第2節 原子力被災者支援

東京電力福島第一原子力発電所事故の発生から6年が経過しました。政府は2015年6月、「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」を改訂し、国として取り組むべき方向性を提示しました。その後、福島の復興・再生は着実な進展を見せています。具体的には、2015年6月の改訂以降、帰還困難区域以外の区域において、楢葉町、葛尾村、川内村、南相馬市、飯舘村、川俣町、浪江町、富岡町の避難指示の解除が実現し、住民の方々の故郷への帰還が可能となりました。

一方で、復興の進捗にはいまだばらつきがあり、6年以上の長期にわたる避難状態の継続に伴って、新たな課題も顕在化してきました。住民の方々が復興の進展を実感できるようにするためには、被災地域の実情を踏まえて、対策をさらに充実させていく必要があります。このような状況を踏まえ、原子力災害からの福島の復興・再生を一層加速していくため、2016年12月に「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」を閣議決定し、必要な対策の追加・拡充を行うこととしました。具体的には、早期帰還支援と新生活支援の両面の対策のより一層の深化、事業・生業や生活の再建・自立に向けた取組の拡充、帰還困難区域における特定復興拠点(※)等の整備に向けた制度の構築等を行うこととしています。また、帰還困難区域については、可能なところから着実かつ段階的に、政府一丸となって、一日も早い復興を目指して取り組んでいく方針を示しました。(※帰還困難区域のうち、5年を目途に、線量の低下状況も踏まえて避難指示を解除し、居住を可能とすることを目指す復興拠点)

また、同指針を踏まえて、第193回通常国会に「福島復興再生特別措置法の一部を改正する法案」を提出・成立しました。同法案には、特定復興再生拠点区域の復興及び再生を推進するための計画制度の創設、福島相双復興官民合同チームの体制強化、「福島イノベーション・コースト構想」の推進、風評被害払拭への対応の4つの柱に加え、被災12市町村が帰還環境整備に取り組むまちづくり会社等、子どもへのいじめの防止のための対策、地域住民の交通手段の確保についても、その後押しを行うため、法律に位置づけることとされました。

1.避難指示区域等

①避難指示の解除に向けた取組

避難指示解除準備区域・居住制限区域については、田村市、川内村、楢葉町、葛尾村、南相馬市、飯舘村、川俣町、浪江町及び富岡町では避難指示の解除を決定しました。福島の本格復興をさらに推し進めるため、インフラや生活関連サービスの復旧、放射線の健康影響等に関する安全・安心対策などをこれまで以上にきめ細かく講じていきます。

【第112-1-1】2011年12月26日付 原子力災害対策本部による避難指示区域の見直し及び解除についての考え方

出典:
経済産業省

【第112-1-2】避難指示区域の概念図(2017年4月1日時点)

【第112-1-2】避難指示区域の概念図(2017年4月1日時点)(ppt/pptx形式:289KB)

[避難指示が解除された市町村]

*2016年6月17日、**2016年10月28日、
***2017年3月10日に原子力災害対策本部にて決定

出典:
内閣府原子力被災者生活支援チーム

②帰還に向けた安全・安心対策

国としては、「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針において、以下のような総合的・重層的な防護措置を講じることとしています。

  • 女性や子どもを含む住民の方々の放射線不安に対するきめ細かな対応
  • 避難生活の長期化等や放射線による健康不安への適切な対応
  • 関係省庁におけるリスクコミュニケーションの取組の強化
  • 生活支援相談員について、帰還後も支援を継続できるよう支援対象の明確化や関係省庁との連携促進

こうした取組を通じ、住民の方々が帰還し、生活する中で、個人が受ける追加被ばく線量を、長期目標として、年間1ミリシーベルト以下になることを引き続き目指していくこととしています。また、線量水準に関する国際的・科学的な考え方を踏まえた我が国の対応について、住民の方々に丁寧に説明を行い、正確な理解の浸透に努めています。

