第1節 東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故への取組
1.廃止措置等に向けた中長期ロードマップ
廃炉・汚染水・処理水対策は、「東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所廃止措置等に向けた中長期ロードマップ1」(令和元年12月27日廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議決定。以下「中長期ロードマップ」という。)に基づいて進められています。2019年12月の改訂では、改めてリスクの早期低減・安全確保を最優先に進める「復興と廃炉の両立」を大原則として位置づけました。この大原則に基づき、個別の対策についても見直しを行っています(第121-1-1、第121-1-2)。引き続き、国も前面に立って、東京電力福島第一原子力発電所の現場状況や廃炉に関する研究開発成果等を踏まえ、中長期ロードマップに継続的な検証を加えつつ、必要な対応を安全かつ着実に進めていきます。
【第111-1-1】中長期ロードマップ改訂(2019年12月)のポイント
【第111-1-1】中長期ロードマップ改訂(2019年12月)のポイント(ppt/pptx形式:141KB)
- 出典:
- 経済産業省作成
【第111-1-2】中長期ロードマップ(2019年12月改訂)の概要
【第111-1-2】中長期ロードマップ(2019年12月改訂)の概要(ppt/pptx形式:120KB)
- 出典:
- 経済産業省作成
2.汚染水・処理水対策等
原子炉建屋内では、原発事故により溶けて固まった燃料である「燃料デブリ」が残っており、水をかけて冷却を続けることで、低温での安定状態を維持していますが、燃料デブリに触れた水は、高い濃度の放射性物質を含んだ「汚染水」になります。この水が建屋に流入した地下水と混ざり合うことで、日々新たな汚染水が発生しています。2013年9月には、原子力災害対策本部において「汚染水問題に関する基本方針」が決定され、①汚染源に水を「近づけない」、②汚染水を「漏らさない」、③汚染源を「取り除く」という3つの基本方針に沿って、予防的・重層的に対策を進めています。
汚染源に水を「近づけない」対策は、汚染水発生量の低減を目的としており、建屋への地下水流入を抑制するための多様な対策を組み合わせて進めています。具体的には建屋山側でくみ上げた地下水を海洋に排出する地下水バイパスを2014年5月から運用していることに加え、2015年9月からは「サブドレン」(建屋近傍の井戸)によって、建屋のより近傍で地下水をくみ上げ、建屋周辺の地下水位を管理する取組も実施しています。また、2016年3月に凍結を開始した凍土方式の陸側遮水壁(凍土壁)について、2018年3月に各分野の専門家で構成される汚染水処理対策委員会において、遮水効果が現れていると評価されており、2018年9月には全て凍結を完了しています。さらに、雨水の土壌浸透を防ぐ広域的な敷地舗装(フェーシング)についても、施工予定箇所の9割以上のエリアで工事を完了しています。これらの対策により、汚染水発生量は、対策実施前(2014年5月)の540㎥ /日程度から、2020年度平均で140㎥ /日程度まで低減しています。
【第111-2-1】汚染水対策の3つの基本方針と対応状況
【第111-2-1】汚染水対策の3つの基本方針と対応状況(ppt/pptx形式:730KB)
- 出典:
- 経済産業省
汚染水を「漏らさない」対策は、海洋へ放射性物質が流出するリスクの低減を目的としています。2015年10月には、建屋の海側に、深さ約30m、全長約780mの鋼管製の杭の壁(海側遮水壁)を設置する工事が完了したことで、放射性物質の海洋への流出量が大幅に低減し、港湾内の水質の改善傾向が確認されています。また、多核種除去設備(ALPS:Advanced Liquid Processing System)等により浄化処理した水については、鋼板をボルトで接合するフランジ型タンクに貯水していた水の移送等を進め、2019年3月からは漏えいリスクの低い溶接型タンクで全て貯水しています。さらに、万一の漏えいにも備え、タンクから漏えいした水が外部環境に流出しないようにタンク周囲における二重の堰(二重堰)の設置や1日複数回のパトロールなどを実施しています。
【第111-2-2】鋼管製海側遮水壁
- 出典:
- 東京電力ホールディングス
