「メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム」が、地球深部探査船「ちきゅう」を使い、愛知県渥美半島から三重県志摩半島の沖、水深1000メートルの海底下にある地層から、6日間連続で合計約12万立方メートルのメタンガスを取り出すことに成功しています。これは世界で初めてのことでした。また、2017年にも同じ海域で2回目の試験をおこない、24日間連続で合計約20万立方メートルのメタンガスを取り出しています。企業のビジネスとして成り立たせるためには、陸上で天然ガスを採掘するより高くなるコストについても、効率化などによって抑えていくことが必要です。加えて、メタンハイドレートの開発が周辺の環境にどのような影響をもたらすかなどの調査も必要となります。課題もまだまだあるものの、メタンハイドレートをエネルギーとして利用できるようになれば、日本におけるエネルギー面での安全保障にも、また二酸化炭素の排出削減にも役立つことは間違いありません。引き続き世界をリードしながら、技術開発を進め、商業化への道筋を模索していくことが重要です。
<参考> 第2回海洋産出試験の様子
資源・燃料部 石油・天然ガス課
長官官房 総務課 調査広報室
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