出力制御について

1.出力制御について

出力制御には、① 需給バランスによるものと、② 送電線の容量(電力系統の安定性を含む)によるものがあります。

① 需給バランスによる出力制御とは

電気が需要以上に発電されて余った時に発生するのが「需給バランス制約による出力制御」です。電気の需要と供給を一致させるためには、需要に合わせて市場で取引された電源等を動かすとともに、常時変動する需要に合わせて、電気の安定供給に必要な電源を調整することで需給バランスを維持しています。近年では、再生可能エネルギーの導入が進んだことにより、需要が少ない時期などには、火力発電の出力の抑制や地域間連系線の活用等により需給バランスを調整した上で、それでもなお電気が余るおそれがある場合に再生可能エネルギーの出力制御を行っています。

② 送電線の容量による出力制御とは

送電線に流すことのできる電気の量には上限があり、これを超過して電源を接続した場合には、日々の運用において上限を超えるおそれがある時に電源の出力制御が必要になります。これを「送電線の容量による出力制御」といいます。

 

2.需給バランス制約による出力制御に関する仕組み

優先給電ルール

電力系統においては、電気を使う量と発電する量(需要と供給)のバランスをとることが重要になります。このバランスが崩れてしまうと周波数に乱れが生じて、最悪の場合は大規模停電が発生します。このため需要と供給の量が常にバランスするように調整することが必要となります。しかし、電気を使う量は1日の中においても常に変化することに加え、太陽光や風力などの再生可能エネルギーは天候によって発電量が頻繁に変動しますので、バランスを保つのは非常に難しくなります。そこで、法令等であらかじめ決められた「優先給電ルール」に基づいて、需給バランスの維持を行います。

需給バランス制約

電気の発電量がエリアの需要量を上回る場合には、まず火力発電の出力の抑制、揚水発電のくみ上げ運転による需要創出、地域間連系線を活用した他エリアへの送電を行います。それでもなお発電量が需要量を上回る場合には、バイオマス発電の出力の制御の後に、太陽光発電、風力発電の出力制御を行います。これは「優先給電ルール」と呼ばれ、需給バランスを維持するための手順としてあらかじめ法令等で定められています。この制御の順番には各発電の発電コストや技術的特性が関係しています。水力・原子力・地熱は「長期固定電源」と呼ばれ、出力を短時間で小刻みに調整することが技術的に難しく、一度出力を低下させるとすぐに元に戻すことができないため、最後に抑制することとされています。

【電力需給のイメージ】電力需給のイメージ

(出所:「スペシャルコンテンツ」再エネの大量導入に向けて ~「系統制約」問題と対策)

【優先給電ルールに基づく対応】優先給電ルール

(出所:第17回新エネルギー小委員会(2018年10月10日) 系統ワーキンググループ 資料3)

 

指定電気事業者制度の廃止について

太陽光発電や風力発電を行うにあたって、あらかじめ年間の出力制御に上限を設けることにより事業予見性が高まります。そこで、固定価格買取制度(FIT制度)の下で、年間30日(もしくは太陽光360時間、風力720時間)の出力制御の上限内で系統連系が可能な量として「30日等出力制御枠」を定め、この範囲内で契約を締結した事業者は、年間30日(もしくは太陽光360時間、風力720時間)は無補償で出力制御に応じることが義務付けられてきました。
また、30日等出力制御枠を超過して太陽光及び風力の連系が見込まれるエリアにおいては、出力制御の上限を超えて制御を行わなければ、需給バランスの維持が困難となる可能性があります。このようなエリアにおいても追加的に太陽光及び風力を受け入れるために、当該エリアの電力会社は「指定電気事業者」に指定され、その後に契約を締結した事業者は無制限・無補償で出力制御に応じることが義務付けられてきました。
このような中、全国的に太陽光発電や風力発電の導入が進んでいることを踏まえ、将来連系する事業者の負担軽減にも繋げるべく、早期に指定電気事業者制度を廃止し、全エリアについて無制限・無補償ルールを適用することが国の審議会で決定されました。これにより、2021年4月1日以降、東京、中部、関西エリアを含む全エリアにおいて、無制限・無補償ルールが適用されています。

出力制御量の低減に向けた今後の対応(出力制御対象者拡大とオンライン代理制御※1について)

