第1節 エネルギー需給の概要

エネルギー需給の概要

世界のエネルギー消費(一次エネルギー)は、経済成長とともに増加してきました。石油換算では、1965年の37億トンから年平均2.4%で増加し、2023年には148億トンに達しました。2023年の世界のエネルギー消費は、前年比で2.0%増加しました。

2000年代以降、中国やインド等を中心に、アジア大洋州における消費の伸びが顕著となっています。一方、先進国(OECD諸国)では伸び率が鈍化しました。経済成長率や人口増加率が開発途上国と比べて低いことに加え、産業構造の変化や省エネの進展等も影響しています。この結果、世界のエネルギー消費に占めるOECD諸国の割合は、1965年の70.6%から、2023年には37.1%へと低下しました(第21-1-1)。

【第21-1-1】世界のエネルギー消費の推移(地域別、一次エネルギー消費)

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(注1)1984年以前の「ロシア」には、その他旧ソ連邦諸国を含む。
(注2)1985年以降の「欧州」には、バルト3国(リトアニア・ラトビア・エストニア)を含む。

【第21-1-1】世界のエネルギー消費の推移(地域別、一次エネルギー消費)(xlsx形式:40KB)

資料:
Energy Institute「Statistical Review of World Energy 2024」を基に作成

ここで、各国における1人当たりのGDPとエネルギー消費量の関係を確認します。ドイツとカナダを比較すると、1人当たりのGDPに大きな違いはありませんが、1人当たりのエネルギー消費量は大きく異なっていることがわかります。各国の気候や産業構造、エネルギー効率等の違いが、この差を生む要因になっています。

また、一般的に、経済成長に伴いエネルギー消費は増加するため、今後は開発途上国の経済が成長することで、開発途上国におけるエネルギー消費の増加が想定されます。現在、エネルギーの主流となっている化石エネルギーは無尽蔵ではなく、大量に消費するとCO2の排出量も増えていきます。そのため、今後エネルギー消費の増加が予測されている開発途上国ではエネルギー効率を高めていくことが重要であり、日本を含む先進国にはそれを支援していくことが求められています(第21-1-2)。

【第21-1-2】1人当たりの名目GDPと一次エネルギー消費量(2023年)

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【第21-1-2】1人当たりの名目GDPと一次エネルギー消費量(2023年)(xlsx形式:23KB)

資料:
Energy Institute「Statistical Review of World Energy 2024」、世界銀行「World Bank Open data」を基に作成

次に、世界のエネルギー消費の推移をエネルギー源別に確認します。石油は、今日まで世界のエネルギー消費の中心となっています。発電用を中心に他のエネルギー源への転換も進みましたが、堅調な輸送用燃料消費に支えられ、石油消費は1965年から2023年にかけて年平均2.0%で増加し、2023年もエネルギー消費全体で最大のシェア(31.7%)を占めています。

石炭は、同じ期間に年平均1.8%で消費が増加しました。特に2000年代に、経済成長が著しく、安価な発電用燃料を求めるアジアを中心に消費が拡大しました。しかし近年では、気候変動問題への対応等の影響により、石炭消費は伸び悩んでいます。2023年の石炭のシェアは26.5%でした。

天然ガスは、同じ期間に石油や石炭以上に消費が伸び、年平均3.1%で増加しました。天然ガスは、気候変動問題への対応が強く求められる先進国を中心に、発電用や都市ガス用の消費が増加しました。2023年の天然ガスのシェアは23.3%でした。

2023年時点のシェアは8.2%とエネルギー消費全体に占める割合はまだ大きくありませんが、気候変動問題への対応や設備価格の低下等を背景に近年急速に伸びているのが、太陽光や風力等の再エネです。今後も気候変動対策の進展等に伴い、再エネのシェア拡大が予想されています。2015年12月にフランス・パリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)では、2020年以降、全ての国が参加する公平で実効的な国際枠組みである「パリ協定」が採択され、産業革命前と比べて気温上昇を2℃より低く抑えること、さらに1.5℃までに抑えるよう努力することが盛り込まれました。その後、各国においてパリ協定の締結が順調に進み、2016年11月に発効しました。また、2018年に開催されたCOP24では、2020年以降のパリ協定の本格運用に向けて、パリ協定の実施指針が採択されました。パリ協定の発効、実施指針の採択は、多くの国が気候変動問題に対して積極的に取り組んでいることを示す象徴的な出来事といえます。その後、各国では国際エネルギー情勢の変化を受け、経済性やエネルギー安定供給との間でバランスを取る現実路線への転換も進んでおり、今後もその動向を注視していく必要があります(第21-1-3)。

【第21-1-3】世界のエネルギー消費の推移(エネルギー源別、一次エネルギー消費)

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(注)端数処理(四捨五入)の関係で、グラフ内の構成比の合計が100%とないことや、グラフ内の数値と本文中の数値が合わないこと等がある(以下同様)。

【第21-1-3】世界のエネルギー消費の推移(エネルギー源別、一次エネルギー消費)(xlsx形式:48KB)

資料:
Energy Institute「Statistical Review of World Energy 2024」を基に作成

次に、世界の最終エネルギー消費の推移を部門別に確認します。1971年から2022年までの間に、鉄鋼・機械・化学等の産業用は2.2倍に、家庭や業務等の民生用は2.0倍に、輸送用は2.9倍に増加しました。輸送用が大きく増えた背景には、世界中でモータリゼーションが進展し、自動車用燃料の需要が急増したこと等があると考えられます(第21-1-4)。

【第21-1-4】世界のエネルギー消費の推移(部門別、最終エネルギー消費)

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(注)本表には発電用及びエネルギー産業の自家使用等が含まれていないため、合計量が前表より少なくなっている。

【第21-1-4】世界のエネルギー消費の推移(部門別、最終エネルギー消費)(xlsx形式:25KB)

資料:
IEA「World Energy Balances 2024」を基に作成