2.帰還困難区域の復興への取組等

帰還困難区域は、2011年12月に警戒区域と計画的避難区域の見直しを行った際、「将来にわたって居住を制限することを原則とした区域」として設定されました。一方、事故後6年が経過し、一部では放射線量が低下していることや、地元の強い要望を踏まえ、2016年8月31日に原子力災害対策本部・復興推進会議で「帰還困難区域の取扱いに関する考え方」を決定し、帰還困難区域のうち、5年を目途に、線量の低下状況も踏まえて避難指示を解除し、居住を可能とすることを目指す復興拠点(以下「特定復興拠点」という。)の整備等について、基本的な考え方を示しました。

この考え方を具体化するため、「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」において、特定復興拠点を整備する計画を県と協議した上で市町村が策定し、国の認定を受けた場合、一団地の復興再生拠点整備制度や道路の新設等のインフラ事業の国による事業代行、事業再開に必要な設備投資等に係る課税の特例を特定復興拠点においても活用できるようにする等の方針を示し、その実現に必要な措置を盛り込んだ福島特措法の改正法案を第193回通常国会に提出し、成立しました。加えて、2017年度から、特定復興拠点の復興事業に要する予算・税制等の措置を講じることとしました。

また、特定復興拠点の整備に係る除染・解体事業については、避難指示解除後の土地利用を想定した整備計画の下で実施することとし、除染とインフラ整備を一体的に行う仕組みを整えることとしました。なお、特定復興拠点の整備は、国の新たな政策的決定を踏まえ、復興のステージに応じた新たなまちづくりとして実施するものであるため、国の負担において行うこととしました。

3.除染の実施

東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故によって放出された放射性物質による環境の汚染が生じており、これによる人の健康または生活環境に及ぼす影響を速やかに低減することが喫緊の課題となりました。こうした状況を踏まえ、「平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(以下「放射性物質汚染対処特措法」という。)が可決・成立し、2011年8月30日に公布されました。

放射性物質汚染対処特措法は、除染の対象として除染特別地域と汚染状況重点調査地域を定めています。除染特別地域は、警戒区域又は計画的避難区域の指定を受けたことがある地域で、国が除染実施計画を策定し、除染事業を進めてきました。他方、汚染状況重点調査地域は、地域の空間放射線量が毎時0.23マイクロシーベルト以上の地域がある市町村について、当該市町村の意見を聴いた上で国が指定し、各市町村で除染を行ってきました。

両地域とも、2017年3月末までに除染実施計画に基づく面的除染を完了させるべく、自治体とも連携して全力で取り組んできました(帰還困難区域を除く)。

除染特別地域に指定されている福島県内の全11市町村では、環境省が除染作業を実施し、2017年3月末までに、すべての市町村で帰還困難区域を除く避難指示区域における面的除染が完了しました。その総数・総面積は、宅地約2万2,000件、農地約8,500ha、森林約5,800ha、道路約1,400haに及びます。

面的除染を完了した市町村においては、除染の効果が維持されているか確認することなどを目的に、除染実施後のモニタリング等を行ってきました。こうした施策もあって、2017年4月1日までに、双葉町及び大熊町を除いた居住制限区域及び避難指示解除準備区域の避難指示が解除されました。

汚染状況重点調査地域では、各市町村が地域ごとの実情、優先順位や実現可能性を踏まえて除染実施計画を策定し、これに基づき除染を進めてきたところであり、2017年3月末には、住宅や公共施設等、日々の生活の場における除染作業が概ね完了しました。

森林については、2016年3月に復興庁・農林水産省・環境省の3省庁で取りまとめた「福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組」に基づき、住居等の近隣の森林、森林内の人々の憩いの場や日常的に人が立ち入る場所等の除染等の取組と共に、林業再生に向けた取組や住民の方々との安全・安心の確保のための取組等を関係省庁が連携して進めてきました。また、除染を含めた里山再生のための取組を総合的に推進するモデル事業を実施することとし、2016年9月と12月に上記3省庁で計10地区をモデル地区として選定しました。さらに、森林からの落葉等の飛散や、土壌の流出に伴う、放射性物質の動態に関する調査研究を実施しました。

【第112-3-1】国直轄除染の進捗状況(2017年4月1日時点)

