第3節 一次エネルギーの動向
1.化石エネルギーの動向
(1)石油
① 供給の動向
我が国における一次エネルギーとしての石油の供給は、石油ショックを契機とした石油代替政策や省エネルギー政策の推進により減少しましたが、1980年代後半には取り組みやすい省エネルギーの一巡や原油価格の下落に伴って増加に転じました。1990年代半ば以降は、石油代替エネルギー利用の進展などにより減少基調で推移しました(第213-1-1)。
- (注)
- 石油(原油+石油製品)の一次エネルギー国内供給量
- 出典:
- 資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成
我が国の原油自給率9は2016年度で0.3%であり、新潟県、秋田県及び北海道に主要な油田が存在しています(第213-1-2)。このように自給率が低いため、我が国は2016年度において原油の99.7%を海外からの輸入に依存しており、輸入先では中東地域が9割近くを占めました。2016年の米国の中東依存度10は22.4%、欧州OECDは22.7%であり、我が国の中東依存度は諸外国と比べて高くなっています。2016年度の輸入先を国別に見ますと、サウジアラビアが37.4%でトップにあり、以下、アラブ首長国連邦(23.7%)、カタール(8.7%)、イラン(7.0%)の順となりました(第213-1-3)。
- 出典:
- 経済産業省「資源・エネルギー統計年報・月報」を基に作成
- 出典:
- 経済産業省「資源・エネルギー統計年報」を基に作成
我が国は、二度の石油ショックの経験から原油輸入先の多角化を図り、中国やインドネシアからの原油輸入を増やし、1967年度に91.2%であった中東地域からの輸入の割合を1987年度には67.9%まで低下させました。しかし、その後、我が国の中東依存度は再び上昇し、2009年度は89.5%と非常に高くなりました。2010年代に入ると、サハリンや東シベリア・太平洋石油パイプライン(ESPO)経由の輸入拡大により極東ロシアからの原油輸入が増加するなどして、中東依存度は2009年度と比べると低下傾向にありました。しかし、2016年度には極東ロシアを始めとするアジア地域からの輸入が減少し、中東依存度は再度上昇に転じ87.2%となりました(第213-1-4)。
- 出典:
- 経済産業省「資源・エネルギー統計年報・月報」を基に作成
アジアの産油国について、石油需給の動向を見ると、国内の石油需要が増加し、これまで輸出していた原油を国内向けに振り向けた結果、1990年に比べて輸出向けが減少している傾向にあります(第213-1-5)。また、IEAは各加盟国に対して、90日分の石油備蓄を義務付けていますが、2017年10月時点において、我が国は186日分の石油備蓄を保有しています。これは加盟国29か国中8番目となり、平均よりやや多い日数の備蓄を有しています(第213-1-6)。
- 出典:
- IEA「World Energy Balances 2017 Edition」を基に作成
- 出典:
- IEA「Closing Oil Stock Levels in Days of Net Imports」を基に作成
② 消費の動向
我が国では原油のほとんどが蒸留・精製により石油製品に転換されて販売されており、石油製品については輸入と輸出が行われています。2016年度の石油製品販売量は、燃料油合計で1億7,692万klであり、2000年代に入り減少傾向になりました。油種別販売構成を見ると、B・C重油11販売量が第一次石油ショック以前の1971年度までは5割以上を占めていましたが、その後、ガソリン、ナフサ、軽油などの消費が増加し、白油化が進みました。2016年度の販売構成を見ると、B・C重油販売量の割合は7%まで減少しました(第214-4-1参照)。
③ 原油価格の推移
日本に到着する原油の価格(CIF価格)12は、世界金融危機によって2008年9月以降低下し、2009年1月には一旦1kl当たり2万5,000円以下まで急落しました。その後各国による景気刺激策を背景に原油需要の回復期待が高まる中、CIF価格は2009年5月に1kl当たり3万円台まで上昇し、同年7月には同4万円台、2011年3月には同5万円台へと上昇しました。2011年度以降は総じて上昇傾向となり、2014年1月には7万5,000円近くまでなりました。しかし、米国のシェールオイル増産、欧州や中国の景気減速の中、2014年11月のOPEC総会における減産見送りの決定が契機となり、2015年2月には3万円台まで再び低下しました。2014年度は為替が前年度比9%円安方向へ推移したにもかかわらず、ドル建て原油価格が19%下落したことにより、円建て価格は11%下落しました。2015年6月にはCIF価格が約5万円近くまで上昇したものの、中国経済の先行き不安と供給過剰感が強まり、2016年第1四半期は2万円台まで低下しました。その後、2016年4月以降は世界経済の緩やかな回復に加え、2016年9月のOPEC総会で8年ぶりの減産の方向性が打ち出されたことなどを受け、再び上昇に転じました。その後、米国のシェールオイル生産拡大などから、引き続き供給過剰状態が継続し、2017年度前半は価格が低下傾向にありましたが、OPEC諸国その他の協調減産が着実に履行されつつあり、2017年7月からCIF価格は上昇傾向に転じています(第213-1-7)。
- 出典:
- 財務省「日本貿易統計」を基に作成
また、日本の総輸入金額に占める原油輸入金額13の割合を見ると、石油ショック以降、減少基調が続き、1986年度以降はおおむね10%程度で推移してきました。石油ショック以後の石油代替政策、省エネルギー政策などを反映して、輸入全体に占める原油の割合が低下し、石油ショック時と比べて原油価格高騰による日本経済への影響は小さくなりました。ただし、2000年代半ばから、国際的な原油価格高騰を受けて、総輸入金額に占める原油輸入金額の割合は再上昇し、2008年度には20%近くになりましたが、依然として第二次石油ショック後の半分程度の水準でした。2009年度には原油価格の急落により、15%台にまで一旦低下しましたが、2011年度以降は原油価格の上昇と原子力発電停止による発電用需要の増加により、総輸入金額に占める原油輸入金額の割合は再び上昇しました。しかし、2014年度は発電用途や輸送用途の需要減少と原油価格の下落により、原油輸入金額は前年度比20%減少しました。総輸入金額に占める原油輸入金額の割合は14%となり、東日本大震災以降初めて減少に転じました。原油価格が低迷した2015年度は、原油輸入金額は前年度より38%減少し、総輸入金額に占める割合は16年ぶりに10%を下回りました。2016年度にもこの傾向は継続し、原油輸入量の減少と年度平均CIF価格の低下により、原油輸入金額は前年度よりさらに16%減少しました(第213-1-8)。
- 出典:
- 財務省「日本貿易統計」を基に作成
(2)ガス体エネルギー
ガス体エネルギーの主なものとしては天然ガスとLPガスがあります。天然ガスは、油田の随伴ガスや単独のガス田から生産され、メタンを主成分としています。常温・常圧では気体であるため、気体のままパイプラインにより輸送するか、マイナス162℃まで冷却して液体にし、液化天然ガス(LNG、Liquefied Natural Gas)としてタンカーで輸送するか、いずれかの方法がとられています。天然ガスは、化石燃料の中では相対的にクリーンであるために利用が増えました。また、LPガスは液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas)のことで、油田や天然ガス田の随伴ガス、石油精製設備などの副生ガスから取り出したブタン・プロパンなどを主成分としています。簡単な圧縮装置を使って常温で容易に液化できる気体燃料であるため、液体の状態で輸送、貯蔵、配送が行われています。
① 天然ガス
(ア)供給の動向
我が国において、1969年のLNG導入以前の天然ガス利用は国産天然ガスに限られ、一次エネルギー国内供給に占める割合は1~2%にすぎませんでした。しかし、1969年の米国(アラスカ)からのLNG導入を皮切りに東南アジア、中東からも輸入が開始され、我が国におけるLNGの導入が進み、一次エネルギー国内供給に占める天然ガスの割合は2014年度に過去最高の24.5%に達し、2016年度は23.8%となりました。2016年度における天然ガス供給の輸入割合は、石油と同様に極めて高い97.6%であり、全量(8,475万トン)がLNGとして輸入されました。なお、主に新潟県、千葉県、北海道などで産出されている国産天然ガス生産量は、2016年度において約28億m3(LNG換算で約206万トン)であり、天然ガスの国内消費量の約2.4%を占めています(第213-1-9)。
- 出典:
- 経済産業省「エネルギー生産・需給統計年報」、「電力調査統計月報」、財務省「日本貿易統計」、経済産業省「ガス事業統計月報」を基に作成
我が国に対するLNGの輸入先は、2016年度において、豪州、マレーシア、ロシアなどのアジア大洋州地域を始めとする中東以外の地域が77.2%を占めており、中東依存度は22.8%と石油と比べて低く、地政学的リスクも相対的に低いといえます。特に、2012年度から最大のLNG輸入先となっている豪州は、新規LNG基地からの輸入が順次開始されており、その割合は2012年度の19.6%から2016年度には27.7%に拡大しています(第213-1-10、第213-1-11)。また、2014年度にはパプアニューギニアから、2017年1月には米国からのシェールガスを原料にしたLNG輸入が開始されるなど、供給先の多角化がさらに前進しています。なお、2016年において、世界のLNG貿易の31.3%を日本の輸入が占めました(第2章 国際エネルギー動向 第222-1-23「世界のLNG輸入」参照)。
- 出典:
- 財務省「日本貿易統計」を基に作成
- 出典:
- 財務省「日本貿易統計」を基に作成
(イ)消費の動向
