第1節 エネルギー需給の概要

1.エネルギー需給の概要

世界のエネルギー消費量(一次エネルギー)は経済成長とともに増加を続けており、石油換算で1965年の38億トンから年平均2.6%で増加し続け、2013年には127億トンに達しました。

その伸び方には、地域的な差異が存在し、先進国(OECD諸国)では伸び率が低く、開発途上国(非OECD諸国)では高くなりました。これは先進国では経済成長率、人口増加率とも開発途上国と比較して低くとどまっていること、産業構造が変化したこと、エネルギー消費機器の効率改善等による省エネルギーが進んだことによるものでした。一方、開発途上国ではエネルギー消費が堅調に増加してきました。特に、経済成長の著しいアジア大洋州地域は、世界のエネルギー消費量の大きな増加要因となりました。こうした状況から世界のエネルギー消費に占めるOECD諸国のエネルギー消費の割合は、1965年の70.2%から2013年には43.5%へと約27ポイント低下しました(第221-1-1)。

【第221-1-1】世界のエネルギー消費量の推移(地域別、一次エネルギー)

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【第221-1-1】世界のエネルギー消費量の推移(地域別、一次エネルギー)(xls/xlsx形式:36KB)

(注1)
1984年までのロシアには、その他旧ソ連邦諸国を含む。
(注2)
toeはtonne of oil equivalentの略であり石油換算トンを示す。
(出典)
BP「Statistical review of world energy 2014」を基に作成

次に、世界のエネルギー消費量(一次エネルギー)の動向をエネルギー源別に見てみます。石油は今日までエネルギー消費(一次エネルギー)の中心となってきました。発電用等では他のエネルギー源への転換も進みましたが、堅調な輸送用燃料消費に支えられ1971年から2012年にかけて年平均1.3%で増加し、依然としてエネルギー消費全体で最も大きなシェア(2012年時点で31.4%)を占めました。この同じ期間に、石油以上に消費量が伸びたのが石炭と天然ガスです。石炭は発電用の消費が堅調に増加し、特に近年は、経済成長著しい中国等、安価な発電用燃料を求めるアジア地域において、消費量拡大の勢いが増しました。また天然ガスは、特に気候変動への対応が強く求められる先進国を中心に、発電用はもちろん、都市ガス用の消費が伸びました。一方、同じ期間で伸び率が最も大きかったのは原子力(年平均7.9%)と新エネルギー(同8.9%)でした。これは、エネルギー供給の多様化や、低炭素化への要請に応えるため、導入が進んだものです。しかしながら、2012年時点のシェアはそれぞれ4.8%及び1.1%と、エネルギー消費全体に占める比率は大きくありませんでした(第221-1-2)。

【第221-1-2】世界のエネルギー消費量の推移(エネルギー源別、一次エネルギー)

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【第221-1-2】世界のエネルギー消費量の推移(エネルギー源別、一次エネルギー)(xls/xlsx形式:23KB)

(注)
「可燃性再生可能エネルギー他」は、主にバイオマス燃料。
(出典)
IEA「Energy Balance 2014」を基に作成

世界の最終エネルギー消費は、1971年から2012年までの41年間で約2倍に増加しました。部門別では、鉄鋼・機械・化学等の産業用エネルギー消費が1.8倍、家庭や業務等の民生用エネルギー消費が1.9倍であるのに対して、輸送用エネルギー消費は2.6倍も増加しました。輸送用が大きく増えた理由は、この間に世界中でモータリゼーションが進展し、自動車用燃料の需要が急増したことによると考えられます。この結果、輸送用のエネルギー需要が占める割合は1971年の22.7%から2012年には27.9%へと約5ポイント増加しました(第221-1-3)。

【第221-1-3】世界のエネルギー需要の推移(部門別、最終エネルギー)

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【第221-1-3】世界のエネルギー需要の推移(部門別、最終エネルギー)(xls/xlsx形式:20KB)

(注)
前表の消費量合計より少ないのは、本表には発電用及びエネルギー産業の自家使用等が含まれていないためである。
(出典)
IEA「Energy Balance 2014」を基に作成