省エネ法の概要
省エネ法の概要

省エネ法の概要をまとめて紹介しています。
省エネ法関連法令
エネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断基準
判断基準とは(工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準(平成21年3月31日経済産業省告示第66号))
判断基準とは、エネルギーを使用し事業を行う全ての事業者が、エネルギーの使用の合理化を適切かつ有効に実施するために必要な判断の基準となるべき事項を告示として公表したものです。
各事業者はこの判断基準に基づき、エネルギー消費設備ごとや省エネルギー分野ごとに、運転管理や計測・記録、保守・点検、新設に当たっての措置のうち、該当するものについて管理標準を定め、これに基づきエネルギーの使用の合理化に努めなければなりません。
判断基準は基準部分と目標部分で構成されています。概要は以下のとおりです。
Ⅰ 基準部分
Ⅰ - 1全ての事業者が取り組むべき項目:
事業者及び連鎖化事業者が工場等全体を俯瞰して取り組むべき事項として以下の(1)〜(8)までの8項目を規定
- (1)取組方針(目標、設備の運用・新設・更新)の策定
- (2)管理体制の設備
- (3)責任者等の配置等
- ①責任者の責務
- ②責任者を補佐する者の責務
- ③現場実務を管理する者の責務
- (4)省エネに必要な資金・人材の確保
- (5)従業員に対する取組方針の周知、省エネ教育の実施
- (6)取組方針の原種状況を確認・評価・改善指示
- (7)取組方針及び遵守状況の評価手法の定期的な精査・変更
- (8)取組方針や管理体制等の文書管理による状況把握
Ⅰ - 2 1工場単位、設備単位での基本的実施事項:
- (1)生産性向上を通じたエネルギーの使用の合理化
- (2)エネルギー管理に係る計量器等の整備
- (3)エネルギー多消費設備の廃熱等の把握・分析等
- (4)既存設備の老朽化の状況把握・分析等
- (5)エネルギー効率の高い機器の導入と余裕度の最適化
- (6)エネルギー使用の最小化
Ⅰ - 2 2エネルギー消費設備等に関する事項
2 - 1事務所:主要な設備について、その管理、計測・記録、保守・点検、新設に当たっての措置の基準を規定
- (1)空気調和設備、換気設備
- (2)ボイラー設備、給湯設備
- (3)照明設備、昇降機、動力設備
- (4)受変電設備、BEMS
- (5)発電専用設備、コージェネレーション設備
- (6)事務用機器、民生用機器
- (7)業務用機器
- (8)その他
2 - 2工場等:エネルギーの使用に係る各過程について、その管理、計測・記録、保守・点検、新設に当たっての措置の基準を規定
- (1)燃料の燃焼の合理化
- (2)加熱及び冷却並びに伝熱の合理化
- (2-1) 加熱設備等
- (2-2) 空気調和設備、給湯設備
- (3)廃熱の回収利用
- (4)熱の動力等への変換の合理化
- (4-1) 蒸気駆動の動力設備
- (4-2) 発電専用設備
- (4-3) コージェネレーション設備
- (5)放射、伝導、抵抗等によるエネルギーの損失の防止
- (5-1) 放射、伝導等による熱の損失の防止
- (5-2) 抵抗等による電気の損失の防止
- (6)電気の動力、熱等への変換の合理化
- (6-1) 電動力応用設備、電気加熱設備等
- (6-2) 照明設備、昇降機、事務用機器、民生用機器
Ⅱ 目標部分
<前段>
事業者及び連鎖化事業者が中長期的に努力し、計画的に取り組むべき事項について規定
- ・設置している工場全体として又は工場等ごとに、エネルギー消費原単位又は電気需要平準化評価原単位を中長期的にみて年平均1%以上低減の努力