我が国では、2016年度に天然ガスは電力用LNGに約64%、都市ガス用LNGに約32%が使われています(第213-1-12)。天然ガスは、一次エネルギーの供給源多様化政策の一環として、その利用が増加しました。特に2011年3月の東日本大震災以降、原子力発電所の稼働停止を受け発電用を中心に増加しましたが、2014年度に過去最高となった後、2015年度は原子力発電所の再稼働などにより、減少に転じました。2016年度は、原子力発電所の再稼働や再生可能エネルギーの普及はありましたが、発電電力量の増加や都市ガスの販売量が過去最高を更新したことなどから、2年ぶりに増加しました。
なお、都市ガスの用途別販売量としては、2000年頃までは家庭用が最大のシェアを占めていましたが、近年は工業用が増加しており、最大のシェアを占めています(第214-2-2「用途別都市ガス販売量の推移」参照)。
- 出典:
- 経済産業省「エネルギー生産・需給統計年報」、「資源・エネルギー統計」、「電力調査統計月報」、「ガス事業統計月報」、財務省「日本貿易統計」を基に作成
(ウ)LNG価格の動向
我が国のLNG輸入価格は、1969年の輸入開始以来、原油価格に連動してきました。1970年代の二度の石油ショックで原油価格が高騰すると、LNG輸入価格も上昇し、1980年代後半に原油価格が下落すると、LNG輸入価格も低下しました。日本のLNG輸入量の大半を占める長期契約におけるLNG輸入価格は日本向け原油の輸入平均CIF価格に連動しているため、2004年度以降の原油価格の高騰につれて、日本向けLNG輸入価格も上昇してきました(第213-1-13)。ただし、一部の日本向けLNG輸入価格は、原油価格変動の影響を緩和するために、S字カーブといわれる調整システムを織り込んだ価格フォーミュラにより決定されています。2004年度以降の原油価格急騰の環境下では、この価格フォーミュラの影響などもあって、LNG輸入価格の変化は原油に比べると緩やかになっています。なお、2016年度に開始された米国からのシェールガスを原料にしたLNG輸入は、米国国内のガス市場価格(ヘンリーハブ)に連動するものと思われ、価格決定方式の多様化につながります。
2011~2013年度の間は、原油輸入CIF価格が3年連続で年平均1バレル当たり100ドル超の水準が続き、円建てLNG輸入価格も2014年度に過去最高を更新し1トン当たり約8.7万円となりました。2014年度の下期以降、国際原油価格の下落に伴い、円建てLNG輸入価格は低下し、2015年度は1トン当たり約5.4万円、2016年度は約3.9万円となりました。2016年度の円建てLNG輸入価格は過去最高であった2014年度の半分以下の水準となりました。
また、日本の総輸入金額に占めるLNG輸入金額の割合を見ると、1980年代の後半からはLNG輸入価格の低下に伴い、5%を下回る水準で推移してきました。ただ、2000年代後半以降は原油価格の上昇によりLNG輸入価格も上昇したことに加え、特に、2011年3月の東日本大震災以降の原子力発電所稼働停止に伴う、発電用途のLNG輸入量が増加しました。これにより、2012年度以降、輸入総額に占めるLNG輸入金額の割合は8%を上回るようになり、2014年度には9.3%まで上昇しました。2015年度は、LNG輸入価格の急落と輸入量の減少で、LNG輸入金額は前年度より41%減少し、輸入総額に占める割合は6.0%に低下しました。2016年度は、LNGの輸入量は増加したものの、それ以上に円建てLNG輸入価格が減少したことにより、LNG輸入金額は前年度より27%減少し、輸入総額に占める割合は4.9%に低下、2007年度以来9年ぶりに5%を下回りました(第213-1-14)。
【第213-1-13】LNG輸入価格の推移
- 出典:
- 財務省「日本貿易統計」を基に作成
- 出典:
- 財務省「日本貿易統計」を基に作成
② LPガス
(ア)供給の動向
LPガスは、天然ガス生産からの随伴ガス、原油生産からの随伴ガス、さらに石油精製過程などからの分離ガスとして生産されています。LPガスの供給は1960年代までは、国内の石油精製の分離ガスが中心でしたが、年々輸入の比率が高まり、2016年度には供給量の71.2%(1,057万トン)が輸入されました(第213-1-15)。
- 出典:
- 経済産業省「資源・エネルギー統計」、財務省「日本貿易統計」を基に作成
2016年度における我が国のLPガスの主な輸入先は、アラブ首長国連邦、カタール、クウェート、サウジアラビアなどの中東諸国及び米国、豪州でした。2013年に米国から、シェールガス・シェールオイル開発に随伴して生産されるLPガスの輸入が開始されたことにより、LPガス全体の輸入量が減少傾向にある中で、米国からの輸入量は5年連続で最も増加し、そのシェアは2011年度の0.8%から、2015年度には25.8%、2016年度には36.6%へと拡大しました。シェール革命に加え、2016年6月に新パナマ運河が開通したことで、大型LPG船の通航が可能になったことも追い風となっています。米国は2015年度にはアラブ首長国連邦、カタールを抜き、最大の輸入先となっています。その結果、LPガス輸入の中東依存度は2011年度の86.6%から、2015年度には61.6%、2016年度には55.0%へと低下傾向が続いています(第213-1-16)。
- 出典:
- 財務省「日本貿易統計」を基に作成
(イ)消費の動向
LPガスの消費は、1996年度に過去最高の1,970万トンとなった後、燃料転換などにより減少傾向が続き、2016年度には1,415万トンと1996年度から3割弱減少し、1979年度並みの水準になっています。2016年度のLPガスの消費は、用途別に見ると、家庭業務用の消費が全体の44.3%を占めました。次いで一般工業用がシェア20.7%と大きく、化学原料用(18.2%)、自動車用、都市ガス用(各7.0%)と続きます(第213-1-17)。
- 出典:
- 日本LPガス協会資料を基に作成
(ウ)LPガス輸入価格の動向
日本のLPガス輸入価格は、サウジアラビアのサウジアラムコ社が決定する通告価格14に大きく左右される構造となっていました。しかし、2013年度ごろからは、価格指標の多様化を目的とし、米国プロパン連動価格を価格指標とするLPガスの輸入も活発化しています。2010年度以降の原油価格高騰とともに、2013年度のLPガス輸入(CIF)価格(年度平均)は過去最高の93,177円/トンという高値圏で推移しましたが、その後は国際原油価格の下落に伴い、2014年度は80,574円/トン、2015年度は52,957円/トン、2016年度は44,734円/トンまで低下しました(第213-1- 18)。
- 出典:
- 財務省「日本貿易統計」を基に作成
また、日本の総輸入金額に占めるLPガスの輸入金額の割合を見ると、二度の石油ショックを契機に2%を上回る水準にまで上昇しました。1985年度以降下落し、1990年代からはほぼ1%強の水準で推移していましたが、2016年度はLPガス輸入価格の低下と輸入量の減少に伴い、1971年度以来の低水準となる0.7%まで低下しています(第213-1-19)。
- 出典:
- 財務省「日本貿易統計」、日本エネルギー経済研究所「エネルギー・経済統計要覧」を基に作成
(3)石炭
① 供給の動向
2016年度、我が国は、石炭の国内供給のほぼ全量(99%以上)を海外からの輸入に依存しました(第213-1-20)。
我が国の国内石炭生産量は、1960年代には石油への転換の影響、さらには1980年代以降、割安な輸入炭の影響を受けて減少を続けました。1990年度から国内原料炭16の生産がなくなり、国内一般炭17も近年大規模な商業生産がなくなり、生産量は年間100万トン程度の横ばいとなっています。2016年度は国内一般炭の生産量は129万トンで、そのほとんどが発電用で消費されました。
海外炭の輸入量は1970年度には国内炭の生産量を上回り、1988年度には1億トンを突破しました。その後も、一般炭を中心に増加し、2016年度は輸入原料炭が7,246万トン、輸入一般炭が1億1,112万トンとなりましたが、無煙炭を合わせると前年度からは214万トン減少しました。同年度の一般炭の輸入先は豪州が75.0%を占めており、次いでインドネシア(11.5%)、ロシア(9.7%)、カナダ(1.8%)からの輸入がこれに続きました。原料炭の輸入先は豪州が49.3%を占めており、次いでインドネシア(26.3%)、カナダ(8.5%)、米国(6.8%)、ロシア(6.1%)からの輸入がこれに続きました(第213-1-21)。
- (注)
- 国内一般炭には国内無煙炭15、輸入一般炭には輸入無煙炭をそれぞれ含める。
- 出典:
- 2000年度までは経済産業省「エネルギー生産・需給統計年報」、2001年度から財務省「日本貿易統計」、石炭エネルギーセンター「炭鉱別石炭生産月報」を基に作成
- 出典:
- 財務省「日本貿易統計」を基に作成
こうした中で、日本企業は、探査から開発、操業の各段階において、海外炭鉱の開発に積極的に参加してきました。豪州を中心に20社を超える日本企業が海外石炭資産を保有しています。
② 消費の動向
我が国の石炭消費(産業別石炭販売量)の推移を見ると、1965年度の6,978万トンから1984年度には1億トンを、2000年度には1億5,000万トンを超えました。2016年度は小売業参入の全面自由化に伴う電気事業類型の見直しにより、調査対象事業者が変更されたことも影響していますが、2億トンを超えました。主な業種における石炭消費は、電気業が1億1,119万トンと最も多く、次いで鉄鋼業が6,515万トンで、この2つの業種で全消費の85.2%を占めました(第213-1-22)
- (注)
- 2016年度の電気業は、小売業参入の全面自由化に伴う電気事業類型の見直しにより、調査対象事業者が変更されている。
- 出典:
- 2000年度までは経済産業省「エネルギー生産・需給統計年報」、2001年度以降同「石油等消費動態統計年報」、「電力調査統計年報」を基に作成
