神戸に世界中の電動車(xEV)が集合!「EVS 31 & EVTeC 2018」

「EVS31&EVTeC2018」開会式の写真です。

「EVS 31 & EVTeC 2018」開会式の様子

2018年9月30日~10月3日、兵庫県神戸市にある神戸コンベンションセンター(神戸国際会議場・神戸国際展示場)で、「国際電気自動車シンポジウム・展示会&EV技術国際会議2018(EVS 31 & EVTeC 2018)」が開催されました。電動車(xEV)に携わる研究者や自動車メーカー、部品メーカー、またメディア関係者などが世界中から集い、さまざまな展示や議論、セミナーなどをおこないました。今回は、そのイベントの模様をお伝えしましょう。

「EVS」「EVTeC」とは?

「国際電気自動車シンポジウム・展示会&EV技術国際会議2018(EVS31&EVTeC2018)」の会場の様子を映した写真です。

EVSとは「International Electric Vehicle Symposium」の略で、電気自動車(EV)・ハイブリッド電気自動車(HEV)・燃料電池自動車(PHEV)などの電動車(xEV)が対象となる世界最大級のシンポジウム・展示会です。WEVA(World Electric Vehicle Association、世界電気自動車協会)の傘下として、米国、欧州、アジア太平洋の3つの地域で交互に開催されています。今年は31回目となりますが、日本で開催されるのは、1996年に大阪で、2006年に横浜で開催されて以来3回目のことです。日本での主催は一般財団法人日本自動車研究所(JARI)がおこない、共催としてWEVAと、アジア太平洋地域における電動車両の普及促進を目的とする組織EVAAP(Electric Vehicle Association of Asia Pacific)が関わっています。

また、「EVTeC」は公益社団法人自動車技術会(JSAE)が主催する国際会議で、EV技術に関するセッションをおこなう会議として、2011年から開催されています。

会場には、日本の自動車メーカーや部品メーカー、充電スタンドメーカーはもちろん、米国、英国、欧州各国やオーストラリア、中国やインドなどアジア各国など、さまざまな国から企業や自治体関係者などが集まり、展示やセミナーをおこないました。

トヨタ自動車株式会社のHEV「新型クラウン」とFCV「MIRAI」の展示の写真です。

トヨタ自動車株式会社はHEV「新型クラウン」とFCV「MIRAI」の仕組みがわかる展示を実施

日産自動車株式会社のEV「LEAF」や「e-パワートレイン」、充電器の写真です。

日産自動車株式会社はEV「LEAF」の車体や「e-パワートレイン」、充電器を展示

本田技研工業株式会社のハイブリッドスクーターと年内発売予定の電動スクーターの展示の写真です。

本田技研工業株式会社はハイブリッドスクーター(左)と、年内に発売予定の電動スクーター(右)を展示

また基調講演では、国内外の自動車メーカーによる取り組みの紹介などがおこなわれました。さらにテクニカルセッションでは、EVに関する最新研究が発表されました。

EVSならではの特徴的なイベントのひとつが、電動車の運転を実際に体験できる試乗会です。会場には、世界の自動車メーカーが誇る最先端技術を駆使した電動車(2輪・4輪)がずらりと並び、訪れた人々が乗り心地を試していました。

日本のxEVに関する政策を世界に向けて発表

10月1日には、電動車の未来を語る「ポリシー・パネルディスカッション」が開催されました。出席者は以下の通りです。

モデレーター:IHS Markit社(ロンドンに本社を置く自動車情報サービス企業) Tom De Vleesschauwer氏
日本:経済産業省 製造産業局 自動車課 電池・次世代技術室 室長 石川 浩
中国:China EV 100(中国電気自動車百人会、中国の電動車普及推進団体)精華大学教授 Ouyang Minggao氏
欧州:VDA(ドイツ自動車工業会) Class Bracklo氏
英国:OLEV(Office for Low Emission Vehicles、英国政府) Nicholas Brooks氏
IEA:国際エネルギー機関 Pierpaolo Cazzola氏

まず、出席者から簡単なプレゼンテーションがおこなわれました。日本からは、「『xEV(電動車)』の世界展開を核とした2050年の長期ゴール~『自動車新時代戦略会議』中間整理発表」「クルマの環境価値はどうやって高める?xEVの次の5年」でも紹介した、日本の2050年の長期ゴールと、それに向けての具体的な政策が発表されました。また、電動車に関する基本的な概念を世界で共有する必要があることが強調されました。

「ポリシー・パネルディスカッション」での日本のプレゼンテーションの写真です。

「ポリシー・パネルディスカッション」における日本のプレゼンテーション

出席者からは、中国でおこなわれている電動車購入に対する支援策やEVバス普及目標の紹介、すべての自動車をゼロエミッションにすることを目指す英国の「Road to Zero」政策の紹介などがおこなわれました。またIEAの担当者からは、電動車を広めるには途上国などできるだけ多くの国が関わることが重要であり、そのためには電動車の導入がもたらす多くの便益を訴えていくことが大事だといったプレゼンテーションがおこなわれました。

議論では、さまざまな意見が交わされました。第一のポイントとなったのは「標準化」です。電動車の普及拡大に向けては、技術の標準化が鍵となるということで出席者の意見は一致しており、議論の中では2018年8月に超急速充電規格を共同開発すると発表した日本・中国の動きにも言及されました。これについて日本の担当者は、「国際標準化への大きな第一歩だと考えている」と語りました。

もう1つの議論のポイントとなったのは、まだまだコストの高いバッテリーの問題です。開発には国際連携が必要であり、共通の目標を持つべきだという議論が交わされた一方、リサイクル&リユースについても各国の意見が述べられました。日本は、まずはバッテリーのリユースのマーケットの立ち上げが重要で、そのための共通のバッテリーの価値の評価法の確立が重要だという意見を述べました。

最後に司会者から、「政策当局こそが、協調をうながす政策をとるべきだ。また、電動車の開発と普及は、現実的なペースで進めるべきであり、バランスのとれた政策が望まれる」という意見が出て、議論が締めくくられました。

日本も、「自動車新時代戦略会議」中間整理の中で、自動車の電動化に向けては国際協調こそ重要であるという認識を表明しています。今後もこうした機会をとらえ、政府間あるいは民間企業間の協調をうながすよう働きかけていきます。

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