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松川地熱発電所(東北自然エネルギー(株))
世界第3位の地熱資源量を持つ日本にとって、今後が期待されるエネルギー源であり、効率よく安定的に発電できる「地熱発電」。 「知っておきたいエネルギーの基礎用語~地方創生にも役立つ再エネ『地熱発電』」では、地熱発電が持つ大きな可能性についてご紹介しました。今回は、地熱発電をさらに活用するためにクリアすべき課題と、それに対する支援策などを見てみましょう。
「知っておきたいエネルギーの基礎用語~地方創生にも役立つ再エネ『地熱発電』」 でもお伝えしたとおり、地熱発電では、地下深くの「地熱貯留層」から、高温高圧の蒸気・熱水を取り出して、発電に利用します。この地熱貯留層を探し当てて発電に利用するため、地熱開発では、次の図のような開発プロセスを踏んでいきます。
地熱開発のプロセス
これらの開発プロセスには、合計で14年ほど必要であるため、地熱開発の事業者は、投資した資金を回収するのに時間がかかっています。また、地熱貯留層を探し当てるためには、高度な技術が求められます。さらに、地下深くにある資源ですから、蒸気や熱水を確実に得ることができるとはかぎらない、といった点も課題です。また、地熱開発では、地域の皆さんとの共生を図りながら、開発を進めていくことも重要となります。
いくつかの課題を抱える地熱発電ですが、その課題を打開しようと、さまざまな支援策が打ち出されています。まず、地下構造をくわしく把握し、蒸気や熱水を得ることのできる可能性を高めるため、初期調査に対する補助をおこなっています。また、長期間にわたる開発を資金面でサポートするため、事業者に対する出資や債務保証などの支援メニューをもうけています。さらに、開発期間を短くするため、井戸の掘削に成功する確率を高めたり、掘削する速度を速くしたりするための技術開発にも取り組んでいます。このほか、環境にあたえる影響を調べる「環境アセスメント」に必要な期間を短くするための実証事業もおこなっています。これらの取り組みもあって、現在、北海道・東北・九州を中心に、全国31地点で大規模な地熱開発が進められています。
地熱開発が進められている地点(平成29年11月時点)
地熱開発をスムーズに進めていくためには、地域のまちづくりに貢献できる地熱発電の魅力などを、地域の皆さんに情報発信していく必要があります。また、地熱開発を支えていくためには、将来をになう学生の皆さんにも、地熱発電のしくみや可能性について、情報発信をおこなっていくことが大切です。そのため、関係各社によって、2016年に、10月8日が「地熱発電の日」に制定されました。この日は、日本最初の地熱発電所である松川地熱発電所の運転開始日であり、同発電所が運転開始50周年を迎えたことを記念したものです。これをきっかけとして、地熱発電所の見学会や、学校での特別授業、シンポジウムの開催など、全国各地でPR活動がおこなわれています。
地熱発電の日 PRポスター
資源エネルギー庁としては、地熱発電の導入に向けたこれらの取り組みを積極的に支援していきたいと考えています。
資源・燃料部 政策課
長官官房 総務課 調査広報室
※掲載内容は公開日時点のものであり、時間経過などにともなって状況が異なっている場合もございます。あらかじめご了承ください。
2024年2月発行の「日本のエネルギー」パンフレットに基づき、2023年日本が抱えているエネルギー問題について3回にわたりご紹介します。