【第112-3-1】国直轄除染の進捗状況(2017年4月1日時点)(ppt/pptx形式:610KB)

[面的除染が終了した市町村]

※除染終了時期は、各市町村の除染実施計画における除染対象地域のうち、同意を得られたものに対する面的除染が終了した時期を記載。

出典:
環境省

また、福島県内の除染に伴い発生した放射性物質を含む土壌や福島県内に保管されている10万ベクレル/kgを超える指定廃棄物等を最終処分するまでの間、安全に集中的に管理・保管する施設として中間貯蔵施設を整備することとしています。

中間貯蔵施設については、候補地におけるボーリング調査等の結果や、学識経験者から構成される検討会での議論、大熊町及び双葉町の住民を対象とした住民説明会での意見等を踏まえて、2014年7月~8月に国の考え方の全体像を提示しました。これを受けて、同年9月に福島県知事より施設の建設受入れを容認する旨、並びに大熊町長及び双葉町長は知事の考えを重く受け止め、地権者への説明を了承する旨が国に伝達され、2015年2月に福島県及び大熊町並びに双葉町より施設への除去土壌等の搬入受入れが容認されました。

中間貯蔵施設整備に必要な用地は、全体面積約1,600haを予定しており、予定地内に占める登記記録人数は2,360人となっています。昨年度までに地権者の連絡先を把握した面積は約1,530ha、用地調査を実施した面積は約1,090haに達しており、契約済み面積は約376ha(全体の約23.5% )、774人(全体の約32.8% )の方と契約に至るなど、着実に進捗してきています。2016年11月には受入・分別施設と土壌貯蔵施設の整備に着手しました。受入・分別施設では、福島県内各地にある仮置場等から中間貯蔵施設に搬入される除去土壌等を受け入れ、搬入車両からの荷下ろし、容器の破袋、可燃物・不燃物等の分別作業を行います。土壌貯蔵施設では、受入・分別施設で分別された除去土壌等を放射能濃度やその他の特性に応じて安全に貯蔵します。この施設は2017年の秋頃の稼働開始を予定しています。

また、中間貯蔵施設への除去土壌等の輸送については、2016年度までに累計で20万㎥程度の除去土壌等の輸送を目標としていました。これに加えて、大熊町及び双葉町の協力の下、福島県内の学校等の現場に保管されている除去土壌等について、両町の町有地を活用した保管場へ輸送を進めました。2017年3月までに累計で約23万㎥の輸送を実施しました。2016年3月に公表した「当面5年間の見通し」では、用地取得や施設整備に全力を尽くすことにより、「復興・創生期間」の最終年である2020年度までに、500万〜1,250万㎥程度の除去土壌等を搬入できる見通しとしています。

引き続き、地元のご理解をいただきながら、取組を進めていきます。

4.原子力災害の被災事業者等のための自立支援策、風評被害対策

住民の方々が帰還して故郷での生活を再開するためには、また、外部から新たな住民を呼び込むためには、働く場所、買い物をする場所、医療・介護施設、行政サービス機能といった、まちとして備えるべき機能が整備されている必要があります。しかしながら、こうした機能を担っていた事業者の多くは、住民の避難に伴う顧客の減少、長期にわたる事業休止に伴う取引先や従業員の喪失、風評被害による売上減少といった苦難に直面しており、こうした状況を克服するためには、生活、産業、行政の三位一体となった政策を進めていく必要があります。

こうした状況を踏まえ、2015年8月24日に、国(原子力災害対策本部)、福島県、民間からなる「福島相双復興官民合同チーム(官民合同チーム)」が創設されました。その主な活動内容は、避難指示等の対象となった12市町村の被災事業者を個別に訪問し、事業再開等に関する要望や意向を把握するとともに、その結果を踏まえ、専門家を交えたチームにより、事業再建計画の策定支援、支援策の紹介、生活再建への支援などを実施していくことです。

