第3節 次世代再生可能エネルギーの導入加速

1.次世代型太陽電池

太陽光発電の更なる導入拡大には、立地制約の克服が課題です。軽量かつ柔軟で、これまで太陽電池が設置困難であった場所にも設置可能なペロブスカイト太陽電池は、こうした課題を克服するものです。ペロブスカイト太陽電池は、中国や欧州をはじめとする諸外国との競争が激化しており、グリーンイノベーション基金等による支援を通じて、2030年を待たずに社会実装を実現することが必要です。

2024年11月には「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」において、有識者、メーカー、ファイナンスなどの関係業界団体・関係省庁、160を超える自治体といった幅広い関係者とともに、「次世代型太陽電池戦略」を策定しました。2040年までの約20GWの導入目標、2030年までの早期のGW級の生産体制の構築、公共部門や環境価値を重視する民間企業に対する率先的な導入など、量産技術の確立・生産体制整備・需要の創出を三位一体で進めることとしています(第233-1-1)。

【第233-1-1】ペロブスカイト太陽電池

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【第233-1-1】ペロブスカイト太陽電池(pptx形式:281KB)

資料:
(左図)東芝提供、(右図)積水化学工業提供

2.浮体式洋上風力

浮体式洋上風力発電についても、導入目標を掲げ、その実現に向けて技術開発・大規模実証を実施するとともに、風車やその関連部品、浮体基礎等の洋上風力関連産業における大規模かつ強靱なサプライチェーンの形成を進めていくことが重要です。このため、グリーンイノベーション基金事業やGXサプライチェーン構築支援事業等を通じて、引き続き、技術開発や実証、技術力の高い国内サプライヤの育成等に取り組んでいきます(第233-2-1)。

【第233-2-1】浮体式洋上風力発電

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【第233-2-1】浮体式洋上風力発電(pptx形式:59KB)

資料:
経済産業省作成

具体的には、早期の商用化を実現するため、グリーンイノベーション基金の「洋上風力発電の低コスト化プロジェクト」に対して1,235億円を割り当て、技術開発・実証を進めています。2024年6月には、実海域での実証事業として秋田県南部沖(幹事企業:丸紅洋上風力開発株式会社)、愛知県田原市・豊橋市沖(幹事企業:株式会社シーテック)の2事業を採択しました。さらに、浮体式洋上風力発電設備を低コストに量産化するためには、各構成要素を1つのシステムとして統合し、全体最適を図っていくことが必要であり、また、EEZへの展開も見据えた導入拡大に向けては大水深における技術の確立も必要です。このため、浮体システムの最適設計・規格化、浮体基礎の大量生産、大水深に対応する係留や電気システム等の開発を協調体制で行う共通基盤開発事業を追加し、2025年2月に「浮体式洋上風力技術研究組合」(略称:FLOWRA)を採択しました。FLOWRAにおいて、2025年3月に協力覚書を締結した英国をはじめ諸外国とのグローバル連携を加速させつつ、共通基盤開発を通じた規格の策定や国際標準化を進めていきます。

また、更なるサプライチェーンの構築を目的に、GXサプライチェーン構築支援事業において、世界で競争し得る大規模な投資を計画する製造事業者を支援しており、2025年1月に浮体基礎製造や係留ロープ製造等を行う事業者を採択しました。