- ・ベンチマーク達成に向けての努力
- ・ISO50001の活用の検討等
1 - 1事務所:主要な設備について、事業者として検討、実施すべき項目を規定
- (1)空気調和設備
- (2)換気設備
- (3)ボイラー設備
- (4)給湯設備
- (5)照明設備
- (6)昇降機
- (7)BEMS
- (8)コージェネレーション設備
- (9)電気使用設備
1 - 2工場等:主要な設備について、事業者として検討、実施すべき事項を規定
- (1)燃焼設備
- (2)熱利用設備
- (3)廃熱回収装置
- (4)コージェネレーション設備
- (5)電気使用設備
- (6)空気調和設備、給湯設備、換気設備、昇降機等
- (7)照明設備
- (8)FEMS
2.その他エネルギーの使用の合理化に関する事項
- (1)熱エネルギーの効率的利用のための検討
- (2)未利用エネルギー・再生可能エネルギー等の活用
- (3)連携省エネルギーの取組熱エネルギーの効率的利用のための検討
- (4)エネルギーサービス事業者の活用
- (5)IoT・AI等の活用
- (6)エネルギーの使用の合理化に関するツールや手法の活用
別表
- 別表第1(A) 基準空気比
- (1) ボイラーに関する基準空気比
- (2) 工業炉に関する基準空気比
- 別表第1(B) 目標空気比
- (1) ボイラーに関する目標空気比
- (2) 工業炉に関する目標空気比
- 別表第2(A) 基準廃ガス温度及び基準廃熱回収率
- (1) ボイラーに関する基準廃ガス温度
- (2) 工業炉に関する基準廃熱回収率
- 別表第2(B) 目標廃ガス温度及び目標廃熱回収率
- (1) ボイラーに関する目標廃ガス温度
- (2) 工業炉に関する目標廃熱回収率
- 別表第2の2 基準発電効率
- 別表第3(A) 基準炉壁外面温度
- 別表第3(B) 目標炉壁外面温度
- 別表第4 力率を向上すべき設備
- 別表第5 ベンチマーク指標及び中長期的に目指すべき水準
中長期的な計画の作成のための指針
中長期的な計画の作成のための指針(中長期計画作成指針)は、特定事業者等による省エネ法第15条に定められた中長期的な計画(中長期計画)の的確な作成に資するため、業種ごとに4種類(「専ら事務所」、「製造業」、「鉱業、電気供給業、ガス供給業及び熱供給業」、「上水道業、下水道業及び廃棄物処理業」)に作成・制定されております。
各中長期計画作成指針は、工場等判断基準の目標部分等に掲げられている事項の具体例を挙げ、中長期計画の作成における具体的な検討対象として、各特定事業者等が投資をすべき設備等を掲げております。
中長期計画作成指針(専ら事務所)
- ⑴ 空気調和設備
- ⑵ 換気設備
- ⑶ ボイラー設備
- ⑷ 給湯設備
- ⑸ 照明設備
- ⑹ 昇降機
- ⑺ ビルエネルギー管理システム(BEMS)
- ⑻ コージェネレーション設備
- ⑼ 電気使用設備
- ⑽ 未利用エネルギー・再生可能エネルギー等の活用
- ⑾ 事務所等関連高度省エネルギー増進設備等
中長期計画作成指針(製造業)
1製造業一般
- ⑴ 燃焼設備
- ⑵ 熱利用設備
- ⑶ 廃熱回収設備
- ⑷ コージェネレーション設備
- ⑸ 電気使用設備
- ⑹ 空気調和設備、給湯設備、換気設備、昇降機等
- ⑺ 照明設備
- ⑻ 工場エネルギー管理システム(FEMS)
- ⑼ 未利用エネルギー・再生可能エネルギー等の活用
- ⑽ 情報技術の活用
2特定業種
- ⑴ パルプ製造業及び紙製造業
- ⑵ 石油化学系基礎製品製造業
- (2-1)ナフサ分解プラント
- (2-2)その他のプラント
- ⑶ セメント製造業
- ⑷ 鉄鋼業
