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「ZEH(ゼッチ)」という言葉を知っていますか?ZEHとは、これからの時代の標準になるべき新しい家のかたちです。2016年に大手ハウスメーカーなどが一斉にZEHを取り入れた住宅を発表したことで、注目を浴びはじめています。
ZEHとは、net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語で、「エネルギー収支をゼロ以下にする家」という意味になります。つまり、家庭で使用するエネルギーと、太陽光発電などで創るエネルギーをバランスして、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にする家ということです。これを実現するためには、使用するエネルギーの量を大幅に減らすことが必要となります。とはいっても、暑さや寒さをガマンするというわけではありません。ZEHは、家全体の断熱性や設備の効率化を高めることで、夏は涼しく冬は暖かいという快適な室内環境をたもちながら省エネルギーをめざすのです。
ZEHが注目される背景には、住宅でのエネルギー消費量の大きさという問題があります。エネルギー消費といえば企業や工場などが注目されがちですが、実は、日本国内の全エネルギー消費量の13.8%を住宅が占めています。住宅での省エネをより進めることができれば、全体のエネルギー消費量にも大きなインパクトがあります。
ZEHは、2008年頃から米国で「新しい省エネの形」として注目されていました。日本でも、2014年4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」で、「2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEHを目指す」と定められました。これを受けて、経済産業省は「ZEHロードマップ検討委員会」を立ち上げ、どのような住宅をZEHと呼ぶかなど、ZEHの定義や評価方法を定め、その普及に向けたロードマップを取りまとめました。たとえば高断熱化については、これまで「省エネルギー基準」が設けられ、その基準を満たす住宅が「省エネ住宅」とされていましたが、さらに厳しい「ZEH基準」が新しく定められました。こうしたいくつかの基準を満たした住宅が、ZEHです。基準が示されたことで、ハウスメーカーや工務店などは自社のZEH商品をアピールしやすくなり、私たち消費者にもZEHの姿がわかりやすくなりました。
ではZEHは、私たちの暮らしにはどのように役立つのでしょう?徹底的な省エネや太陽光発電によって、光熱費を下げることができる点はもちろん大きなメリットです。ZEH化した住宅に蓄電システムを備えれば、停電した時にも電気を供給できるなど、災害に強い家としても力を発揮できます。さらなるメリットとして、温度差のある部屋の間を移動した時に起こりやすいヒートショックのリスクが低減されるなど、住宅の高断熱化によって快適になるだけでなく、健康面のメリットも期待できます。ZEHは一般的な住宅と比べて割高ではあります。しかし、国や自治体の補助金により、初期費用の負担を減らすことができます。
ZEHの建設コストを安くするための取り組みも始まっています。また、年間の光熱費が大幅に削減できるため、住宅ローンの期間全体でみれば、追加費用の回収も見込めるかもしれません。
一次エネルギー使用コストと太陽光発電による創エネルギーコストの月次推移から見るZEHのエネルギーコスト収支
おサイフにも環境にも健康にも優しい、「ZEH基準」の家づくりを検討してみてはいかがでしょうか。
省エネルギー・新エネルギー部 省エネルギー課
長官官房 総務課 調査広報室
※掲載内容は公開日時点のものであり、時間経過などにともなって状況が異なっている場合もございます。あらかじめご了承ください。
2024年2月発行の「日本のエネルギー」パンフレットに基づき、2023年日本が抱えているエネルギー問題について3回にわたりご紹介します。