第2節 水素社会推進法に基づく措置
水素等の社会実装に向けて、水素社会推進法に基づく低炭素水素等のサプライチェーン構築のための3兆円規模の価格差に着目した支援や、拠点整備支援等により、まずは将来の産業競争力につながる黎明期のユースケース作りをしたたかに進めていきます。その際には、エネルギー安全保障の観点からも、将来的に十分な価格低減と競争力を有する見込みのある国内事業を最大限支援するとともに、国産技術等を活用して製造され、かつ大量に供給が可能な水素等の輸入についても支援していきます。
また、水素の利用拡大に向けては、電力、ガス、燃料、産業等の関連審議会等において、低炭素水素等の利用を促進するための制度の在り方について検討を進めています。制度検討作業部会においては、長期脱炭素電源オークションに関して議論が行われ、第2回入札(2025年1月実施)から、水素・アンモニアの燃料費のうち、固定的な支払部分(take or pay等)を支援対象に追加しました。また、ガスWGにおいては、2024年7月に合成メタン(e-methane)等について高度化法の目標設定と託送料金制度を組み合わせた仕組みを構築するとの方針を整理したほか、「総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会工場等判断基準ワーキンググループ」においては、利用技術・設備、安定供給、市場環境等の状況と見通し等について、2024年6月に水素の供給者・需要者からのヒアリングを実施しました。さらに、「合成燃料(e-fuel)の導入促進に向けた官民協議会」等においては、2023年度から、合成燃料の導入量目標や制度的枠組みの在り方、付随する技術のアセス、GHG削減基準(炭素集約度)等について検討を進めています。
<具体的な主要施策>
1.水素等のサプライチェーン構築のための価格差に着目した支援事業
【2024年度当初:89億円 国庫債務負担含め総額:4,570億円】
代替技術が少なく転換が困難な、鉄・化学等といった産業・用途の脱炭素化を目指すとともに、水素等のサプライチェーン組成に必要な発電等における水素等の利用を進めていきます。
2024年11月から2025年3月にかけて、既存原燃料の水素等への転換と自立的発展に向けて、商用規模のサプライチェーンを組成するため、既存原燃料との価格差に着目した支援を受けようとする計画の申請を受け付けました。
2.水素等供給基盤整備事業
【2024年度当初:15億円】
水素等の大規模な利用ニーズを創出し、スケールメリットを獲得することによって経済的・効率的かつ自立的な発展が可能なサプライチェーンを構築するために必要となる水素等の供給基盤の整備に際して、全体として日本の産業競争力強化に資するような供給基盤の整備となるよう、供給基盤構築の実現可否を判断するための検討に必要な情報を整理・分析する必要があります。本事業では、供給基盤整備等のFSへの支援を行いました。
また、2025年3月からは、水素等の大規模な利用ニーズと効率的なサプライチェーン構築に資する、様々な事業者に広く裨益する設備への支援(拠点整備支援)を受けようとする計画の申請受付を開始しました。