商工業分野において、チーム発足翌日から事業者訪問を開始し、これまでの約1年7か月の間に、4,606事業者に訪問し、そのうち2,916事業者を再訪問しています。さらに、専門家によるコンサルティングを646の事業者へ実施しています(2017年3月31日時点)。チームは現在総勢207名の体制(2017年3月1日時点)で、県内(福島、郡山、いわき、南相馬)及び都内の計5拠点に常駐しており、商工会議所、商工会、東京電力等の協力を得ながら、個別訪問を実施しています。個別訪問の結果を踏まえた政策支援の強化にも引き続き取り組んでいます。2016年度第2次補正予算では、被災12市町村のまち機能の強化に向けて、新規創業等への支援を始めました。2017年度予算では、被災事業者の自立等に対する支援事業を継続し、54億円を計上しています。この中では、直ちに故郷に帰還して事業を再開することが難しい帰還困難区域の事業者向けの支援や、各市町村へのまちづくりの促進に向けた支援も新たに行うこととしました。

農業分野についても、速やかな営農再開に向けて、官民合同チームが700回以上にわたって被災市町村等を訪問し、集落座談会における営農再開支援策の説明等を行うとともに、地域農業の将来像の策定や将来像の実現に向けた農業者の取組を支援しています。個別の農業者に対しては、2016年度第2次補正予算において、農業用機械・施設、家畜の導入等に対する支援を措置しました。2016年7月から実施している国と県による認定農業者への個別訪問に加え、今後、官民合同チームも参画し、対象を拡大して行う個別訪問を通じて、課題を把握し、支援の充実を図っていきます。

【第112-4-1】福島相双復興官民合同チームの概要

【第112-4-1】福島相双復興官民合同チームの概要(ppt/pptx形式:161KB)

出典:
福島相双復興官民合同チーム

こうした取組もあり、事業・生業の再建は徐々に進みつつありますが、地域によって復興の状況は異なります。官民合同チームは、今後とも個々の実情を踏まえたきめ細やかな対応を粘り強く続けていかなければなりません。このため、官民合同チームの中核である民間組織の公益社団法人福島相双復興推進機構へ国の職員の派遣を可能とするなどの措置を、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律に盛り込み、国、県、民間が一体となって腰を据えた支援を行うための体制整備を進めています。今後も、官民合同チームの活動等を通じて、事業者の帰還、事業・生業の再建を進め、まちの復興を後押ししていきます。

このように、事業者の方々による取組をサポートする体制が整いつつある一方で、事故発生後未だに継続している風評被害の存在は、農林業をはじめとして、福島の産業復興の大きな妨げとなってしまっています。福島の実情や農林水産物をはじめとする県産品の安全性や質の高さを国内外に正しく発信し、風評被害を払拭していくことが大きな課題です。各種の国際会議等を含めて、あらゆる機会を活用し、風評対策を強力に推進していきます。特に農林水産物については、生産段階における第三者認証取得や安全性検査への支援、流通・販売段階における販路開拓への支援等、あらゆる段階で風評払拭に必要な支援を行うことにより、安全性についての消費者の正しい理解を促進し、県産品のブランド力の回復を後押ししていきます。

こうした取組をより実効的なものとしていくために、流通段階における風評被害の実態や要因の調査、その結果に基づく適切な措置を国として引き続きしっかり講じていきます。福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案にもこうした趣旨を盛り込むほか、国、県、農業関係団体等が参画して風評被害の実態や施策の効果を継続的に検証する体制を構築します。

5.福島・国際研究産業都市構想
(福島イノベーション・コースト構想)

福島浜通り地方の多くの地域において、かつては原子力関連企業の事業活動が地域経済の大きな部分を担ってきましたが、震災や原子力災害によって産業基盤の多くが失われました。今後、地域経済の復興を実現していくためには、その大前提となる東京電力福島第一原子力発電所事故の収束はもちろんのこと、原子力発電に替わる新たな産業基盤を構築することが必要です。世界に誇れる新技術や新産業を創出し、魅力あふれる地域再生の実現を目指す取組が「福島イノベーション・コースト構想」であり、浜通り地域の復興の柱として、全力で実現に向けて取り組んでいきます。

