第1節 世界の温室効果ガス(GHG)排出量の動向と各国の排出削減目標

世界全体におけるGHG排出量は増加傾向が続いています。国連環境計画(UNEP)の報告書によると、2023年の世界全体のGHG排出量はCO2換算で前年と比べて約1.3%増加し、過去最高水準となる571億トンに達しました。

GHG排出量の削減に向けて、2015年12月の「第21回気候変動枠組条約締約国会議」(COP21)において「パリ協定」が採択され、2020年から本格的に運用が開始されました。パリ協定では、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べ2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑えるよう努力を続けるという長期目標を掲げており、パリ協定の全締約国は、GHG排出量の削減に向けたNDCを定め、2020年以降5年毎に提出・更新することとされています。

主要国はまず2020年に2030年のGHG排出削減目標を提出し、GHGの排出削減に向けた取組を加速させています。また、2035年のGHG排出削減目標を含む次期NDCについては、2025年11月にブラジルで開催されるCOP30の9~12か月前まで(2025年2月)に提出することが求められており、各国が提出を進めています(第131-1-1)。

【第131-1-1】主要10か国・地域のGHG排出削減目標と次期NDC提出状況(2025年3月末時点)

131-1-1

(注1)日本のGHG排出削減目標年は、年ではなく年度。
(注2)日本は2030年度においてGHG排出量の46%削減(2013年度比)を目指すこと、さらに50%の高みに向けて挑戦することを表明。
(注3)米国は前バイデン政権時に提出したGHG排出削減目標。第2期トランプ政権はパリ協定脱退を表明。
(注4)フランス・ドイツのGHG排出削減目標は、EUの削減目標とは別途、両国政府がそれぞれ発表した目標値。
(注5)イタリアは、自国のGHG排出全体に対する削減目標は掲げていない。

【第131-1-1】主要10か国・地域のGHG排出削減目標と次期NDC提出状況(2025年3月末時点)(pptx形式:48KB)

資料:
国連気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)公表資料、各種政府公表資料を基に経済産業省作成