電気業における石炭消費量は、1960年代後半は2,000万トンを上回っていましたが、石炭火力発電の他電源への転換が進んだことから1979年度には701万トンにまで低下しました。しかし、第二次石油ショック以降は、石油代替政策の一環としての石炭火力発電所の新設及び増設に伴い、石炭消費量は増加に転じ、現在では電気業が最大の石炭消費部門となりました。2009年度以降、世界的不景気、「みなし措置」18満了で従来から卸電気事業にかかわる許可を受けていた共同火力が電気事業者から外れたこと、さらに東日本大震災で一部の石炭火力発電所が被災したこと等の原因で発電用石炭消費は2011年度にかけて減少しました。2013年度以降、被災石炭火力の復旧と増設により石炭消費量は再び増加傾向となりました。2016年度には小売業参入の全面自由化に伴う電気事業類型の見直しにより、調査対象事業者が変更されたこともあり大きく増加しました。
③ 石炭価格の動向
我が国の輸入石炭価格(CIF価格)は、1990年度以降、原料炭が4,000~10,000円/トンの価格帯で、一般炭は3,500~8,000円/トンの価格帯で推移してきました。2000年代半ば以降は原油価格の上昇を受けて、石炭の採炭コスト、輸送コストも上昇し、世界的な石炭需要の増大とも相まって石炭価格が急騰しましたが、2009年に世界金融危機によって急落しました。中国などの需要増加により、2011年まで石炭価格が再び上昇しましたが、その後、欧米における脱石炭化の進展、中国の需要低迷などが原因で、2016年夏まで石炭価格は低下傾向が続きました。2016年夏以降、中国における需給のひっ迫などにより、原料炭を始め石炭価格は急騰し、原料炭の輸入価格は2017年3月には5年ぶりに2万円/トン付近まで上昇し、7月以降は15,000円/トン近辺を推移しています。一般炭の輸入価格は2016年12月以降12か月連続で10,000円/トンを超えました。なお、国内炭は1980年代後半から輸入炭との価格差が拡大し、競争力を失って生産量が減少しました(第213-1-23)。
- (注)
- 輸入炭は月次平均データ、国内原料炭、国内一般炭は年度平均データ。国内原料炭は1990年度で生産が終了。国内一般炭の価格は、2002年度以降公表されていない。
- 出典:
- 輸入炭については財務省「日本貿易統計」、国内炭については資源エネルギー庁「コール・ノート2003年版」を基に作成
また、日本の総輸入金額に占める石炭の輸入金額の割合は1970年度に7%を超えていましたが、1980年代後半からは3%を下回る水準で推移してきました。2008年度以降は価格上昇のため再び3%を上回る状況となりましたが、2012年度には3%を切りました。2016年度は石炭の輸入価格が上昇した影響で、石炭の輸入金額の割合は2.7%となり、前年度からは上昇しました(第213-1-24)。
- 出典:
- 財務省「日本貿易統計」を基に作成
2.非化石エネルギーの動向
(1)原子力
① 原子力発電の現状
原子力は、エネルギー資源に乏しい我が国にとって、技術で獲得できる事実上の国産エネルギーとして、1954年5月の内閣諮問機関「原子力利用準備調査会」発足以降、電気事業者による原子力発電所の建設が相次いで行われ、2011年2月末時点で、日本国内では、54基の商業用原子力発電所が運転されていました。しかし、2011年3月に発生した東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故後の同発電所1~6号機の廃止に伴い、原子力発電所数は48基となりました。2015年4月には、民間事業者が適切かつ円滑な廃炉判断を行うことができるよう、政府として財務・会計上の措置を講じたことを踏まえ、高経年炉(=「運転開始後40年以上が経過した」)7基のうち、日本原子力発電敦賀発電所1号機、関西電力美浜発電所1、2号機、中国電力島根原子力発電所1号機、九州電力玄海原子力発電所1号機について、さらに2016年5月には四国電力伊方発電所1号機について、各事業者が廃炉の判断を行い、運転を終了しました。また、2018年3月には関西電力大飯発電所1、2号機が運転を終了し、さらに、四国電力伊方発電所2号機の廃炉が決定されました。
我が国は、米国、フランスに次ぎ、世界で3番目の設備能力を有しており(2018年3月現在の原子力発電設備容量)、中国、ロシア、韓国がこれに続いています(第213-2-1)。
- 出典:
- IAEA-PRIS資料を基に作成
東日本大震災の影響により原子力発電所が順次停止し、2012年5月に北海道電力泊発電所3号機が定期検査のため停止したことで、1970年以来、42年ぶりに国内すべての原子力発電所が発電していない状態となりました。その後、関西電力大飯発電所3、4号機が2012年7月から1年2か月の稼働後、2013年9月に停止し、東日本大震災後初めて原子力発電ゼロで冬の電力需要期を迎えました。2013年9月以降、国内すべての原子力発電所が停止した状態が続きましたが、九州電力川内原子力発電所1、2号機に関する原子力規制委員会による新規制基準(2013年7月8日施行)適合性審査がそれぞれ2015年3月、5月に完了し、8月には1号機が、10月には2号機が再稼働し、原子力発電ゼロの状況は約2年ぶりに解消されました。その後、2016年1月には関西電力高浜発電所3号機が、2月には4号機が、また、8月には四国電力伊方発電所3号機が再稼働し、さらに2018年3月には関西電力大飯発電所3号機及び九州電力玄海原子力発電所3号機が再稼働しています。さらに2018年3月末現在、東京電力ホールディングス柏崎刈羽原子力発電所6、7号機、関西電力高浜発電所1、2号機、関西電力美浜発電所3号機、関西電力大飯発電所3、4号機、九州電力玄海原子力発電所3、4号機について、原子力規制委員会により、新規制基準に係る設置変更の許可がなされています。関西電力高浜発電所3、4号機は、大津地方裁判所が運転の停止を求める仮処分を決定したため一時的に運転を停止しましたが、2017年3月末には大阪高等裁判所が関西電力の主張を認め仮処分命令の取消しを命じ、5月には4号機が、6月には3号機が稼働を開始しました。また、2017年12月には広島高等裁判所での抗告審において、定期検査中であった四国電力伊方発電所3号機について、2018年9月末までの運転差止めを命じる仮処分が決定されました。これに対し、四国電力は仮処分の執行停止及び保全異議の申立てを行っています。2018年3月末現在、9原子力発電所12基の新規制基準への適合性審査を申請中です。
また、2012年に原子炉等規制法が改正され、原子炉の運転期間を運転開始から40年とし、その満了までに認可を受けた場合には、1回に限り最大20年間延長することを認める「運転期間延長認可制度」が導入されました。この認可には、新規制基準の適合のために必要となる工事計画の認可等を受けた上で、特別点検の結果を踏まえた劣化状況評価等によって長期間の運転が問題ないと判断されることが条件となっています。2015年4月には関西電力高浜発電所1、2号機の、11月には関西電力美浜発電所3号機の、また、2017年11月には日本原子力発電東海第二発電所の運転期間延長認可申請が提出されました。そして、2016年6月には関西電力高浜発電所1、2号機の運転期間延長が認可され、11月には関西電力美浜発電所3号機も運転期間延長が認可されました。
原子力発電の発受電電力量に占めるシェアは、2010年度に30.8%でしたが、2011年度に10.7%、2012年度に1.7%となり、2013年度に1.0%、2014年度は原子力発電所の稼働基数ゼロに伴い0%となりました。その後再稼働が進んだため、2015年度に1.0%となっています。また、原子力の設備利用率は、2010年度は67.3%でしたが、2013年度に2.3%、2014年度に0%、2015年度に2.5%、2016年度に5.0%はとなっています(第213-2-2)。
- 出典:
- 2015年度までは電気事業連合会資料、2016年度は日本原子力産業協会資料を基に作成
我が国で主として採用されている原子炉は、軽水炉と呼ばれるものであり、軽水19を減速材・冷却材20に兼用し、燃料には低濃縮ウランを用いるものです。軽水炉は、世界の原子力発電の中心となっており、沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)の2種類に分類されます。このうち、BWRは原子炉の中で蒸気を発生させ、それにより直接タービンを回す方式であり、PWRは原子炉で発生した高温高圧の水を蒸気発生器に送り、そこで蒸気を作ってタービンを回す方式です(第213-2-3)。
【第213-2-3】BWRとPWR
- 出典:
- 日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集2016」を基に作成
2018年1月現在の日本国内のBWRとPWRは廃炉決定済みの原子炉を除きそれぞれ22基及び18基、その他の形式の原子炉としては、日本原子力研究開発機構(JAEA)の「もんじゅ」や、大学やJAEAが所有する「常陽」などの試験研究用原子炉などがあります。なお、「もんじゅ」は、2016年12月に政府より廃炉が決定され、現在、解体に向けて海外事例を参考にしつつ、解体方法の検討を進めています。
② 核燃料サイクル
核燃料サイクルは、原子力発電所から出る使用済燃料を再処理し、未使用のウランや新たに生まれたプルトニウムなどの有用資源を回収して、再び燃料として利用するものです。具体的には、再処理工場で回収されたプルトニウムを既存の原子力発電所(軽水炉)で利用するプルサーマルが挙げられ、回収されたプルトニウムをウランと混ぜて加工される混合酸化物燃料(MOX燃料)が、プルサーマルに使用されています。
我が国は、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減などの観点から、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウムなどを有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針としています(第213-2-4)。
【第213-2-4】核燃料サイクル
- ※
- MOX(Mixed Oxide)燃料:プルトニウムとウランの混合燃料