出力制御用機器を取り付けた発電設備によるオンライン制御は出力制御用機器を取り付けていない発電設備によるオフライン(手動)制御に比べて実需給に近い柔軟な運用が可能であり、出力制御量の低減も見込まれることから、再生可能エネルギーのさらなる導入拡大に向けては、事業者間の公平性を確保しつつ、出力制御のオンライン化を通じた出力制御量の低減を図ることが重要です。そこで、当面の間は出力制御の対象外と整理されてきた旧ルール500kW未満の太陽光発電設備※2(一部エリアでは新ルールを含む。)についても、出力制御の対象(「30日等無補償ルール」等を適用)とすること、出力制御量低減や運用効率化の観点から、出力制御対象事業者の拡大とともに太陽光発電設備についてオンライン代理制御の導入を2022年早期に目指すことが、国の審議会で決定されました。現在、技術的課題の検討や詳細制度設計が進められているところ、こちらのサイトで随時紹介させていただきます。 オンライン代理制御(経済的出力制御)とは:オフライン事業者が本来行うべき出力制御をオンライン事業者が代わりに実施し、オフライン事業者が出力制御を行ったとみなして、オンライン事業者が発電を行ったものとして、通常の買取価格で対価を受ける仕組みです。
なお、風力発電設備においては、現時点ではオフライン発電設備を代理制御できるだけの十分な量のオンライン発電設備が存在しないことから、当面の間は出力制御対象事業者の拡大およびオンライン代理制御の対象としないこととし、オンライン発電設備の導入拡大等の状況を踏まえつつ導入を検討することとしています。
10kW未満の設備は当面の間対象外です。ただし、第一種複数太陽光発電設備設置事業または第二種複数太陽光発電設備設置事業の場合は、10kW未満であっても「オンライン代理制御」の対象となります。

【オンライン代理制御のスキーム】オンライン代理制御のスキーム

(出所:第27回系統ワーキンググループ(2020年7月16日) 資料1)

オンライン制御が拡大すると、より実需給に近い柔軟な調整が可能となるため、現状の運用に比べて制御量の低減が期待されます。例えば、既に出力制御が行われている九州エリアでオンライン代理制御を導入した場合、現状に比べて制御量が2割程度低減する効果が見込まれています。

【オンライン代理制御(経済的出力制御)による制御量低減効果】
(九州における2019年4月の制御実績を基に試算)
ンライン代理制御(経済的出力制御)による制御量低減効果

(備考)九州における2019年4月の太陽光発電の制御実績に基づき試算。制御量がオンライン制御可能な設備の最大発電量を下回る時間帯は全てオンライン制御を実施し、上回る時間帯はオンライン制御とオフライン制御を併用したと仮定した場合の試算結果である。

(出所:第27回系統ワーキンググループ(2019年10月8日) 資料6)

オンライン代理制御に伴う対価の精算

オンライン事業者に対しては、オフライン事業者の代わりに制御した時間帯に発電していたであろう「みなし発電量」にFIT買取価格を乗じた金額が、買取義務者より代理制御の対価として支払われます。
一方で、オフライン事業者に対しては、オンライン事業者に代わりに制御をしてもらうことから、本来出力制御されるはずであった時間帯の発電量について、買取義務者から対価が支払われないこととなります。
分散検針の関係から、精算比率の算定に必要となる発電量実績が出揃うのが最短で翌月末になることから、以上の精算は、代理制御が実施された2か月後の発電者への受給料金支払いのタイミングで実施されることとなり、代理制御による精算の結果は、買取義務者より発電事業者へ通知される予定です代理制御が実施された場合にのみ精算を行います。(代理制御が実施されない場合は、精算は行いません)
なお精算においては、エリア毎に、一般送配電事業者が一律の精算比率を計算することとなりますが、詳しい計算内容は、今後「出力制御の公平性の確保に係る指針」を改定の上、お示しする予定です。
最近の議論については、以下系統WG資料もご参照ください。
【2021年2月25日 系統ワーキンググループ資料6 】[外部リンク・PDF形式]nullnull

 

3.送電容量制約による出力制御に関する仕組み

先着優先ルール

発電事業を始めるには発電した電気を送るための系統容量を確保するため電力会社に接続契約を申し込む必要があります。系統容量確保の順番は、公平性や透明性を保つために全電源において接続契約申込み順に確保するという考え方となっています。これを「先着優先ルール」と言います。仮に空き容量が無くなっている系統に、現時点で流れている電気が少ないと言う理由で別の事業者を接続させると、既に系統容量を確保している事業者が運転を開始する時点で系統容量が不足し、送電が出来なくなるなど事業予見性に影響が出ることになります。

