第4節 その他制度・予算・税制面等における取組

<具体的な施策>

1.制度

農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律【制度(法改正を含む)】

「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律(農山漁村再生可能エネルギー法)」を積極的に活用し、農林地等の利用調整を適切に行いつつ、市町村や発電事業者、農林漁業者等の地域の関係者の密接な連携の下、再生可能エネルギーの導入と併せて地域の農林漁業の健全な発展に資する取組を促進しました。

2.予算事業

(1)太陽光発電

①太陽光発電のコスト低減や信頼性向上等に向けた技術開発事業【2018年度当初:54.0億円】

大幅な発電コスト低減を実現する可能性が高い太陽電池や周辺機器等を対象として技術開発を行いました。また、性能評価等の共通基盤技術の開発、様々な太陽光パネルに対応する低コストリサイクル・リユース技術開発にも取り組みました。

②営農型太陽光発電の高収益農業の実証事業【2018年度当初:16.8億円の内数】

太陽電池(ソーラーパネル)下部の農地においても、高い収益性が確保できる営農方法を確立し、その普及を目指すために、実証試験等の取組を支援しました。

(2)風力発電・海洋エネルギー

①風力発電等に係るゾーニング導入可能性検討モデル事業【2018年度当初:4億円】

環境保全と両立した形で風力発電事業の導入促進を図るため、個別事業に係る環境影響評価に先立つものとして、地方公共団体が関係者と調整しつつ、環境保全を優先することが考えられるエリア、風力発電の導入を促進しうるエリア等の設定を行うゾーニング手法の確立と普及を目的として、「風力発電に係る地方公共団体によるゾーニングマニュアル」を策定するとともに、6の地方公共団体でモデル事業を実施しました。さらにゾーニングマップの作成とゾーニング結果等を環境影響評価手続に活用する方策を検討する実証事業を5の地方公共団体で実施しました。

②洋上風力発電設備の審査基準類の整備【2018年度当初:0.1億円】

洋上風力発電設備に係る審査手続きの合理化により事業者の負担を軽減するため、電気事業法と港湾法の統一的な考え方に基づく審査基準類の検討を進めており、2018年3月にとりまとめた「洋上風力発電設備に関する技術基準の統一的解説」及び「港湾における洋上風力発電設備の施工に関する審査の指針」に引き続き、2019年3月に維持管理審査基準をとりまとめました。

③洋上風力発電等のコスト低減に向けた研究開発事業【2018年度当初:69.6億円】

浮体式洋上風力発電の低コスト化を目的とした実証事業では、3MW風車を搭載したバージ型浮体(実証機)を係留するための係留チェーン・アンカーの把駐力試験を行いつつ、北九州市沖に実証機を設置し、試運転・調整を行いました。また、浮体式の更なるコスト低減を実現するため、ガイワイヤ支持やタレットを用いた一点係留による、浮体・タワー・係留システムの軽量化など、先進的な要素技術を用いた浮体式洋上風力発電システムの実現可能性や事業性を評価するフィージビリティ・スタディ(FS)を行いました。着床式洋上風力発電においては、資本支出(CAPEX)に占める割合が高い基礎・施工費に関する実証に先立ち、これらの技術の適用が想定される海域の特性などを踏まえた、低コスト化に資する技術の検討を実施しました。また、風力発電の利用稼働率の向上による発電コストを低減するため、故障予知による停止時間を縮小させるためのAIを活用したメンテナンス技術の検討を実施しました。

④浮体式洋上風力発電の低コスト化・普及促進事業【2018年度当初:30.0億円】

2013年10月から、国内初の商用スケール(2MW)の実証機の運転を開始し、環境影響、気象・海象への対応、安全性等に関する情報収集等を行いました。この実証試験を通じて、2015年には、高い安全性や信頼性を有する効率的な発電システムの確立に成功し、当該実証の成果として、2016年から国内初の洋上風力発電の商用運転が開始されており、風車周辺に新たな漁場が形成されるなど、副次効果も生じています。

また、2016年度からは、民間による浮体式洋上風力発電事業を促進するため、海域動物や海底地質等を正確かつ効率的に調査・把握する手法及び浮体式洋上風力発電の海域設置等の施工に伴い発生するコストやCO2排出量を低減する手法の開発・実証を進めており、2018年度は、前年度に引き続き、浮体式洋上風力発電の本格的な普及拡大に向け、施工を低炭素化・高効率化する新たな施工手法等の確立を目指す取組を行いました。

