第1章 福島復興の進捗
日本のエネルギー政策全体の大きな転換点となった東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故の発生から14年が経過しました。「多核種除去設備等処理水」(以下「ALPS処理水1」という。)の海洋放出や、「特定復興再生拠点区域2」の全域における避難指示解除の完了、「特定帰還居住区域3」の計画認定や避難指示解除に向けた整備の進捗等、福島の復興・再生は、一歩一歩着実に進展していますが、福島の復興には中長期的な対応が必要です。政府としては、引き続き、被災地の実態を十分に踏まえ、地元との対話を重視しつつ、施策の具体化を進め、復興に向けた道筋をこれまで以上に明確にしていきます。
本章では、第1節で、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水・処理水対策について、予防的かつ重層的な汚染水対策に関する取組や、2023年8月から海洋放出を開始したALPS処理水に関する取組、燃料デブリの試験的取出しをはじめとする廃炉に向けた取組等の状況について記載しています。第2節では、原子力被災者への支援について、避難指示解除の状況や、特定復興再生拠点区域・特定帰還居住区域の整備、除染の実施状況に加え、産業復興の観点から、福島イノベーション・コースト構想(以下「福島イノベ構想」という。)の推進に向けた施策、被災事業者の事業・なりわいの再建支援に関する取組等について記載しています。第3節では、福島を再生可能エネルギー(以下「再エネ」という。)や未来の水素社会を切り拓く「先駆けの地」として、新たなエネルギー社会を先取りするモデルの創出拠点とする「福島新エネ社会構想」について記載しています。第4節では、原子力損害賠償について、この14年間の実績・進展等を記載しています。