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日本最大の地熱発電所 八丁原発電所(九州電力(株))
日本は世界有数の火山国で、地下の熱である「地熱エネルギー」が豊富です。そのため、この地熱エネルギーを活用した「地熱発電」のポテンシャルが高く、その資源量は世界第3位です。また、地熱発電は、発電後の熱水を、農業ハウスなどの幅広い用途につかうことも可能なため、地方創生に役立つエネルギーとしても期待されています。今回は、地熱発電のしくみやその可能性についてご紹介します。
地熱発電というと、湧き出る温泉を利用して発電する…というようなイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。しかし、大規模な地熱発電では、通常の温泉とは異なり、地下1,500m~3,000m程度の地下深くにある、150℃を超える高温高圧の蒸気・熱水を利用します。マグマの熱で温められた、高温高圧の蒸気・熱水が貯まっている地下構造を、「地熱貯留層」と言います。この地熱貯留層まで井戸(生産井)を掘って、蒸気・熱水を取り出し、その力を利用してタービンを回して発電するのが、地熱発電です。また、発電に使ったあとの熱水は、別の井戸(還元井)から、ふたたび地熱貯留層に戻します。このサイクルを繰り返すことで、安定的に地下から蒸気・熱水を取り出すことができるため、持続的に発電が可能な、再生可能エネルギー(再エネ)となります。地熱発電は、CO2の排出量がほぼゼロで環境に優しいのはもちろん、燃料費がかかりません。また、地熱発電は、天候によって発電量が変化するといった、太陽光や風力など他の再エネがかかえる課題がなく、昼夜を問わず安定的に発電することができるため、「ベースロード電源」としても期待されています。
地熱発電は、電気を生むだけでなく、地域の活性化にも貢献します。たとえば、北海道電力(株)の森発電所がある、北海道の森町では、発電後の熱水の一部を活用して、近くの農業ハウスに温水が供給されています。そのおかげで、冬の寒さが厳しい時期でも農作ができるようになり、一年を通してトマトやキュウリなどが栽培され、大きな経済効果を生んでいます。また、地元で作られたトマトなどを利用した、ご当地グルメ「森らいす」が広まるなど、地方創生が実現されています。
発電後の熱水をつかった農業ハウス(北海道・森町)
こうした、地方創生にも役立つ地熱発電の魅力を全国に発信しようと、2017年10月17日に、北海道函館市で「地熱シンポジウム in 函館」が開催されました。JOGMEC(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)が主催したこのシンポジウムでは、森町の事例も取り上げられ、地熱発電と地方創生のあり方について、活発な意見交換がおこなわれました。
このように、さまざまなメリットがある地熱発電ですが、日本の地熱資源量は世界第3位(2,347万kW)であるのに対して、現在の発電設備容量は53万kW(2016年度時点)しかなく、日本の電力需要の0.3%ほどの発電量にとどまっています。そこで、経済産業省では、2030年度までに、地熱発電の設備容量を現在の約3倍の約140~155万kWにすることを目標に、さまざまな取り組みを進めています。次回は、地熱発電の導入を進めるための課題や、課題解決のためにおこなわれている政策についてご紹介します。
資源・燃料部 政策課
長官官房 総務課 調査広報室
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