⑤福島沖での浮体式洋上風力発電システムの実証研究事業【2018年度当初:20.6億円】

「福島イノベーション・コースト構想」の実現のため、福島沖において、3基の浮体式洋上風車と浮体式洋上変電所による本格的な実証研究を進め、安全性・信頼性・経済性の評価を行いました。

(3)バイオマス発電

①バイオ燃料の生産システム構築のための技術開発事業【2018年度当初:24.0億円】 マネジメントシステムの本格的な運用と改善

食糧と競合しないセルロース系バイオマス原料によるエタノールの一貫製造プロセスの確立を目指して、要素技術の最適な組合せを検討し、パイロットプラントで実証運転を行いました。

また、バイオジェット燃料の2030年頃の商用化を目指し、バイオマスのガス化・液化や微細藻類の培養技術等優れた要素技術を元にした、一貫製造プロセスの確立に向けた実証試験等を開始しました。

②地域で自立したバイオマスエネルギーの活用モデルを確立するための実証事業【2018年度当初:23.7億円】

地域におけるバイオマスエネルギー利用の拡大に資する技術指針及び導入要件を策定するとともに、当該指針等に基づき地域特性を活かしたモデル実証を行うため、家畜排せつ物や食品残さ等の湿潤系バイオマス利用システムの事業性評価(FS)事業に加え、間伐材や竹等の木質系バイオマスや、都市ゴミ等の湿潤系バイオマス利用システムの実証事業を実施しました。

(4)水力発電

①水力発電の導入促進のための事業費補助金【2018年度当初:21.0億円】

水力発電の事業性評価や地域住民等の理解促進、既存発電所の増出力又は増電力量を図る更新工事、高効率化やコスト低減に資する発電設備の製作、実証を支援することによって、ベースロード電源である水力発電の事業化、既存発電所出力の増加を推進しました。

②中小水力発電開発費等補助金【2018年度当初:1.5億円】

旧一般電気事業者及び旧卸電気事業者等の行う中小水力開発に対し、建設費の一部を補助することにより、水力の初期発電原価を引き下げ、開発を促進しました。

③中小水力発電事業利子補給金助成事業費補助金【2018年度当初:0.4億円】

地方自治体(公営電気事業者)が水力発電所の建設に際して要した資金の返済利息に関して、利子補給を行いました。

④小水力等再生可能エネルギー導入支援事業【2018年度当初:2.1億円】

農業水利施設を活用した小水力等発電の整備を推進するため、調査設計等の取組を支援しました。

(5)地熱発電・熱利用

①地熱資源開発調査事業費補助金【2018年度当初:90.0億円】

地熱発電は、自然条件によらず安定的な発電が可能なベースロード電源の一つであり、我が国は世界第3位の資源量(2,347万kW)を有する一方で、地質情報が限られており事業リスクが高いことから、資源量把握に向けた地表調査や掘削調査等の初期調査に対する支援に加えて、新規の有望地点を開拓するための広域ポテンシャル調査を行いました。

②地熱発電に対する理解促進事業費補助金【2018年度当初:3.0億円】

地熱の有効利用等を通じて、地域住民等への地熱開発に対する理解を促進することを目的として行う事業(例えば、地熱発電に関する勉強会や、熱水を利用したハウス栽培事業の実施等)に対し補助を行うことで、地熱資源開発を支援しました。

③地熱資源探査出資等事業【2018年度当初:76.0億円】

地熱資源の蒸気噴出量を把握するための探査に対する出資や発電に必要な井戸の掘削、発電設備の設置等に対する債務保証を行うことで、地熱資源開発を支援しました。

④地熱発電技術研究開発事業【2018年度当初:24.5億円】

地熱資源開発における高い事業リスクや開発コスト等の課題を解決するため、調査段階においては、地下の地熱資源のより正確な把握、安定的な電力供給に必要となる地熱資源の管理・評価、生産井や還元井等を短期間かつ低コストに掘削するための技術開発を行いました。また、発電段階においては、IOT-AI技術等を活用した効率的な開発・運転のための高性能な地熱発電システムの技術開発や、次世代の地熱発電(超臨界地熱発電)に関して、実現可能性調査の継続のほか詳細事前検討を行いました。