汚染源を「取り除く」対策としては、多核種除去設備をはじめ、ストロンチウム除去装置などの複数の浄化設備により汚染水の浄化を行っています。また、原子炉建屋の海側の地下トンネル(海水配管トレンチ)に溜まっていた高濃度汚染水については、万一漏えいした場合にリスクが大きいため、2014年11月からポンプで汚染水を抜き取り、トレンチ内を充填・閉塞する作業を進め、2015年12月には高濃度汚染水の除去・トレンチ内の充填を全て完了し、リスクの大幅な低減が図られました。建屋からの汚染水の漏えいリスクを完全になくすためには、建屋内滞留水中の放射性物質の量を減らす必要があります。このため、建屋内滞留水の除去や浄化を進め、2020年12月には、1~3号機原子炉建屋、プロセス主建屋、高温焼却炉建屋を除く建屋内滞留水処理を完了しました。
さらに、大規模自然災害に対する対策にも取り組んでいます。津波対策としては、切迫性が高いとされている千島海溝津波に対する防潮堤の設置(2020年9月工事完了)に加え、新たに内閣府が発表した日本海溝津波に対する防潮堤の検討や、東北地方太平洋沖地震時と同規模の津波に対する建屋開口部の閉止工事等を進めています。また、近年国内で相次ぐ大規模な降雨に備え、浸水解析を実施し、排水路整備の検討等を進めています。加えて、1/2号排気筒について、耐震上の裕度を確保することを目的に、2019年8月から上部約60メートルの解体作業を実施し、2020年5月に完了しました。こうした予防的・重層的な取組により、汚染水対策は大きく進んできています。
【第111-2-3】汚染水対策の進捗
【第111-2-3】汚染水対策の進捗(ppt/pptx形式:367KB)
- 出典:
- 経済産業省作成
しかし、汚染水問題の最終的な解決のためには、引き続き対策を重ねていくことが必要です。特に、汚染水を浄化処理し大部分の放射性物質を取り除いたALPS処理水2の取扱いについては、当面の課題となっています。
2013年12月に有識者からなる「汚染水処理対策委員会」の下に「トリチウム水タスクフォース」を設置して審議を進め、2016年6月に、ALPS処理水の取扱いに関する様々な選択肢について技術的な評価結果を取りまとめました。当該取りまとめにおいて、風評に大きな影響を与えうることから、今後の検討に当たっては、成立性、経済性、期間などの技術的な観点に加えて、風評被害などの社会的な観点等も含めて、総合的に検討を進める必要があるとの示唆があ り、2016年9月には、「汚染水処理対策委員会」の下に「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」(以下「ALPS小委員会」という。)を設置して検討を行ってきました。
こうした検討を踏まえ、2020年2月に公表されたALPS小委員会の報告書では、第一に、福島の復興と廃炉を両輪として進めていくことが重要であり、廃止措置が終了する際には、汚染水・処理水対策の一つであるALPS処理水についても、廃炉作業の一環として処分を終えていることが必要であることなどが示されています。第二に、処分方法について、技術的には、実績のある水蒸気放出及び海洋放出が現実的な選択肢であることや、水蒸気放出に比べ海洋放出の方が確実に実施できると考えられること、海洋放出、水蒸気放出のいずれも放射線による影響は自然被ばくと比較して十分に小さいことなどが示されています。第三に、風評被害対策については、人々が少しでも安心できるような処分方法を検討することが重要であることや、効果が大きいと考えられる事例を踏まえながら、リスクコミュニケーションの 取組、経済対策の双方を拡充・強化すべきことなどが示されています。その上で、政府に対して、幅広い関係者の意見を丁寧に聴きながら、責任と決意を持って方針を決定することを期待することも示されています。
当該報告書を踏まえ、政府としてALPS処理水の取扱い方針を決定するため、地元自治体や農林水産業者などの関係者の方々との意見交換を重ねるとともに、書面での意見募集などの機会を通じ、国民の皆さまから貴重なご意見を幅広くいただき、これらの意見を踏まえ、2020年10月23日には廃炉・汚染水対策チーム会合を開催し、いただいたご意見等を踏まえ、風評対策や国内外への情報発信の在り方等の論点について検討を行いました。
