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年を追うごとに導入量が増え、今後もますます増えていくと予想される、太陽光発電などの再生可能エネルギー(再エネ)。しかし、再エネの大量導入を進める中で、系統につなぐまでに時間がかかる、つなぐための費用が高いという、「系統」の課題が顕在化しています。そこで、これら課題の解決策の一つとして、系統を最大限活用する取り組みの検討がおこなわれています。今回は、2021年1月から全国で始まった「ノンファーム型接続」という取り組みをご紹介します。
再エネ発電設備は、いまや私たちの身近でもあたりまえの光景になってきました。しかし、再エネの導入をさらに拡大するためには、さまざまな課題が残されています。そのひとつが「系統」の問題です。系統とは電力系統、つまり「送電網・配電網」のことで、電気を各地へ送るためのシステムです。発電所がつくった電気は、系統を通じてみなさんの家や会社や工場に送られます。しかし、系統は電気を流すことのできる「容量」が決まっています。このため、再エネの発電事業を計画しても、系統の空き容量がないために、系統につなぐこと(系統接続)ができない、といった問題が発生しています。
系統に空き容量がないのであれば、系統を増強すればいいのでは?という考えがうかびます。しかし、こうした設備の増強には多額の費用と時間がかかります。そのコストは、系統接続を希望する事業者や送配電事業者が負担し、後者については送配電事業者が送る電気を使う需要家、つまり私たちから回収されることになります。
このため、すくないコストで短期間に接続できるようにすることが重要です。そこで、すでにある系統を最大限に活用し、再エネの導入量を増やすため、今、進められているのが「日本版コネクト&マネージ」の取り組みです。現在、系統への接続は、公平性・透明性の観点から、接続契約を申し込んだ順に容量が確保される「先着優先ルール」となっています。このため、接続契約により系統の容量はすでに埋まっていても、発電所が運転開始前であったり、運転開始後でも時期によって稼働していない場合もあります。また、稼働している発電所であっても、電力需要や日照・風況などの気象状況によって発電量が変わるため、常に系統の容量を100%使い切っているわけではありません。
「日本版コネクト&マネージ」とは、このような容量の空きなどを活用し、より多くの電気を流せるようにする取り組みで、欧米でも類似の取り組みがおこなわれています。その取り組みの一つが「ノンファーム型接続」です。
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では、ノンファーム型接続のしくみはどのようなものなのでしょうか。先ほどご紹介したとおり、これまで日本では、発電した電気を流すために必要となる系統の容量を、接続契約を申し込んだ順に確保しておく方式で、系統を運用していました。これは「ファーム型接続」といいます。「ファーム:firm」とは「しっかりした、強固な、堅固な」という意味で、あらかじめ系統の容量が確保されていることを指しています。これに対し、あらかじめ系統の容量を確保せず(ノンファーム:non-firm)、系統の容量に空きがあるときにそれを活用し、再エネといった新しい電源をつなぐ方法が「ノンファーム型接続」です。
ノンファーム型接続による送電線利用イメージ
(出典)資源エネルギー庁 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第20回)資料より抜粋(一部修正)
ノンファーム型接続は、系統の容量に空きがあったときにそれを活用するため、系統の容量に空きがなくなったときには、発電量の「出力制御」をおこなうことを前提に、接続契約が結ばれます。このノンファーム型接続は、2019年、東京電力パワーグリッドの千葉・鹿島エリアで試行的に始められ、2021年1月13日から全国への展開がスタートしました。これにより、まずは全国の空き容量のない基幹系統(※)において、原則として「ノンファーム型接続」が適用されます。発電所を計画する際、その地点でノンファーム型接続による接続ができるかどうかは、一般送配電事業者が公開する「空き容量マップ」などで確認できます。(※)各一般送配電事業者の上位 2 電圧(ただし、沖縄電力については、132kV とする)の送変電などの設備(変圧器については、一次電圧により判断)
ノンファーム型接続の開始によって、既存系統を最大限活用する取り組みが充実したといえます。今後も再エネ導入量の拡大・普及に向け、引き続き取り組みを進めていきます。
電力・ガス事業部 電力基盤整備課 電力流通室
長官官房 総務課 調査広報室
※掲載内容は公開日時点のものであり、時間経過などにともなって状況が異なっている場合もございます。あらかじめご了承ください。
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