- 出典:
- 日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集2016」
(ア)使用済燃料問題の解決に向けた取組
我が国は、原子力利用に伴い確実に発生する使用済燃料について、将来世代に負担を先送りしないように対策を総合的に推進しており、高レベル放射性廃棄物についても、国が前面に立ち、最終処分に向けた取組を進めています。また、使用済燃料については、六ヶ所再処理工場への搬出を前提とし、その搬出までの間、各原子力発電所等において、安全を確保しながら計画的に貯蔵対策を進めており、引き続き、発電所の敷地内外を問わず、中間貯蔵施設や乾式貯蔵施設等の建設・活用を進めることにより、使用済燃料の貯蔵能力の拡大に向けた取組を進めています。あわせて、将来の幅広い選択肢を確保するため、放射性廃棄物の減容化・有害度低減などの技術開発を進めています。
(i)放射性廃棄物の処分
原子力発電所で発生した低レベル放射性廃棄物(再処理施設やMOX燃料加工施設から発生する長半減期低発熱放射性廃棄物(TRU廃棄物)を含む)の処分については、発生者責任に基づき、原子力事業者などが処分に向けた取組を進めることとしています。放射能レベルに応じて、処分する深さや放射性物質の漏出を抑制するためのバリアの違いにより、人工構造物を設けない浅地中埋設処分(浅地中(トレンチ)処分)、コンクリートピットを設けた浅地中への処分(浅地中(ピット)処分)、一般的な地下利用に対して十分余裕を持った深度(地下50m以深)への処分(余裕深度処分)、地下300mより深い地層中への処分(地層処分)のいずれかの方法により処分することとしています。ただし、余裕深度処分については、その名称や深度等について原子力規制委員会において、名称は中深度処分、深度は70m以深に変更することを検討中です(第213-2-5)。
【第213-2-5】放射性廃棄物の種類と概要
- 出典:
- 資源エネルギー庁
各原子力施設の運転及び解体により発生する低レベル放射性廃棄物の保管量は、2017年3月末、全国の原子炉施設(原子炉、加工、再処理、廃棄物埋設・管理施設)と、取扱事業者の合計で、容量200Lドラム缶に換算して約114万本分の貯蔵となりました。また、日本原燃は、青森県六ヶ所村において1992年12月に低レベル放射性廃棄物埋設施設の操業を開始し、2017年3月時点で、約29万本のドラム缶を埋設処分しています。加えて、日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)動力試験炉(JPDR)の解体に伴い発生したものについては、茨城県東海村の同機構敷地内の廃棄物埋設実地試験施設において、約1,670トンの浅地中トレンチ処分が行われています。
再処理施設やMOX燃料加工施設から発生した低レベル放射性廃棄物のうちTRU廃棄物は、2017年3月末時点で、日本原子力研究開発機構と日本原燃において、200Lドラム缶に換算して約15.7万本の廃棄物が保管されました。また、ウラン濃縮施設やウラン燃料成型加工施設から発生した低レベル放射性廃棄物であるウラン廃棄物については、2017年3月末時点で、民間のウラン燃料加工業者に容量200Lドラム缶に換算して約4.4万本、日本原燃に約0.8万本、日本原子力研究開発機構に約5.0万本、合計で約10万本が保管されています。
一方、発電によって発生した使用済燃料は、高レベル放射性廃棄物としてガラス固化され、冷却のため30年~50年間程度貯蔵した後、地下300mより深い地層に処分されます。
国内では、日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所の再処理施設において、国外では、フランス、英国の再処理施設において再処理が行われてきました。使用済燃料の再処理に伴って発生する高レベル放射性廃棄物は、ガラス固化体として、2018年3月16日末時点で、国内で処理されたもの、海外から返還されたものを合わせて2,482本が国内(青森県六ヶ所村、茨城県東海村)で貯蔵されています。高レベル放射性廃棄物は、同月末までの原子力発電の運転により生じた使用済燃料を全て再処理しガラス固化体にした本数に換算すると、約24,800本相当が発生しています。この高レベル放射性廃棄物及び一部のTRU廃棄物については、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成12年法律第117号)」に基づき、地層処分を行うべく、原子力発電環境整備機構(NUMO)が、2002年から文献調査の受入れ自治体の公募を開始しましたが、現在まで文献調査の実施に至っていません。このため、経済産業省は、2013年から最終処分に向けた取組を抜本的に見直す検討を行い、2015年5月、最終処分法に基づく基本方針を改定(閣議決定)し、科学的に適性が高いと考えられる地域を国から提示するなど、国が前面に立って取組を進めることとしました。2017年4月、総合資源エネルギー調査会(放射性廃棄物ワーキンググループ及び地層処分技術ワーキンググループ)において、科学的により適性が高いと考えられる地域の要件・基準が取りまとめられるとともに、この要件・基準に基づき作成されるマップの名称について、「我が国の地下深部の科学的特性等について全国マップの形で分かりやすく情報提供する」という趣旨を踏まえ、「科学的特性マップ」と呼ぶことが決まりました。その後、同年7月、最終処分関係閣僚会議を経て、「科学的特性マップ」が公表されました。この公表を契機に、関係府省の連携の下、国民理解・地域理解を深めていくための取組を一層強化していきます。
(ii)使用済燃料の中間貯蔵
使用済燃料の中間貯蔵とは、使用済燃料が再処理されるまでの間の時間的調整を図るための措置として中間的に貯蔵・管理することをいいます。
我が国では、青森県むつ市において、使用済燃料を貯蔵・管理する法人であるリサイクル燃料貯蔵の中間貯蔵施設1棟目が2010年8月に貯蔵建屋の建設工事を着工し、2013年8月に完成しました。
2014年1月、リサイクル燃料貯蔵は、新規制基準(2013年12月施行)への適合性審査を原子力規制委員会に申請し、2018年後半の事業開始を目指しています。
(iii)放射性廃棄物の減容化・有害度低減に向けた取組
原子力利用に伴い発生する放射性廃棄物の問題は、世界共通の課題であり、将来世代に負担を先送りしないよう、その対策を着実に進めることが不可欠です。
高速炉は、燃料の増殖が可能であるだけでなく、マイナーアクチニドなどの長寿命核種を燃焼させることができるなど、放射性廃棄物の減容化・有害度の低減を可能とする有用な技術であり、フランス、ロシア、中国などの諸外国においては、その開発が進められています。
このような国際動向のもと、二国間の国際協力として、2014年5月の安倍総理大臣訪仏の際に、日本側の経済産業省と文部科学省、仏側の原子力・代替エネルギー庁が、仏国のナトリウム冷却高速炉の実証炉開発計画である第4世代ナトリウム冷却高速炉実証炉(ASTRID)計画及びナトリウム冷却炉の開発に関する協力取決めに署名し、日仏間の研究開発協力を開始しました。また、多国間協力としては、高い安全性を実現することをねらいとして、国際的な枠組み(第4世代原子力システムに関する国際フォーラム(GIF))において、ナトリウム冷却高速炉に関する安全設計の基準の構築を進めると同時に、その基準を国際的な標準とするべく専門家間での議論を実施しています。
(イ)核燃料サイクルの工程(プルサーマルの場合)
原子力発電の燃料となるウランは、最初、ウラン鉱石の形で鉱山から採掘されます。ウランは、様々な工程(製錬→転換→濃縮→再転換→成型加工)を経て燃料集合体に加工された後、原子炉に装荷され発電を行います。発電後には、使用済燃料を再処理することにより、有用資源であるプルトニウムなどを回収します。
(i)製錬
ウラン鉱山からウラン鉱石を採掘して、ウラン鉱石を化学処理してウラン(イエローケーキ、U3O8)を取り出す工程です。我が国では、ウラン鉱石をカナダ、豪州、カザフスタンなどから調達してきました。現在、国内ではこの工程は行われていません。
(ii)転換
イエローケーキを次の濃縮工程のためにガス状(UF6)にする工程であり、我が国ではこの工程を海外にある転換会社に委託してきました。
(iii)濃縮
ウラン濃縮とは、核分裂性物質であるウラン235の濃縮度を、天然の状態の約0.7%から軽水炉による原子力発電に適した3%~5%に高めることを意味し、我が国では、日本原燃が青森県六ヶ所村のウラン濃縮施設において遠心分離法という濃縮技術を採用しました。
日本原燃は、1992年3月から年間150トンSWU21の規模で操業を開始し、1998年末には年間1,050トンSWU規模に到達しました。その後、遠心分離機を順次新型遠心分離機に置き換えるため、2010年3月から導入初期分、年間75トンSWUの更新工事を行い、前半分は2012年3月に、後半分は2013年5月に、それぞれ年間37.5トンSWU規模で生産運転を開始しました。
2014年1月、日本原燃はウラン濃縮工場の新規制基準(2013年12月施行)への適合性審査を原子力規制委員会に申請し、2015年8月の認可によって暫定的に全工程の稼働が可能となった後、2017年5月に正式に審査が完了しました。既設遠心機の一部の生産機能停止によって、現在の施設規模は年間450トンSWUとなっており、今後、段階的にすべてを新型遠心機に更新することとしています。また、2017年9月から、安全性向上工事や新型遠心機への更新工事などのため、年間75トンSWU分について、生産運転を自主的に一時停止しています。
(iv)再転換
成型加工工程のためにUF6をパウダー状のUO2にする工程であり、我が国では、三菱原子燃料(茨城県東海村)のみが再転換事業を行っています。なお、それ以外の分については、海外の再転換工場に委託してきました。
(v)成型加工
UO2粉末を焼き固めたペレットにした後、燃料集合体に加工する工程で、我が国ではこの工程の大半を国内の成型加工工場で行ってきました。
(vi)再処理
