9.原子力
原子力発電所の稼働状況
原子力発電の再稼働は進んでいますか?
2024年1月現在、日本全国で12基の原子力発電所が稼働しています。今後も引き続き安全最優先で、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、地元の理解を得ながら、原子力発電所の再稼働を進め、エネルギーの安定供給とカーボンニュートラルの実現の両立を目指します。
日本の原子力発電所稼働状況
核燃料サイクルと地層処分
日本は、原子力発電所の使用済燃料を再処理し、回収されるウランとプルトニウムを再利用しつつ、廃棄物の発生量を抑える「核燃料サイクル」を推進しています。
再処理後に残る廃液は、ガラス原料と溶かし合わせたガラス固化体とし、地下深部に埋設することで隔離する方法で処分します(地層処分)。
- 燃料集合体、金属キャスク図:
- 日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」
核燃料サイクルの3つのメリット
- 放射性廃棄物の量を減らす
- 放射性廃棄物が天然ウラン並みの有害度まで低下する期間が短くなる
- 資源の有効利用
科学的特性マップと文献調査

地層処分の仕組みや日本の地質環境等などについて理解を深めていただくために、2017年7月に「科学的特性マップ」を公表し、全国各地で対話活動を実施しています。2023年4月には、文献調査実施地域の拡大を目指し、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針」を改定し、できるだけ多くの地域で文献調査を実施できるよう、改定した基本方針に沿って、全国の自治体を個別訪問する全国行脚等に取り組んでいきます。
※グリーンの地域であっても、個々の地点が地層処分に必要な条件を満たすかどうかは、段階的な調査を綿密に実施し、確かめる必要があります。
- 参照:
- 科学的特性マップ公表用サイト

コラム - 世界における原子力の展望
国際エネルギー機関(IEA)は、世界各国・地域の2050年ネットゼロ実現に向けて、原子力発電の新設や投資額を増やすニーズが高まると分析しています。
2050年ネットゼロシナリオにおける原子力発電容量
2050年までに世界の原子力発電の設備容量は現在(413GW)の2倍(812GW) に達します。先進国は原子炉の老朽化・廃止で2030年にかけて縮小しますが、新 たに建設することで回復します。中国は原子力発電の世界的リーダーとなり、 2050年までに世界の原子力発電所の3分の1を保有する国になります。
- 出典:
- 出典:IEA(2022)「Nuclear Power and Secure Energy Transitions: From Today’s Challenges to Tomorrow’s Clean Energy System(原子力発電と確実なエネルギー移行)」
2023年12月13日、COP28(ドバイ)においてグローバル・ストック テイク(GST)※が初めて実施され、異なる各国の事情や道筋などを考慮した世界的取組への貢献として、原子力が決定文書に盛り込まれました。世界原子力協会(WNA)によれば、原子力が気候変動に対する解決策の一つとして正式に明記されたのは今回が初めてとなります。
※GST:パリ協定の目標達成状況について世界全体の進捗を評価するとともに、各国のおこなうべき行動に示唆を与えるもの。5年ごとに行われる。
もっと知りたい!エネルギー基本計画 原子力発電
原子力政策の出発点は、2011年に起こった、東京電力福島第一原子力発電所の事故に対する真摯な反省です。エネルギー基本計画では、安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していくことが示されました。
もっと知りたい!エネルギー基本計画⑦ 原子力発電(1)再稼働に向けた安全性のさらなる向上と革新炉の研究開発最終更新日:2024年7月10日