8.福島の復興
福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水・処理水対策
福島第一原発の廃炉・汚染水・処理水対策は進んでいますか?
廃炉・汚染水・処理水対策は世界にも前例のない困難な作業ですが、中長期ロードマップに基づき、安全かつ着実に取組を進めています。
廃炉
各号機は安定状態を維持しており、使用済燃料プールからの燃料取り出しに向けたガレキ撤去や除染などを行っています。
燃料デブリ(溶融した燃料等が冷えて固まったもの)の取り出しに向けては、2022年2月から2023年3月にかけて1号機の原子炉格納容器内部調査を実施しました。また、2号機での試験的取り出しに向けて、2022年2月から福島県楢葉町において原子炉実寸大模型を用いて取り出し用のロボットアームの試験を実施するとともに、2023年10月には原子炉格納容器内部につながる貫通孔のハッチを開放し、2024年1月からは貫通孔内部の堆積物の除去作業を開始するなど、準備を進めています。
(各号機の現状)
汚染水・処理水対策
福島第一原発で1日あたりに発生する汚染水の量は、凍土壁等の重層的な対策により、対策開始前の1/6程度に低減しています。発生した汚染水は複数の浄化設備で処理し、可能な限り放射性物質を除去した上でタンクに貯蔵しています。
汚染水発生量を低減する取組も進めていますが、他方で、現在、これらの大量のタンクが敷地を圧迫し、今後の廃炉作業に支障が生じかねない状況です。こうした状況を踏まえ、2021年4月、各種法令等を厳格に厳守するとともに、風評影響を最大限抑制する対応を徹底することを前提に、ALPS処理水を海洋放出する基本方針を決定し、2023年8月から海洋放出を開始しました。引き続き、安全確保、風評対策・なりわい継続支援に取り組んでいきます。
「復興と廃炉」に向けて進む、処理水の安全・安心な処分
- ALPS処理水の海洋放出と風評影響への対応
- 「二次処理」と処理水が含む「そのほかの核種」とは?
- ALPS処理水の処分にともなう当面の対策の取りまとめ
- IAEAがALPS処理水の安全性を確認
福島の復興
福島の避難指示解除は進んでいますか?
現在、「帰還困難区域」以外の地域では、すべての避難指示が解除されています。
帰還困難区域については、2020年3月のJR常磐線全線開通に合わせた駅周辺の先行解除を行いました。2022年から2023年にかけて、6町村(葛尾村、大熊町、双葉町、浪江町、富岡町、飯館村)における特定復興再生拠点区域全域の避難指示が解除されました。
特定復興再生拠点区域外については、2021年8月の政府方針を踏まえ、2023年に福島復興再生特別措置法を改正し、避難指示を解除し帰還意向のある住民の帰還及び当該住民の帰還後の生活の再建を目指す「特定帰還居住区域」制度が創設されました。2020年代をかけて、帰還意向のある住民の方々が帰還できるよう必要な取組を進めます。
避難指示区域の概念図(2023年5月1日時点)
福島の産業復興のため、どのような取組を進めていますか?
事業・なりわいの再建に加え、福島イノベーション・コースト構想や福島新エネ社会構想を推進し、新たな産業集積を進めるほか、食品の安全性確保なども通じ、福島の地域再生に向けた取組を進めています。
福島イノベーション・コースト構想
福島県浜通り地域などの産業を回復するため、新たな産業の創出に向けた様々な取組が進められています。
福島ロボットテストフィールドを産業集積の核として、震災以降これまでに78社のロボット関連企業が進出しています。
福島ロボットテストフィールド(南相馬市、浪江町)
無人航空機向けとしては国内最大級となる飛行空域、滑走路等を整備。研究棟では空飛ぶクルマ等の先端技術の研究開発を推進。(2020年3月開所)
福島新エネ社会構想
福島を未来の新エネ社会の先駆けの地とすべく、再生可能エネルギーの更なる導入拡大や水素社会実現に向けた取組を加速し、エネルギー分野からの復興の後押しを実施しています。
福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)
世界有数となる1万kWの水電解装置を用いて、再生可能エネルギーから大規模に水素を製造する実証事業を実施。(2020年3月開所)
福島県の食品の安全性
県産農林水産物は出荷前に検査を実施、安全性を確認しています。基準値を超過した品目は、市町村単位で出荷が制限され、流通しません。
野菜・果物、畜産物等の検査結果
令和4年4月1日~令和5年1月31日
(「ふくしま復興のあゆみ 第32版」より)
※国のガイドラインに基づき福島県が実施している検査。出荷・販売用の品目が対象。
最終更新日:2024年7月10日