日本のエネルギー自給率は1割ってホント?

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私たちの生活や経済活動には、電気やガス、ガソリンなどのエネルギーが欠かせません。こうしたエネルギーのうち、自国で確保できる比率を「エネルギー自給率」といいます。みなさんは、日本のエネルギー自給率がどのくらいか知っていますか?実は12.6%(2022年度)なのです。なぜ、こんなに低いのでしょうか?また、自給率が低いとどんなことが起こるのでしょうか?

日本が輸入しているエネルギーは、なんと約9割!

私たちの身の回りにあるスマホやPC、テレビやエアコンなどの家電、コンロや車など、さまざまなものが電気やガス、ガソリンなどのエネルギーによって動いています。

これらのエネルギーのもととなるのが、自然から直接採取できる石油・石炭・天然ガスといった化石燃料や、太陽光、風力、原子力などで、これらを「一次エネルギー」といいます。電気やガスなどは、一次エネルギーを原料につくられたもので、これを「二次エネルギー」といいます。

日本の一次エネルギー自給率は12.6%にとどまっています。この比率は、世界各国と比べても低い割合です。

なぜ、こんなに自給率が低いのでしょうか?それは日本が資源の乏しい国だからです。日本の利用しているエネルギーのうち、石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料が83.5%を占めていますが、これらは国内でまかなえる量がごくわずかで、ほとんどを海外からの輸入にたよらざるを得ません。たとえば、石油のもととなる原油は99.7%、天然ガスは97.8%、石炭は99.7%を海外から輸入しているのです。

日本の一次エネルギー供給構成
2022年度の日本の一次エネルギー供給構成を、円グラフで示しています。化石燃料の依存度は83.5%を占めています。

日本の化石燃料輸入先
2022年の日本の化石燃料の輸入先を示した円グラフです。原油、天然ガス、石炭それぞれについて、輸入国と輸入割合を示しています。

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自給率が低いとどうなるの?

エネルギーの多くを海外からの輸入に依存していると、さまざまな問題が起こる可能性があります。

まず、国際情勢の影響を受けやすくなります。最近の例を挙げると、ロシアによるウクライナ侵略やイスラエル・パレスチナ情勢の悪化、パナマ運河や紅海など海上輸送の重要な地点での紛争や災害の発生といった、さまざまな要因でエネルギーがじゅうぶんに確保できなくなる恐れが発生しています。

エネルギーを巡る不確実性の増加に関する主な事象
災害や紛争など、近年発生したエネルギー供給に影響を与える国際的な不安定要素について、地図上にその位置と内容を示しています。

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また、燃料価格の高騰に円安が追い打ちをかけ、化石燃料の輸入金額が大きく増えているという現状もあります。こうした輸入の大幅な増加によって、国内の富が海外へと流出し、貿易赤字にもつながります。

必要なエネルギーを安全に、安く、また安定して入手できるようにするには、自国でまかなえるエネルギーを増やすこと、つまり自給率を上げていくことが必要なのです。

ただ、単純に自給率を上げるといっても、使えるエネルギーの選択肢は限られています。コストが高すぎると、私たちの生活に大きな負担が生じます。また、エネルギーは環境と密接にかかわっています。たとえば、いま世界では地球温暖化対策として「脱炭素」が進められ、日本でも脱炭素に向けた目標を掲げていますが、こうした方向にそって、環境にやさしいエネルギーを選択する必要もあります。

安全で安定的にエネルギーを確保するために、私たちがとるべき最適な方法はなにか、考えていきましょう。

脱炭素とエネルギーについては、また別の記事でご紹介します。

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