第4節 鉱物資源の安定供給確保に不可欠なリサイクルの推進及び備蓄体制の強化等
鉱物資源については、日本のものづくり産業に必要不可欠な原材料である一方、供給の殆どを海外に依存しており、その安定供給の確保は重要な課題です。そのため、資源外交を通じた資源供給国との関係強化と並行して、鉱物資源の安定的な供給確保に向けた総合的な取組として、特に省エネ・再エネ機器等の製造に必要なレアメタルの短期的な供給リスクに備えることを目的としたレアメタル国家備蓄や、使用済製品からの有用金属の回収・リサイクルを高度化させるための技術開発、レアメタルを豊富に含有する代替資源による技術の開発、レアメタルの使用量を削減するための技術開発等の取組を進めています。
〈具体的な主要施策〉
1.希少金属備蓄対策事業費【2022年度当初:3.2億円】
緊急時の代替供給が困難で、供給国の偏りが著しいレアメタルについて、短期的な供給障害等に備えるため、備蓄を行いました。
2.資源循環システム高度化促進事業費【2022年度当初:3.2億円】
日本の都市鉱山の有効利用を促進し、資源の安定供給及び省資源・省エネ化を実現するため、高効率製錬技術及び動静脈情報連携システムの開発を行いました。
3.成長志向型の資源自律経済戦略
近年では、廃棄物問題や気候変動問題に加え、世界的な資源需要と地政学的なリスクの高まりといった資源制約の観点から、鉱物等の資源の効率的・循環的な利用と付加価値の最大化を図る、「サーキュラーエコノミー」への移行が喫緊の課題となってきています。具体的には、資源制約の観点で資源の枯渇や調達面でのリスクが増大する懸念が高まっていること、環境制約の観点で廃棄物処理の困難性やカーボンニュートラル実現に向けた対応が求められていること、成長機会の観点でサーキュラーエコノミーの市場が今後大幅に拡大していく可能性があること等を踏まえ、これまで主に廃棄物処理や3R(Reduce, Reuse, Recycle)の観点で進めてきた資源循環を、経済活動として進めていく意義が高まっています。
そのため、経済産業省では、近年の新型コロナ禍やウクライナ情勢等に端を発した物資や資源の供給制約を受け、物資や資源の再利用・再資源化等を通じて供給途絶リスクをコントロールし、経済の自律化・強靱化と成長につなげる「成長志向型の資源自律経済の確立」を、経済産業政策の新機軸の1つとして打ち出しました。
2022年10月には、「成長志向型の資源自律経済デザイン研究会」及び「資源自律経済戦略企画室(通称:資源自律経済デザイン室)」を立ち上げ、2020年5月に策定した「循環経済ビジョン2020」で示した方向性を踏まえ、国内の資源循環システムの自律化・強靱化と国際市場獲得に向けて、技術とルールのイノベーションを促進する観点から、①競争環境整備(規制・ルール)、②サーキュラーエコノミー・ツールキット(政策支援)、③サーキュラーエコノミー・パートナーシップ(産官学連携)を基軸に、総合的な政策パッケージとして、「成長志向型の資源自律経済戦略」を2023年3月31日に策定しました(第314-3-1)。
【第314-3-1】成長志向型の資源自立経済の確立のための政策ツール
【第314-3-1】成長志向型の資源自立経済の確立のための政策ツール(ppt/pptx形式:199KB)
- 資料:
- 経済産業省作成
本戦略の実現に向けて、2023年夏頃を目処に、①産官学サーキュラーエコノミー・パートナーシップを立ち上げるとともに、②動静脈連携の加速に向けた制度整備を実施していきます。