こうした検討を経て、2021年4月に第5回廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議3を開催し、各種法令等を厳格に遵守するとともに、風評影響を最大限抑制する対応を徹底することを前提に、「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針(以下、ALPS処理水の処分に関する基本方針という。)」を決定し、各国の放射線防護基準において広く参照されているICRPの勧告に沿って従来から定められている規制基準を厳格に遵守することを前提に、国内で放出実績がある点やモニタリング等を確実かつ安定的に実施可能な点を評価し、海洋放出を選択することが示されました。あわせて、東京電力に対し、今後、2年程度後にALPS処理水の海洋放出を開始することを目途に、具体的な放出設備の設置等の準備を進めることを求める等の内容が示されました。
「ALPS処理水の処分に関する基本方針」に定められた対策を、政府が一丸となって、スピード感を持って着実に実行していくため、2021年4月に、内閣官房長官を議長とする「ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議」を新設しました。自治体や各業界に対して、「ALPS処理水の処分に関する基本方針」の内容を丁寧に説明した上で、自治体や漁業者を始めとする事業者、消費者など影響を受け得る方々の声をしっかりと受け止め、課題を整理した上で、機動的に、必要な追加対策を検討し、実行していきます。
3.使用済燃料プールからの燃料取り出し
2011年に決定された「東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所1 ~ 4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」において、当面の最優先課題とされていた4号機使用済燃料プールからの燃料取り出しについては、2014年12月22日に燃料1,535体全てを共用プール等へ移送しました。3号機については、2019年4月から燃料の取り出しを開始し、2021年2月に全燃料566体の取り出しを完了しました。1号機については、オペレーティングフロアのガレキ撤去、2号機については、オペレーティングフロアの残置物片付けなどの燃料取り出しに向けた準備が進められています。
今後は、ダスト飛散を一層抑制するため、作業現場に大型カバーを設置する新たな工法を採用するなど、安全を最優先に準備作業を進めていきます。
【第111-3-2】1号機大型カバーの設置
【第111-3-2】1号機大型カバーの設置(ppt/pptx形式:201KB)
- 出典:
- 東京電力の図を元に経済産業省作成
【第111-3-1】東京電力福島第一原子力発電所 1 ~ 4号機の状況
【第111-3-1】東京電力福島第一原子力発電所 1 ~ 4号機の状況(ppt/pptx形式:135KB)
- 出典:
- 経済産業省作成
4.燃料デブリの取り出し
(1)原子炉内部の様子
燃料デブリのある1 〜 3号機の原子炉建屋内は放射線量も高く、容易に人が近づける環境ではないため、遠隔操作機器・装置等による除染や調査を進めています。2019年12月に改訂された中長期ロードマップにおいて、初号機の燃料デブリの取り出し方法を確定し、2021年内に2号機で試験的取り出しに着手し、その後、段階的に取り出し規模を拡大していくことを示しました。
1号機では、2017年3月に線量計と水中カメラを搭載したロボットを、ペデスタル(原子炉圧力容器を支える台座)の外側に投入して調査を実施しました。調査の結果、1階足場や原子炉格納容器底部において、放射線量や画像データを取得することができ、原子炉格納容器内部の損傷状況や、原子炉格納容器底部の堆積物を確認できました。2019年4月には、格納容器底部の構造物や堆積物の分布等を把握するためのさらなる調査に向けて、アクセスルート構築作業を開始しました。
【第111-4-1】原子力発電所の構造
【第111-4-1】原子力発電所の構造(ppt/pptx形式:348KB)
- 出典:
- 国際廃炉研究開発機構の図を元に経済産業省作成
2号機では、2019年2月に過去の調査装置を改良して伸縮式パイプ型調査装置を原子炉格納容器内に挿入し、堆積物に接触させ、硬さなどの情報を取得するとともに、小石状の堆積物をつかんで動かせること等を確認できました。2020年10月には、燃料デブリの試験的取り出しに向けた準備作業として、原子炉格納容器の貫通孔であるX-6ペネトレーション内の堆積物の状況を調査するため、堆積物の接触調査、3Dスキャン調査を行い、堆積物は接触により形状が変化すること、ケーブルは固着しておらず持ち上がることを確認できました。現在、燃料デブリの取り出し開始に向けて、使用するロボットアームの製作を英国で進めています。新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて作業に影響が出ており、工程に遅延が生じていますが、1年程度の最小限の遅れに収まるよう努めていきます。