使用済燃料の再処理とは、原子力発電所で発生した使用済燃料から、まだ燃料として使うことのできるウランと新たに生成されたプルトニウムを取り出すことをいいます。青森県六ヶ所村に建設中の日本原燃再処理事業所再処理施設(年間最大処理能力:800トン)では、2006年3月から実際の使用済燃料を用いた最終試験であるアクティブ試験を実施してきました。
使用済燃料からプルトニウム・ウランを抽出する工程などの試験は既に完了しており、高レベル放射性廃液をガラス固化する工程の確立に時間を要していましたが、2012年6月から試験を再開し、安定運転に向けた最終段階の試験を実施しました。最大処理能力での性能確認などを実施し、2013年5月に事業者が行うすべての試験を終了しました。2014年1月、日本原燃は、六ヶ所再処理工場の新規制基準(2013年12月施行)への適合性審査を原子力規制委員会に申請し、2021年度上期のしゅん工を目指しています。
(vii)MOX燃料加工
MOX燃料加工は、再処理工場で回収されたプルトニウムをウランと混ぜて、プルサーマルに使用されるMOX燃料に加工することをいいます。我が国では、日本原燃が青森県六ヶ所村においてMOX燃料加工工場を2016年3月にしゅん工すべく2010年10月に工事着工しました。その後東日本大震災の影響により一時中断していましたが、2012年4月から建設を再開しました。2014年1月、日本原燃はMOX燃料加工工場の新規制基準(2013年12月施行)への適合性審査を原子力規制委員会に申請し、2022年度上期のしゅん工を目指しています。
(viii)プルトニウムの適切な管理と利用
我が国は、プルトニウム利用の透明性向上のため、1994年から毎年「我が国のプルトニウム管理状況」を公表しており、内閣府が取りまとめを行っています。また、1998年からはプルトニウム管理に関する指針に基づき、国際原子力機関(IAEA)を通じて、我が国のプルトニウム保有量を公表しています。
また、回収したプルトニウムを既存の原子力発電所(軽水炉)で利用するプルサーマルについて、「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方について」(2003年8月、原子力委員会決定)を受け、更なるプルトニウム利用の透明性の向上を目的として、電気事業者などは2006年から、「プルトニウム利用計画」を公表しており、原子力委員会がその利用目的の妥当性の確認を行ってきました。東日本大震災前の2010年9月17日に電気事業者が示したプルトニウム利用計画では、2015年度までに16~18基の軽水炉でプルサーマルを順次実施することとしていました。その後電気事業者は、2013年3月26日に、今後、六ヶ所再処理工場がしゅん工し、新たなプルトニウムの回収が開始されるまでに、プルトニウム利用計画を策定・公表することを示し、さらに、2016年3月29日には、導入目標時期である「2015年度」は見直す必要があるものの、全国の16~18基の軽水炉でプルサーマルの導入を目指す考え方に変わりはないことを示しました。
さらに、2014年3月、日本と米国は日本原子力研究開発機構の高速炉臨界実験装置から高濃縮ウラン(HEU)と分離プルトニウムを全量撤去し処分することで合意し、両国の声明により、「この取組は、数百キロの核物質の撤廃を含んでおり、世界規模で高濃縮ウラン及び分離プルトニウムの保有量を最小化するという共通の目標を推し進めるものであり、これはそのような核物質を権限のない者や犯罪者、テロリストらが入手することを防ぐのに役立つ」と説明しました。また、同月オランダ・ハーグで開催された第3回核セキュリティ・サミットにおいて、安倍総理は「利用目的のないプルトニウムは持たない」との原則を引き続き堅持する旨表明するとともに、プルトニウムの回収と利用のバランスを十分に考慮すること、プルトニウムの適切な管理を引き続き徹底することを表明し、また日米首脳間の共同声明で、日本原子力研究開発機構の高速炉臨界実験装置(FCA)からHEUとプルトニウムを全量撤去することを表明しました。2016年4月には、米国・ワシントンD.C.で開催された第4回核セキュリティ・サミットにおいて、安倍総理は、FCAからの燃料の撤去予定を大幅に前倒しして完了したこと、さらに現在HEU燃料を利用している京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)を低濃縮ウラン(LEU)燃料利用の原子炉に転換し、すべてのHEU燃料を米国に移送することなどを発表しました。
③ 原子力施設の廃止措置
原子力発電所の廃止措置について、我が国では、「安全貯蔵-解体撤去」方式を標準的な工程として採用しました。運転を終えた原子力発電所は、営業運転を終了すると国の認可を受けて廃止措置が開始されます。廃止措置では、「洗う」、「待つ」、「解体する」の3ステップを基本としています。燃料搬出後、まず配管内などに付着している放射性物質を除去し(系統除染:「洗う」)、その後5~10年ほど放射能の減衰を待つため安全に貯蔵し(安全貯蔵:「待つ」)、最終的に解体します(解体撤去:「解体する」)。解体撤去が完了した跡地は、地域社会と協調をとりながら、原子力発電所用地として引き続き有効に利用することを基本的な方針としました(第213-2-6)。
【第213-2-6】原子力発電所廃止措置の流れ
- (注)
- 具体的な方法については、状況によって事業者が決定し、原子力l規制委員会が安全性を確認
- 出典:
- 原子力安全・保安院「原子力施設の廃止措置パンフレット」
1950年代に始まった我が国の原子力利用から既に50年以上が経過し、一部の原子力施設では施設の廃止や解体が行われ、所要の安全確保の実績が積み上げられてきました。一方、これらの経験を踏まえ、安全確保のための制度上の手続面の明確化や、原子力施設の廃止や解体に伴って発生する様々な種類の廃棄物などから、放射性物質として管理する必要のあるものと、汚染のレベルが自然界の放射性物質の放射線レベルと比べても極めて低く、管理すべき放射性物質として扱う必要のないものを区分するための制度(クリアランス制度)の創設が必要とされていました。こうした状況を踏まえ、2005年5月に「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」を改正して、廃止措置及びクリアランス制度などの導入が行われました。
原子力発電所の廃止措置に伴い発生する解体廃棄物の総量は、110万kW級の軽水炉の場合、約49~54万トンとなり、これらの廃棄物を適正に処分していくことが重要です。
運転中・解体中に発生する廃棄物の中には、安全上「放射性物質として扱う必要のないもの」も含まれています。これらは、放射能を測定し安全であることを確認し、国のチェックを受けた後、再利用できるものはリサイクルし、できないものは産業廃棄物として処分することとしています。国によるチェックが行われた後、放射性廃棄物として適切に処理処分する必要がある低レベル放射性廃棄物の量は、57プラント合計で約45万トン(総廃棄物重量の約2%)と試算されました。この中には炉内構造物などの「放射能レベルの比較的高いもの」が約8,000トン(総廃棄物重量の約0.04%)、コンクリートピットを設けた浅地中への処分が可能な「放射能レベルの比較的低いもの」が約6万トン(総廃棄物重量の約0.3%)、また、堀削した土壌中への埋設処分(浅地中トレンチ処分)が可能な「放射能レベルの極めて低いもの」が約38万トン(総廃棄物重量の約1.9%)含まれていると試算されました。
我が国では1998年に日本原子力発電東海発電所が営業運転を停止し、廃止措置段階に入っており、試験研究炉では、日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)の動力試験炉(JPDR)の解体撤去が、1996年3月に計画どおり完了し、2002年10月に廃止届が届けられました。また、研究開発段階にある発電用原子炉では、2003年に運転を終了した日本原子力研究開発機構の新型転換炉ふげん発電所の廃止措置計画の認可が2008年2月に行われました。同発電所は、原子炉廃止措置研究開発センターに改組され、廃止措置のための技術開発を進めてきました。
2009年1月、中部電力は浜岡原子力発電所1号機と2号機を廃止し、11月に廃止措置計画の認可が行われました。また、2011年3月に発生した東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故後、同発電所1~6号機が廃止となっています。さらに、2015年4月には、日本原子力発電敦賀発電所1号機、関西電力美浜発電所1、2号機、中国電力島根原子力発電所1号機、九州電力玄海原子力発電所1号機が、2016年5月には四国電力伊方発電所1号機が、2018年3月には関西電力大飯発電所1、2号機が運転を終了しました。2016年12月には日本原子力研究開発機構の「もんじゅ」の廃炉が政府により決定されました。
(2)再生可能エネルギー
① 全般
再生可能エネルギーとは、化石燃料以外のエネルギー源のうち永続的に利用することができるものを利用したエネルギーであり、代表的な再生可能エネルギー源としては太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどが挙げられます。
我が国の再生可能エネルギーの導入拡大に向けた取組は、石油代替エネルギー法に基づく石油代替政策に端を発しました。1970年代の二度の石油ショックを契機に、我が国では石油から石炭、天然ガス、原子力、再生可能エネルギーなどの石油代替エネルギーへのシフトを進めてきました。
法制度については1980年に、「石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律」(昭和55年法律71号)(以下「石油代替エネルギー法」という。)が制定されました。
石油代替エネルギーの技術開発については、1974年に通商産業省工業技術院(現・産業技術総合研究所)において「サンシャイン計画」を開始しました。この計画は、将来的にエネルギー需要の相当部分を賄い得るエネルギーの供給を目標として、太陽、地熱、石炭、水素エネルギーの4つの石油代替エネルギー技術について重点的に研究開発を進めるものでした。
