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札幌市立白石中学校の授業風景
「子どもたちが学ぶエネルギー問題」でご紹介した、「エネルギー教育モデル校事業」。今回は、一般社団法人日本電気協会(電気新聞)が主催する「第11回エネルギー教育賞」最優秀賞に選ばれた各校の取り組みについてご紹介します。
「エネルギー教育賞」は、エネルギー教育に積極的に取り組む学校を顕彰することで、エネルギー教育についての意欲を高め、ひいては次世代の子どもたちに日本のエネルギー問題に関する理解をうながそうと、2006年から始められたものです。電気新聞が主催し、経済産業省や文部科学省、環境省などが後援しています。第11回となる2016年度は、小学校19校、中学校9校、高等学校および高等専門学校18校の計46校(自薦、他薦ふくむ)の中から、最優秀賞3校、優秀賞18校が選ばれ、2017年3月に表彰式がおこなわれました。
最優秀賞を受賞したのは、大分県の佐伯市立明治小学校、北海道の札幌市立白石中学校、兵庫県立洲本実業高等学校です。それぞれ、地域の特性を生かした授業内容、外部と連携した活用内容が高く評価されました。
2016年度のテーマを「安心してくらせる豊かなエネルギー社会へ」とし、その実現のためのもっとも重要な課題は「エネルギー問題の認知度の低さ」であると捉えて、エネルギー広報活動について探求しました。2015年度からは「エネルギー教育新聞」を作成して、地元・大分合同新聞の「飛び出せ学校」欄に掲載する取り組みも開始。取材の仕方や記事の書き方、構成のつくり方などを学んでいます。
また、地域の農業・水産業・林業・工業・商業の5つの産業について、事業主に依頼し、各産業別のエネルギー利用や省エネの取り組み、ものづくりへの思いなどを調査、見学しました。こうした活動を通じて、子どもたちは、自分たちが考えている以上に産業部門ではエネルギー利用の工夫がおこなわれていることを知り、エネルギー問題を単体の課題としてではなく多面的にとらえることができるようになっています。今後はさらに、2016年度にエネルギー教育モデル校に指定された県立佐伯鶴城高校と連携して意見交換などをおこなう予定で、計画を進めています。
テーマを「持続可能な社会を実現するために~横断的な教科学習のカリキュラムの構築~」とし、普通教科の中で取り組める活動をエネルギー教育に結びつけています。理科の授業ではプラスチックが石油からできていることを確かめ、社会科では世界のエネルギー資源の分布を学ぶなどの活動をおこないました。その実施のため、理科、社会科、技術・家庭科、保健体育科の教師が、情報をやりとりする組織をつくりました。また、2年生全員が泊原子力発電所と風力発電所の見学をおこないました。事前に電力や発電に関する授業をおこなってから施設を見学したことで、より深い学びが得られました。子どもたちからは、発電所の安全対策を初めて知ったという感想や、便利な反面危険であり国民がリスクをきちんと知る必要があるなどの感想が出ており、エネルギーの抱えるリスクと対策について正しく学ぶ機会となったことがわかりました。
白石中学校の授業例
(出典)エネルギー教育モデル校Webサイト 副教材「わたしたちのくらしとエネルギー」
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小中高大連携をおこなって、異年齢、異校種との交流による学びを推進しています。徳島大学、静岡大学、関西大学などとの連携を進め、電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)など、電力技術にかかわる交流学習をおこないました。また一方で、洲本実業高等学校の生徒が地域の小・中学校や特別支援学校を訪れ、エネルギーに関する出前授業をおこなうなどの交流も実施しています。また、電力会社との連携による体験学習や、近隣企業とのエネルギーに関するインターンシップ事業など、専門学校の特徴を生かした活動をおこないました。さらに、宮城県石巻市の仮設住宅に、風車を使った街路灯を設置するボランティア活動も実施。こうした活動を通して、生徒が、自分の能力に対する自信をつけたという結果も得られています。この風車を使った街路灯については、単に「もの」を作るだけでなく、その成果を研究論文にして発表するなど、未来の中堅技術者育成に向けた学習を実践しています。
洲本実業高等学校がおこなった、風車を使った街路灯の設置活動
このほか、優秀賞受賞校の中から、全国のろう学校に向けたエネルギー教育の教材制作に取り組んでいる筑波大学附属聴覚特別支援学校に特別賞が送られました。エネルギーは、私たちの生活に欠かせないものです。子どもたちが、エネルギーを巡る状況を正確に知り、課題解決に向けて考えて取り組んでいくことは、とても大切なことです。子どもたちがエネルギーを学びやすい環境作りを進めていきたいと考えています。
長官官房 総務課 調査広報室
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