
事例集
《 令和3年度
再エネ種別:風力 》


風の松原自然エネルギー株式会社は『地元の風資源を地元に還元する』ことを目的として、大森建設株式会社をスポンサーとした能代山本地域の地元企業7社、秋田県内の地方銀行2行、能代市の全10者により設立された完全地元資本のSPC(特別目的会社)であり、出資者に県外大手資本がないことから地域貢献を念頭とした企業方針を可能としている。地元還元策として、資本金1億円に係わらずプロジェクトファイナンスで182億円を調達し、資金が地元で循環する仕組みを構築したほか、防災拠点への非常時の電力供給構想等を手掛けている。風の松原風力発電所の運転開始をきっかけに、メンテナンスを受注するために、大森建設は2017年にメンテナンス部門を新規に立ち上げており、2022年2月現在で12名まで技術者の雇用を拡大し、当発電所以外にも県内の陸上風力発電所点検を一部受注できるようになった。地元企業が建設工事やメンテナンスで実績を積むことは、今後、能代山本地域で増加する洋上風力発電関連産業への参入機会を得る一助となる。その他、能代市の掲げる『エネルギーのまち』に賛同し、地元のエネルギー産業への理解、環境教育のため見学説明会の受け入れにも積極的に取り組んでいる。
風の松原自然エネルギーは、発電所建設工事のうち造成・基礎・運搬・据付・送電線工事・メンテナンスなど可能な限り地元企業に下請工事を受注させ、地域経済や雇用創出に貢献している。FIT売電の終了後は、風車の状態やその時の系統連系状況によって、稼働継続またはリプレースをおこなう。リプレースの際は、既設風車解体工事および新設風車基礎工事・風車運搬や電気工事などが地元企業に発注され、大きな経済効果が期待される。風の松原風力発電所は出力変動緩和制御システムとして、風力発電用途で国内最大級の蓄電池(24,192kWh)を併設している。
蓄電池によって停電時も風車の自立運転および発電を2週間以上可能とする独立電源システムを構築していることから、現在は、EV車やスマートフォンに充電をおこなう災害協定を能代市・風の松原自然エネルギー・大森建設の三者で締結し、地域の安全に寄与している。
地元資本でも風力発電所を安定稼働できる、その実績を足掛かりに地元企業にメンテナンス産業や風力関連工事受注が生まれており、今後はさらに波及させていく。また、地域密着型風力発電所として、能代市民限定で資金調達をおこなった市民ファンド(年4.0%複利)が償還を迎えた。地元の風資源が経済効果や利息として地元に還元されることにより、地元に風力発電所があって良かったと実感できる事業を今後も実現する。さらに、大規模蓄電池や独立電源システムを活かした地域貢献策を検討し、安全安心な街づくりに貢献していく。
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