- (4-1)製鉄業、製鋼・製鋼圧延業、製鋼を行わない鋼材製造業(表面処理鋼材を除く)、表面処理鋼材製造業及び鋳鉄管製造業
- (4-2)銑鉄鋳物製造業、可鍛鋳鉄製造業
- (4-3)鋳鋼製造業
- (4-4)鍛工品製造業
- (4-5)鍛鋼製造業
3製造業関連高度省エネルギー増進設備等
中長期計画作成指針(鉱業、電気供給業、ガス供給業及び熱供給業)
1鉱業
- ⑴ 非鉄金属鉱業
- ⑵ 石炭鉱業
- ⑶ 石灰石鉱業
2電気供給業
- ⑴ 汽力発電(コンバインドサイクルを含む)
- ⑵ 内燃力発電
- ⑶ ガスタービン発電
3ガス供給業
4熱供給業
5鉱業等関連高度省エネルギー増進設備等
中長期計画作成指針(上水道業、下水道業及び廃棄物処理業)
1上水道業
2下水道業
3廃棄物処理業
- ⑴ 廃棄物処理業
- ⑵ し尿処分業
4上水道業等関連高度省エネルギー増進設備等
その他
荷主の判断基準
エネルギーの使用の合理化の基準
荷主は、技術的かつ経済的に可能な範囲内で、以下に示す諸基準を順守することを通じて、省エネルギー対策の適切かつ有効な実施が求められます。
1.共通的な取組
- (1)取組方針の作成とその効果等の把握
貨物の輸送に係るエネルギーの使用の合理化の目標に対する取組方針を定めるほか、責任者を配置し、エネルギーの使用の実態等を正確に把握する。 - (2)輸送効率向上のための措置
輸送効率を考慮した商品の開発や荷姿の設計、貨物の輸送距離の短縮、燃費の向上、計画的な貨物の輸送に努める。 - (3)準荷主との連携
準荷主と調整し、貨物の輸送頻度や納品回数の削減、リードタイムの見直しを実施する。
2.主に企業向けの大口貨物の配送効率向上の取組
配送の計画化や平準化につながる発注等による積載率の向上を図るほか、エコドライブ支援機器の導入への協力、自営転換やモーダルシフトの推進、輸送機器の大型化を図る。
3.主に消費者向けの小口貨物の配送効率向上の取組
消費者による配達予定日時や受取場所の指定を可能とし、その変更に対応するなどにより、再配達の削減等を図る。
エネルギーの使用の合理化の目標及び計画的に取り組むべき措置
荷主は、エネルギー消費原単位を中長期的にみて年平均1%以上低減する努力が求められます。
1.共通的な取組
- (1)取組方針の作成とその効果等の把握
貨物輸送に係る省エネを進めるための中長期的な目標を設定し、その目標達成に向けて効果等を検証し、さらに効果的な取組を行う。また、貨物輸送事業者の従業員に対する教育、研修等への協力や、サードパーティーロジスティクスの活用に努める。 - (2)関連インフラの整備
物流施設及び物流拠点について、機械化、自動化、適正配置や集約、業務の効率化に配慮した整備や、国内物流EDI 標準、RFID、一貫パレチゼーション、車両動態管理システム等の活用により荷役の簡略化を図る。 - (3)貨物輸送事業者等との連携
荷主及び貨物輸送事業者その他の関係者の連携を深めるための定期的な懇談会や検討会の設置及びそれらへの参画を通じた情報交換を行うとともに、環境に配慮している貨物輸送事業者の選定に努める。 - (4)環境に配慮した製品開発及び生産体制整備
製品使用後の廃棄物、リサイクル資源等の輸送をあらかじめ考慮した製品開発や、貨物輸送に併せて出庫時間を調整できるような生産体制の構築等に努める。
2.主に企業向けの大口貨物の配送効率向上の取組
貨物輸送事業者や準荷主と連携し、輸送量の平準化等による輸送効率向上、共同輸配送や帰り荷の確保による実車率の向上、予約受付システム等の活用による荷待ち時間の縮減に努めるとともに、低燃費車、クリーンエネルギー自動車等の導入に協力する。
3.主に消費者向けの小口貨物の配送効率向上の取組
自宅における直接受け取り以外の受け取やすい手法等を活用した再配達の削減、消費者への啓発に努める。