3号機では、原子炉格納容器内の水位が高く、1階足場及び原子炉格納容器底部が水中下にあるため、2017年7月に水中遊泳ロボットによる調査を行いました。ペデスタル内側の1階足場及び原子炉格納容器底部を調査した結果、原子炉圧力容器の直下の部品(CRDハウジング支持金具)が複数箇所損傷していることや、ペデスタル内側の原子炉格納容器底部に、落下したと思われる1階足場の金具や炉心部の部品のほか、燃料デブリの可能性がある溶融物等を確認することができました。
なお、いずれの調査においても、周辺環境に影響は生じておらず、放射線モニタリングデータに有意な変動はみられていません。
【第111-4-2】原子炉格納容器内部調査の様子と調査装置
- 出典:
- 東京電力ホールディングス
(2)廃炉に向けた研究開発
廃炉に関する技術基盤を確立するための拠点整備も進めており、2016年4月から、遠隔操作機器・装置の開発・実証施設(モックアップ施設)として日本原子力研究開発機構(JAEA)の「楢葉遠隔技術開発センター」(福島県双葉郡楢葉町)が、本格運用を開始しました。また、2018年3月には、燃料デブリや放射性廃棄物などの分析手法、性状把握、処理・処分技術の開発等を行う「大熊分析・研究センター」(福島県双葉郡大熊町)の一部施設が運用を開始しました。さらに、同センターを活用した分析実施体制の構築に向け、第1棟・第2棟の整備を進めています。
また、国内外の英知を結集し、廃炉に係る基礎的・基盤的な研究開発や人材育成に取り組む拠点として、2017年4月から、廃炉国際共同研究センター国際共同研究棟(福島県双葉郡富岡町)の運用が開始されました。
研究開発の実施に当たっては、有望な技術を有する海外企業も参画できるようにするなど、国内外の英知を結集するための取組も進めています。2015年度以降、燃料デブリ取り出しのための基盤技術や燃料デブリの性状把握の研究開発に、フランスやロシアの企業が参加しています。
【第111-4-3】モックアップ設備を有する楢葉遠隔技術開発センターと試験設備
- 出典:
- JAEA楢葉遠隔技術開発センター
5.労働環境の改善
長期にわたる東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業を円滑に進めていくため、作業に従事するあらゆる方々が安心して働くことができる環境を整備することが重要です。
事故直後は、発電所構内全域で全面マスクと防護服の着用が必要であり、全面マスクについては装着すると息苦しい、作業時に同僚の声が聞こえづらい、防護服については動きづらい、通気性がなく熱がこもるといった課題がありました。これらは、作業時の大きな負担になるとともに、安全確保に当たっての課題ともなっていました。また、食事については、十分な休憩スペースもなかったことから、冷えたお弁当を床に座って食べるというような環境でした。
そのため東京電力は、東京電力福島第一原子力発電所の労働環境改善に継続的に取り組んできました。例えば、除染、フェーシング作業による環境線量低減対策を行うことで、全面マスクと防護服の着用が不要なエリアは、構内面積の96%まで拡大しました。さらに、1~4号機を俯瞰する高台について、マスクなしで視察が可能となる運用を開始しています。あわせて、ヘリポートを設置し搬送時間を短縮したことで緊急時の医療体制を強化するなど、健康管理対策も充実してきました。また、食堂、売店、シャワー室を備え、一度に約1,200人を収容可能な大型休憩所を設置しました。食堂では、発電所が立地する大熊町内の大川原地区に設置した福島給食センターにおいて地元福島県産の食材を用いて調理した、温かくて美味しい食事を提供しています。
長期にわたる廃炉作業を着実に進めていくため、引き続き安全でより良い労働環境の整備に努めていきます。
また、国内における新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、2020年2月以降、東京電力福島第一原子力発電所では、出社前検温の実施やマスク着用の徹底、休憩所の時差利用等による3密回避など、感染拡大防止対策を行っています。
【第111-5-1】構内面積96%まで拡大した一般作業服等エリアと1,200人を収容可能な大型休憩所
【第111-5-1】構内面積96%まで拡大した一般作業服等エリアと1,200人を収容可能な大型休憩所(ppt/pptx形式:668KB)
