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ここ数年、右肩上がりに利用者数が伸びている、ネットショッピング。皆さんも、Amazonや楽天などのショッピングサイトでモノを購入した経験があるのではないでしょうか。こうした新しいビジネスでは、これまでにない便利さというメリットが手に入るいっぽう、宅配物が増えて配達員が不足するなどの問題も起こります。実はエネルギーの分野でも、新しいビジネスの誕生に合わせて、これまでのしくみを変更する必要が生じるケースがあります。そのひとつが、省エネに関する取り組みです。
「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(省エネ法)が1979年に制定されて以来、企業には省エネの努力が求められてきました。これは、1973年と1979年の2度のオイルショックをきっかけに、社会全体としてエネルギーを有効に利用することを目指していこうと定められた制度です。この省エネ法、実は、1998年の改正や2008年の改正など、さらなるエネルギー効率化を実現するため、時代に合わせた省エネ対策を盛り込んで変化してきました。たとえば、1998年改正では、製造業などの工場に対する規制に加えて、エネルギー消費量が非常に伸びている工場以外の事業所にも規制の範囲を拡大しました。
この省エネ法が、2017年8月現在、「運輸部門」の省エネ規制対象としているのは、
です。たとえば、メーカーが工場へ部品を運んだり、工場から商品を出荷するなどのケースでは、輸送をおこなう企業も、輸送を依頼したメーカーも、省エネ法の対象となります。両社には、エネルギーを効率的に使うための「省エネ計画」を立てたり、エネルギー使用量を国に報告するなどの取り組みが義務づけられています。荷主企業も省エネに責任を持つよう定められているのは、トラックに積み込む荷物の量や運ぶ回数など、輸送の効率化にかかわる項目を決めるのは荷主企業であることが多いためです。ところが、ショッピングサイトなどの通販事業者は、消費者が買ったあとのモノを宅配しているとの理由などから、省エネ法が「荷主」であると定める、「自社が所有しているモノを輸送事業者に運んでもらう企業」には当てはまらず、省エネ法の規制に服していない場合があります。
しかし実際には、通販事業者は、通販ユーザーが指定した荷物の受け取り時間や方法を輸送事業者に指示しています。これは、輸送にかかわる指示をおこなっているということで、「荷主」と同じ存在では?と考えることができます。そこで、省エネに関するさまざまな課題を有識者で議論する「総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会」では、現在の「荷主」規制のありかたについて見直しをするべきではないかという議論をおこない、通販事業者などにもさらなる省エネ取組を促して輸送を効率化することなどについて、提言が取りまとめられました。
この提言をふまえ、政府は今後、具体的な制度の見直しを進めていく予定です。省エネは、さまざまな人や企業が協力し、それぞれの役割を果たすことではじめて達成されるものです。社会に参加するすべての人や企業が、エネルギー消費に対する責任をもち、省エネの努力をおこなうことが重要だといえるでしょう。
省エネルギー・新エネルギー部 省エネルギー課
長官官房 総務課 調査広報室
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