⑤地中熱などの再生可能エネルギー熱利用のコスト低減に向けた技術開発事業【2018年度当初:8.0億円】

再生可能エネルギー熱利用の普及拡大を図るため、地中熱に係掘削、熱交換器、ヒートポンプ等の要素技術開発や、構成要素を統合したシステム全体の最適設計による低コスト化、高効率化技術開発、雪氷熱等の導入コストを低減する技術開発を行いました。

⑥再生可能エネルギー熱事業者支援事業【2018年度:28億円】

地域における再エネ熱利用設備の拡大を目的に、バイオマス熱や地中熱等を利用した熱利用設備を導入する民間事業者等に対し、事業費の3分の1以内等の補助を行いました。

(6)系統制約克服および調整力確保への対応

①大型蓄電システム緊急実証事業費補助金【2012年度予備費:295.9億円】

北海道及び東北地方において、電力会社の変電所に大型の蓄電池を設置し、再エネの出力変動を緩和するための実証事業を行いました。

②再生可能エネルギー余剰電力対策技術高度化事業【2014年度補正:65.0億円】

再エネの導入拡大による余剰電力対策用蓄電池として、揚水発電と同等の設置コスト(2.3万円/kWh)まで大幅に低減することを目標とした蓄電池技術の高度化を行いました。

③再生可能エネルギーの接続保留への緊急対応【2014年度補正:744.0億円】

再エネの受入可能量の拡大方策を緊急的に講ずる必要があるため、①定置用蓄電池の導入支援、②原子力災害や津波の被災地における再生可能エネルギー導入支援等を措置しました。

④風力発電のための送電網整備実証事業費補助金【2018年度当初:77.0億円】

風力発電の適地において、送電網の整備及び技術的課題の解決を目的とした実証事業を行いました。

⑤福島県における再生可能エネルギーの導入促進のための支援事業費補助金【2018年度当初:75億円】

阿武隈山地や福島県沿岸部における再生可能エネルギー導入拡大のための共用送電線の整備及び、当該地域における風力、太陽光等の発電設備やそれに付帯する送電線等の導入を支援、また、福島県内の再生可能エネルギー関連技術について、実用化・事業化のための実証研究を支援しました。

⑥災害時にも再生可能エネルギーを供給力として稼働可能とするための蓄電池等補助金【2018年度補正:44.0億円】

災害時の安定的な電力供給に向け、①再エネ発電設備への蓄電池の導入支援、②再エネを活用した地域マイクログリッドの構築支援を行いました。

⑦熱を活用した次世代型蓄エネルギー技術実用化推進事業【2018年当初:8.3億円】

再エネの普及を促進するため、再エネの余剰電力を熱の形で需要家側において蓄え、用事に再び利用可能な新たな自立・分散型の蓄エネルギー技術を確立することとしており、2018年度は発電用高温熱貯蔵装置の設計・検討及び貯蔵した熱を電気等の形で利用するFS調査を行いました。

(7)その他

①再生可能エネルギー電気・熱自立的普及促進事業【2018年度当初:54.0億円】

低炭素社会の実現に資することを目的に、地域における再エネ普及・拡大の妨げとなっている課題への対応の仕組みを備えた取組等について、地方公共団体等に対し、再エネ設備の導入支援等を行いました。

②地域資源活用展開支援事業【2018年度当初:0.6億円】

市町村や農林漁業者の組織する団体等が地域循環資源を活用し、農山漁村の持続可能な発展を目指す取組について、事業計画策定のサポートや関連事業者とのマッチング、個別相談、全国的な取組・普及活動を支援しました。

③農山漁村再生可能エネルギー地産地消型構想支援事業【2018年度当初:0.4億円】

農林漁業を中心とした地域内のエネルギー需給バランス調整システムの導入可能性調査、再生可能エネルギー設備の導入の検討、地域主体の小売電気事業者の設立の検討等を支援しました。

④地産地消型再生可能エネルギー面的利用等推進事業費補助金【2018年度当初:70.0億円】

地域内での再エネ等の最大活用やエネルギー需要の最適化を図り、エネルギーコストを最小化するため、再エネ等の分散型エネルギーを面的に利用する先導的な地産地消型システムを構築する取組を支援するとともに、そのノウハウの蓄積、他地域への普及を行いました。