また、1980年に設立された新エネルギー総合開発機構(現・新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO))において石炭液化技術開発、大規模深部地熱開発のための探査・掘削技術開発、太陽光発電技術開発などが重点プロジェクトとして推進されました。
1993年、「サンシャイン計画」は、「ムーンライト計画」と統合され、「ニューサンシャイン計画」として再スタートすることとなりました。「ニューサンシャイン計画」は、従来独立して推進されていた新エネルギー、省エネルギー及び地球環境の三分野に関する技術開発を総合的に推進するものでしたが、2001年の中央省庁再編に伴い、「ニューサンシャイン計画」の研究開発テーマは、以後「研究開発プログラム方式」によって実施されることとなりました。
また、国内外のエネルギーを巡る経済的・社会的環境の変化に伴い、石油代替エネルギー供給目標の達成のために、石油代替エネルギーのうち経済性における制約から普及が十分でない新エネルギーの普及促進を目的として、1997年に「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」(平成9年法律第37号)(以下「新エネルギー法」という。)が制定されました。新エネルギー法は、国や地方公共団体、事業者、国民などの各主体の役割を明確化する基本方針の策定や新エネルギー利用などを行う事業者に対する財政面の支援措置などを定めたものです。
こうした取組の結果、一次エネルギー国内供給に占める石油の割合は、1973年度の75.5%から、2016年度には39.7%にまで低下しました。しかし、天然ガス、石炭なども含めた化石燃料全体の依存度は、1998年度には79.9%となったものの、東日本大震災後の火力発電の増加により2016年度には89.0%まで上昇しました。
一方、近年の世界のエネルギー需要の急増などを背景に、今後は従来どおりの質・量の化石燃料を確保していくことが困難となることが懸念されています。このような事態に対応し、また、低炭素社会の実現にも寄与すべく、2009年7月に、石油への依存の脱却を図るというこれまでの石油代替施策の抜本的な見直しが行われました。この結果、研究開発や導入を促進する対象を「石油代替エネルギー」から、再生可能エネルギーや原子力などを対象とした「非化石エネルギー」とすることを骨子とした石油代替エネルギー法の改正が行われ、同法の題名も「非化石エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律」に改められました。また、併せて「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」(平成21年法律72号)(以下「エネルギー供給構造高度化法」という。)が制定され、エネルギー供給事業者に対して再生可能エネルギーなどの非化石エネルギーの利用を一層促進する枠組みが構築されました。
また、2003年からは、「電気事業者による新エネルギー電気等の利用に関する特別措置法」に基づき、RPS制度22を開始し、電気分野における再生可能エネルギーの導入拡大を進めてきました。さらに、2012年7月からは、このRPS制度に替えて、固定価格買取制度(FIT)を導入し、再生可能エネルギーの大幅な導入拡大を進めています。2017年4月にはこの固定価格買取制度が改正され、設備に代わり事業計画を確認する制度となったことで、適切なメンテナンス等を事業者に課すようになりました。固定価格買取制度の導入により、再生可能エネルギーに対する投資回収の見込みが安定化したこともあり、制度開始後、2016年度末までに運転を開始した再生可能エネルギー発電設備は制度開始前と比較して約2倍に増加しています。
② 太陽光発電
太陽光発電は、シリコン半導体などに光が当たると電気が発生する現象を利用し、太陽の光エネルギーを太陽電池(半導体素子)により直接電気に変換する発電方法です。日本における導入量は、近年着実に伸びており、2016年度末累積で4,229万kWに達しました。企業による技術開発や、国内で堅調に太陽光発電の導入が進んだことにより、太陽光発電設備のコストも着実に低下しています(第213-2-7)。
- (注)
- システム価格は住宅用(10kW未満)の平均値。
- 出典:
- システム価格は経済産業省資源エネルギー庁資料を基に作成、国内導入量は2014年度まで太陽光発電普及拡大センター資料、2015年度以降は資源エネルギー庁「固定価格買取制度 情報公開用ウェブサイト」を基に作成
太陽電池の国内出荷量は、政府の住宅用太陽光発電設備に対する補助制度が一時打ち切られた2005年度をピークに伸び悩んでいましたが、2009年11月に、太陽光発電の余剰電力買取制度23が開始されたことや、2009年1月に補助制度が再度導入され、地方自治体による独自の補助制度も合わせると設置費用が低減したことを受けて、2009年度から大幅な増加基調に転じています。また、2012年に開始した固定価格買取制度の効果により、非住宅分野での太陽光発電の導入が急拡大しており、2014年度に太陽電池の国内出荷量は過去最高を記録しました。しかし、太陽光発電の買取価格が引き下げられていることなどにより、2015年度以降の出荷量は減少傾向にあります(第213-2-8)。
- (注)
- 2017年度は4月~12月まで
- 出典:
- 太陽光発電協会資料を基に作成
世界的に見ると、日本は2003年末まで世界最大の太陽光発電導入国でしたが、ドイツの導入量が急速に増加した結果、2004年にはドイツに次いで世界第2位となりました。その後中国の導入量が急速に増加しており、IEA-PVPSによると、2015年末時点では、日本は中国、ドイツに次ぐ世界第3位の累積導入量となっていました。2016年末時点ではドイツを追い抜き、再び世界第2位の導入量となっています24(第213-2-9)。また、日本は太陽電池の生産量でも2007年まで世界でトップの地位にありましたが、2013年をピークに減少傾向にあり、さらに中国を始めとするアジアの企業が生産を拡大した結果、2016年時点では、生産量は世界第4位、世界の太陽電池(モジュール)生産量に占める割合は4%となりました。なお、生産量が第1位の中国は69%を占めています(第213-2-10)。日本における太陽電池の国内出荷量に占める国内生産品の割合を見てみると、2008年度まではほぼ100%でしたが、国内出荷量が大幅な増加基調に転じた2009年度から低下しており、2017年度(12月まで)では32%となりました(第213-2-11)。
- 出典:
- IEA Photovoltaic Power Systems Programme「Snapshot of Global Photovoltaic Markets 2016」を基に作成
- 出典:
- IEA Photovoltaic Power Systems Programme「Trends 2017 in Photovoltaic Applications」を基に作成
- 出典:
- 太陽光発電協会資料を基に作成
一方で、天候や日照条件などにより出力が不安定であるという課題も残されています(第213-2-12)。今後の更なる導入拡大のためには、低コストに向けた技術開発や系統安定化対策を進めることが重要です。
【第213-2-12】太陽光発電の天候別発電電力量の推移
- 出典:
- 資源エネルギー庁調べ
③ 太陽熱利用
太陽エネルギーによる熱利用は、古くは太陽光を室内に取り入れることから始まっていますが、積極的に利用され始めたのは、太陽熱を集めて温水を作る温水器の登場からです。太陽熱利用機器はエネルギー変換効率が高く、新エネルギーの中でも設備費用が比較的安価で費用対効果の面でも有効であり、現在までの技術開発により、用途も給湯に加え暖房や冷房にまで広げた高性能なソーラーシステムが開発されました。
太陽熱利用機器の普及は、1979年の第二次石油ショックを経て、1980年代前半にピークを迎えました。1990年代中期以降は石油価格の低位安定、円高方向への為替の変化、競合するほかの製品の台頭などを背景に新規設置台数が年々減少してきました(第213-2-13)。
- 出典:
- ソーラーシステム振興協会資料を基に作成
④ 風力発電
風力発電は風の力で風車を回し、その回転運動を発電機に伝えて電気を起こす発電方法です。
1997年度に開始された設備導入支援を始め、1998年度に行われた電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドラインの整備や2003年度のRPS法の施行を通じて着実に導入が進み、2012年に開始した固定価格買取制度により、今後さらに風力発電の導入が拡大することが見込まれます。2016年度末時点での導入量は、2,203基、出力約336万kW(新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)調べ:単機出力10kW以上かつ総出力20 kW以上の風力発電設備で稼働中のもの)(第213-2-14、第213-2-15)であるとともに、環境アセスメント手続中のものが164件存在しており、今後こうした案件が順次運転開始していくことが見込まれています。
- 出典:
- 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ホームページ資料を基に作成
【第213-2-15】風力発電総設備容量に占める各地域別の割合(2016年度末)
【第213-2-15】風力発電総設備容量に占める各地域別の割合(2016年度末)(xls/xlsx形式:1,237KB)
- 出典:
- 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ホームページ資料を基に作成