- 出典:
- 経済産業省
6.国内外への情報発信
長期にわたる廃炉作業は、帰還・復興が進展する周辺地域において住民の安心・安全に深く関わるものです。また、今もなお風評被害が根強く残っています。このため、国内外に対し、東京電力福島第一原子力発電所の現状についてわかりやすく正確な情報を発信するとともに、地域・社会の不安や疑問に答えていくことが重要です。
地元を中心とする国内への情報発信としては、周辺地域の首長や関係団体等が参加する廃炉・汚染水対策福島評議会を開催し、廃炉・汚染水・処理水対策の進捗をお伝えしているほか、対策の進捗を分かりやすく伝え、様々な不安や疑問にお答えしていく動画・パンフレットの作成などに取り組んでいます。また、情報発信に際しては、双方向のコミュニケーションを意識し、住民に東京電力福島第一原子力発電所を視察いただき、その中で感じた疑問に直接お答えする視察・座談会の取組や、地元でのイベントへの廃炉関連ブースの出展や、コンテンツ制作における地元の方々の意見の事前聴取・内容への反映などの取組を進めています。東京電力も、2018年11月に東京電力廃炉資料館(福島県双葉郡富岡町)を開館し、事故当時の状況や廃炉・汚染水・処理水対策に関する情報発信を行っています。
また、国際社会とのコミュニケーションとしては、ウィーン(オーストリア)において開催される国際原子力機関(IAEA)総会において、これまで6回のサイドイベントを開催しました。直近では2020年9月に東京電力福島第一原子力発電所の廃炉及び除染に係るサイドイベントをオンラインで開催しました。東京電力福島第一原子力発電所における廃炉の進捗状況や除染の取組を紹介するプレゼンテーションやQ&Aセッションを通じて、参加者に対して理解の促進を図りました。
2018年11月には、IAEAの専門家チームによる第4回目のレビューミッションを受け入れ、「東京電力福島第一原子力発電所において緊急事態から安定状態への移行が達成され、前回(2015年2月)以降数多くの改善が見られる」との評価を受けています。また、タンクに貯蔵されているALPS処理水の取扱いについても、2020年4月にALPS小委員会の報告書等を対象としたフォローアップレビューを受け、選択された2つの方法(管理された水蒸気放出と管理された海洋放出。後者は、世界中の原子力発電所や核燃料サイクル施設で日常的に実施されている。)が技術的に実施可能、との評価を受けています。これに加え、IAEAに対しては定期的に東京電力福島第一原子力発電所に関する包括的な情報を提供しています。
さらに、原子力発電施設を有する国との二国間関係としては、政府や産業界などの各層において協力関係を構築しており、継続的に情報交換を行っています。また、各国の在京大使館に対し、廃炉・汚染水・処理水対策の現状について、累次にわたってブリーフィングを行っています。2020年度においては4月、10月にブリーフィングをオンラインにて実施しています。また、国内外の報道関係者に対してもブリーフィングを実施してきています。
【第111-6-1】福島の現状を伝える動画とパンフレット
【第111-6-1】福島の現状を伝える動画とパンフレット(ppt/pptx形式342KB)
- 出典:
- 経済産業省
- 1
- 本ロードマップは2011年に決定された「東京電力(株)福島第一原子力発電所1 〜4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」(平成23年12月21日 原子力災害対策本部 政府・東京電力中長期対策会議決定)を継続的に見直しているものであり、廃炉措置等に向けた取組の基本方針である。
- 2
- 東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の処分に関する基本方針の決定を機に、風評被害の防止を目的に、「ALPS処理水」の定義を変更し、「トリチウム以外の核種について、環境放出の際の規制基準を満たす水」のみを「ALPS 処理水」と呼称することとした。
- 3
- 燃料デブリの冷却や地下水の流入等によって発生する汚染水と、汚染水を多核種除去設備等で浄化した処理水を明確に区別し、汚染水と処理水の誤用を防ぐため、「廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議」の名称を、「廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議」に変更しました(2021年4 月第54回 原子力災害対策本部決定)