⑤戦略的創造研究推進事業 先端的低炭素化技術開発【2018年度当初:50.0億円の内数】

2030年の社会実装を目指し、低炭素社会の実現に貢献する革新的な技術シーズ及び実用化技術の研究開発や、リチウムイオン蓄電池に代わる革新的な次世代蓄電池やバイオマスから化成品等を製造するホワイトバイオテクノロジー等の世界に先駆けた革新的低炭素化技術の研究開発を推進しました。

⑥未来社会創造事業(「地球規模課題である低炭素社会の実現」領域)【2018年度当初:6.8億円の内数】

2050年の社会実装を目指し、エネルギー・環境イノベーション戦略等を踏まえ、パリ協定で掲げられた2050年の温室効果ガス大幅削減というゴールに資する、従来技術の延長線上にない革新的エネルギー科学技術の研究開発を推進しました。

⑦ベンチャー企業等による新エネルギー技術革新支援事業【2018年度当初:19.0億円】

太陽光発電、風力発電、バイオマス、燃料電池・蓄電池等における中小・ベンチャー企業が有する潜在的技術シーズを発掘し、その開発及び実用化を支援しました。

⑧下水道革新的技術実証事業【2018年度当初:53.8億円の内数】

下水道事業における再エネ創出技術等の導入を促進するため、高濃度消化・省エネ型バイオガス生成による効率的エネルギー利活用技術や、小口径管路からの下水熱を利用した融雪技術の実証等を実施しました。

⑨CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業【2018年度当初:65.0億円の内数】

再生可能エネルギーを活用した自立分散型エネルギーシステムの普及のため、デジタルグリッドルータ及び電力融通決済システムの開発を実施しました。また、離島、港湾および沿岸域等の海洋エネルギーを活用できる次世代型高効率波力発電システムの技術開発・実証を行いました。加えて、地域内の上水道施設の水管の水流を活用する10kW以下の小型・低コスト管水路用マイクロ水力発電システムの技術開発・実証を実施しました。

⑩公共施設等先進的CO2排出削減対策モデル事業【2018年度当初:26.0億円】

公共施設等に再エネや自営線等を活用した自立・分散型エネルギーシステムを導入するなどした上で、地区を超えたエネルギー需給の最適化を行う実証について補助を行いました。

⑪ブロックチェーン技術を活用した再エネCO2削減価値創出モデル事業【2018年度当初:30.0億円の内数】

これまで十分に評価又は活用されていなかった自家消費される再エネのCO2削減価値について、低コストかつ自由に取引できるシステムを、ブロックチェーン技術を用いて構築し、CO2削減価値が適切に評価される社会へのパラダイムシフトを起こすことで再生可能エネルギーの更なる普及を目指しています。2018年度はCO2削減価値を取引可能なプラットフォームを開発し、環境省が設置する課題検討協議会の場で価値の移転のライブ実証に成功しました。

⑫国内における温室効果ガス排出削減・吸収量認証制度の実施委託費【2018年度当初:3.8億円】

J-クレジット制度の運営に取り組みつつ、同制度を利用した省エネ・再エネ設備の導入を促進するため、同制度でクレジットを創出・活用する企業・自治体等に対して制度利用支援等を実施するとともに、同制度におけるクレジット需要を開拓するため、各種制度等との連携を図りつつ、クレジット制度利用の推進事業を行いました。

⑬環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備推進【2018年度当初:681.9億円の内数、2018年度第2次補正(案):372.3億円の内数】

地球環境問題が喫緊の課題となっている中、公立学校施設に対して、文部科学省、農林水産省、国土交通省及び環境省が協力して、環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備を推進しており、再エネ設備を導入する場合には、費用の一部を補助しました。

⑭エコリース促進事業【2018年度当初:19.0億円の内数】

中小企業等が、再エネ設備等の低炭素機器をリースにより導入する際に、リース料の一部を助成しました。

⑮新エネルギー等の導入促進のための広報等事業【2018年度当初:9.3億円】

再エネの普及の意義やFITの内容について、展示会への出展、パンフレットの作成、ウェブサイト等の活用などを通じて発電事業者をはじめとする幅広い層に対する周知徹底を図るとともに、地域密着型の再エネ発電事業の事業化に向け、計画策定支援研修会の開催、必要となる調査・協議等に関する助言及び各種支援施策の紹介や許認可手続の案内などの支援を実施しました。また、地方自治体と協力しつつ地域の再エネ推進体制を構築し、再エネ発電事業者や地元関係者への再エネ関連の情報提供等を実施しました。さらに、住宅用太陽光発電設備の買取期間終了に向け、制度に関する情報提供やFIT卒業電源の活用メニューを提供する事業者のポータルとなる専用サイトの開設や、新聞・Web広告等による周知を行いました。