他方、日本の風力発電導入量は、2017年末時点で世界第19位であり(第213-2-16)、これは、日本は諸外国に比べて平地が少なく地形も複雑なこと、電力会社の系統に余裕がない場合があること等の理由から、風力発電の設置が進みにくいといった事情があります。また、出力の不安定な風力発電の大規模導入が電力系統に及ぼす影響を緩和すべく、出力の安定化や系統の強化が課題となっています。
- 出典:
- Global Wind Energy Council(GWEC)「Global Wind Report(各年)」を基に作成
また、再生可能エネルギーの中でも相対的にコストの低い風力発電の導入を推進するため、電力会社の系統受入容量の拡大や、広域的な運用による調整力の確保に向けた対策や、通常3~4年かかると想定される環境アセスメントの手続期間をおおむね半減まで短縮することを目指した取組を行っています。
⑤ バイオマスエネルギー
バイオマス(生物起源)エネルギーとは、化石資源を除く、動植物に由来する有機物で、エネルギー源として利用可能なものを指します。特に植物由来のバイオマスは、その生育過程で大気中の二酸化炭素を吸収しながら成長するため、これらを燃焼させたとしても追加的な二酸化炭素は排出されないことから、「カーボンニュートラル」なエネルギーとされています。
バイオマスエネルギーは、原料の性状や取扱形態などから廃棄物系と未利用系に大別されます。利用方法については、直接燃焼のほか、エタノール発酵などの生物化学的変換、炭化などの熱化学的変換による燃料化などがあります(第213-2-17)。
- ※
- RDF:Refuse Derived Fuelの略で、廃棄物(ごみ)から生成された固形燃料
- 出典:
- 資源エネルギー庁「新エネルギー導入ガイド 企業のためのAtoZ バイオマス導入」
我が国において2016年度に利用されたバイオマスエネルギーは原油に換算すると1,597万klであり、一次エネルギー国内供給量51,227万klに占める割合は3.1%でした25。ここで計上されたバイオマスエネルギーは廃棄物の焼却によるエネルギーが主であり、製紙業などのパルプ化工程で排出される黒液や製材工程から排出される木質廃材、農林・畜産業の過程で排出される木くずや農作物残さ、家庭や事務所などから出るゴミなどを燃焼させることによって得られる電力・熱を利用するものなどがあります。特に黒液や廃材などを直接燃焼させる形態を中心に導入が進展してきました。
生物化学的変換のうちメタン発酵については、家畜排せつ物や食品廃棄物からメタンガスを生成する技術は確立されているものの、普及に向けては、原料の収集・輸送やメタン発酵後の残さ処理などが課が容易な下水汚泥は、一部の大規模な下水処理場を中心に、メタンを生成することでエネルギー利用を図ってきました。
バイオマスエネルギーを活用した発電については、2012年に開始した固定価格買取制度により、導入が進んでいます。また、2015年度から新たに2,000kW未満の未利用木質バイオマス発電について別個の買取区分が設けられ、より小さい事業規模でも木質バイオマス発電に取り組めるようになりました。近年、バイオマス発電の設備容量は増加の勢いを強めており、2016年度末の固定価格買取制度によるバイオマス発電導入設備容量は、197万kW(RPS制度からの移行導入量を含む。)に達しました(第213-2-18)。他方で、いずれの類型・原料種についても、原料バイオマスを長期的かつ安定的に確保することが共通の課題となっています。
- (注)
- 「RPS制度からの移行導入量」は2014年度以降の数値のみ掲載している。
- 出典:
- 資源エネルギー庁「固定価格買取制度 情報公開用ウェブサイト」を基に作成
また、輸送用燃料であるバイオエタノールやバイオディーゼルは、生物化学的変換により、その大部分が製造されています。我が国は、これまでサトウキビなどの糖質やトウモロコシなどのでん粉質等を主な原料として製造されるバイオエタノールを海外から輸入し、利用してきました。しかし、世界におけるバイオ燃料の利用に関する議論の動向を踏まえ、非可食原料である稲わら、木材や廃棄物などのバイオマスを原料とする次世代バイオエタノールの導入に向けた検討を行っています。
バイオエタノールの利用方式としては、ガソリンに直接混合する方式と、添加剤(ETBE26)として利用する方式の2通りがあります。一方、バイオディーゼルは、ナタネやパームなどの植物油をメチルエステル化して、そのまま若しくは軽油に混合した状態でディーゼル車の燃料として利用され、欧米等では大規模な原料栽培から商業的に取り組まれていますが、我が国では、使用済みの植物油(廃食用油等)を回収・再利用する形でのバイオディーゼル製造が主流です。
さらに近年では、バイオ燃料製造技術として、炭化水素を生産する微細藻類を活用した燃料製造技術などの技術開発が行われており、軽油代替・ジェット燃料油代替の製造技術の研究開発が続けられています。
⑥ 水力
水力発電は、高所から流れ落ちる河川などの水を利用して落差を作り、水車を回し発電するものです。利用面から流れ込み式(水路式)、調整池式、貯水池式、揚水式に分けられ、揚水式以外を特に一般水力と呼んでいます。揚水式は、夜間などに下池の水を上池に揚げ、必要時に放流して発電するため、他とは区別されています。
2015年度末の時点で、我が国の一般水力発電所は、既存発電所数が計1,969か所、新規建設中のものが60か所に上りました。また、未開発地点は2,698地点(既開発・工事中の約1.3倍)であり、その出力の合計は1,194万kW(既開発・工事中の約2分の1)に上りました。しかし、未開発の一般水力の平均発電能力(包蔵水力)は4,427kWであり、既開発や工事中の平均出力よりもかなり小さなものとなっています。開発地点の小規模化が進んだことに加えて、開発地点の奥地化も進んでいることから、発電原価が他の電源と比べて割高となり、開発の大きな阻害要因となっています。今後は、農業用水などを活用した小水力発電のポテンシャルを生かしていくことが重要になります。小水力発電は、地域におけるエネルギーの地産地消の取組を推進していくことにもつながります。2012年に開始した固定価格買取制度の効果により、2017年3月時点で24万kWの小水力発電が新たに運転開始しており、今後も開発が進むことが見込まれます。
なお、一般水力及び揚水を含む全水力発電の設備容量は2016年度末で5,012万kWに達しており、年間発電電力量は847億kWhとなりました(第213-2-19)。
また、国際的に見ると、水力発電導入量の日本のシェアは4%程度となりました(第213-2-20)。
- 出典:
- 2015年度までは電気事業連合会「電気事業便覧」、2016年度は資源エネルギー庁「電力調査統計」を基に作成
- 出典:
- IRENA「Renewable Energy Statistics 2017」を基に作成
⑦ 地熱
地熱発電は、地表から地下深部に浸透した雨水などが地熱によって加熱され、高温の熱水として貯えられている地熱貯留層から、坑井により地上に熱水・蒸気を取り出し、タービンを回し電気を起こすシステムです。CO2の排出量がほぼゼロで環境適合性に優れ、低廉で安定的な発電が可能なベースロード電源である地熱発電は、日本が世界第3位の資源量(2,347万kW)を有する電源として注目を集めています(第213-2-21)。地熱発電の導入にあたっては、地下の開発に係る高いリスクやコスト、温泉事業者を始めとする地域の方々など地元の理解や、開発から発電所の稼働に至るまでに10年を超える期間を要するといった課題が存在しています。
- 出典:
- 地熱資源量は国際協力機構作成資料(2010年)及び産業総合技術研究所作成資料(2008年)より、地熱発電設備容量はBP「Statistical Review of World Energy 2017」より抜粋して作成
こうした課題を解決するために、特に近年、様々な支援措置が講じられています。例えば、開発リスクが特に高い初期調査段階におけるコストの低減のため、資源量の把握に向けた地表調査や掘削調査等に対して支援を実施しています。
また、地域の理解促進のための支援として、①地熱利用によるハウス栽培事業や道路の融雪事業のほか、②専門家を呼んだセミナーや見学会を実施する事業など、地熱を有効利用して地域の地熱利用促進に資する事業を支援しています。
さらに、開発期間の短縮のため、通常は3、4年程度かかるとされる環境アセスメントの手続期間を半減させることを目標に、国の審査期間を短縮するとともに、2014年度から、実地での環境影響調査を前倒しで進める場合の課題の特定・解決を図るための実証事業を実施し、得られた知見をまとめた「前倒環境調査のガイド」が2016年、2017年に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より公表されています。2012年7月に開始された固定価格買取制度による支援もあり、地熱発電の開発機運はますます高まっています。実際に、開発の初期段階で必要となる地熱資源量の調査が、2017年度27件行われており(うち、2016年度からの新規事業は9件)、着実に地熱開発が進んでいます(第213-2-22)。
- 出典:
- 資源エネルギー庁作成
また、国際的に見ると、地熱発電導入量の日本のシェアは4%程度となっており、アイスランドに次いで世界第10位の規模となります(第213-2-23)。
- 出典:
- BP「Statistical Review of World Energy 2017」を基に作成
⑧ 未利用エネルギー
「未利用エネルギー」とは、夏は大気よりも冷たく、冬は大気よりも温かい河川水・下水などの温度差エネルギーや、工場などの排熱といった、今まで利用されていなかったエネルギーのことを意味します。
具体的な未利用エネルギーの種類としては、①生活排水や中・下水・下水処理水の熱、②清掃工場の排熱、③変電所の排熱、④河川水・海水・地下水の熱、⑤工場排熱、⑥地下鉄や地下街の冷暖房排熱、⑦雪氷熱などがあります。
特に、雪氷熱利用については、古くから、北海道、東北地方、日本海沿岸部を中心とした降雪量の多い地域において、生活上の障害であった雪氷を夏季まで保存し、雪室や氷室として農産物などの冷蔵用に利用してきました。近年、地方自治体などが中心となった雪氷熱利用の取組が活発化しており、農作物保存用の農業用低温貯蔵施設、病院、介護老人保健施設、公共施設、集合住宅などの冷房用の冷熱源に利用されています。