送配電利用ルール

(出所:第1回再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会 資料3)

上記の「先着優先ルール」により、空き容量が無い系統に新規に接続希望があった場合には、必要な増強工事が完了するまで連系ができないことになります。

日本版コネクト&マネージについて

今までの系統接続の考え方や運用方法を見直し、系統の「隙間」に注目し既存系統を最大限活用する観点から以下の取組を行っています。

【日本版コネクト&マネージの進捗状況】
日本版コネクト&マネージの進捗状況

①想定潮流の合理化

これまで送電線の容量は、接続されている電源が全てフル稼働することを前提に容量が確保されていました。しかし、実態としては、需要が小さい時に系統に接続されている電源の全てがフル稼働するとは限りません。また、自然変動電源についても全てが同時にフル稼働することは希であり、例えば、一般的には太陽光発電が最も多く発電するのは春や秋の日中ですが、風力発電が最も多く発電するのは冬の荒天の日と言われています。このように、実際の利用状態に近い考え方で想定した潮流に基づいて空き容量を算定する手法が「想定潮流の合理化」で、2018年4月から導入されています。

②N-1電制

多くの送電線は、2回線以上で構成され、1回線の一部の容量については、平常時は電気を流さず緊急時用に確保されています。これは緊急時用にもう1回線の一部の容量を確保しておくことで、仮に1回線の送電線が故障した場合でも、安定的な電気の供給を維持し停電を防ぐためです。これは「N-1(単一設備故障)基準」とよばれる設備形成の考え方に基づくもので、日本だけでなく、欧米など国際的にも広く採用されている基準です。
しかし、いつ起きるか分からない事故のために、常に流せる電気の容量を制限していることは必ずしも効率の良い運用方法ではありません。このため、緊急時用に空けておいた容量の一部を、事故が起こった際には瞬時に発電を制限(遮断)することで、平常時にも活用できるようにする仕組みが「N-1電制」で、2018年10月からN-1電制の先行適用が導入されています。
現在導入されているN-1電制の先行適用は、発電が制限(遮断)される装置(電制装置)を付ける電源自体が電制により拡大する緊急時の容量を活用できるという仕組みです。N-1電制は、緊急時の対応であり即時性や確実性が求められることから電源の大きさや数に制限があり、大きな電源(特別高圧以上)にしか付けることができないため、導入の効果は大きいものの、N-1電制の先行適用の仕組みでは小さな電源(高圧以下)への恩恵は限定的です。そのため、今後、小さな電源以外の他の大きな電源に電制装置を付けたうえで、電制されたことによる機会損失を小さな電源を含む電制の恩恵を受けて接続する電源が負担することにより、規模の小さな電源も緊急時の容量を活用できるような手法(N-1電制の本格適用)も導入していきます。このためには、どのような費用精算を行うかなど課題も多いのですが、2022年度中の本格適用開始を目指して、電力広域的運営推進機関を中心に検討が進められています。

③ノンファーム型接続

系統に接続する電源は、平常時であれば、接続時に確保された容量の範囲内で自由に発電することができます。これは系統に確保した容量を確実に発電できる接続ということで「ファーム型接続」と呼ばれます。一方、系統は常に容量いっぱいまで電気が流れているわけではないので、系統が空いている時間帯のみ電気を流す前提、言い換えれば混雑が予想される時には、出力制御されることを許容する事業者については、系統に空き容量がなくとも系統増強することなく、新規の電源接続を認める「ノンファーム型接続」の導入検討が進められています。
導入に向けては、現行の電力取引制度をはじめとした関連の諸制度・ルールとの整合性や、ノンファーム電源の事業予見性、システム構築など、多くの課題があります。そのため、まずは、基幹系統へノンファーム型接続を適用していき、取組を通じて、実現可能性や経済性、事業者の受容性を総合的に勘案し、日本に最適なノンファーム型接続の検討を進めているところです。

 

再生可能エネルギーの大量導入を実現するには、このページで説明した出力制御の予見性を高めることが重要になります。そこで、エリア全体での需給バランスによる出力制御及び送電線の容量による出力制御を発電事業者自らがシミュレーションできるように制約の種類に応じた系統情報等の公開・開示を行っています。詳しくは「出力制御の予見性を高める情報公開・開示について」のページをご覧下さい。

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