第1節  電気をさらに効率的に利用するためのコージェネレーションの推進や蓄電システムの導入促進

コージェネレーションは、都市ガスや石油等を燃料とした発電の際に生ずる排熱を有効活用することによって高いエネルギー総合効率を実現することを可能とし、一次エネルギーの削減に資するものです。また、需要家が自ら発電し、自ら利用することによる電力需要ピークの緩和や、非常時に系統からのエネルギー供給が途絶えた場合にも一定のエネルギーを確保することが可能であるという利点もあります。

家庭用燃料電池を含むコージェネレーションの導入促進を図るため、補助金や税制措置等の導入支援策を講じました。今後、燃料電池を含むコージェネレーション等により発電される電気を自ら消費するのみならず、系統に逆潮流させて売電を行う、調整力に活用するといったビジネス展開の実現に向けて、こうした需要家側で発電された電気の取引円滑化等の具体化に向けた検討を進めていきます。

また、利便性の高い電気を貯蔵することで、いつでもどこでも利用できるようにする蓄電池は、エネルギー需給構造の安定性を強化することに貢献するとともに、再生可能エネルギーの導入拡大に貢献する、大きな可能性を持つ技術です。政府では、系統安定化用大規模蓄電システムや電気自動車等の航続距離の向上を実現するための技術開発等を実施しました。また、定置用蓄電システムや蓄電池を搭載した電気自動車を、電力の需給調整のエネルギーリソースとして活用する技術構築のための実証等を実施しました。さらに、蓄電システムの運用期間中の安全性を担保するため、安全性の評価手法・試験方法等における国際規格の発行や非破壊による電力貯蔵部分の安全性診断システム技術の開発等の検討を行いました。加えて、システムを購入する際に比較しやすい性能評価指標とラベルの開発を開始しました。蓄電システムの自立普及を目指し、普及拡大に向けた課題の整理と対応策の検討のため、定置用蓄電システム普及拡大検討会を開催し、定置用蓄電システムの目標価格の設定、導入見通しの整理等を実施しました。これらを通じて、エネルギー政策の観点はもとより、我が国企業の競争力強化や経済成長につなげるため、蓄電池の導入を促進しました。

<具体的な主要施策>

1. 革新型蓄電池実用化のための基盤技術の開発事業

(再掲 第2章第1節 参照)

2. 大型蓄電システム緊急実証事業費補助金

(再掲 第3章第4節 参照)

3. 再生可能エネルギー余剰電力対策技術高度化事業

(再掲 第3章第4節 参照)

4. 再生可能エネルギーの接続保留への緊急対応

(再掲 第3章第4節 参照)

5. 需要側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業【2020年度当初:50.0億円】

電力系統上に散在する再生可能エネルギー、燃料電池や蓄電池等のエネルギー設備、DR等の需要側の取組を遠隔で統合的に制御し、あたかも一つの発電所のように機能させるバーチャルパワープラント(仮想発電所)を構築するための実証試験を行いました。2020年度は、2021年度から運用が開始される需給調整市場の実際のルールやシステム要件に即し、アグリゲーターがエネルギーリソースを正確に制御できるかなどを検証するとともに、電気自動車に蓄電された電気を系統に流し(逆潮流)、電力需給調整に活用する技術(Vehicle to Grid)も含め、対象となる分散型エネルギーリソースの拡充に取り組みました。

6. 地域マイクログリッド構築支援事業【2020年度当初:17.3億円】

既存の系統線を活用することでコストを抑え、災害時には地域内の再エネ等を活用して、自立的に電力供給する地域マイクログリッドの構築に向けた支援を行いました。2020年度は、15件のマスタープラン作成支援と、3件の設備導入等支援を実施しました。

7. 省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費【2020年度当初:25.8億円の内数】

定置用蓄電システムは一般的に10数年の長期運用が見込まれます。そこで蓄電システムの運用期間中の安全性を担保することを可能とするために、2018年度から2020年度の委託事業において、非破壊による電力貯蔵部分の安全性診断システム技術開発と蓄電システム全体を適切に運用管理するための安全要求事項に関する国際標準の開発を行いました。