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原子力発電(原発)にともなう放射性廃棄物をどうやって処分するのか?それは世界各国が頭を悩ませる、避けることができない問題です。日本では、各国と同じように、地下深くに埋める「地層処分」という処分方法を採用しています。では、いったいどこに埋めればいいのでしょう?この問題をみんなで考えていくために、議論の土台となる「科学的特性マップ」を2017年7月28日に公表しました。
原発では、発電にともなって「高レベル放射性廃棄物」(いわゆる「核のゴミ」)と呼ばれる放射能レベルの高い廃棄物が発生します。これをどのように処分すればいいのか、今も世界中で知恵が絞られています。現在、アメリカやEU各国など原発を利用するすべての国で採用されているのが、廃棄物を地下深くの安定した岩盤に埋める「地層処分」です。地上は地下にくらべて自然災害や人の行為の影響を受けやすいため、「高レベル放射性廃棄物」を地上で人が管理することは、リスクの観点から適当ではありません。また、地下深部には、次のような特徴があります。
しかし、もし放射性廃棄物を閉じ込めることができなくなって、人の生活環境に近づいてしまうようなことがあっては、せっかく地下深くを選んだのに、まったく意味がありません。そこで、放射性廃棄物を地下に閉じ込め、人の生活環境から隔離する方法を採るにあたっては、地下深部の科学的な特徴、つまり「科学的特性」をさまざまな観点から検討します。たとえば、次のような特徴をもつ土地は、埋める場所としてふさわしくありません。
処分地を選ぶにあたっては、これらの科学的特性を総合的に調査・評価する必要があります。
「科学的特性マップ」は、こうした科学的特性に関する日本全国の状況を、一定の基準に基づき、これまでに分かっているデータから客観的に整理してまとめ、地図のかたちであらわしたものです。地層処分を進めていくためには、まずその前段階として、科学的特性なども含めたさまざまなことを現地調査する「処分地選定調査」が必要です。しかし、国民のみなさんの理解と協力がなければ、その調査を進めることはできません。そこで、地層処分で重要なポイントとなる科学的特性をまずは国民のみなさんに広く知ってもらおうと、このマップを作成しました。マップでは、上記したような条件がひとつでもあてはまる地域については「好ましくない特性があると推定される地域」と分類するなどして、地層処分にとっての「好ましい特性が確認できる」可能性が他と比べて高い地域はどこか、分かるようになっています。ここでくれぐれも注意しておきたいのは、科学的特性マップによって示されたデータをもとに処分地が決定するわけではないということです。処分地を選ぶには、原子力発電環境整備機構(NUMO)がおこなう処分地選定調査を通じて、より詳しい科学的特性や、科学的特性マップに含まれていない要素(処分地の建設に必要な土地、廃棄物の輸送に必要なインフラなどを確保できる可能性)などをきちんと調べていくことが必要となります。とはいえ、この科学的特性マップの公表によって、国民のみなさんが議論を深めていくための大きな第一歩が踏み出されました。みんなで同じデータを共有し、対話をおこないながら、放射性廃棄物の処分問題を一緒に考えていきましょう。
電力・ガス事業部 放射性廃棄物対策課
長官官房 総務課 調査広報室
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