3.税制

(1)省エネ再エネ高度化投資促進税制<再生可能エネルギー部分>【税制】

2018年度税制改正において、固定価格買取制度からの自立化や長期安定発電の促進に大きく貢献する再生可能エネルギー発電設備等を取得等した場合に、その取得価額の20%を特別償却できる税制措置を創設しました(2018年4月1日より2020年3月31日までの間)。

(2)再生可能エネルギー発電設備に係る固定資産税の特例措置【税制】

固定価格買取制度の認定を受けた再生可能エネルギー発電設備(太陽光発電設備については、固定価格買取制度の認定を受けていないもの)を取得した場合、固定資産税を3年間にわたって軽減する措置を講じました(2020年3月31日までの間)。なお、2018年度税制改正において、本措置の適用期限を2年間延長しています。

(3)バイオ燃料製造設備に係る固定資産税の軽減措置【税制】

農林漁業由来のバイオマスを活用した国産バイオ燃料の生産拡大を図るため、「農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律(農林漁業バイオ燃料法)」に基づく生産製造連携事業計画に従って新設されたバイオ燃料製造設備(エタノール、脂肪酸メチルエステル(ディーゼル燃料)、ガス、木質固形燃料の各製造設備)に係る固定資産税の課税標準額を3年間2分の1に軽減する措置を講じました(同法施行日(2008年10月1日)より2020年3月31日までの間)。

(4)バイオ由来燃料税制の整備及び施行【税制】

バイオ燃料の導入を加速化するため、バイオエタノール等を混和して製造した揮発油については、これまでガソリン税(揮発油税及び地方揮発油税)の課税標準(混和後の揮発油の数量)から混和されたエタノールの数量を控除する措置を講じてきており、2018年度税制改正において本措置の適用期限を5年間延長しています(2023年3月31日までの間)。当該措置により、バイオエタノールの混合分の税額(ガソリン1リットルについて平均約0.74円(2016年度実績))が軽減されました。

また、バイオエタノールをガソリンに混合するために用いられるETBEのうち、バイオマスから製造したエタノールを原料として製造したものにかかる関税率(3.1%)及びバイオマスから製造したエタノールをそのまま輸入する場合にかかる関税率(10%)について、2019年度税制改正において引き続き暫定的に1年間無税とする措置を講じました。当該措置により、ETBEを製造するためのバイオエタノールの関税額分(ガソリン1リットルについて平均約0.07円(2016年度実績))が軽減されました。

4.その他の取組

(1)風力・地熱発電に係る環境影響評価の国による審査期間の短縮化

風力・地熱発電建設時の環境影響評価の国の審査期間については、2012年11月の「発電所設置の際の環境アセスメントの迅速化等に関する連絡会議 中間報告」(環境省・経済産業省)において、火力発電所リプレースに係る国の審査期間の短縮に向けた取組を、風力・地熱発電の環境影響評価の審査についても適用することとされています。

この結果、2018年度においては、地方公共団体の協力を得て審査期間の短縮を図るとともに、環境調査を前倒しし他の手続と同時並行で進める手法の実証事業を行い、これをもとに事業者が参照できるガイドをとりまとめ、おおむね目標のとおり実施期間の短縮を実現しました。また、実証事業の成果を一般化するため、「発電所に係る環境影響評価の手引」に前倒し手法を反映しました。質の高い環境影響評価を効率的に進めるために、環境影響評価に活用できる地域の環境基礎情報を収録した「環境アセスメントデータベース”EADAS(イーダス)”」において、情報の拡充や更新を行い公開しました。

(2)バイオマス産業都市の構築

2012年9月に関係7府省(内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)が共同で取りまとめたバイオマス事業化戦略において、地域のバイオマスを活用したグリーン産業の創出と地域循環型エネルギーシステムの構築に向けたバイオマス産業都市の構築を推進することとされ、2018年度までに84市町村をバイオマス産業都市として選定しました。