はじめに 3-2
エネルギー資源の大部分を海外に頼る日本は、限られた燃料資源の有効な利用を図ることが必要です。日本は石油危機を契機に、1979年に制定された「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(昭和54年法律第49号)」(以下、「省エネ法」という。)」による規制措置と、予算や税制の支援措置の両面で、徹底した省エネルギー(以下、「省エネ」という。)の取組を推進してきました。こうした官民の努力により、エネルギー消費効率(=最終エネルギー消費/実質GDP)を約4割改善し、世界最高水準の省エネを実現してきました。
引き続き、部門ごとに効果的な方法によって省エネを更に加速していくことで、より合理的なエネルギー需給構造の実現と温室効果ガスの排出削減を同時に進めていくことが重要です。2021年10月に閣議決定された第六次「エネルギー基本計画」においては、2050年カーボンニュートラルの実現や、2030年度の野心的な温室効果ガス排出削減目標の達成に向けたエネルギー政策の道筋が示されました。その中で、2030年度におけるエネルギー需給の見通しについて、省エネについては、経済成長等による足下からのエネルギー需要の増加を見込みながら、技術的にも可能で現実的な省エネ対策として考えられ得る限りのものを全て積み上げ、年間最終エネルギー消費を対策前に比べ原油換算6,200万kl程度削減することを見込んでいます。これは、2013年度から2030年度までに、エネルギー消費効率を40%程度改善することに相当し、石油危機後の20年間に日本が実現した省エネを上回るエネルギー消費効率の改善が必要となります。日本のエネルギー消費効率は現在でも世界最高水準にあり、既に相当の努力がなされてきたことを踏まえると、この見通しは野心的なものと言えます。
この見込みを着実に実現し、徹底した省エネと経済成長を両立させるため、業務・家庭・運輸・産業の各部門において、制度と支援措置の両面で、施策を検討し、随時実施していきます。