ロボット関連分野や廃炉関連分野における技術開発・拠点整備等のプロジェクトは、現在着々と具体化が進められています。

ロボットテストフィールド及び国際産学官共同利用施設(ロボット)の整備・運営に向けては、国と福島県が共同して活用に向けた検討を進めてきました。2016年1月には、経済産業省と福島県との間で整備・運営に関する協定が締結され、2016年4月には南相馬市及び浪江町への立地が決定されました。有識者・関係者によるタスクフォースを2016年10月から3回開催し、各施設・設備に求められる仕様等の詳細検討がなされ、現在、整備に向けた基本設計が行われています。

また、「福島浜通りロボット実証区域」として、2016年度末までに10の実証区域が決定され、25件の実証試験が実施されています。2017年1月12日には、南相馬市の海岸の空域において、ドローンの長距離飛行実証試験が実施されました。

さらに、2016年11月には(株)福島ガイナックスが主催したロボットアニメ制作発表等を含むイベント「ロボテスわっしょい秋祭り」が開催され、国や福島県も支援を行っています。

廃炉関連分野では、2016年4月から、遠隔操作機器・装置の開発・実証施設(「楢葉遠隔技術開発センター」(福島県双葉郡楢葉町)モックアップ施設)の本格的な運用が開始されています。2016年9月には、放射性物質分析・研究施設(「大熊分析・研究センター」(福島県双葉郡大熊町))の建設が開始されました。また、2016年8月28日には、廃炉国際共同研究センター国際共同研究棟の富岡町への立地が決定されました。

復興や廃炉対策の進捗状況、災害がもたらした被害・教訓等を国内外に正しく伝えていく「情報発信(アーカイブ)拠点」については、2016年6月以降、福島県が基本構想の策定に向けた検討を進めています。2016年8月には、同拠点の双葉町への立地が決定されました。

環境・リサイクル分野では、2015年以降、福島県を中心に「スマート・エコパーク」プロジェクトが進められていきました。現在、「ふくしま環境・リサイクル関連産業研究会」において、①小型家電リサイクル、②太陽光パネルリサイクル、 ③浜通りにおける廃棄物処理システム構築、 ④石炭灰リサイクルの4つのテーマごとに、事業化に向けた検討が進められています。

再生可能エネルギー等のエネルギー分野では、福島イノベーション・コースト構想の取組を加速し、その成果も活用しつつ、福島全県を未来の新エネ社会を先取りするモデル創出拠点とする「福島新エネ社会構想」(2016年9月7日決定)を推進していきます。(福島新エネ社会構想については、第3節で具体的に説明しています。)

福島イノベーション・コースト構想の実現に向けた道筋は、拠点の整備や主要プロジェクトの具体化にとどまりません。

これらの拠点やプロジェクト等も活用しながら、地元企業と浜通り地域の外から進出してくる企業とが一体となって、重点分野における実用化技術開発を進めていくことが必要です。このため、民間企業が主体となって行う実用化開発等を支援する「地域復興実用化開発等促進事業」を進めており、2016年度及び2017年度予算においてそれぞれ69.7億円を措置しています。また、地元企業と進出企業の連携による新たなビジネス創出を後押しするため、ロボットやエネルギー等の分野を対象としたイベント「ふくしま未来ビジネス交流会」等を開催しています。

そして、今後は、分野横断的な拠点の整備や重点プロジェクトの深化・拡充、これらをうまく活用した交流人口・定住人口の拡大、さらには拠点周辺の生活・交通インフラ等の環境整備を一体的に進めることにより、浜通り地域経済全体の再生を包括的に進めていく段階に入ります。

こうした多岐にわたる課題を政府全体で解決していくため、「福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律」に同構想に係る取組を位置付けました。具体的には、福島県知事が作成する重点推進計画に福島イノベーション・コースト構想に係る取組を位置づけるとともに、同法に基づく「原子力災害からの福島復興再生協議会」の下に、関係機関等が連携して同構想を推進するための分科会を設け、実現に向けてあらゆる施策を動員していく体制を整えます。

【第112-5-1】福島イノベーション・コースト構想

【第112-5-1】福島イノベーション・コースト構想(ppt/pptx形式:530KB)

出典:
内閣府原子力災害対策本部