また、清掃工場の排熱の利用や下水・河川水・海水・地下水の温度差エネルギー利用は、利用可能量が非常に多いことや、比較的に都心域の消費に近いところにあることなどから、今後更なる有効活用が期待される未利用エネルギーであり、エネルギー供給システムとして、環境政策、エネルギー政策、都市政策への貢献が期待されている地域熱供給を始めとしたエネルギーの面的利用と併せて、さらに導入効果が発揮できるエネルギーです(第213-2-24)。
【第213-2-24】未利用エネルギーの活用概念
3.エネルギーの高度利用
(1)次世代自動車
次世代自動車には、燃料電池自動車、電気自動車、ハイブリッド自動車、クリーンディーゼル自動車などがあります。
我が国において、運輸部門のエネルギー消費の大半は、ガソリンと軽油の使用を前提とする自動車によるものであり、これらの燃料を消費しない、あるいは使用を抑制する次世代自動車の導入は環境面への対応などの観点から非常に有効な手段です。次世代自動車は、その導入について価格面を中心に様々な課題がありますが、いわゆるエコカー補助金・減税などのインセンティブの効果などもあり、ハイブリッド自動車を中心に普及台数が拡大しています。さらに、2009年には電気自動車・プラグインハイブリッド自動車の市販が開始され、2014年12月には燃料電池自動車の市販も開始されました。2016年度末時点の我が国の保有台数はハイブリッド自動車が約657万台、電気自動車が約7.5万台、プラグインハイブリッド自動車が約7.0万台、燃料電池自動車が1,813台となりました(第213-3-1)。
- 出典:
- 自動車検査登録情報協会「自動車保有車両数」を基に作成
(2)燃料電池
燃料電池は、水素と空気中の酸素を化学的に反応させることによって直接電気を発生させる装置です。燃料電池は、①燃料となる水素は製造原料の代替性が高く、副生水素、原油随伴ガス、褐炭といった未利用エネルギーや、再生可能エネルギーを含む多様な一次エネルギー源から様々な方法で製造可能なこと、②発電効率が30~60%と高く、反応時に生じる熱を活用し、コージェネレーションシステム(熱電併給システム)として利用した場合には総合効率が90%以上とエネルギー効率が非常に高いシステムであること、③また、発電過程で二酸化炭素や窒素酸化物、硫黄酸化物を排出せず、環境特性に優れるクリーンなエネルギーシステムであることから、エネルギー供給構造のぜい弱な我が国においては、エネルギー安定供給の確保の観点のみならず、地球環境問題対策の観点からも重要なエネルギーシステムであると考えられます。
【第213-3-2】燃料電池の原理
我が国では2009年5月に世界に先駆けて一般消費者向けとして家庭用燃料電池の市場での本格的な販売が開始され、2017年12月末時点までに約23.6万台が導入されています(第213-3-3)。
- (注)
- 年度末値。
- 出典:
- コージェネレーション・エネルギー高度利用センター「コージェネ導入実績報告」を基に作成
(3)ヒートポンプ
ヒートポンプは冷媒を強制的に膨張・蒸発、圧縮・凝縮させながら循環させ、熱交換を行うことにより水や空気などの低温の物体から熱を吸収し高温部へ汲み上げるシステムであり、従来のシステムに比べてエネルギー利用効率が非常に高いことが特長です。そのため、民生部門での二酸化炭素排出削減に大きく貢献することが期待されています。
高効率ヒートポンプの初期費用は比較的高くなることから、市場化・普及までの期間短縮を図ることが必要です。また、欧米ではヒートポンプによる熱利用を再生可能エネルギーとして評価する動きもあります。エネルギー供給構造高度化法施行令では、「大気中の熱その他の自然界に存在する熱」が再生可能エネルギー源として位置付けられました。
我が国のヒートポンプは、家庭部門でエアコンの空調に多く導入されていますが、給湯機器や冷蔵・冷凍庫など様々な製品にも使用されています。また、高効率で大規模施設にも対応できるヒートポンプはオフィスビルの空調や病院・ホテルの給湯などに利用されていますが、今後は工場や農場などでも普及拡大が期待されています。
【第213-3-4】ヒートポンプ(CO2冷媒)の原理
- 出典:
- 日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集2016」
(4)コージェネレーション
コージェネレーション(Cogeneration)とは熱と電気(または動力)を同時に供給するシステムです。消費地に近いところに発電施設を設置できるため、送電ロスが少なく、また、発電に伴う冷却水、排気ガスなどの排熱を回収利用できるため、エネルギーを有効利用することができます。排熱を有効に利用した場合には、エネルギーの総合効率が最大で90%以上に達し、省エネルギーや二酸化炭素排出の削減に貢献できます。我が国におけるコージェネレーションの設備容量は、産業用を中心として着実に増加してきました。民生用では病院、ホテルなどの熱・電力需要の大きい業種、産業用では化学、食品などの熱多消費型の業種を中心に導入されてきました(第213-3-5)。
- (注)
- 民生用には、戸別設置型の家庭用燃料電池やガスエンジンなどを含まない。
- 出典:
- コージェネレーション・エネルギー高度利用センター「コージェネ導入実績報告」を基に作成
(5)廃棄物エネルギー
廃棄物エネルギーとは、再利用及び再生利用がされない廃棄物を廃棄物発電などの熱回収により有効利用したり、木質チップの製造など廃棄物から燃料を製造したりすることができるものです。再生可能エネルギーの1つであるバイオマス系の廃棄物エネルギーに加え、化石燃料に由来する廃棄物エネルギーについても有効活用などの意義があります。
廃棄物エネルギーの利用方法としては、廃棄物発電、廃棄物熱供給、廃棄物燃料製造が挙げられます。2016年度末における我が国の廃棄物発電(一般廃棄物に限る)の施設数は358で、1,120に上る全一般廃棄物焼却施設の32.0%を占めました。また、発電設備容量は合計で198.1万kWに達しました。
- 9
- ここでの原油自給率は、日本の海外における自主開発原油は含まれず、日本の原油供給のうち国内で産出された原油の割合を示します。
- 10
- 米国及び欧州OECDの中東依存度については、天然ガス液(Natural gas liquids)を含まない原油(Crude oil)のみの数値を示します。
出典:IEA「Oil Information(2017)」
- 11
- B重油は船舶のディーゼルエンジン用などに使用されていましたが、C重油などに需要がシフトし、ほとんど生産されなくなっています。C重油は火力発電や船舶などの大型のディーゼルエンジン用などに使用されています。
- 12
- Cost, Insurance and Freightの略で、引渡し地までの保険料、運送料を含む価格を意味しています。
- 13
- 原油輸入金額は、「原油」の輸入額の合計を示しています。
- 14
- サウジアラムコ社の通告価格とはコントラクトプライス(CP)と呼ばれ、サウジアラムコ社が、原油価格やマーケット情報を参考にしながら総合的に判断し、決定します。日本を含めた極東地域に輸入されるLPガスについては、サウジアラビア以外の産ガス国も多くがこのCPにリンクしています。
- 15
- 無煙炭は、石炭の中でも最も炭化が進んだ石炭で、燃焼の際にほとんど煙を出さず、また、火力が強いという特徴があります。
- 16
- 原料炭は、主に高炉製鉄用コークス製造のための原料として用いられています。
- 17
- 一般炭は、主に発電所用のボイラ燃料として用いられています。
- 18
- 1995年の電気事業法改正を受けて、共同火力及び公営電気事業は、卸電気事業から卸供給へ移行することとなりましたが、経過措置により2010年3月までは「みなし卸電気事業者」として位置付けられていました。
- 19
- 軽水とは普通の水のことを指し、軽水炉の減速材、冷却材などに用いられます。これに対し、重水素(水素原子に中性子が加わったもの)に酸素が結合したものが重水であり、重水炉に用いられます。
- 20
- 核分裂によって新しく発生する中性子は非常に高速であり、これを高速中性子と呼びます。このままでも核分裂を引き起こすことは可能ですが、この速度を遅くすると次の核分裂を引き起こしやすくなります。この速度の遅い中性子を熱中性子と呼び、高速中性子を減速し熱中性子にするものを減速材と呼びます。軽水炉では、熱中性子で核分裂連鎖反応を維持するために減速能力の高い軽水(水)を減速材として用います。また、核分裂によって発生した熱を炉心から外部に取り出すものを冷却材と呼びます。軽水炉では水を冷却材として用いるので、冷却材が減速材を兼ねています。
- 21
- SWU(Separative Work Unit=分離作業量)は、ウランを濃縮する際に必要となる仕事量を表す単位です。例えば、濃度約0.7%の天然ウランから約3%に濃縮されたウランを1kg生成するためには、約4.3kgSWUの分離作業量が必要です。
- 22
- 電気事業者に毎年度、一定量以上の再生可能エネルギーの発電や調達を義務付ける制度。
- 23
- 余剰電力購入とは新エネルギーなどの導入促進の観点から、各一般電気事業者が太陽光発電や風力発電などから生ずる余剰電力の購入条件を、各一般電気事業者が各社の需給状況などに応じて余剰電力の購入条件をあらかじめ設定し、これをメニューの形で示しているものです。
- 24
- IEA、Photovoltaic Power Systems Programme(PVPS)によります。
- 25
- この「バイオマスエネルギー」は、総合エネルギー統計における「バイオマスエネルギー」と「廃棄物エネルギー」の国内供給量の合計を指しています
- 26
- ETBEとは、Ethyl Tertiary-Butyl Etherの略で、エタノールとイソブテンにより合成され、ガソリンの添加剤として利用されています。